(8)活性酸素
酸素は地球上のほとんどの動物にとっては、なくては生きていけない大切なものです。
しかしその酸素が呼吸によって体内に取り入れられると、その一部が「活性酸素」といわれる不安定な状態になり、近くの物質と結びつこうとします。物質が酸素と結びつくことを”酸化”といいますが、鉄がさびたり、空気に触れたりんごの切り口が茶色になったり、あるいは雨ざらしのゴムホースがぼろぼろになったりするように、活性酸素が体の中でさまざまな「さび」の状態を作るのです。
活性酸素が過剰になると、物質が酸化によってぼろぼろに壊れてしまうのと同じ現象が、人体の中でも起こってきます。その結果、片頭痛、がん、動脈硬化、脳梗塞、心疾患、糖尿病、白内障などの生活習慣病を引き起こしてきます。また、活性酸素はしみやしわなどの原因になり、老化の最大の原因であることも分かってきました。
現在の研究では、活性酸素は全疾患の90%以上に何らかの形で関っていると言われています。片頭痛も同じように、この活性酸素が関係しています。
この活性酸素はミトコンドリアと切っても切れない関係にあります。
活性酸素とはミトコンドリアがエネルギーを作り出す際に生み出されるものです。
片頭痛はミトコンドリアの機能障害による頭痛です。活性酸素はミトコンドリアがエネルギーを産生する際に必然的に作られてくるものなのです。
細胞内小器官である「ミトコンドリア」は私達に生きるエネルギーを与えてくれますが、反面、活性酸素を最も多く発生する細胞内小器官でもあります。
ミトコンドリアを増やすと、体全体のエネルギー発生量を増やすことができます。ミトコンドリアを増やし、活性化させると、エネルギー合成時に発生する活性酸素の消去する機能も高まります。しかし、弱ったミトコンドリアの活性酸素を消去する機能は低く過剰の活性酸素が発生し、その活性酸素によってミトコンドリアがさらに弱っていくという悪循環が始まります。
ミトコンドリアDNAは活性酸素によって傷つきやすい特徴があります。そして、このミトコンドリアDNAは、核内DNAより10 倍傷つきやすいとされています。
これがミトコンドリアの機能を低下させてきます。
身の回りは活性酸素を生み出す要因だらけ
実は活性酸素は、私たちが生きていく上で、どうしても発生してしまうものなのです。
私たちが体に酸素を取り込み、消費する過程で活性酸素は自動的につくり出されます。 激しい運動をしているときはもちろんのこと、仕事や家事などをして普通に生活しているときも、寛いでいるときや眠っているときも発生するのです。
私たちは生きている限り活性酸素から逃れることはできません。
太古、地球の生物が酸素を体に取り込んで生きるようになったときからの、宿命といえるかもしれません。
もちろん活性酸素が体の中で増える一方だと、人間はたちまち死んでしまいます。
そのため、私たちの体は活性酸素を取り除く手段を持っています。
ただ、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、病気や老化が起きるのです。大量発生のきっかけにはさまざまなものがあります。
体が傷を受けたり、ウイルスが侵入したときもそうですし、太陽光線も原因になります。
これらは昔から、私たちの体に活性酸素を発生させる原因になってきました。
その上、現在では、更に活性酸素を発生させる原因が増えています。
それが食品添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質であり、大気中の有害物質や放射線などです。これらの原因は、昔にはなかったものです。
豊富な栄養を摂っているにも関わらず、現代人に病気が多いのは、このことが原因ではないかと言われています。
ウイルスや細菌は、病気を引き起こす元凶ですが、これも活性酸素発生の原因になります。これらの外敵が入ってくると、白血球が出動してきて外敵を殺そうとします。
このときの武器が活性酸素なのです。白血球が敵の数に合わせて、びったり適量の活性酸素しか出さなければいいのですが、白血球は外敵を確実にやっつけるために必要量を上回る活性酸素を作ってしまいます。その余分な活性酸素が、まわりの細胞まで傷つけてしまうのです。体にとっての異物は、ウイルスや細菌ばかりではありません。
実は、病気を治すために飲む薬や、空気中に存在する有害物質、そして食品添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質も、体にとっては異物なのです。
このなかには、当然のこととして頭痛薬として使用される市販の鎮痛薬、非ステロイド性鎮痛薬、エルゴタミン製剤、さらにトリプタン製剤も含まれています。
これらのものは、つい最近まで、人類の体内に入ることはなかった物質なので、体は異物と理解してしまうのです。
そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程でも、活性酸素が発生してしまうのです。
このように特に、現代の科学や文化の発達が生んだ数々の人工的な要因が、私たちを更に蝕んでいることが伺えます。
薬や食品添加物の氾濫、農薬の普及、排ガスによる大気の汚染、水の汚染、原子力の利用による放射線被爆、電気製品による電磁波・・・・・生活環境の変化、破壊はすなわち体内での活性酸素の大量発生に繋がっているのです。
昔から受けてきた紫外線にしても、オゾン層の破壊により、増加し続けています。
こうした要因は、ほんの数十年の間に急速に増えてきたものです。
私たちの体の働きは、太古から少しずつ作られてきたものですから、この数十年の変化には着いていくことができません。
体の中には活性酸素を取り除く働きもありますが、人間のミトコンドリアは、活性酸素の発生源が今よりずっと少ない時代につくられていますから、新しい要因が生み出す過剰な活性酸素まで取り除くことはできない状態にあります。
活性酸素を作り出す原因がこれだけ増え、体の中には対抗する手段が十分にはないとすると、私たちの体の中には、過剰な活性酸素が存在しているということになります。
これが現代人の体を蝕み、病気をつくり出しているのです。
食物の豊富な国に住み、快適な暮らしをしているにも関わらず、現代社会に暮らす日本人は病気から逃れることができません。
ガンや糖尿病、心臓病などの成人病の発生が増えているのも、昔はあまりみられなかった喘息や花粉症、アトピーなどのアレルギーが増えているのも、環境の悪化による活性酸素の増加が原因と考えられます。
今や病気の90%は活性酸素が原因だということを忘れてはなりません。
日本は長寿大国となりましたが、長寿を謳歌している人の多くは、活性酸素を発生させる要因が少ない時代に育っていることを忘れてはいけません。
また、昔の日本人の食事は活性酸素を取り除くために理想的な食事ともいわれています。 活性酸素の発生要因に囲まれ、欧米風に変化した食事をとって育っている若い人や子供が、長生きできる保証はどこにもないのです。
片頭痛における痛みの発生機序
「片頭痛体質(酸化ストレス・炎症体質)」を基盤として、ちょっとしたことで(ストレスなど何らかの理由で)「活性酸素」や「遊離脂肪酸」が過剰に発生することによって血小板から血管外へセロトニンが放出され、血管を収縮させます。その後、役割を果たしたセロトニンは減少しやがては枯渇し、今度は逆に血管は拡張します。
血管が拡張することによって血管に絡みついた三叉神経が刺激され、頭痛が起きます。 さらに、三叉神経が刺激されると、サブスタンスPやCGRPなど炎症を起こす物質が放出され、血管を刺激して痛みが出てきます。この二つによって、片頭痛が起きてきます。
このように血管の収縮と拡張に大きく影響しているセロトニンですが、最初の引き金となる「セロトニン」は”生理活性物質”としての作用です。片頭痛発作時には、「脳内セロトニン」が不足した状態にあります。
トリプタンという薬は、脳内セロトニンと同じよりに、血管には1Bという鍵穴があり、トリプタンはこの鍵穴に作用して、血管を収縮させ、拡張によって三叉神経が刺激されるのを防ぎます。
さらに血管の周囲から「痛み物質」が、シャワーのように血管に降り注いで、血管の拡張と炎症が起こっており、シャワーには1Dという鍵穴があって、トリプタンはこの鍵穴に作用して、「痛み物質」の放出をとめます。ここでもセロトニンの代わりにトリプタンが三叉神経に取りつき、サブスタンスPなどの分泌を抑制して痛みが出るのを防ぎます。
トリプタン製剤は、あくまでも片頭痛発作時に減少した「脳内セロトニン」を補填しているに過ぎないことを肝に銘ずるべきです。これだけでは、不適切な治療としか言えないはずです。もっとすべきことがあり、それが「生活習慣の改善」です。
本来、片頭痛予防の焦点は、「脳内セロトニン」をいかにして増やすか、さらに、「酸化ストレス・炎症体質」をどのようにして防止するかに置かなくてはなりません。
片頭痛の引き金となる活性酸素
健常人では問題となることのない血流の変化であっても、片頭痛持ちの人は元来ミトコンドリアの働きが悪く、わずかな血流の増加であっても活性酸素を発生しやすい状態になっています。
同じようなことは、運動をすることや飲酒、入浴などによって急に血行が良くなる場合や、早朝の自律神経の切り換えにともなう血流の変化やホルモンの分泌量の変化にともなう僅かな血流の変化も片頭痛持ちの人では活性酸素の発生の要因となってしまいます。
低気圧や人ごみ(酸素濃度のわずかな低下)や季節の変化(寒暖にともなう血流の変化)もミトコンドリア機能の活性が低い片頭痛持ちの人ではミトコンドリアの代謝機能の低下と、それに引き続きおきる血流の回復により過剰の活性酸素が発生してしまうことになります。
また、小麦などに含まれるタンパク質の成分であるグルテンに過敏な人では免疫系のマクロファージ(白血球の一種)がグルテンを異物として排除するときにも多くの活性酸素を発生することになり、片頭痛の発作の原因となります。
風邪を引いた場合にも同様に風邪ウイルスに対する免疫系からの過剰な活性酸素が発生し片頭痛の引き金となることもあります。
なお、風邪ウイルスは直接的に筋肉細胞や血管細胞を攻撃し、片頭痛の発作や痛みを引き起こす生理活性物質をも発生させます。
このようにして、ストレスや運動、飲酒、入浴、風邪などの要因が活性酸素を発生させ片頭痛を引き起こしていくことになります。
しかし、このような片頭痛発症要因に曝(さら)される片頭痛持ちの人であっても、仮に「ミトコンドリアの活性の低さ」を改善し、「酸化ストレス・炎症体質」を改善すれば活性酸素も異常に発生することはなくなりますから、片頭痛の発症へとは進まないということになります。
いわゆる、片頭痛持ちの人は常に活性酸素が発生しやすく炎症を起こしやすい体質「酸化ストレス・炎症体質」であることと、細胞の活力を支配する「ミトコンドリアの活性の低さ」に問題があります。
活性酸素が発生しやすい「酸化ストレス・炎症体質」に加え「ミトコンドリアの活性の低さ」が重なれば非常にわずかな刺激であっても活性酸素が過剰に発生されてしまうのです。
片頭痛に女性間の家族性が高いのはこの「ミトコンドリアの活性の低さ」が母性遺伝することも一因であるといえます。
しかし、「酸化ストレス・炎症体質」や「ミトコンドリアの活性の低さ」については日々の食生活のあり方などにより誘発されるものですから、それらを改善することにより片頭痛は発症しなくなります。
また、「酸化ストレス・炎症体質」では体内で過酸化脂質が生成されやすく、過酸化脂質も活性酸素を過剰に発生させる原因物質となります。
ただし、過酸化物質については実際に体内で脂質が酸化され生成されること以上に加工食品などの過酸化脂質をすでに含む食品を摂ることの方が現実の問題としては大きいように思われます。
抗酸化物質って何???
片頭痛やさまざまな病気には、活性酸素が深く関わっています。体内で活性酸素が過剰に発生して体がサビついた状態になることを「酸化ストレス」と呼び、その抑制は片頭痛改善のために不可欠な要素と考えられます。
フリーラジカルスカベンジャーは、活性酸素の毒消しをする物質です。これを増やすことによって、人体に蓄積された有害な活性酸素を無害化することができます。
活性酸素とは、人間の身体に取り込まれて燃焼した酸素からできたものです。本来は殺菌や消毒作用がある有益なものですが、増えすぎると体内物質を酸化させ、老化や病気の原因になってしまうのです。
もちろん活性酸素が体の中で増える一方ですと、人間はたちまち死んでしまいます。
そのため、私達の体は活性酸素を取り除く手段を持っています。
私達の体には活性酸素を取り除く手段として、抗酸化物質が備わっています。
野菜不足・・抗酸化食品の摂取不足
先述のように、私達の身の回りのは活性酸素が満ち溢れています。このような活性酸素の毒消しをするのが、フリーラジカルスカベンジャーです。
私達の体には活性酸素を取り除く手段として、「抗酸化物質」が備わっています。
このなかで、スーパー・オキサイド・ディスムターゼ SODの産出能力は 25 歳から下降しはじめ、40歳を過ぎて急速に低下することが分かってきました。
コエンザイムQも同様に40歳を境に減少してきます。
この生体に備わった「抗酸化物質」の減少を補う目的で抗酸化食品を意識して摂取しなくてはなりません。抗酸化食品は活性酸素を除去します。
こうしたことから、抗酸化物質の摂取不足はミトコンドリアの働きを悪化させることになります。
抗酸化作用のある野菜や果物などの食品・食べ物
アントシアニン(ブルーベリー・カシス)、ケルセチン(そば)、ルチン(そば)、カテキン(お茶)、イソフラボン(大豆)、カルコン(明日葉)、クロロゲン酸(コーヒー豆)、ロズマリン酸(シソ)、ゴマリグナン(ゴマ)、クルクミン(ウコン)、タンニン(お茶)、スルフォラファン(ブロッコリー)、βカロチン(緑黄色野菜)、リコピン(トマト)、カプサイシン(唐辛子)、アスタキサンチン(鮭・イクラ)、ルテイン(ケール・ほうれん草)、フコイダン(海藻)、βグルカン(キノコ)、ペクチン(リンゴ)、テアフラビン(紅茶)
■ 体内の活性酸素を除去する食品をまとめてみますと・・
ビタミンA:ニンジン、ほうれん草、卵黄、牛乳、バター
ビタミンC : ブロッコリー、小松菜、ピーマン、トマト、イチゴ、緑茶、ジャガイモ
ビタミンE:大豆、落花生、しじみ、うなぎ
βーカロテン : ニンジン、小松菜、ほうれん草、かぼちゃ、ニラなど
ポリフェノール : 赤ワインなど
リコピン : トマトなど
スルフォラファン : ブロッコリー、キャベツ、カリフラワーなど
メラノイジン : みそ、しょうゆなど
抗酸化食品のほとんどは、日頃から食べている野菜や果物に含まれています。
つまり、日頃から、好き嫌いなく、バランス良く積極的に野菜や果物を食べていれば不足することはないと考えられます。
しかし、一人暮らしの方や外食が多い方などは野菜不足になりがちです。
また、高カロリー・高脂肪な肉食中心の欧米型の食事は、体が酸化しやすいため、活性酸素の攻撃を受けやすいと考えられます。
少しずつ食生活を変え、上手に抗酸化作用があるサプリメントを取り入れて、活性酸素を抑えましょう。
強力な抗酸化作用を発揮するCoQ10。
抗酸化酵素だけでは生体脂質の酸化を防ぐことはできません。そこで登場するのがビタミンE、CoQ10、ビタミンC、カロテノイド、ポリフェノールなどの抗酸化物質です。
脂質の酸化を防ぐために生命が創り出した物質がビタミンEですから、これが一番重要です。
しかし、条件によってはビタミンEはかえって脂質の酸化を促進することがわかっています。これを防ぐには、酸化抑制の過程で生成するビタミンEラジカルを還元する必要があり、ビタミンCとCoQ10がその役を担っています。とくに、同じ脂溶性のCoQ10の重要性が最近の研究から明らかにされてきました。結局、生体脂質の酸化を抑制するためには、ビタミンEとCoQ10とビタミンCがよいチームワークを組む必要があるのです。
生体が酸化ストレスにさらされたときに最初に減少するのがビタミンCとCoQ10であることは強調しておきたいと思います。ご存じのように私たちはビタミンEとビタミンCを体内で合成することはできませんから、食品等から摂取する必要があります。一方、CoQ10は体内で合成できますが、肉・魚などの食品に含まれていることも確かです。
現在、テレビで毎日宣伝されている「健康食品」は、このような「抗酸化物質」に関連したものばかりです。
しかし、このような健康食品は値段も高く、片頭痛治療に使うことは、余り適切とは言えません。自分で工夫して補えばよいことです。
ここで、コマーシャルです。
頭痛が気になったら・・以下へアクセス
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