ひとりぼっちのウォークマン -6ページ目

ヴィジェ・ル・ブラン「ポーランド王、スタニスワフ・ アウグスト・ポニャトフスキ」

このどこかで見たことのある肖像画は、

 

もしや、あの有名な音楽家?

 

 

○ 〇 〇 ・・・・・ では?

 

 

真っ白な白髪をたたえ、

 

毛皮で白く縁取られた

 

赤いベルベットのマント、

 

 

素晴らしい出で立ちだ。

 

 

この絵はヴィジェ・ル・ブランの描いた

 

「ポーランド王、スタニスワフ・アウグスト・ポニャトフ

 

スキ」である。

 

(なんて言いにくい名前なのだ。)

 

    

 

彼は30年近く、

 

ポーランド国王として君臨した。

 

 

在位中は、国の繁栄に努めたものの、

 

ロシアやプロイセンなどから侵攻され、

 

最終的に王国は分割され滅されてしまったのだ。

 

 

国王は王位を追われ、サンクトペテルブルクで

 

軟禁生活を強いられた。

 

 

断頭台に送られずに、本当に良かったと思う。

 

 

後に、元国王は軟禁生活から解放されて

 

ヴィジェ・ル・ブランを訪ねた。

 

 

人間だれしも過去の輝かしい栄光は

 

忘れたくないものだろう。

 

元国王も然り。

 

 

自分の顔はもちろん、姿にも、

 

相当、自信があったのだろう。

 

 

そこで、この肖像画ができ上ったという訳だ。

 

 

彼は18世紀後半、最後のポーランド国王で、

 

リトアニア大公であり、

 

 

そのハンサムぶりから

 

若い時には相当人気があったようで、

 

 

ロシアのあの女帝エカテリーナからも、

 

気に入られていたようだ。

 

 

彼は恵まれた地位にありながら

 

生涯66年間、独身を貫いた。

 

 

それは女帝エカテリーナの存在が

 

あったからともいわれている。

 

 

しかし、その女帝エカテリーナに、

 

何度も自分の目指す改革をつぶされ、

 

 

最後には愛する祖国を滅ぼされたのだから、

 

皮肉なことだ。

 

 

今晩の

 

「一人ぼっちのウォークマン」の旅は

 

この元国王の“心の叫び”を聞きに・・・・・

 

 

 

 

 

ヴィジェ・ル・ブラン「スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像」

この女性は何歳ぐらいなのだろう。

 

 

とても若く見えるが、

 

大人の魅力も感じさせる。

 

 

どこか頼りなさそうに見えるが、

 

目を奪われてしまうほど魅力的だ。

 

 

この絵はヴィジェ・ル・ブランの描いた

 

「スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像」である。

 

 

 

伯爵夫人というのは、ちょっと、意外な感じもするが、

 

親しみを感じてなかなか好感が持てる。

 

 

彼女はクッションにもたれかかり、

 

くつろいでいるようだが、

 

大きく胸の開いた洋服が気になる。

 

 

上にはガウンか、ショールのようなものを

 

羽織っているが、なんと美しい青なのだろう。

 

 

寄りかかっているクッションの赤との

 

コントラストがとても美しい。

 

 

そして彼女の白い肌と、

 

肩まで垂れたブロンドの巻き髪が

 

 

一層、やわらかな雰囲気で

 

女性らしさを醸し出している。

 

 

この絵を描いたヴィジェ・ル・ブランは、

 

王妃マリー・アントワネットの肖像画家としても有名だ。

 

 

彼女はフランス革命から逃れるために故国を離れ、

 

1795年から1801年の間、ロシアに滞在していた。

 

 

そして、女性を描かせたら

 

右に出る人はいないといわれるほど、

 

女性を美しく描く画家だったようだ。

 

 

その為か、上流階級の女性たちの間で

 

引っ張りだこだったといわれている。

 

 

元々、美しい伯爵夫人が、

 

さらに美しくなっているわけだ。

 

 

今晩の

 

「一人ぼっちのウォークマン」の旅は

 

この若い伯爵夫人に会いに・・・・・

 

 

 

 

 

ジャン・グロ「クリスティーヌ・ボワイエ 」

目に映るすべてを避けるかのように、

 

うつむき、ものうげな表情の女性が立っている。

 

 

場所は静かな水辺のよう、

 

よく見ると、女性の前には薔薇が一輪、浮かんでいる。

 

 

この絵はジャン・グロの描いた

 

「クリスティーヌ・ボワイエ」である。

 

 

前回に続いて

 

アントワーヌ=ジャン・グロの作品を取り上げた。

 

     

 

この女性は

 

ナポレオン・ボナパルトの弟リシュアンの妻で、

 

 

名前はクリスティーヌ・ボワイエといい、

 

彼女はすでに亡くなっている。

 

 

夫であるリシュアンの依頼で描かれたものだ。

 

 

夫が亡くなった妻を描かせる、

 

その心境はどんなものなのだろう。

 

 

夫は長年の戦争により、

 

妻を幸せにしてあげられなかったという

 

懺悔の気持ちがあったのかもしれない。

 

 

妻の姿を思い浮かべると、

 

幸せな笑顔は余りなく、暗い背景で、

 

 

寂しそうな姿ばかりが浮かんできた

 

のではないだろうか。

 

 

この絵を観ていると、とても切なくなる。

 

 

妻の方はだいぶ若くして亡くなったようだが、

 

この暗い表情から、

 

 

彼女の方にも彼へのたくさんの果たせない想いが

 

あったのかもしれない。

 

 

彼女の身に付けているドレスにも注目したい。

 

 

生前の彼女はこのように透き通った純白のドレスや

 

肩に掛けられた赤いカシミアのストールが

 

お気に入りだったのかもしれない。

 

 

これが実に良く似合っているが、

 

当時、高貴な女性が好んで身に付けたもののようだ。

 

 

今晩の

 

「一人ぼっちのウォークマン」の旅は

 

生前のクリスティーヌ・ボワイエに会いに・・・・・

 

 

 

 


 

ジャン・グロ「アルコレ橋のボナパルト」

この若き将軍ナポレオン・ボナパルトは、

 

弱冠22歳。

 

 

フランス軍の豪華な刺繍が施された

 

濃紺の軍服姿が決まっている。

 

 

手に持っているのは三色旗のようだ。

 

   

 

この勇姿はアントワーヌ=ジャン・グロの描いた

 

「アルコレ橋のボナパルト」である。

 

 

それにしても、この端正な顔立ち

 

映画俳優でも現れたのかと思うほどだ。

 

 

実際のナポレオンはこんなに美しかったのだろうか。

 

 

宣伝用に描いてもらったとしても、

 

あまりにも決まりすぎているではないか。

 

 

さて、彼が立っているのはアルコレ橋の上、

 

まさに、ここで戦いが行われ

 

この橋を占拠し、勝利したのだ。

 

 

ナポレオンは

 

長く続いたフランス革命後の混乱を収拾して、

 

軍事独裁政権を樹立し、皇帝となった。

 

 

あまりにも有名なナポレオンの活躍だ。

 

 

今日、彼の洗練された勇姿は写真や絵によって

 

あちこちでみることが出来る。

 

 

しかし、この22歳の若き日のナポレオンの姿は、

 

貴重な一枚ではないだろうか。

 

 

今晩の 

 

「一人ぼっちのウォークマン」の旅は 

 

この22歳の若き日のナポレオンの勇姿を見に・・・・・

 

 

 

 

 

ヴェロネーゼ「水から救われるモーセ」

今回もヴェロネーゼを取り上げる。

 

 

旧約聖書 出エジプト記 1-2章の一場面は、

 

多くの画家に描かれている。

 

 

この絵はヴェロネーゼが描いた

 

「水から救われるモーセ」である。

 

   

 

モーセといえば、皆さんは何を思いうかべますか?

 

私はすぐに「モーセの十戒」が浮かんでくる。

 

 

これは映画にもなり、たいへん有名ですよね。

 

 

この水から助け出された幼児こそが、モーセなのだ。

 

私はこんな小さなモーセに出会えたことに

 

感動を覚える。

 

 

モーセは何故、川に流される羽目になったのだろう。

 

 

旧約聖書によると、

 

エジプトでは異民族のイスラエル人が増加しつづけ、

 

次第に脅威を感じるようになった王は

 

イスラエル人の男の子、殺すよう命令した。

 

 

モーセの母は、我が子の身の危険を感じ、

 

幼いモーセを葦で作った舟に乗せ、ナイル川に流した。

 

 

下流で水遊びをしていたエジプトの王女たちが

 

モーセを発見したのだ。

 

その時の様子がこの絵なのだ。  

 

 

ハリウッド映画「十戒」では

 

 

モーゼは晩年になって、

 

エジプトで奴隷にされ苦しむイスラエル人たちを

 

助けるため、

 

 

立ちはだかる海を2つに分け道を作り、

 

大勢のイスラエル人を歩いて通らせ、

 

逃がした場面が上映された。

 

 

私も、映画のこの一場面は

 

今でもはっきり覚えているくらい

 

忘れられない。

 

 

今晩の

 

「一人ぼっちのウォークマン」の旅は

 

この葦舟に乗って流されてきたモーセに

 

会ってみたい・・・

 

 

 

 


 

ヴェロネーゼ「女性の肖像(美しきナーニ)」

119x103cmの大きなキャンバスに

 

美しい女性が、

 

 

何という存在感だ。

 

 

16世紀のヴェネツィア派の画家には

 

素描派と色彩派とがあるが、

 

この絵を描いたヴェロネーゼは色彩派のようだ。

 

 

タイトルは

 

ヴェロネーゼ「女性の肖像(美しきナーニ)」である。

 

   

 

何度も言うようだが、この美しさに圧倒されそうだ。

 

 

少し首をかしげ何かを考えているのか

 

その胸の奥にあるものは・・・

 

 

絵の前にいって、どの角度から見ても、

 

彼女と目を合わせることができないという。

 

 

確かに、彼女の瞳はどこか虚ろだ。

 

それがとても気になる。

 

 

そして、彼女の服装に目をやると

 

とても豪華だ。

 

 

上質な青のドレス、

 

真珠の首飾り、

 

左手の薬指にはめられた指輪など、

 

 

豪華で優雅な装いだ。

 

 

このように胸元を四角い形に大きく開けたドレスは、

 

当時ヴェネツィアで流行していたスタイルだったようだ。

 

 

手を胸に当てるしぐさは、

 

伴侶への忠実さを示すポーズだとか。

 

 

いずれにしても、美しく、優しく、

 

豊かな心を持った女性であることに

 

違いはないようだ。

 

 

 

今晩の

 

「一人ぼっちのウォークマン」の旅は

 

この青いドレスの女性と語らいに・・・・

 

 

 

 

 

お知らせ

すみません!!

 

 

都合により、

 

少しお休みにさせていただきます。

 

 

本当に申し訳ありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セザンヌ「赤いチョッキの少年」

可愛い少女が、肘をついて何か考えごとをしている。

 

 

なんて可愛い娘なのだろう、

 

 

ところがタイトルを見ると、

 

女の子ではない、

 

 

これは少年なのだ。

 

 

それにしても何というあどけなさ、

 

まだ、小学生ぐらいにしか見えない。 

 

 

これはポール・セザンヌが描いた連作のうちの一枚で、

 

「赤いチョッキの少年」である。

 

 

それにしても、なんという顔の小ささだ。

 

腕、背中、胴を見ると女性ではないことが分かる。

 

 

しかし、この顔と体のバランスはとても不自然だ。

 

そして、体に対して右腕だけが長いような気がする。

 

 

また、この少年の、ちょっと沈んだ表情は

 

テーブルの上にある白いメモ用紙が

 

関係しているのか。

 

 

この白いメモにはいったい何が・・・・・

 

 

恋人への想いをどう告げようかと、

 

悩んでいるのかもしれないし、

 

 

友達からのキツイひとことが

 

書いてあったかもしれない、

 

などと、いろいろなことを考えてしまう。

 

 

また、少年の赤いチョッキと

 

首に巻かれた青色のタイ、

 

 

白地のシャツ、

 

青色のパンツ、

 

 

がとてもセンスよく、

 

都会的で繊細な少年によく似合っている。

 

 

バランスの悪さについていえば、

 

セザンヌは一方向からだけではなく、

 

いくつかの視点をもって描いたのかもしれない。

 

 

さすがセザンヌ、

 

やることが違う。

 

 

今晩の

 

「一人ぼっちのウォークマン」の旅は

 

この赤いチョッキを着てモデルに・・・・

 


 

 

 

ルドン「ヴィオレット・エイマンの肖像」

鮮やかに咲く色とりどりの花々に向かい、

 

清楚なドレスの女性が一人、

 

 

ルドンが50歳をすぎて描いた

 

「ヴィオレット・エイマンの肖像」である。

 

 

この絵は、ルドンが1910年に描いた作品で、

 

パステルの特徴を生かした絵となっている。

 

 

 

これは肖像画というが、

 

主人公の女性は正面ではなく横を向いている。

 

 

でも、横顔からだけでも、

 

美しい女性であることは十分わかる。

 

 

淡いエメラルドグリーンのドレスが

 

良く似合っている。

 

 

視線は花に向けられているのではなく、

 

どこか、うつろげで定まっていないようだ。

 

 

そして、この周りの美しい青色が気になる。

 

 

これは空か、それとも花か、

 

どちらにも見えてくる。

 

 

この咲き乱れた花々は、

 

はたして現実にそこにあるのだろうか、

 

 

そして、女性の周りにある灰色の壁? 

 

も気になるが、

 

これは壁ではなく、女性がバリアを放っているのか。

 

 

でも、何のためのバリアなのだろう・・・・・

 

 

じっと見ていると、疑問だらけだ。

 

女性が見ているこの花は、もしや幻想なのでは?

 

 

この灰色は幻想と現実の境目なのかもしれない。

 

 

などと、美しい女性に見惚れながら、

 

こちらもこの幻想の中に引き込まれていく。

 

 

とても不思議な絵だ。

 

 

今晩の

 

「一人ぼっちのウォークマン」の旅は

 

この幻想の世界へ・・・・・

 

 

 

 

 

ルドン「グラン・ブーケ(大きな花束)」

フランス・ブルゴ-ニュ地方のドムシー城の

 

食堂にさりげなく飾られていた。

 

 

110年間も、

 

 

110年といえば1世紀以上だ。

 

 

それがこの絵なのだ。

 

248.3cm,169.2cmのとても大きな絵だ。

 

 

これは世界最大のパステル画で、

 

ルドンの「グラン・ブーケ(大きな花束)」である。

 

 

やや乱暴だが、ダイナミックでパワーあふれる花束だ。

 

 

鮮やかで繊細な

 

パステルを使って描かれているためか、

 

くっきりとした青色の花瓶に、

 

 

鮮やかで淡く優しい色とりどりの花々が、

 

溢れんばかり、

 

崩れ落ちそうになりながら

 

咲き乱れている。

 

 

この解放感とのびのび感がたまらない。

 

 

この絵を薄暗い照明の中で観たらどうだろう。

 

 

きっと、この花束が浮かび上がって

 

見えるのではないだろうか。

 

 

そんな姿も見てみたい。

 

 

この「グラン・ブーケ」は1901年、

 

ルドンが60歳のときに、

 

友人のドムシー男爵の依頼により、

 

彼のお城の食堂を飾るために描かれたものだった。

 

 

こんなに素晴らしい絵が

 

110年間も人知れずあったなんて・・・・・

 

 

こうして出会えたことに感謝したい。

 

 

この花束はたくさんの幸せを

 

もたらしてくれるような気がするから。

 

 

今晩の 

 

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、 

 

110年前のドムシー城の食堂へ・・・・・