アドラーの言う
「ベーシック・ミステイク」とは
過度な劣等感を感じるに至った

”自虐的・否定的で、
自分の成長や行動を制限すると信じる
根拠のない思考”

のことです。


この「ベーシック・ミステイク」は
簡単に乗り越えることができます。

それの方法は、
より具体的に見ること、です。



「またやってもダメだろう」
「みんな私を見下している」
「あの視線は、自分を疑っているものだ」

過度な劣等感を抱えると
否定的な方向へと創造性が発揮されます。

しかし、そのほとんどは
「見た目」程度の浅い情報だけで
下した結論です。

状況をよく見て
具体的にしていくと、
感じるものも変わっていきます。



「またやってもダメだろう」

また、とは何?
前回と今回は完全に同じということ?

似たような場面で
過去の失敗を
今から取り組むことに
ひもづける必要は、ありません。

むしろ
過去の似たような場面での失敗は
これからする中で注意すると良い点など
役立てることもできます。


やる、とは具体的にどういうこと?
方法はひとつしかないの?

過去の似たような状況と
似ているだけで、
すべてが同じということは
ありません。

少なくとも
過去の自分より
経験も情報も
多い自分になっています。


ダメとは、どういう状況?
何があって、何がないのだろう?

望む成果を得られるかどうかは
やってみないとわかりません。

その成果を得られると
達成できる目的とは何でしょう。
その目的を達することが
できるのであれば、
方法は、過去と同じにする必要は
ありません。



「みんな私を見下している」

みんな、とは誰ですか?
具体的に挙げてみてください。

挙げていくと
「今対象として認識できる人すべて」とは
ならないでしょう。


見下す、とは具体的に
何をしているのでしょう?

心の状態であれば
そう見える相手に
それを訊いて確認しましょう。

何かの行動であれば
その行動をすべて列挙してみましょう。


また、見下されると
何が起きるのでしょうか?

具体的に言葉にしてみましょう。



「あの視線は、自分を疑っているものだ」

あの視線、とはどんな視線ですか?
具体的に言葉にしてみましょう。

疑われると
何が起きるのですか?


などなど。



いくつ
何人
何個
など、数を具体的にする。

何が起こっているか、
具体的に言葉にする。

する人の利益/損失は何?
される人の利益/損失は何?
も具体的にしてみる。



「ベーシック・ミステイク」は
事実確認などをしていません。

そこで状況を具体的に見ていくと
思い込みが多くて事実は違った、
となることがほとんどです。


もし
具体的に見たくない場合があるなら

それは
過度な劣等感を抱えている方が
好都合なことがある場合です。



過度な劣等感を抱えていると
しあわせになることは、困難です。


その困難に立ち向かい
克服しようと力を注ぐよりも

過度な劣等感を変えるために
状況をより具体的に見ていく方が
はるかに簡単です。



大学生の頃、
部活の同期から
「お前は他人の話を聞かないヤツだ。
みんなそう言ってる。」と
言われました。

そうか、自分はそんなダメな存在なのか...

それ以来、ふさぎ込むような日々が
続きました。

部活にも参加しずらくなり
参加せねばならない時は
どんより気分で
コミュニケーションも最低限。

どの顔見ても
「お前はダメなヤツだ」と
書いてあるように見えました。



「暗いよ、元気だせよ」と
部活の雰囲気の責任とれ、みたいに
言ってくる人もおり、
暗い気持ちは、さらに暗くなりました。

もうやめようか、なんて思っていました。



部活と関係ない友人に話したとき
「みんなって、誰?
絶対部活の人全員じゃないよ、それ」と
言われてハッとしました。

全員の意見を集約して
こちらに渡したんじゃないの?

いや、待て、その確認もしてない。


そう思うと、力が湧いてきて
当時言ってきた相手に
聞きました。

「他人の話を聞かないヤツだって
言ったのって、誰?」

すると、意外な返事。

「知らないよ、そんなの。
でも聞かなくたって、わかるから」



は?
何それ。

腹が立って
他の部活の同期に
自分は他人の話を聞いていないか、を
訊いてみました。

すると、聞かないことはない。
聞かないときもあるけど、
だからダメだとは思ってない。

そう答える人もいて、
「みんなそう言ってる」は
事実でなかったと、わかりました。



確かに他人の話を聞かないときも
あったかもしれない。
でも、聞いているときも、ある。

100%聞かないと
バッサリ斬られて痛かったけど、
それはその言った人だけが
思っているだけだった。


人生終わりか、と思うくらい
落ち込んでたけど、
どうにか復活できました。

繊細過ぎな自分でしたね。



否定的な方へ創造力を使うと
イヤな未来は
さらにイヤな未来へと
つながっていきます。

過度な劣等感を育てる方向へ
創造力を使うよりも、
「ベーシック・ミステイク」を
見つけて、状況を具体的に捉えて
過度な劣等感を克服し、

すばらしい未来の実現のために
創造力をぜんぶ注いでいきたいですね。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ7年目、常楽でした。



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