第１１話:理不尽な死の意味
今まで知らなかった、
生まれ変わりの仕組みを知って、
いよいよ、
次の転生先を、
選ぶ時。
本当に、
細かい所まで、
自分で選ぶことが出来るんですね」
渡された生まれ変わりの、
メニュー表のようなものを見て、
改めて、
その細かさに驚く。
いつどのタイミングで、
どの国の、
どの親の元に産まれるか、
ということから始まり、
家庭環境、
背丈や容姿、
性格や心の癖、
好物は何で、
趣味は何。
何をが得意で、
何が苦手か。
その後、
どういう経験をして、
どこの学校に進み、
どんな人と結婚をして、
どういう人生を歩むのか。
その１つ１つが、
自分自身の決めた人生のテーマを、
クリアすることを目標に、
産まれてから死ぬまで、
事細かに、
決めることが出来ていく。
あ「スサノオさん」
あ「ちょっと細かすぎて、
めんどくさく、
なってしまいそうです…（笑）」
ス「（笑）
まぁ中には、
そういう魂もいてるけどな。
『テーマはこれで、
後は適当に決めてください～』みたいな感じで、
任せてしまう、
豪快な奴もおるからな（笑）」
あ「さすがにそこまでは、
怖いですけど（笑）
でも結婚相手まで、
自分で決めることが、
出来るんですね」
ス「まぁ、せやな。
ただこれも、
輪廻のポイントシステムと一緒でな。
自分の、
魂のレベルに見合う相手しか、
選ぶことは出来ない。
だからここで出した、
人生の予定表も、
出した希望が全部が全部そのまま、
通るわけじゃなくて。
特に結婚みたいに、
相手がいることなんかは、
相手の意向を確認して却下されたり、
違う形になったりもする。
まぁそれを調整してくれるのも、
変成王の仕事ってことやわな」
スサノオさん、
ちなみに…」
ス「…？」
あ「前世と同じ親のもとに、
生まれ変わることは、
出来るんですか？」
ス「出来るで」
あ「本当ですか！？」
ス「あぁ、出来る。
やっぱり前世も含めて、
これまでの人生で、
家族になる関係ってのはな、
何度も繰り返す転生の中でも、
結びつきの強い魂でな。
ってか、あぁ、そうそう。
お～い！！」
スサノオさんがそう言うと、
ある魂をここに、
招き寄せた。
その魂とは…？
あ「え！？」
…それは、
２年前に亡くなった、
僕の父の魂だった。
どうして…？
どうして…？」
あまりに突然の出来事に、
困惑する頭が止まらない。
父「久しぶりやな」
あ「お父さん、お父さん…。
何で…どうして…？」
父「死んでんねんから、
ここにおって当然やろ（笑）
それに、
家族が再びここに揃うまで、
俺は生まれ変わらずにこうして待ってる。
お前たちを見守りながら。
お前からしたら、
俺に会うのは、
久しぶりかもせーへんけど。
俺はずーーーーーーっと、
お前のことを一番、
近くで見守ってるけどな」
あ「お父さん、お父さん…。
うぅぅぅぅぅ…」
そんな僕らを見ながら、
スサノオさんは優しい笑顔で、
微笑んでいた。
ス「こうしてな、
生前の大切な人とは、
死後に必ず、
再び出会うことが出来る。
だから、
安心したらいいんやで。
一度、
家族を選択した魂というのは、
次の転生でも、
家族を選ぶケースが多いからな。
だからこうして、
お前の親父さんは、
待ってくれてるわけや。
そうして家族や、
結びつきの強い魂が集まった段階で、
みんなで相談しながら、
次の転生環境を選ぶ魂もある。
その場合はもちろん、
前世の親が子になったり、
子が親になったり、
きょうだいの順番が入れ替わったり、
男女が入れ替わったりとか、
色々あるけどな。
家族全員で、
１つの人生のテーマに取り組む、
っていう場合もあるしな」
父「まぁ言うても、
お前はまだ本当に、
死んだわけちゃうからな。
俺は、
ゆっくり待ってるから。
ここやったら、
好きな酒もゆっくり飲めるし、
お前らの人生を眺めるのも、
見守るのも楽しいもんや。
その人生をめいっぱい楽しんで、
またおいで」
…そう言うと、
父の魂は、
姿を消していった。
頬を伝う涙と共に、
僕の胸には、
亡き大切な人とは、
死後に必ず、
再び出会うことが出来るんだという、
深い安心感が刻まれていた。
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