相手とどんな関係に
なりたいか。

自分が支配する関係か。

相手と対等な関係か。

持ちたい関係によって
出す感情は違います。



支配するなら
相手が対等から降りて
自分に屈服する必要があります。

屈服させたいときは
怒りの感情を使います。

対等でありたいなら
相手を屈服させる
必要はないので
喜びや悲しみを使って
コミュニケーションします。



相手を支配する、
ということは
相手は自分の想定内の
存在になります。

要するに
自分が安心な状況です。

大学生の頃に
髪が長かったので
いつも帽子をかぶって
髪を押さえてました。

ある教授の授業のときに
「帽子を脱げ」と言われました。

納得いかなかったので
「どうしてですか?」と
訊いたら、
いきなり顔を赤くして
怒鳴り始めました。

「どうしたもこうしたもない!
教室で帽子はかぶるもんじゃないだろ!」

「それじゃわかりません。
わかるように説明してください」

「いいから脱げ!
脱がないなら出ていけ!」

「いやです。」

そうして押し問答していると
今にも殴り掛からんばかりに
教授は怒り爆発させてました。

殴ったら問題になるのは
わかっていたので
こちらもそんな脅しなど
構うことなく主張し続けました。

名前や学籍番号も
訊かれたので
答えました。

どうせ
悪い評価されるのなら
とことんやり切る覚悟で
私も一歩も引かずに
向き合い続けました。



その教授の
手伝いをしている若い人が
私の横に来てささやきました。

「この人に
なんで帽子ダメなのかは
説明できないと思うよ...
このままじゃ進まないから
とっても申し訳ないんだけど
今日は帽子を脱いで受講して
もらえたらうれしいんだけど...」

確かにクラスは
帽子のやりとりで
止まっていました。

他の学生は
私の立場を理解する人、
止めるの迷惑だから
帽子くらいとっとと脱げよと
思う人など、様々でした。

でも
教授のすごい剣幕のおかげで
誰も何も言ってくることは
ありませんでした。

若い人に言われて
なんか自分がちゃんと
扱われた気がして
帽子を脱ぐことを了承しました。

そしたらその若い人は
「協力してくれて助かるよ。
ありがとう。」と
私に言いました。



今振り返ると
その教授は
私を支配下に置いて
思う通りにさせたいがために
怒りの感情を使いました。

怒りを出して
顔を赤くしたり
大きな声で怒鳴ったり
机を叩いたりしてました。

私が屈服しないので
その強度は徐々に
強くなってました。



一方で、
その若い人は
対等な関係から
協力を求めてくれました。

講義が帽子の件で
止まってしまっている。
このままだと進まない。

そんな「悲しみ」の感情を
使ったわけです。

悲しいから
今は〇〇すると
この悲しみが減ると思うんだ。
だから協力してくれないか、と。



対等な関係からの
協力要請は
要請を受けた人が
協力を了承することで
相手を喜ばすことができます。

貢献感を得られるわけです。

自己信頼、他者信頼、
そして所属感。
共同体感覚が
高まる要素のあるやりとりに
なっています。

共同体感覚は高まると
うれしいので、
自然と「YES」を言いたくなります。

この若い人は
そんなこと考えては
いなかったでしょうけど、
「対等」な立場から
「理解」や「協力」を
求めてくれたおかげで
次へと進むことができました。



自分が楽して
相手を思い通りにしたいなら
怒りをすぐに使いがちです。

でもそれでは
互いの共同体感覚は高まらず
感じるしあわせは増えません。

一方で
自分の努力も要するけど
相手を完全に思い通りに
できないけど、
対等な関係から
お互いの利益の最大化を図るなら
悲しみを使います。

相手を悲しませたいとは
思いませんので、
よほど今までの関係が悪くないかぎり
悲しませないために
協力したくなるように
人の心は動きます。

共同体感覚を
高める道を
心はわかるのでしょうね。




お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。


《関連記事》
自分の居場所のつくり方~共同体感覚
信頼関係は、ダメ出しより改善に効果的
弱いほど、よく怒る。そう知ると緊張は減る。
怒りは、支配ではなく平和の起爆剤に使う
自分の居場所のつくり方~共同体感覚

【常楽のコーチング】
コーチング、とは。7年目にして思うこと。
コーチングって、刺激の活用
コーチングで最も大切なこと
コーチングの基本:守秘義務
コーチングの基本:評価判断を下さない
コーチングの基本:沈黙OK
コーチングの基本:中断スキルの使用
コーチングの基本:時間管理はコーチがする
コーチングの基盤:アドラー心理学
ACEコーチングのサイト