過去は、ただ記憶です。
存在していたものです。

その記憶を
これからに関係させることも
関係させないことも
自分は選べます。



記憶は
生き延びるのに役立つもの、
すなわち重要度の高いもので
構成されています。

よく思い出すことは
自分にとって
重要度がそれだけ高い
ということです。



よく思い出すことであっても
重要度が下がると
記憶は次第に抽象的になっていきます。

思い出そうとすれば
詳細に思い出せるけど、
普段は「そんなことあったな」くらいに
なります。



私の中学生頃から
父親から受けた性被害は
その後30年くらいずっと
重要度の高いものでした。

重要度の高い間は
「これから」に
関係させまくっていました。

性的なことから離れられず
本当に24時間ずっと
あれこれ考えていました。



アクセルを踏まずにいられない。

でも、
それではスピード出過ぎちゃうから
適度なスピードにするべく
ブレーキも踏む。

ブレーキを離してしまったら
暴走してどうなるかわからない。

お酒飲んだりして
「たが」が外れると
他人に迷惑かけたり...

渋谷駅前で
寝てゴロゴロするのが気持ちよくて
やってたら警察に怒られたり、
朝起きたら、知らない場所だったり。

どこかに頭ぶつけて血が出てたり、
仲良かった人に
失礼なこと言いまくってて
次に会うと関係が悪くなってたり。

ブレーキを離すのが
ずっと怖かったですね。

アクセルの力も
時間とともに増すようで、
ブレーキを踏む力も
強くなっていきました。

苦しい状況です。



これ以上、無理。
よく思っていました。

ブレーキ踏むだけで
精一杯なので
他のことするのは
酸素が薄いところで
重労働するような感じでした。

獣に追われてるときに
俳句を詠んでと
言われる感じです。

リラックスしてるときに
やるようなことを
緊張のただ中でする感じです。

これを思うと
「よく生き延びてくれたね、自分」と
感謝の気持ちが湧いてきます。



そんなアクセルが弱まったのが
「信頼できる人に
当時のイヤな経験を話して
理解してもらった瞬間」
でした。

アクセルを踏まずにいられない、
過去を「これから」に
影響させたくないのに
自分の身を守るために
「踏む」以外の選択ができない自分。

自分で選んでいるはずなのに
操作不能な状態。

ブレーキばかりに意識がいっていて
「アクセルを緩めるためにできること」に
意識がいってませんでした。



コーチングに出会って
アドラー心理学に出会って
自分の中でいろいろ革命が起きました。

生きづらさが激減した、という変化です。

そして
コーチングを利用し、
コーチに要望をよく伝えて
その通りにやってもらって、
やった。

そしたら、
あんなに踏み込んでいたアクセルを
あっさりと緩めることができました。

自分の中だけに
押さえ込んでおくために
すごい力が必要だったと
その時にはじめて実感しました。



力を込める自分。
その暴走を止める自分。

熱して
冷まして
相殺されてる力。

これでは
生きやすくなるはずがない。

冷ますことに力を注ぎ続けても
状況は変わりません。

私の場合は
根っこの重要度を下げることで
相殺される力が激減し、
状況が変わりました。



自分の中で
革命が起きる前は
性被害の経験は
とても巨大なものでした。

思い出すと
自分を操作不能な
状態になるくらいに。

でも
革命が起きた後である今は、
いくら思い出しても
自分を失わずに冷静に
していられます。

重要であることは
変わりませんが、
当時ほど重要でなくなった感じです。

ブレーキ踏むこと頑張ると同時に
アクセルを緩めるためにできることを
みつけてやってみて
その効果を確認していくことで
自然とバランスは改善していきます。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。




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