現在、ネット上のサイト「健康長寿ネット」では、以下のように記載されます。
酸化ストレス
酸化ストレスの定義
酸化ストレスとは、「酸化反応により引き起こされる生体にとって有害な作用」のことで、活性酸素と抗酸化システム(抗酸化物質)、抗酸化酵素とのバランスとして定義されています。ここでいう「酸化」とは、何らかの分子に酸素原子が結合することです。
地球をとりまく大気には、酸素が約21%含まれています。私たちは呼吸をすることでこの酸素を取り入れ、食品を食べることにより糖質、脂質、たんぱく質などの栄養素をからだの中に取り込んでいます。取り込んだ栄養素から、私たちのからだの働きの元であるエネルギーをつくるためには、栄養素を燃やすこと、すなわち"酸化"が必要なのです。
一方で、酸化は体の中の全体で起こっているため、酸化によって細胞が傷つけられることがあります。これが酸化ストレスです。
酸化ストレスの原因・仕組み
発生した酸化ストレスに対し、抗酸化能(活性酸素を除去する能力)が追い付かない状況になると、酸化ストレスがたまっていくことになります。その原因には、虚血や心理的・肉体的ストレスといった病気によるもの、紫外線や放射線・大気汚染・タバコ・薬剤・金属・酸化された食べものなどをとるなどの日常生活の要因によるものがあります。また、過度な運動も酸化ストレスを高める要因の一つです。
摂取した栄養素は身体の中で分解され、細胞の中にあるミトコンドリアの酸化反応により、エネルギー源に変換されます。この過程で過剰に発生した活性酸素によって酸化ストレスは亢進し、DNAやたんぱく質といった生体成分を酸化させているのです。酸化されたDNAやたんぱく質の中には、血中や尿中に出てくるものもあるため、血液検査や尿検査で分かることがあります。
活性酸素とは
活性酸素とは好気性生物が酸素を消費する過程で発生する副産物のことです。体に取り込まれた栄養素の多くは分解され、グルコース(糖の一種)や脂肪酸となり、細胞の中にあるミトコンドリアで酸化されます(酸化的リン酸化反応)。この時、酸素は他の分子との間で自身がもつ電子をうけわたすことで不安定となり、活性酸素と呼ばれる物質に変わります。活性酸素は、元の物質である酸素よりもずっと、他の分子を酸化する能力が高いという性質をもっています。
活性酸素の多くは、それを除去する酵素や抗酸化剤で消去されます。この仕組みを「酸化ストレスの防御系」と呼びます。
しかし、過度の運動や運動不足、偏った食事、喫煙などの不健康な生活習慣、あるいは慢性炎症などによって、活性酸素の生成と消去のバランスがくずれると酸化ストレスが生じ、老化や老年病の原因となる可能性があります。
一方、活性酸素はこれまでに述べたような有害な作用だけではなく、体にとって有用なものでもあります。例えば感染がおこった時、好中球などの炎症細胞からつくられる活性酸素は、病原微生物を殺すのに役立っています
活性酸素と老化の関係
活性酸素によって細胞が攻撃されると、細胞膜の脂質が酸化し、細胞で行われる「栄養と老廃物の出し入れ」が、スムーズに行えなくなります。また、細胞の核が損傷すると細胞が死滅したり、LDLコレステロールが酸化されると血管の老化を促進します。このように活性酸素は細胞を傷つけたり死滅させることによって、老化を促進するということが分かっています。
酸化ストレスによる症状・病気
酸化ストレスが高い状態が続くと、私たちの体を構成する全てのDNAやたんぱく質、脂質、糖質が酸化されていきますが、現在ではさまざまな病気において、これらの酸化ストレスにより変化した分子が、蓄積していることがわかってきました。例えば糖尿病では、酸化された糖とたんぱく質が結合し、異常な糖化たんぱく質が増えていることがわかっています。また、動脈硬化を起こした血管では、酸化された脂質が蓄積し、血管の内腔が狭くなり、血液が流れにくくなっています。
さらに、アルツハイマー病やパーキンソン病など、高齢者に多い脳の病気でも、酸化したたんぱく質などが蓄積していますし、酸化ストレスによって細胞が損傷を受けると、その細胞はやがてがん化します。
このように、強い酸化ストレスにより酸化された生体内の分子は、さまざまな病気の原因となっている可能性があるのです。
活性酸素の除去
近年、様々なメディアで「活性酸素の除去」が取り上げられています。しかし、活性酸素は必ずしも身体にとって有害なわけではありません。場合によっては、有益に働いていることもあります。
例えば白血球は、活性酸素の作用によって感染防御の重要な役割を果たしています。活性酸素にはその他にも、血管を弛緩させ末梢の血流を確保する役割や、細胞の分化やシグナル伝達にも関係しています。
ですから、活性酸素の除去に目を向けるよりも、不要な活性酸素の攻撃力を減らすことや、高齢になると減ってくる「抗酸化力」を高めることの方が、重要であると考えられています。
これと同様のことが、厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトで示されています。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html
このように、「酸化ストレス・炎症体質」という概念そのものは一般化され、生活習慣病や慢性病の根底にあるのが「酸化ストレス・炎症体質」であると認識されています。
そして、前回は、この「酸化ストレス・炎症体質」に生まれつき“ミトコンドリア活性が弱い”と片頭痛に、“となると述べました。
ということは、片頭痛の遺伝素因(生まれつき“ミトコンドリア活性が弱いという)があっても、「酸化ストレス炎症体質」でなければ片頭痛は発症することはありません。
ですから、今回のシリーズで述べた「ミトコンドリアの機能を悪化させる要因」=頭痛の種のもと・・=「酸化ストレス炎症体質」を形成する要因を悉く消去してしまえば、片頭痛を発症させることは理論的にあり得ないことになります。
そうは言いながら、私達の生活環境および生活習慣にはミトコンドリアの機能を悪化させる要因に満ち溢れています。
このミトコンドリアの働きの悪さが、「酸化ストレス・炎症体質」を形成してきます。
このような、「ミトコンドリアの働きを悪くさせる要因」は、生活環境によって生み出された活性酸素および有害物質などの外部の生活環境要因に、食生活上の問題点、マグネシウム不足・必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランス・鉄不足・抗酸化食品の摂取不足・過食に、睡眠不足や運動不足や不規則な生活・食事摂取方法などの生活習慣が挙げられます。
それでは、「酸化ストレス・炎症体質」になれば、片頭痛ではどのようになるのでしょうか。
慢性頭痛の発症過程でも述べましたが、「酸化ストレス・炎症体質」を形成する要因が全て揃えば、第3,4段階まで、進展していることを意味し、片頭痛がすでに形成されることになります。ですから、今回のシリーズで取り上げた、頭痛の種のもととなるものが、一つづつ追加されるにつれ、日常的に感じる極く軽度の頭痛をスタートにして、徐々に増悪し、最終的に片頭痛まで進展していくことを意味しています。
ミトコンドリア活性が低い=酸化ストレス体質が片頭痛を招く
私たちの体は食事などで体内に取り込んだ脂肪や糖分といった燃料分を燃やしてエネルギー(ATP)を作り出すときに「酸素」を使います。車のエンジンが、ガソリンに酸素を加えて爆発させることによってエネルギーを得ているのと同じです。これと同じことが細胞内のミトコンドリアでも起きています。このときに発生するのが「活性酸素」なのです。
じつは、活性酸素にはウイルスなどの外敵を撃退してくれる働きもあるのですが、活性酸素が過剰に産生されると、体を傷つける悪い働きをしてしまいます。同様に、脳血管や脳細胞に作用して、片頭痛の発作や痛みを引き起こす生理活性物質を発生させる原因となります。このように、活性酸素が人体に有害な影響を及ぼす状態のことを「酸化ストレス」といいます。
こうした状態になっても、通常人体は活性酸素を打ち消すための抗酸化物質を適度に産生します。また、食事によって抗酸化物質を体内に取り込むことも可能です。
しかし、片頭痛持ちの人はもともとミトコンドリアの活性が低いため、健康な人ならばほとんど問題にならないような血流の変化や、ちょっとした血流の増加であっても、活性酸素が過剰に発生してしまうのです。
それでは、「酸化ストレス・炎症体質」が形成されてしまえば・・
片頭痛における痛みの発生機序
「酸化ストレス・炎症体質(片頭痛体質)」を基盤として、ちょっとしたことで(ストレスなど何らかの理由で・・後述します)「活性酸素」や「遊離脂肪酸」が過剰に発生して、”血小板が凝集する”ことによって生理活性物質のセロトニンが血小板から血管外へ放出され、脳の血管が収縮して血流が減り(片頭痛前兆期)、その後、しばらくすると、役割を果たしたセロトニンは減少しやがては枯渇し、その反動で脳血管が拡張し、多くの血液が脳に流れるようになります。このように今度は逆に血管は拡張します。
血管が拡張することによって血管に絡みついた三叉神経が刺激され、頭痛が起きます。
さらに、三叉神経が刺激されると、そのとき発生する炎症を起こす物質・炎症性生理活性物質(サブスタンスPやCGRPなど)が放出され、血管を刺激して、心臓の鼓動に合わせてズキンズッキンと拍動性の強い痛みを生じるのです。
このようにして、脳神経の三叉神経を圧迫し刺激を与えます。三叉神経では痛みの原因物質「神経ペプチド」が放出され、血管周囲で炎症が起こり、血管を拡張する神経伝達物質が分泌され、周囲の神経も刺激を受け、痛みが大脳へ伝わります。
吐き気は、脳の延髄にある嘔吐中枢(狐束核)が刺激されることで、吐きたいと感じています。その嘔吐中枢の刺激が、迷走神経、脊髄神経、横隔膜神経へと伝わることで、実際に嘔吐が起こります。
嘔吐反射中枢は髄液を含んだ第4脳室のすぐ近くにあり、副交感神経や運動神経などの自律神経が密集しています。
そのため頭痛を起こす神経と嘔吐反射中枢もすごく近い場所にあり、頭痛を起こす神経が脳に痛みを伝える時に嘔吐反射中枢まで刺激してしまうのが原因で、吐き気を感じてしまうのです。
片頭痛の発作の”引き金”は??
先述のように、「酸化ストレス・炎症体質(片頭痛体質)」を基盤として、ちょっとしたことで(ストレスなど何らかの理由で)「活性酸素」や「遊離脂肪酸」が過剰に発生することによって血小板を凝集させ、血小板から血管外へセロトニンが放出され、血管を収縮させます。その後、役割を果たしたセロトニンは減少し、やがては枯渇し、今度は逆に血管は拡張します。
この一番”最初の”片頭痛の発作を引き起こす引き金(トリガー)となる「血小板を凝集させるもの」が、「活性酸素」や「遊離脂肪酸」です。
それでは、「活性酸素」や「遊離脂肪酸」はなぜ発生するのでしょうか?
「活性酸素」はなぜ発生するのでしょうか?
人は精神的なストレスを受けると、アドレナリンというホルモンを分泌し、血圧が上がり、心拍数が増えて血糖値が上がります。これは、緊張状態に備えるための体の変化です。
このとき、体内を循環している血液は、おもに心臓や肝臓、筋肉に集中し、脳への血流は低下します。
脳細胞への血液が不足・減少すれば、細胞内にあるミトコンドリアで産生されるエネルギー発生物質(ATP)も減少します。脳は、体の各器官に指令を送るときに、カルシウムなどのイオンの濃度調整によって伝達物質を送り出して指令を伝えます。
しかし、ATPが不足すると、脳細胞内のミネラルイオン濃度を調整するポンプが正しく機能しなくなり、いわゆる”機能停止状態”になってしまいます。
その後、ストレスから解放されると再び脳血管への血液の供給がよくなり(再潅流)、機能停止状態になっていたミトコンドリアは急速に機能を回復させます。このとき、過剰な活性酸素を発生させます。これが片頭痛の発作の”引き金”になります。
健常人では問題となることのない血流の変化であっても、片頭痛持ちの人は元来ミトコンドリア機能の活性が低く、わずかな血流の増加であっても活性酸素を発生しやすい状態になっています。
同じようなことは、運動をすることや飲酒、入浴などによって急に血行が良くなる場合や、早朝の自律神経の切り換えにともなう血流の変化やホルモンの分泌量の変化にともなう僅かな血流の変化も片頭痛持ちの人では活性酸素の発生の要因となってしまいます。
私達は睡眠中はおよそ2時間おきに、深い眠りと浅い眠りを繰り返しています。じつは浅い眠りのときには脳が活発に活動するため、血流が増加します。
血流が増加することによって、活性酸素が産生され、これが刺激となって、頭痛を引き起こしてきます。片頭痛で明け方に発作を起こしたり、睡眠時頭痛を引き起こす一因になったり、群発頭痛が夜中に起きるのはこのためです。
脳幹の縫線核は、脳内セロトニンを分泌する大切な場所です。
セロトニンを分泌する縫線核は、呼吸中枢にセロトニンを送って呼吸量を調整しています。縫線核は毛細血管中にセンサーを持っていて、血液中の酸素量などをチェックしているのです。体内の酸素量が不足したときにはセロトニンの分泌量を増やし、呼吸中枢を刺激します。
したがって、セロトニンが不足すると中枢神経を充分に刺激できなくなります。そうなると酸素不足のままか、より不足した状態におかれることになりますので、息苦しくて睡眠が何度も中断し、熟睡できないことになります。
セロトニン神経の活動は睡眠中に弱くなり、深い眠りを演出します。朝方になるとセトニンも増えるのです。
問題の頭痛は就寝から4時間後に起きていました。私たちの睡眠は睡眠中はおよそ2時間おきに、深い眠りと浅い眠りを繰り返しています。そして、頭痛に襲われていたのは浅い眠りのときでした。じつは浅い眠りのときには脳が活発に活動するため、血流が増加することによって、過剰な活性酸素が発生することによって片頭痛発作を引き起こすことになり、これに脳内セロトニン不足ため、メラトニンが不足することにより、睡眠中の”中途覚醒、頭痛”(「睡眠時頭痛」)を引き起こすに至ったと考えられます。
このように考えますと、「睡眠時頭痛」は”群発頭痛”のようなものなのかもしれません。
そして、根源的には、片頭痛も群発頭痛も一連のものと考えるべきと思われます。
低気圧や人ごみ(酸素濃度のわずかな低下)や季節の変化(寒暖にともなう血流の変化)もミトコンドリア機能の活性が低い片頭痛持ちの人ではミトコンドリアの代謝機能の低下と、それに引き続きおきる血流の回復により過剰の活性酸素が発生してしまうことになります。
また、小麦などに含まれるタンパク質の成分であるグルテンに過敏な人では免疫系のマクロファージ(白血球の一種)がグルテンを異物として排除するときにも多くの活性酸素を発生することになり、片頭痛の発作の原因となります。
風邪を引いた場合にも同様に風邪ウイルスに対する免疫系からの過剰な活性酸素が発生し片頭痛の引き金となることもあります。
なお、風邪ウイルスは直接的に筋肉細胞や血管細胞を攻撃し、片頭痛の発作や痛みを引き起こす生理活性物質をも発生させます。
このようにして、ストレスや運動、飲酒、入浴、風邪などの要因が活性酸素を発生させ片頭痛を引き起こしていくことになります。
片頭痛の根底に存在する「酸化ストレス・炎症体質」が、活性酸素を異常に発生する原因になっています。
活性酸素が発生しやすい「酸化ストレス・炎症体質」に加え「ミトコンドリアの活性の低さ」が重なれば非常にわずかな刺激であっても活性酸素が過剰に発生されてしまうのです。
また、「酸化ストレス・炎症体質」では体内で過酸化脂質が生成されやすく、過酸化脂質も活性酸素を過剰に発生させる原因物質となります。
ただし、過酸化物質については実際に体内で脂質が酸化され生成されること以上に加工食品などの過酸化脂質をすでに含む食品を摂ることの方が現実の問題としては大きいように思われます。
遊離脂肪酸はどのようにして生じる?
精神的なストレスによりアドレナリンが分泌されると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)は上がり、体脂肪も分解され始めるため体脂肪からの遊離脂肪酸が生成されるようになります。
本来、これらの体の変化は獣(外敵)などに襲われた時に人間が外敵と戦ったり逃げたりする時にエネルギー不足を起こさないための緊急的体勢の備えとして身に付いたものと考えられます。
通常、体脂肪のエネルギーへの利用は空腹時(食事を摂らない時)にエネルギーの不足分を補うために生じ、生成した遊離脂肪酸は直ちに体に必要なエネルギーとして使用されます。
しかし、エネルギーとして必要性がほとんどなく、単に精神的なストレスだけによる緊張のためだけに生成した遊離脂肪酸は血中の遊離脂肪酸濃度を高めるだけの結果となります。ストレスから解放されると消費されるあてのない遊離脂肪酸は一時的に血中の濃度を高めるだけの結果となってしまうのです。
その結果、血小板に直接作用して血小板の凝集を促進することや脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させるなどの現象を引き起こすと考えられます。
このため、ストレスを受けている時に発症するのではなくストレスから解放された時に片頭痛を発症しやすくなるのです。
また、植物油(リノール酸)の摂りすぎやトランス脂肪酸を摂ると、体内での脂質代謝が遅延することになりますので、血液中の遊離脂肪酸濃度をいつも高い状態にしてしまうことになります。
このように、血液中の遊離脂肪酸濃度が常に高い状態であれば、ストレスなどのわずかな刺激であっても血小板の凝集や活性酸素の発生が起こり易くなると考えられます。
一方、糖飲料などを飲みすぎにより急激に血糖値が上がりすぎますと、血糖の急激な上昇を抑制するためにインスリンが過剰に分泌されることになります。過剰に分泌されたインスリンは血糖を下げすぎることになります。
血糖値が下がりすぎると、血糖を適正なレベルに戻そうとするからだの仕組みが働き、体脂肪から遊離脂肪酸がエネルギー源として放出されるようになります。
体脂肪からブドウ糖などエネルギー源としての生成とその消費のバランスとれておれば問題を生じることはありませんが、急激な血糖値の変化にそのバランスが崩れてしまうと血液中の遊離脂肪酸濃度を高めることになります。
特に片頭痛持ちの人はミトコンドリアの活性が低く(冷え性や低体温症など)、ブドウ糖の生成とその消費のバランスは乱れやすい傾向にあります。
糖飲料の摂りすぎ以外にも、過激な運動や絶食(長い間の空腹)なども糖への代謝とその消費のバランスを乱しますので血液中の遊離脂肪酸の濃度を高めることになります。
このようにして放出された遊離脂肪酸が血小板に直接作用して血小板の凝集を引き起こすことにより脳血管内のセロトニン濃度が上昇することで片頭痛を発症すると考えられます。
遊離脂肪酸には細胞を傷つける性質が強いという特徴があります。通常は血液中のアルブミン(Lカルニチン)というタンパク質成分と結合して毒性が弱められた状態で存在しているのですが、遊離脂肪酸が毒性を発揮して細胞を傷つけるということは、アルブミンとの結合可能な限界量(間値)を超えてしまっているということです。
このような状態を招く原因は、間違った日々の食習慣・過食なのです。特に、植物油(リノール酸)やトランス脂肪酸を多くとり過ぎると、体内での脂質代謝が充分に行われず、血液中の遊離脂肪酸濃度が高い状態になることがわかっています。
このような状態になれば、ストレスなどのわずかな刺激であっても、片頭痛の引き金となる脳血管内の血小板凝集が起きてしまいます。
または、遊離脂肪酸が脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させ、その活性酸素が三叉神経や脳細胞を傷つけることにより片頭痛を発症させると考えることもできます。
脂質のとり過ぎが活性酸素の発生原因に!
ところで、「酸化ストレス・炎症体質」の人は、体内で過酸化脂質が生成されやすく、これが活性酸素を過剰に発生させる原因物質となっています。
過酸化脂質というのは、コレステロールや中性脂肪が活性酸素によって酸化されてできたものです。これらは体内で作られるのですが、それ以上に、そもそも過酸化脂質を多く含む加工食品などを過剰にとる食習慣のほうに問題があると考えられます。
ポテトチップスなどのスナック菓子、インスタントラーメン、ピーナッツ、マヨネーズ、マクロの缶詰(缶を開けたあと)、黒くなった古い油分には注意が必要です。また、新しいものでもチキンフライなどの揚げ物を電子レンジで加熱すると、とがった部分や角の部分が過酸化されることがあります。
こうしたことを踏まえて、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生は「3つの約束」のなかで「日常の食生活での注意点」として、以下のように述べています。
低血糖にも注意が必要
ところで、皆さんは甘い清涼飲料水やお菓子をよく召し上がりますか? これらに含まれる糖質は、私たちの体が短時間に分解・処理可能なレベルを超える量が含まれているものが数多く見受けられます。
体内でどのような変化が起きるかを見てみると、清涼飲料水やお菓子を過剰に摂取すると急激に血糖が上がり、その上昇を抑制するために、膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンには血中のブドウ糖濃度を調整してくれる働きがあることはご存知のとおりです。清涼飲料水などの消化吸収のよい糖質を短時間でとると、体はたくさんの糖質が摂取されたと認識してインスリンを過剰に分泌します。その結果、血糖値が必要以上に下がり過ぎるという現象が起きます。これが低血糖です。
急激な血糖値の低下も、体がストレスを感じている状態です。そうなると、今度はそれを適正なレベルにまで戻そうと体が働き、アドレナリンなどのホルモンが分泌されます。すると、体脂肪が分解されて遊離脂肪酸が血液中に放出されて濃度が高まり、これが活性酸素を発生させて片頭痛の原因となるわけです。
スポーツドリンクや清涼飲料水などを大量に飲み続けることにより引き起こされる「ペットボトル症候群」という現代病もこのようにして発症します。体がだるい、のどか渇く、トイレに行く回数が増えるなどの急性糖尿病的な症状や、ひどい場合には血液が酸性になり昏睡状態に陥ることもあります。
清涼飲料水やお菓子のとり過ぎ以外にも、過激な運動や無理な絶食なども血液中の遊離脂肪酸の濃度を高めることにつながります。ご注意ください。
精製・加工処理された植物油をとらない
片頭痛にはいろいろな症状の違いがあり、発症の原因もさまざまです。でも、どのようなタイプの片頭痛の人にも共通した発症要因が「酸化ストレス・炎症体質」です。
ここでは、どうすれば改善できるのかを解説することにしましょう。その筆頭に挙げたいのが食習慣の見直し、その中でも特に「食用油に気をつけること」です。
皆さんの中には、「植物油は健康によい」と思っている方も多いのではないでしょうか? もしあなたが「植物油は健康によい」と信じているのであれば、「植物油のとり過ぎが、じつは健康を害する最大の原因である」と認識を変えてほしいのです。
もちろん、植物油の中にも「よい植物油」と「悪い植物油」があるので一概にはいえないのですが、悪い油のとり過ぎが、片頭痛発症の引き金となる「活性酸素」と「遊離脂肪酸」を発生させることにつがなっていることは確かです。よいものと悪いものを見極める目を持つことが大切です。
私かお勧めする植物油は、昔ながらの製法「低温圧搾」で造られたシソ油(エゴマ油)や亜麻仁油などのオメガー3系脂肪酸を多く含む植物油と、エクストラバージンオリーブ油、低温圧搾で作られたゴマ油やナタネ油などの植物油です。これら以外の市販されているサラダ油など多くの植物油は、いずれも「悪い油」といってもよく、多くとってはいけないものばかりです。また、マーガリンやショートニングなどの脂もダメです。
こうした「悪い油」を原材料とするマヨネーズやドレッシング、植物性ヨーグルト、ケーキ、ビスケット、クッキー、チョコレート……なども、できるだけ避けたい食品といえます。加工食品の成分表を見ればわかるのですが、植物油が加えられていない加工食品はまれにしかありません。これらの植物油のほとんどは悪い油です。注意してください。
危険な「トランス脂肪酸」について
悪い植物油というのは、工業的に精製・加工されたもので、その製造過程で副産物として生成されるトランス脂肪酸という非常に危険な有害物質を含んでいます。トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす働きがあることがわかっていて、動脈硬化や心臓病につながるなど、健康被害の原因となります。海外では、加工食品にトランス脂肪酸がどれくらい含まれているかを表示する義務や含有量の制限がある国もあるほどです。
このトランス脂肪酸をとることと、植物油の主成分であるリノール酸のとり過ぎが、片頭痛やさまざまな生活習慣病を発症させる原因となる「酸化ストレス・炎症体質」の最大の誘発因子となっています。ですから、悪い植物油を料理などに極力使用しないこと、こうした植物油を使って作られた加工食品を極力とらないことが大切です。
ところで、今でもマーガリンが「健康によい」と信じている人は結構多いようです。
もし、料理にマーガリンを使う必要があるのであれば、ただちにバターに切り替えてください。バターのとり過ぎも体にはよくないのですが、それでもマーガリンよりは健康上の問題は少ないといえます。
マーガリンやショートニングを使用している市販のケーキやクッキー、お菓子類なども極力とらないようにすることが、「酸化ストレス・炎症体質」に至らないためには大事です。
市販の揚げ物を食べてはダメ’・
市販の揚げ物にも、油の”持ち”をよくするために、トランス脂肪酸を多く含む硬化油という植物油が使用されています。硬化油を使用した鶏の唐揚げやポテトフライなどの揚げ物類も極力とらないようにしたほうがよいでしょう。揚げ物を食べたい場合は家庭で作るようにしてください。その際には、圧搾製法で造られたナタネ油やゴマ油、またはオリーブ油を使うようにしましょう。
また、悪い植物油はドレッシングやマヨネーズをはじめ、多くの加工食品に使用されています。ですから、加工食品を手にとったら、必ず成分表を見るようにしたいものです。「植物油使用」と書かれているものは、いずれも悪い植物油が使われていると思ってください。マヨネーズやドレッシングは、エクストラバージンオイルやシソ油を使った自家製のものにすると、健康にもいいし、美味しく安心していただくことができます。
日常の調理には加熱用としてエクストラバージンオリーブ油を使い、ドレッシングやマヨネーズなどの非加熱用途には、シソ油(エゴマ油)またはエクストラバージンオリ-ブ油を用いるとよいでしょう。
また、穀類、種実類(ナッツ)、豆類、芋類など、天然の植物に含まれる油分にはリノール酸が多く含まれていますが、これらはよい油分であり、有害なトランス脂肪酸は含まれていません。
なお、リノール酸は必須脂肪酸です。摂取不足が気になるところですが、通常の食事(穀類や豆類を含む)をしているかぎり、あえて植物油や植物油を含む加工食品をとらなくても摂取不足を起こすことはありません。
また、穀類や豆類を中心とした通常の食事では、リノール酸のとり過ぎを起こすこともありません。知らず知らずのうちに加工食品から摂取されるトランス脂肪酸やリノール酸のとり過ぎ、ドレッシングやマヨネーズ、唐揚げなどからの直接的な植物油のとり過ぎが問題です。
脂肪酸の種類
たとえばビタミンにもいろいろな種類があるように、脂質(油脂)にもいくつかの種類があります。これらは、分子構造上・脂肪酸として次のように分類できます。
I.飽和脂肪酸……酸素などと反応しやすい「二重結合」を持たないもの
(ヤシ油や牛乳・バターに多く含まれる)
Ⅱ.一価不飽和脂肪酸……「二重結合」がひとつだけあるもの
(オリーブ油の主成分であり、ナタネ油や牛脂に多く含まれるオレイン酸など)
Ⅲ.多価不飽和脂肪酸……複数の「二重結合」を持つもの
(シソ油に多く含まれるα-リノレン酸や植物油に含まれるリノール酸、青魚に含まれるEPA・DHAなど)
飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸は、おもに体を構成する細胞膜に使用されたり、中性脂肪として体に必要なエネルギーとなったりするものです。ただし、体をコントロールしている生理活性物質(私たちの生理活動に影響を与えるホルモン様物質)の合成に使用されることはありません。
一方の多価不飽和脂肪酸には、細胞膜の構成やエネルギーの供給源となるほかに、「酸化ストレス・炎症体質」を決定する生理活性物質の原料になるという重要な役割があります。
最近注目されているのが、多価不飽和脂肪酸の中の「オメガー3系脂肪酸」です。シソ油(エゴマ油)、亜麻仁油の主成分であるαーリノレン酸をはじめ、青魚に含まれるEPA(エンコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などが代表です。サプリメントとしても発売されていますから、皆さんもご存知のことでしょう。
多価不飽和脂肪酸には、このほかにもリノール酸やアラキドン酸などのオメガー6系脂肪酸のグループがあります。体内でEPAやDHAはα-リノレン酸からも合成され、アラキドン酸はリノール酸からも合成されます。このように、同じグループ内の脂肪酸は体内で必要に応じて作りかえられるのですが、オメガー6系からオメガー3系などグループを超えての合成は決して起こりません。
大切なのは「オメガー3系脂肪酸」
一般にオメガー6系脂肪酸をとり過ぎると「酸化ストレス・炎症体質」を形成し、逆にオメガー3系脂肪酸は「酸化ストレス・炎症体質」の形成を抑制する働きがあります。
今日の食生活では、オメガー6系脂肪酸はとり過ぎとなり、逆にオメガー3系脂肪酸は不足しがちです。これは近年急激に摂取量が増えた植物油に、リノール酸などのオメガー6系脂肪酸が多く含まれること、さらに私たちが主食とする米をはじめ、小麦やトウモロコシ、そばなどの穀類の油分にもオメガー6系脂肪酸が多く含まれるからです(オメガー3系脂肪酸の15~30倍)。
当然、片頭痛にならないためには、オメガー3系脂肪酸を含む食べ物を積極的にとるようお勧めするわけですが、なかでもEPAやDHAを多く含む青魚が有望です。
ただし、ここで注意しておきたいことがひとつ。青魚のうち、ブリやマクロなどの大型魚には、メチル水銀やダイオキシン類といった環境汚染有害物質を多量に含むものが多いということです。小さければ小さいほど、こうした有害物質をわずかしか含みませんから、目安としては「手先から肘までより小さな魚」であるイワシやアジ、サバなどの小型の青魚がお勧めです。
また、オメガー6系脂肪酸とオメガー3系脂肪酸の摂取比率は、体質改善当初は[1:1]、改善後は[2:1]が望ましく、私はシソ油(エゴマ油)や亜麻仁油を日常の食生活に取り入れることを勧めています。
ところで、もしあなたが花粉症やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患で悩んでいるのであれば、これまで述べてきた植物油にかかわる注意事項を忠実に守るだけで、その悩みは解消に向かうことでしょう。
片頭痛の場合には、残念ながらこれだけでは充分な改善効果を実感することはできないのですが、まずはこの植物油の問題をクリアすることが、片頭痛体質にならないための第一歩です。ぜひお試しください。
そして、後藤日出夫先生は、「酸化ストレス・炎症体質」改善のために、以下を提唱されます。
片頭痛体質改善のための「3つの約束」
1.悪い植物油(市販のサラダ油など)や加工油(マーガリンなど)を摂らない
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12443579506.html
2.「万能健康ジュース」
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12443583693.html
3.「ラブレクラウト」
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12443587078.html
以上のように、生活習慣病、ガン、認知症など慢性疾患に関する考え方が従来とは変化してきています。
片頭痛も同様に、このように見直すことによって、その本態の全貌が明らかにされてきました。このように見直すことによって、片頭痛は改善に導かれています。
参考までに・・・、「万能健康ジュース」を試された方の体験談を・・
◎健康ファイル 片頭痛が日に日によくなっていきます 40歳代後半女性
「私は若い頃から片頭痛持ちで、子供が生まれてからさらに悪くなりました。 朝は主人の朝食作りのために起きるのですが、作るとすぐに横になっていました。昼も寝てばかり。寝ないと夕食を作ることさえできなかったのです。
寒い日、雨の日、季節の変わり目など、ほぼ毎日病院で処方された発作止めを飲んでいました。激しい頭痛と嘔吐を起こすので、たまに体調がよいからと気晴らしに外に出かけるときでも、薬が手放せませんでした。
お風呂に入ると発作が起きるので、ここ数十年お風呂に入ったことがなく、いつもシャワーで済ましていました。かつての主治医は、「温い湯で入浴をし、体を癒すべきだ」、「軽い運動をしなさい!」というのですが、それができないから苦労しているのがまったくわかってもらえませんでした。
冷え性もひどく、手や足の先だけでなく、太ももや二の腕までもが極端に冷たくなってしまいます。夏でも二の腕に使い捨てカイロを貼りますが、温かくなることはなく、腕は熱のため黒ずんでしまい、まったく腕を出すことができません。
大学病院では徹底的に検査して頂くために入院しましたが、あまりのつらさに先生と口論になったこともあります。結局、何の改善策も見つかりませんでした。でも一番つらかったのは、主人から「特に異常もないし、たかが頭痛くらいで大げさだ。甘えるな!」と言われたことです。悔しくて悲しくて涙が出ました。
そんなとき、この「万能健康ジュース」のことを知りました。半信半疑でしたが、飲み始めて数日も経たないうちに、血液が体を流れ始めるのが実感できたのには本当に驚きました。そして1週間もすると、朝もすぐに起きられるようになり、苦もなく朝食が作れるようになったのです。
こんな経験は初めてでしたので、「万能健康ジュース」だけではなく、先生のアドバイス通りに生活習慣全般を見直すようにしたところ、1ヵ月もすると薬を飲む回数が週に一回程度にまで減りました。それ以前は、月に20~25日は飲んでいたのです。昼に寝ることもなくなり、いろいろとやる気も起きてきて、昔よく作っていたケーキを焼いて主人に喜ばれたり、天気の日には近くを散歩したりするようにもなりました。でも、急に寒くなったり、運動をし過ぎたりしたときにはまだ薬が必要です。
先生に教えていただいた、ビタミンB2のサプリメント(含有量の多いもの)をアメリカから取り寄せて2週間ほど続けましたが、これは特に大きな変化はありませんでした。
その後、マグネシウムを1日400ミリグラムとるとよいとお聞きしたので、試してみました。発作の前には肩がガチガチに固まってしまう感じがするのですが、マグネシウム水溶液を飲むと、首の付け根あたりから肩にかけて、温かい血液が流れていくのがはっきり実感できるのには驚きました。それからは、食事のたびにマグネシウムをとっています。
また、常時マグネシウム濃縮液(50ミリグラム/cc)を小瓶に入れて携帯し、もし肩がこってきたら(発作の前触れです)、薬の代わりに小さじ一杯分を飲料水に溶かして飲んでいます。
いろいろな生活習慣の改善も影響していると思うのですが、「万能健康ジュース」と「マグネシウム」の効果は衝撃的でした。私と同じように苦しんでいる人は、ぜひ一度試してみてほしいと思います。」
この方は、その後ヨガを始められ、テニスボールマッサージを続け、今では薬はほとんど必要なくなったとのことです。
お風呂に入るとまさに天国ですね!」ということでした。血色も良くなり、実年齢よりも10歳は若く見られるようになったとのことです。
このように、こうした考え方の信憑性が明確になってきています。
ということは、片頭痛の本態を理解した上で、勇気ある第一歩を踏み出して、煩わしい頭痛を追い払うことも無駄ではないと思います。
前回も申し上げましたように、片頭痛を改善させれば、健康と美容のおまけまで付いてくることになります。
それに引き替え、カリスマ医師や、権威ある頭痛専門医の言いなりにして、「辛い頭痛を緩和させること」だけでお茶を濁しておれば、確かに次々と新薬は作られてきますが、お金だけをむしり取られ、一向に煩わしい頭痛に呪われ続け、健康と美容を引き替えに貧乏生活を強いられることになりかねません。
あなたなら、どちらを選択されるでしょうか???
ここで、コマーシャルです。
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