(12) 姿勢の悪さ
現在の私達の生活環境は・・
私達の生活環境は活性酸素・有害物質に満ち溢れており、ここ50年間のうちにミトコンドリア自体の働きが人間界において、悪化していることから、同時に起きている「セロトニン神経系の機能低下」と相まって、以下のような理由から「姿勢の悪さ」を引き起こしやすい状況にあります。
すなわち、ミトコンドリアは、全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ脊椎起立筋群に多く存在し、ミトコンドリアの働きが悪くなれば、当然のこととして「姿勢の悪さ」を引き起こしてきます。
さらに、セロトニン神経系は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることによって、「脊椎起立筋群」に働きかけていることから、セロトニン神経系が低下してきますと、セロトニン神経系本来の働きである「正しい姿勢の保持」が困難となり、「体の歪み」を招来し、結果的に「姿勢の悪さ」を引き起こします。
このように、「脊椎起立筋群」に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらにセロトニン神経系は、”神経系の要因”として、関与し、姿勢を保持しています。
こういったことから、ミトコンドリアの機能が悪化している現代社会では、「姿勢の悪さ」が起きやすい生活環境に置かれています。
このような「姿勢の悪さ」は、猫背や前屈みの姿勢になり、胸郭を大きく開いての深呼吸ができなくなり、結果的に「低酸素状態」を招来し、ミトコンドリア優位のエネルギー産生にならなくなることから、結果的にミトコンドリアの働きを悪くさせることになります。このため、「健康的な生活を送る」上に、さまざまな悪影響を及ぼします。
「低酸素」状態は解糖系エネルギー産生へと移行し、当然、頭痛を起こしやすくなります。
脊柱のS状湾曲の形成過程
生後、脊柱はC状のカーブを示しているだけです。それから3、4ヶ月に入り、寝返りや首をもたげる動作を始めると、頸部は前方凸のカーブを示してきます。お座りができるころには、腰部にわずかながら前方凸のカーブができ始めます。生後1年後くらいして、立ち上る練習を繰り返しているうちに、腰の前方凸カーブが完成され、S字状の脊柱カーブ、つまり人間特有の背骨(大黒柱)ができあがります。しかし、まだ完成された形ではありません。
立ったり、歩いたり、人間としての動きが繰り返されているうちに、股関節や膝の関節も真っ直ぐになり、筋肉も立位を維持し、活動していけるように強化され、一人前の人間の姿が完成されるのです。つまり、上体を垂直にして立つ人間は、頸部と胸部と腰部に、交互に凹凸のカーブをつくり、力学的な負荷を軽減する構造になっているのです。
こうして、二本足で立つ人間の腰には、前方凸のカーブができるべくして出来あがったわけですが、ゴリラや類人猿、あの北京原人でさえ腰のカーブをつくり、脊椎起立筋群は歩くことによって強化されていきます。
このように子供ではS字状の脊柱カーブは完成していません。
ということは、子供の頃では「準”ストレートネック”」の状態にあります。
こうしたことから、子供さんの片頭痛は、大人の片頭痛と異なり、緊張型頭痛のようなパターンを示すことが多く、そして痛む時間も4時間以下であることがほとんどです。
年少児の片頭痛は両側性(前頭側頭部)である場合が多く、成人にみられる片側性の頭痛パターンは思春期の終わりか成人期の初めに現れるのが通例です。
こうした点は、子供の慢性頭痛の発症様式は、大人の片頭痛の発症様式を典型的に示しているといえます。子供の片頭痛は、大人の場合の緊張型頭痛と片頭痛の中間に位置するような「頭痛のタイプ」と考えられます。
ですから、子供の場合、緊張型頭痛か片頭痛なのか、といった区別(鑑別)すること自体”意味のない”ことであり、一括して”脳のなかに異常のない慢性頭痛”として考えるのが対処しやすいことになります。
蛇足ですが、片頭痛の発症には、神経伝達物質のセロトニンが関与しており、セロトニンに限らず神経伝達物質は、受容体という鍵穴にはまることで細胞に作用します。
子供の場合は、脳のセロトニン受容体が未発達で、セロトニンと受容体の結びつきが希薄なために、頭の痛みが生じにくいと考えられています。
セロトニンは小腸などの消化管の粘膜に多く存在するため、おなかの症状が強くでることが少なくありません。
人体のセロトニンの90 % 以上が腸内にあり、腸内セロトニンの働きは、脳内セロトニンとは全く異なります。腸内セロトニンは、人間がストレスを感じれば感じるほど大量にでます。その結果、腸に不規則な蠕動運動が起こり、腹痛や下痢の原因になります。
すべての始まりは、”うつむき姿勢(前屈みの姿勢)”にあります
私達は、日常生活を送る上で、前屈みの姿勢を強制される生活環境に置かれています。
特に、女性はなで肩で、首が細く、女性は男性に比べて筋肉の量が少ないので、筋力も強くありません。しかし、頭部は約6キログラムもあり、男女ともほとんど同じ重量です。
そして、女性の場合、掃除・洗濯・炊事と日常的に前屈みの生活環境にあり、常に頸部筋肉群に負担が強いられ、肩こりを訴えやすく、長期間にわたる肩こりは「脳内セロトニンを低下」させます。
さらに職場では、事務系の仕事が多いためパソコンの操作を終日行うことになります。 仕事が終われば四六時中スマホ・携帯を覗き込む姿勢をとっています。
こうした前傾姿勢は知らず知らずのうちに後頸部の筋肉に負担をかけることになります。
これにさらに、イスに座るとつい脚を組んでしまう、ヒールの高いクツを長時間履いている、立っている時はたいていどちらかの足に体重を乗せている、横座りをする、立ち仕事や中腰の姿勢でいることが多い、いつもどちらかを下にして横向きに寝ている、または、うつ伏せになって寝ている、長時間座りっぱなしの仕事、イスやソファーに浅く座ってしまう、バックなどはいつも同じ方の肩にかける、重たいモノを持つ仕事をしている、 赤ちゃんをダッコしていることが多い、などの無意識に”おかしな体の使い方”をしていますと、知らず知らずのうちに仙腸関節がズレ、骨盤の歪みから脊椎( 背骨)の歪みが生じてきます。仙腸関節のズレは、脊柱に影響が及びひいては頸椎にまで及んで、「体の歪み(ストレートネック)」を最終的に引き起こしてきます。
このようにして「体の歪み(ストレートネック)」が作られてくることになります。
しかし、習慣的にこのような”姿勢の異常”になっているだけです。
”日常的に感じる極く軽度の頭痛”の起こり方
人間の背骨(脊柱)はS状の湾曲を呈しています。人間は直立位を保っていますから、背骨が一直線ですと、全体重が下方の背骨全体にかかることにより、すぐに下部の背骨がダメになってしまいます。こうしたことにならないように脊柱はS状の湾曲を呈しています。S状の湾曲を示すことによって体重の掛かり方を分散させています。ということは頸椎は前に湾曲を示していることになります。ところが、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いて(捻れて)おれば、バランスがとれず後頸部の筋肉の片側だけに張力が常に加わることになり、これが肩こりに繋がり、この”こり”が上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛み、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”となってきます。これが、専門家が”とるに足らない頭痛”とされる緊張型頭痛です。
このように頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いて(捻れて)いることが、重要なポイントになってきます。
緊張型頭痛から片頭痛へ・・・思春期の初潮から 20 歳位まで、
「ミトコンドリアの働きの悪い」”遺伝素因”があれば、日常生活を送る際の”何気ない姿勢(とくに前屈みの姿勢)や動作”などの影響を特に受けやすく、その上長期間持続することによって「体の歪み(ストレートネック)」のような姿勢の異常が習慣化・増強されることになります。
ここに、表1のようなミトコンドリアの働きを悪くさせる要因、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば「脳内セロトニンが低下」することになり、これらの要因でさらに、「体の歪み(ストレートネック)」のような姿勢の異常が習慣化・増強されることになります。こうした姿勢の異常が習慣化・増強されることにより、これらが「脳過敏」の要因になって、片頭痛へと移行していくことになります。
特にエストロゲン(卵胞ホルモン)が減ると、それに伴って神経伝達物質であるセロトニンも急激に減ります。
その時に頭の中の血管が拡張することで片頭痛が起こると考えられています。
このエストロゲンが減少するのが排卵日や生理の初日前後です。
つまり排卵日や生理の初日前後にはエストロゲンが減少するためにセロトニンも減少→頭の中の血管が拡張して片頭痛が起こりやすいということなのです。
女性は健常男性より 約52% 脳内セロトニンを産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍減少する、と言われています。
以上のように、だいたいこうした時期は、女性の場合、初潮を迎える13歳頃に一致します。初潮を迎える13歳頃に女性の場合は、片頭痛を発症してきます。
姿勢の異常→「体の歪み(ストレートネック)」へ・・
このような前屈みや俯き姿勢が長期間継続すれば、「体の歪み(ストレートネック)」最終的に、を引き起こしてきます。このため、後頸部筋肉群にかかった刺激は、常時、三叉神経核に送られ続けられることになります。
すなわち、「体の歪み(ストレートネック)」のために、頭半棘筋に凝りが出ると、それが大後頭神経を刺激し、その刺激が三叉神経に伝わります。大後頭神経と三叉神経は脳の中で、三叉・頸神経複合体を形成していて、繋がっていますので、大後頭神経の刺激は三叉神経核にも伝わります。
この経路は本来であれば、単なる交通枝であり、余り問題になるものではありませんが、「体の歪み(ストレートネック)」が改善されないまま、放置されることにより、”促通”という現象が形成されることにより、メインルートとなり、後頸部筋肉群にかかった刺激は、常時、三叉神経核に送られ続けられることになります。このため、痛み刺激が倍増してくることになります。
これがさらに、「脳の過敏性」、「頭痛の慢性化」へと繋がっていくことになります。さらに「体の歪み(ストレートネック)」は「閃輝暗点」を引き起こす要因にもなっています。
このため、メイン・ルートになる前の「姿勢の悪さ」の段階で対処する必要があります。
「ストレートネック」→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓ ↓
↓ 脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓ ↓
↓ 中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓ ↓
↓ 脳の過敏性、頭痛の慢性化
↓
自律神経失調症状 → 交感神経機能低下→頸性神経筋症候群
(慢性頭痛)
片頭痛も緊張型頭痛も共通して「頸部筋肉群の疲労」を基盤として発症すると考えられます。この根拠として、両頭痛に共通してストレートネックが認められる点です。
片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)のない場合は、首の筋肉のこりは、大後頭神経に痛みのみ起きることによって、純然たる「緊張型頭痛」を発症します。
片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)があれば、片頭痛の場合は、「セロトニン神経が働きが悪くなって「痛みの感じやすさ」が存在するところに、首の筋肉のこりの刺激が、大後頭神経から三叉神経に絶えず刺激が送られ続けます。このため、「痛みの感じやすさ」がさらに増強され、常時、脳の過敏性が高まった状態が継続していきます。
”脳過敏”を引き起こす要因
1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
2.脳内セロトニンの低下
3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続
片頭痛の基本的な病態は「脳過敏」(脳がちょっとしたことで反応しやすくなることです)にあるとされます。このように少なくともこうした3つの「脳過敏」を引き起こす要因が次々に追加されることによって、”緊張型頭痛”から”片頭痛”にまで進展していくことになります。
体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続
これがさらに、「脳の過敏性」、「頭痛の慢性化」へと繋がっていくことになります。さらに「体の歪み(ストレートネック)」は「閃輝暗点」を引き起こす要因にもなっています。
小橋 雄太さんはブログ「イミグラン錠副作用なしで片頭痛を治しちゃえ」で自らの体験を述べておられ、10年以上、閃輝暗点を伴う片頭痛に悩まされ、「体の歪み」に片頭痛発作の引き金があることに気付いて、当初は整体師さんの指導を受け、この指導を毎日忠実に守り・実行することによって片頭痛・閃輝暗点を一緒に改善されました。
このようにカイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々は「体の歪み(ストレートネック)」に対して施術され、閃輝暗点を改善されておられます。
こうしたことから、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々からは、トリプタン製剤やカルシウム拮抗薬「ロメリジン」などの薬物では治るはずはないと唾棄される現実があるようです。
私は「閃輝暗点」を伴う方々で、頸椎X線検査で「体の歪み(ストレートネック)」を呈する方々に対して、「体の歪み(ストレートネック)」を改善させることによって、閃輝暗点がどのようになるのかを検討してきました。
60歳以上の方で、若い頃、片頭痛の既往のない方で「閃輝暗点」を訴えて来院された方々を15例経験していますが、これらの方々全例に「体の歪み(ストレートネック)」を認め、同様に「体の歪み(ストレートネック)」の改善」のみで、「閃輝暗点」は消失しています。
これとは別に、若い世代の「閃輝暗点」を伴う片頭痛の場合も、当然「体の歪み(ストレートネック)」を伴っておられる方々に『「体の歪み(ストレートネック)」の改善』を行わせますと、前兆である「閃輝暗点」がまず消失してから片頭痛が改善されていくという経過をとっています。
このような成績をみますと、閃輝暗点出現時の血流低下の状態をSPECTもしくはMRIで確認されますが、これは”閃輝暗点出現時”の”結末”を観察しているに過ぎないと考えるべきもので、あくまでもその引き金となるものは、頸部の異常な筋緊張”「体の歪み(ストレートネック)」”にあるものと考えるのが妥当と思われます。
そして、片頭痛発症当初は、発作の程度も頻度も少ないのですが、これが結婚を契機として出産・育児を経験することになり、これまでの生活習慣は一変します。具体的には、睡眠時間が、育児に際して、十分に確保できなくなることを意味しています。片頭痛の場合、睡眠時間が確保できませんと、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、ひいてはセロトニン不足に繋がってきます。根底にあるストレートネックは経験的に30歳までに改善させませんと、固定化してきます。こうしたことから、概して女性の場合、30歳を超えてきますと、とたんに頭痛の頻度も増え、程度も酷くなってきます。
40 歳を超えた方々は・・
女性の場合、家族・夫婦間および職場でのストレスなどの”さまざまなストレス”が加わることにより、「脳内セロトニン」不足が持続することになります。
このため、皆さんのなかで、40 歳を超えてから片頭痛が一段と増悪してきて、お困りの方々も多いのではないでしょうか?
40 ~ 50 歳代では、解糖系からミトコンドリ系への移行が強くなります。
この時期では、女性ホルモンの一つ、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が減ってきて、やがて分泌されなくなります。こうした体の変化がホットフラッシュ(のぼせ)・ほてり・発汗・イライラ、うつ症状といった更年期の症状(更年期障害)を引き起こしていると考えられています。
この時期は、エストロゲンの分泌低下に伴って、ミトコンドリアの働きを悪くする活性酸素の増加してきます。エネルギー産生系も解糖系とミトコンドリア系のバランスがとりにくい時期に相当します。
生理時に片頭痛が起きれば、どなたでも毎月のことであり、さほど気にされない方も多いのではないでしょうか?(生理時の片頭痛で困る場合は、トリプタン製剤が余り効かない場合に問題にされる場合ぐらいでしょうか)
ところが、40 歳を超えてから片頭痛が一段と増悪してくる場合は、悲惨な方々が極めて多いのが特徴です。このように至る理由は、いろいろあります。
それは、生理時の片頭痛では、市販の鎮痛薬が初めは効くため、そのまま続行され、これが服用回数が次第に増えることによって、片頭痛が増悪することがよくあります。
これは、薬剤乱用頭痛に至って、増悪してきます。
ところが、このような市販の鎮痛薬でなく、トリプタン製剤を頻回に服用することによっても起きてきます。これまで、トリプタン製剤が片頭痛の特効薬とされ、これを発作時に毎回服用しさえすれば、片頭痛は治ってしまい、さらにパニック障害やうつ状態、冷え性までが改善され、将来的には脳過敏症候群や脳梗塞が予防できるとされ、まさにトリプタン製剤は”万能薬”とまでされることから、皆さんは、ただひたすら片頭痛発作時に服用することによって、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛に陥いられ、人生最悪の頭痛地獄に陥入り、苦労されている方々も増えてきています。
こういったことから、市販の鎮痛薬やトリプタン製剤を服用して、頭痛さえ治まれば安心・安閑としていてはなりません。必ず、後々ツケが回ってきます。
40 歳を超えてきますと、コエンザイムQが低下してくることによって、ミトコンドリアにおいてエネルギーが十分に産生されなくなってきます。特に脂質です。
脂肪は燃焼するには、まず、燃えやすい遊離脂肪酸に変化し、血液の中に流れ出します。そして、各細胞内のミトコンドリアへと流れていきます。遊離脂肪酸は”L-カルニチン”・コエンザイムQがないと、ミトコンドリアの中に入ることができません。
この2つが不足すれば、脂質は燃焼されないことになります。
このため遊離脂肪酸が血中に高濃度になり、片頭痛を引き起こすことになります。
体の中で消費されずに貯まった脂肪分は、プロスタグランジンの原料になります。体の中には脂肪分が余っていますから、プロスタグランジンも多く作られてしまいます。
緊急時には、細胞が脂質を分解して、私たちの体を守る物質を作ってくれます。
例えば、私たちの体に病原菌などが感染してしまったとき、病原菌が感染した周囲の細胞からプロスタグランジンやロイコトリエンという物質が、細胞膜の脂質から作られます。 プロスタグランジンやロイコトリエンは、病原菌を退治してくれる白血球という細胞を病原菌が感染した部位に集める役割を持ちます。オメガ6からのアラキドン酸が問題です。
このようにして、片頭痛が出現しやすくなります。
さらに、この年齢では抗酸化物質であるスーパー・オキサイド・ディスムターゼ SODの産出能力は25歳から下降しはじめ、40歳を過ぎて急速に低下してきます。このようなことから活性酸素が過剰に残存することによって、ミトコンドリアの機能は低下します。
過剰に残存する活性酸素が片頭痛発作の原因にもなってくるため、発作は増強してくることになります。コエンザイムQも同様です。
さらに、「体の歪み(ストレートネック)」も片頭痛の増悪要因になってきます。
こうした時期になると、鎮痛薬やトリプタン製剤の服用も月に10回を超えるようになり、これがさらに「化学的ストレス」となって(見方を変えれば、鎮痛薬やトリプタン製剤も私達の体には異物です。異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程でも、活性酸素が発生してしまうのです。このため発作を起こりやすくします)、益々「脳内セロトニン」低下を倍増させてきます。これに対して抗てんかん薬(特に、デパケンは注意が必要です)を追加されることにより、一時的には発作回数は軽減されることはありますが、長期間連用しますと今度は「ミトコンドリア」を弱らせる結果、さらにトリプタン製剤の服用を減らすことができなくなるといった”泥沼の状態”を引き起こしてきます。
まさにエンドレスの状態に至ってしまいます。さらに、更年期を過ぎてきますと、若い頃のように血管の”しなやかさが失われ”反応性も乏しくなり、片頭痛本来の拍動性頭痛でなく、緊張型頭痛のような鈍い頭痛に変化してきます。これは、体の歪み(ストレートネック)がそのまま持続しているためです。
このため、頭痛に加えて、イライラ、不眠、めまいなどの不定愁訴が加わってきます。
これが、東京女子医科大学脳神経外科の清水俊彦先生が提唱される「脳過敏症候群」そのものであり、東京脳神経センターの松井孝嘉先生の提唱される「頸性神経筋症候群」に相当します。
こうしたことから、うつ状態・めまい・冷え性等々のさまざまな”共存症”を合併することになります。これは「脳内セロトニンの低下」によるもので、こうした時期には同時に、本来は痛くない刺激を痛みと感じる”アロディニア(異痛症)”が出現してくることになります。
また、片頭痛発作が天気・低気圧に左右され、寝過ぎで発作が誘発されやすかったりと多彩な症状を呈してくることになります。
男性の場合は、「体の歪み(ストレートネック)」に加えて、食生活の問題から「ミトコンドリアの働き」が悪くなり、これに生活習慣の不規則により、また仕事上のストレスが重なることによって「慢性的な脳内セロトニンの低下」が引き起こされることによって、片頭痛へと発症していきます。生理周期がないだけのことです。
根底にはストレートネックが存在します
このように、慢性頭痛発症の根底には、まず、体の歪み(ストレートネック)が存在します。
このストレートネックは早い人では子供の頃から既に存在します。遅い場合は、前屈みの姿勢を強いられる作業環境に置かれ続けた場合、後天的にも形成されてくることになります。こうした方々は、片頭痛の発症時期は当然遅くなってきます。30歳以降に発症してくることも多いように思われます。
また、ムチウチの事故に遭遇しますと、その後、ストレートネックが形成・増悪してきて、このために緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛のいずれの形でも頭痛が引き起こされてきます。しかし、国際分類では、ムチウチ後7日までに出現しませんとムチウチとの関連性は否定されます。しかし、現実には、ムチウチ後、かなり時間が経過してからムチウチと同じ症状が出現してくることは日常茶飯事ですが、この点は、国際分類では極めて曖昧な形になっています。これは、頭痛と頸椎病変に関する取り決めが極めて曖昧なことによります。こういう点から、ムチウチからストレートネックが形成されてくるという松井孝嘉先生の主張を頭痛専門医は全く受け入れることなく、片頭痛の”慢性化の治療不可能な要因”として”頭部外傷・頸部外傷”を挙げています。これは余談ですが・・
また、群発頭痛の場合、最初は片頭痛のようなパターンをとりながら、ある時期から群発頭痛へ移行したり、片頭痛と群発頭痛との間を行ったり来たりする場合も経験されます。 群発頭痛は「体内時計」の乱れによって起きてくることが従来から指摘されています。 体内時計は、ミトコンドリア、セロトニンと関係があります。こうして考えれば、緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛の慢性頭痛は、一連のものと考えなくてはなりません。
60 歳以降では・・
60 歳以降では、解糖系がほとんど機能しなくなるため、本来であれば(トリプタン製剤が片頭痛治療の世界に導入される以前の時代では)、片頭痛は自然に消滅していました。
このため、緊張型頭痛だけが残存します。これは、体の歪み(ストレートネック)が存在し続けることによるものです。
ところが、片頭痛治療の世界にトリプタン製剤が導入されて、これを発作の都度頻繁に服用することによって、ミトコンドリアの機能を悪化させることによって、なお解糖系のエネルギー・システムが残存することによって、片頭痛が継続してきます。なかには 70 歳過ぎても発作に苦しめられる場合もあります。
このようにトリプタン製剤が導入されて以降様相が変化してきています。
頭痛と「体の歪み」のエビデンスは、なぜ確立できないのか
頭痛と「体の歪み(ストレートネック)のエビデンスを確立をめざして・・
平成24年4月14日に第19回関西頭痛懇話会において、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」のエビデンスの確立を目的として”話題提供”のための発言を行おうとしましたが、時間の都合で、樋口真秀先生(同年1月に急に亡くなられたため)追悼の辞を述べる際の”1分間”の発言しか許可されませんでした。しかし、これまでも述べてきましたように、「体の歪み(ストレートネック)」はたったの30秒前後では説明しきれないものです。 それは、慢性頭痛に付随して多くの病態が関わっていると思えるからです。ところが皮肉にもその時の懇話会の特別講演の演題として「片頭痛、不思議で・神秘的な病気」が1時間割かれていました。
まさに専門家にとっては、片頭痛とは不思議で・神秘的な頭痛でしかないようです。
私からすれば、1時間あっても説明しきれないほどの内容であり、片頭痛とは不思議で・神秘的な頭痛とされる頭痛を白日のもとに曝して、何ら不思議でも何でもない頭痛であることを明確にするためのものであり、到底30秒前後の発言では到底説明は不可能でした。 しかし、世話人会の反対にあい、結局、このため日の目を見ることはありませんでした。
こうした理由から、平成25年11月には、「片頭痛治療の考え方・進め方」(文芸社)を出版することによって、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」のエビデンスの確立を呼びかけて参りました。
いずれにしても、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」のエビデンスの確立さえすれば、慢性頭痛の病態は一挙に解明に向けて道が開けてくると考えたからです。
ただ、問題は、片頭痛を”多因子遺伝”と考えることなく、単一遺伝子から生じるものがあることから、すべて単一遺伝子による”遺伝的疾患”であるかのごとく考え、さらに「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛研究の”絶対的な基準”と考える限りは、永久に片頭痛の病態そのものは解明されることはないと考えます。
それでは、なぜ確立できないのでしょうか???
私は、頭痛診療には頸椎X線検査が必須の検査項目と考えることから、全員に行っていました。この際、X線テレビ装置で、脊柱全体を透視し、その走向を確認して行っていました。
頸椎X線検査を行う際には、必ず6方向撮影を行うことを原則としていました。すなわち、正面像、中間位側面、前屈位、後屈位、斜位左右の合計6方向です。
撮影のポイントは、正面像を撮影後、横を向いて貰う際のタイミングです。無意識に横を向いた直後に、「中間位側面」の撮影を行うことです。この理由は、無意識に横を向いた直後に撮影を行うということは、いつも習慣的に患者さんが取っている姿勢を意味しています。これを、「真っ直ぐ、横を向いて」と声をかけることによって、患者さんは意識的に正しい姿勢を取ろうとして、いつも取っている姿勢を矯正され、本来の状態が把握できなくなり、誤診のもとになってしまいます。
さらに、前屈位を撮影する際に、軽く患者さんの頭を押さえて・前屈させるように誘導し、湾曲の状態を動的に把握する必要があります。
斜位を撮影する際には、椎間孔がきちんと見えるように撮影しなくてはなりません。
そして、最後に、中間位側面像でストレートネックがあれば、正面に戻して、左右の鎖骨の走向を確認し、左右の鎖骨が水平に位置しておれば、さらに撮影を追加します。
忘れてならないことは、脊柱の走向を透視しながら、頸椎・胸椎・腰椎と辿ってみることで、「体の歪み」の状態のありのままを観察し、これが欠かせないものになっています。
以上のような撮影は、少なくとも操作室からの撮影では無理なことであり、撮影室内でレントゲン台の横で患者さんの隣でなければ撮影することは不可能です。
このようなことをしておれば、レントゲンの被爆量も馬鹿にはなりません。
しかし、こうした撮影方法を経て、「体の歪み(ストレートネック)」の診断基準が確立されてきました。
そのポイントは正面像から側面像の中間位撮影を行う際に、ただ単に横向きになってとだけ、指示することです。決して、「真っ直ぐ、横を向いて」と声をかけることなく、自然に撮影していくことです。この理由は、無意識に横を向いた直後に撮影を行うということは、いつも習慣的に患者さんが取っている姿勢を意味しています。これを、「真っ直ぐ、横を向いて」と声をかけることによって、患者さんは意識的に正しい姿勢を取ろうとして、いつも取っている姿勢を矯正され、本来の状態が把握できなくなり、誤診のもとになってしまいます。
さらに、前屈位を撮影する際に、軽く患者さんの頭を押さえて・前屈させるように誘導し、湾曲の状態を動的に把握する必要があります。ストレートネックが固定化することによって、前屈させるように誘導することにより、頸椎が謂わば、棒状に1本になって傾いてくるようになってくるということです。
このように、体の歪み(ストレートネック)の早い段階では、この無意識にとっている姿勢異常を見逃さないことが要点です。この段階でも、後頸部の筋肉の圧痛点を同時に確認することが極めて重要になってきます。あくまでも動的であり、可逆性が保たれています。ところが、偉い・偉い雲上人とされる頭痛専門医の方々は、自分の手を汚してまで、レントゲンを被爆してまで、自ら頸椎X線検査を撮影されることはありません。撮影することがあっても、すべてレントゲン技師任せでしかされることはありません。
ということは、肝心要の動的な部分が欠如することになります。さらに、X線テレビ装置で技師さんは撮影することはありません。また、一般開業医であれば、必ずしも、X線テレビ装置を持っているとは限りません。
ここに、専門家と一般素人とされる医師の見解の相違があることを忘れてはなりません。
このように極めて大切なことをレントゲン技師任せにして、”エビデンス”がないと宣われていることを皆さんは知っておく必要があります。
慢性頭痛患者さんへの頸椎X線検査は必要ないのか
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-11945049754.html
「体の歪み(ストレートネック)」という表現は適切なのか
また、この調査中に関西頭痛懇話会の会員の先生方100名に無作為で「頭痛患者への頸椎X線検査」を行うかどうかのアンケート調査を行いましたが、このなかで、多くの頭痛専門医の方々は、「国際頭痛分類 第2版」の改訂以降、頭痛と頸椎病変は無関係という結論が出ていることから、無駄な調査・研究はすべきではないとの忠告をお受け致しました。
ストレートネックとは、7個の椎骨で成り立っている頸椎のうちの5番、6番、7番の頸椎のカーブがなくなってしまうことが、その頸椎変化の最初の所見です。ゆるやかに湾曲しているはずの頸椎のカーブが消失し、まっすぐになってしまっていることを指します。ということは、最終的に、頸椎が、あたかも1本の棒のようになったとしても、ストレートネックとは個々の頸椎自体には何ら異常な所見を認めることはありません。
このような頸椎の”病変??”は、「国際頭痛分類 第2版」には記載されてはいません。
ですから、「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛診療および研究の絶対的な基準とされる専門医にとっては、このようなストレートネック自体は、存在しないことになっています。 この世に存在しないもののエビデンスを確立することなど、あり得ないと思われているということであり、このため、無視されているということです。
ということは、これまで「体の歪み(ストレートネック)」という表現を、単純に「姿勢の悪さ(うつむき姿勢・猫背)」といったように変更すれば広くコンセンサスが得られるように思っております。
ここで、コマーシャルです。
頭痛が気になったら・・以下へアクセス
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12707523368.html