脂質の摂り方が「片頭痛根治の鍵」になります | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 人間の体の中で“脳”は最も重要な器官の1つですが、その構成成分の60%は脂肪が占めています。そして、このうち一番量が多いのが「オメガ3」です。無数の神経細胞から成り立っている脳は、神経刺激を伝達したり、外からの刺激を受け取ったり、いつも活発な活動をしていますが、その動きに鋭敏に反応し、素早く対応しているのが「オメガ3」なのです。脳では「オメガ3」が最も大切な脂肪酸なのです。
 

脂質は細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造を構成します
 

 細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造には食べた脂肪酸がそのまま使われますので、どのような種類の脂肪酸を含む脂質を食べたかにより、膜構造の状態が大きく異なり、ミトコンドリアの働きが左右されます。このため摂り方に問題があれば、ミトコンドリアの機能が悪くなります。
 

 このように「体の脂肪酸バランス」は、食べ物として摂った脂肪酸によって決まってしまいます。すべての細胞の脂肪酸の状態が、摂取した脂肪酸によってストレートに決定してしまうのです。

 
からだにいい油と悪い油の見分け方
 
 からだにとっていい油と悪い油を見分けるには、脂質のなかのおもな成分である脂肪酸の分類を理解する必要があります。
 
 脂肪酸は炭素同士が長くつながった構造をもち、この炭素同士の結合に二重結合がない脂肪酸を「飽和脂肪酸」、二重結合がある脂肪酸を「不飽和脂肪酸」と言います。飽和脂肪酸は常温では固体で、動物性食品(バター、ラードなど)に多く含まれています。不飽和脂肪酸は二重結合の数(価数)により性質が大きく変わり、数が多いほど油はやわらかくなるいっぽうで、酸化しやすくなります。常温で液体であり、植物性食品(植物油)に多く含まれ、価数によりオメガ-9系、オメガ-6系、オメガ-3系に分けられます。
 一価不飽和脂肪酸はオメガ-9系であり、オリーブ油やなたね油に多く含まれます。
 多価不飽和脂肪酸は二価のオメガ-6系と、三価のオメガ-3系に分けられます。ほとんどの植物油はオメガ-6系に分類されます。オメガ-3系の油はえごま油、あまに油、青魚に多く含まれます。
 不飽和脂肪酸に関して重要なことは、オメガー6系とオメガ-3系のバランスです。ほとんどの植物油などのオメガ-6系はからだの炎症、アレルギー反応などを促進し、えごま油やあまに油などのオメガ‐3系は抑制します。現代の日本人は、圧倒的にオメガ-6系をとりすぎていてオメガー3系は足りない状態です。
  オメガー6系は、「まごわやさしい」の食材をとっていれば十分なので油としての摂取は控え、オメガー3系を積極的にとる必要があります。オリーブ油などのオメガ-9系は、炎症などには関係していませんが、脂質自体が生体に必要ですので、加熱して少量とるくらいがいいでしょう。
  もっともとってはいけないのは、マーガリンやマヨネーズなどに入っている、自然界にないトランス脂肪酸です。トランス脂肪酸は自然界には存在せず、植物油に人工的に水素添加してつくられた油です。次に、バターや乳製品など、動物性である飽和脂肪酸になります。
  いずれにせよ、どんな油でもつくられる過程が重要です。オーガニックで遺伝子組み換えでない国産の原料を使った油や、低温・圧搾法でつくられた本物の油が理想です。
 
必須脂肪酸について
 
 ほかの脂肪酸から合成できないため、食事などから摂取する必要のある脂肪酸を「必須脂肪酸」と言います。
 必須脂肪酸には、オメガ-6系とオメガ-3系があります。
 オメガ-6系の脂肪酸の代表はリノール酸とアラキドン酸です。オメガ-3系の代表はα-リノレン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)です。オメガー6系とオメガー3系の脂肪酸は互いに抑制し合い、身体内ではまったく逆の反応を誘導するため、このふたつの比率がとても重要です。
 オメガー6系は、炎症やアレルギー性疾患を誘導したり、血管が詰まりやすい状態にしたりします。逆にオメガー3系は炎症やアレルギー性疾患をしずめ、血管が詰まりにくい状態にします。
  簡潔に言い換えますと、オメガ-6系脂肪酸のとりすぎが炎症体質を悪化し、オメガ-3系脂肪酸をとると炎症体質は改善されるということになります。
  これらのことから、摂取する「オメガ- 6 系油とオメガ- 3 系油の比」をもって炎症体質や酸化ストレス体質にならないための油脂の摂取量の目安量を知ることができます。
  いわゆる、オメガ-6系/オメガ- 3 系の比が大きな値を示すほど「酸化ストレス・炎症体質」は悪い状態に向かい、逆に小さな値であるほど「酸化ストレス・炎症体質」は良好な状態に向かうということなのです。
 
 がんなどの生活習慣病のベースには「酸化ストレス・炎症体質」があり、オメガ-6系とオメガ-3系脂肪酸の比率が関係しています。オメガ-6系は、炎症やアレルギー性疾患、血栓(心筋梗塞や脳梗塞)、がんなどを引きおこしやすくするので悪い印象を受けますが、オメガ-6系が働かないと感染に対して炎症を起こして治る力が働きませんし、少しの傷で出血が止まらなくなります。

 
 どちらがいいというよりも、あくまでバランスが重要であり、理想的なオメガ-6系とオメガ-3系の摂取割合は3一1とされています。現代の日本人は、圧倒的にオメガ-6系が過剰で、オメガー3系が極端に少なくなっています(20~40:1)。揚げものや炒めもの、洋食中心の食生活が多い人は注意しましょう。
  オメガ‐3系を積極的にとり、オメガ-6系を控える必要があります。ただし、えごま油やあまに油などのオメガー3系の油は非常に酸化しやすく、加熱料理には向きません。あえものやドレッシングなどで、積極的にとるよう心がけましょう。
  
トランス脂肪酸について
 
 トランス脂肪酸は、液体である植物性の油に人工的に水素添加を行うことにより固体化させた脂肪酸です。自然界にもごくわずかに存在しますが、人工的につくられたきわめて不自然なものです。あらゆる脂肪酸のなかでもっとも害があるとされています。
  普通の脂肪酸と構造が異なり、おもに細胞膜の性質を変化させ、全身の細胞の機能を阻害します。動脈硬化、がん、アレルギー性疾患、クローン病、認知症などとの関係が強く指摘されています。
  マーガリンやショートニングに入っているのが有名で、いつまでもパンをやわらかいままにしたり、クッキーをサクサクにしてくれたりする便利な成分です。そのほか、フライトポテト、スナック菓子、コーヒーフレッシュなど、非常に多くの加工品に使われており、知らず知らずのうちに多くの人々が摂取してしまっています。
  欧米のほとんどの国では、表示義務が課され、使用制限などの規制もあります。日本でも一時規制がかかる動きが見られましたが、なぜか途中で頓挫したままになっており、現在は表示の義務すらありません。どうしても使いたい場合には、トランス脂肪酸フリーのものを使いましょう。
 
コレステロールについて
 
 「コレステロールはからだに悪い」というイメージが定着しています。

 しかし、コレステロールは生体内でとても重要な役割を果たしており、なくてはならないものです。
  コレステロールは細胞膜、ホルモン、ビタミンD、胆汁酸の原料となります。 また、血管や脳の神経細胞を守る働きもしています。コレステロールの20%は食べもの由来で、80%は体内で合成されています。コレステロールから、非常に多くのホルモンが副腎で合成されます。肝臓から胆汁酸として排出されますが、95%は小腸で再吸収されます。胆汁酸は、脂肪や脂溶性ビタミンの消化・吸収に欠かせません。
  もうひとつ重要なことは、コレステロールには善玉と悪玉があるという理解は正しくない、ということです。
  一般的に、HDL=善玉コレステロール、LDL=悪玉コレステロールと言われがちですが、じつはそれは誤りなのです。
  コレステロールは水に溶けない脂質の一種ですので、血液内を移動するときは、たんぱく質と結合した「リポたんぱく」という形で運ばれます。このリポたんぱくにはいくつかの種類があり、そのうちのHDLは全身から余ったコレステロールを肝臓へ運び、LDLは肝臓から全身ヘコレステロールを運ぶ役割をします。HDLコレステロール、LDLコレステロールとは、それぞれHDL、LDLに含まれているコレステロールという意味になります。コレステロール自体は1種類しかなく、善玉も悪玉もないのです。
  ですから、コレステロールはHDL、LDLと分けて考えるよりも、総コレステロール値で考えるのかよいでしょう。
 

 最近、日本人ではコレステロールの値がある程度高い(総コレステロール値259mg/dlまで)ほうが、死亡率が低下することがわかってきました。
  私は、動脈硬化にはコレステロールよりも、活性酸素や糖、カルシウムのとり方のほうが、影響を与えていると考えています。
 
 
 
 以上、脂質には重要な役割があります。そして片頭痛では、特に重要な位置を占めており、片頭痛の病態を理解するためには大切になっています。
 
 
 
脂質のとり過ぎと片頭痛・・活性酸素の発生原因に!
 

 「酸化ストレス’炎症体質」の人は、体内で過酸化脂質が生成されやすく、これが活性酸素を過剰に発生させる原因物質となっています。
 過酸化脂質というのは、コレステロールや中性脂肪が活性酸素によって酸化されてできたものです。これらは体内で作られるのですが、それ以上に、そもそも過酸化脂質を多く含む加工食品などを過剰にとる食習慣のほうに問題があると考えられます。
 ポテトチップスなどのスナック菓子、インスタントラーメン、ピーナッツ、マヨネーズ、マクロの缶詰(缶を開けたあと)、黒くなった古い油分には注意が必要です。また、新しいものでもチキンフライなどの揚げ物を電子レンジで加熱すると、とがった部分や角の部分が過酸化されることがあります。
 精神的なストレスを受けてアドレナリンが分泌されると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)を高めるために体脂肪が分解されます。このとき、体脂肪から遊離脂肪酸が生成され、血液中に溶け出して全身に送られます。
 通常、体脂肪は空腹時のエネルギー不足を補うために分解されます。ところが、精神的なストレスからアドレナリンが分泌されて遊離脂肪酸が生成されると、エネルギーとして消費されることがほとんどありませんので、その後ストレスから解放されると、血中の遊離脂肪酸濃度だけが高くなった状態になってしまうのです。この遊離脂肪酸は、血小板の凝集を促進したり脳血管壁を傷つけたりしますから、これが活性酸素を発生させる原因となってしまいます。
 遊離脂肪酸には細胞毒性(細胞を傷つける性質)が強いという特徴があります。通常は血液中のアルブミン(Lカルニチン)というタンパク質成分と結合して毒性が弱められた状態で存在しているのですが、遊離脂肪酸が毒性を発揮して細胞を傷つけるということは、アルブミンとの結合可能な限界量(間値)を超えてしまっているということです。
 このような状態を招く原因は、間違った日々の食習慣なのです。特に、植物油(リノール酸)やトランス脂肪酸を多くとり過ぎると、体内での脂質代謝が充分に行われず、血液中の遊離脂肪酸濃度が高い状態になることがわかっています。
 このような状態になれば、ストレスなどのわずかな刺激であっても、片頭痛の引き金となる脳血管内の血小板凝集が起きてしまいます。

 

 

 脂質の摂り方を間違えれば、片頭痛体質である「酸化ストレス・炎症体質」を形成してきます。詳しくは、以下の2つをご覧下さい。
 

「酸化ストレス・炎症体質」その1
    
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12289764453.html


「酸化ストレス・炎症体質」その2
  
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12289765984.html

 


 以下、これまで掲載してきた記事です。


片頭痛とミトコンドリア その7 脂質の役割
 
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12285407939.html


食事の摂り方と健康 その5 「脂質」
 
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12282762137.html


脂質の役割
 
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12258409353.html

 

からだにいい油と悪い油があります
 
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12245732367.html


脂質についての基礎知識    ダウンロード用ファイルです
  
http://taku1902.jp/sub533.pdf