1977年に オフィシャル・アルバム 『 Animals (アニマルズ) 』 のリリースに伴い,プロモーションを兼ねて 1977年1月23日ドイツはドルトムントのウェストファーレンハレ公演から 「 In The Flesh Tour (通称:Animals Tour 」 と題した大規模なツアーを開始した ピンク・フロイド(Pink Floyd).

 「 In The Flesh Tour 」 の北米ツアーは,1977年4月22日フロリダ州マイアミのマイアミ・ベースボール・スタジアム公演から開始され,5月12日フロリダ州ポートランドのメモリアル・コロシアム公演までの 1st レグと,間に一ヶ月のブレイクを挟んで,6月15日ウィスコンシン州ミルウォーキーのカントリー・スタジアム公演から7月6日カナダのスタッド・デ・パルク・オリンピック公演までの 2nd レグに分けて行われ,既に行われていた欧州ツアー同様に,セット・リストとして第一部が 『 Animals (アニマルズ) 』,第二部が 『 Wish You Were Here (炎~あなたがここにいてほしい~) 』 の完全再現で構成され,アンコールとして 『 The Dark Side Of The Moon (狂気) 』 収録の "Money" あるいは "Us And Them" (:5月9日のみ "Careful with That Axe, Eugene",7月6日のみ ”Drift Away Blues” = "Blues")が演奏されています.

 本CD は,1977年4月22日フロリダ州マイアミのマイアミ・ベースボール・スタジアム公演から開始された北米ツアーの 1st レグから,1st レグ終盤に 2夜連続(5月9日,10日)で行われたカリフォルニア州オークランドのアラメダ・コロシアム公演の初日(5月9日)のオーディエンス録音を収録し Sigmaレーベルよりリリースされた 『 Ultimate Oakland (Sigma 287) 』 で,1974年6月22日以来演奏されていなかった ”Careful with That Axe, Eugene” が,ロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)在籍時のピンク・フロイド(Pink Floyd)としては,最後に演奏された日でもあります.

 元々,1977年の北米ツアーにおける高音質なオーディエンス録音の公演日として有名で,既発でも
Siréneレーベルから 2005年に 『 Oaklands (Siréne-055) 』,後継の Sigmaレーベルからも 2007年に 『 Oakland (Sigma 2) 』, 2009年には 『 Definitive Oakland (Sigma 37) 』,2015年には 『 Oakland 1977 1st Night (Sigma 124) 』,2017年には 『 Definitive Oakland 1977 (Sigma 190) 』 が,リリースされていますが,今回は,同週にリリースされた 『 Ultimate Millard (Sigma 286) 』 と同様に Graf Zeppelinレーベルでのリマスターを施したものです.

 それにしても 「 Definitive 」 シリーズの後は,「 Ultimate 」シリーズですか.こちらもシリーズ化され,既発のリマスター盤が出てきそうですね.

 メーカー情報では
 『伝説録音をブラッシュアップする復刻シリーズの最新弾。“IN THE FLESH Tour”の最高傑作を「GRAF ZEPPELIN」による高精度マスタリングで磨き込んだ究極盤が永久保存プレス3CDで登場です。

【フロイドの一時代を象徴してきた超・名録音】
 そんな本作に記録されているのは「1977年5月9日オークランド公演」。その伝説的オーディエンス録音です。
 本稿に目を留められた方なら恐らくは何かしらの既発をお持ちであろう定番中の大定番なわけですが、ライヴアルバムという「点」がツアーという「線」のどこにあるのかは意外と浸透していない事もある。良い機会ですので、『ANIMALS』時代の略歴でポジションも確かめておきましょう。

 《1月21日『アニマルズ』発売》
 ・1月23日ー2月4日:欧州#1(9公演)
 ・2月17日ー3月1日:欧州#2(11公演)
 ・3月15日ー31日:英国(9公演)
 ・4月22日ー5月12日:北米#1(12公演)←★ココ★
 ・6月15日ー7月6日:北米#2(14公演)

 これが1977年のPINK FLOYD。“WISH YOU WERE HERE Tour”はツアー終了後にアルバムが出ましたが、『ANIMALS』は発売後にツアー開始。春先までの欧州ツアーと、その後の北米ツアーで構成されていました。
 北米ツアーは約1ヶ月のオフをはさんで二分されており、本作のオークランド公演は前半の終盤。「北米#1」の10公演目にあたるコンサートでした。
 このショウは“IN THE FLESH Tour”でも格別の知名度を誇る象徴公演なのですが、その要因は何と言っても超・名録音が残された事に尽きる。そのクオリティと既発の豊富さはFM放送にも匹敵し、歴史の歩みと共に進化。当店でも『OAKLAND』『DEFINITIVE OAKLAND』『OAKLAND 1977 1ST NIGHT』といった歴代の既発群が各時代の最先端・最高峰サウンドを更新してきました。本作は、その2021年版なのです。

【偏執狂レベルの高精度マスタリング】
 そんな本作のコンセプトは高精度マスタリング。同時リリースとなる『ULTIMATE MILLARD(Sigma 286)』でも同じでしたが、この録音もすでに大元マスターが発掘済み。ジェネ的なアップグレードは物理的に行き止まりになっており、ステージは「磨きの違い」に移っている。そして、本作ではヴィンテージ録音のアーカイヴに定評ある「GRAF ZEPPELIN」がマスタリングを担当。これまでにない精度の磨き込みを行っているのです。
 もちろん「磨き」は「加工」ではありません。むしろ、その逆の方法論で貫かれている。その方法論を言葉にするなら「現場音の再現」。リマスターというと原音をイジくり回して耳障りを派手にするケースもありますが、当店ではそういう無粋なマネは御法度。あくまでもマスター自体が保持してきた鳴りを重視し、ピッチ/位相のズレやテープ自体の物理的劣化など、「乱れ」を補整していく。言わば、絵画の修復作業に通じる方法論に徹しているのです。
 そして「GRAF ZEPPELIN」は莫大な作業量に裏打ちされた精度がズバ抜けている。ピッチ補整では数%のズレも見逃さず、マスター劣化で生じるランダムな変化にも対応。プチノイズも耳の聴覚と目の波形というダブルチェックを数十回繰り返し、位相ズレの修正は1/1000秒まで追究している。例えば、本作の「ユージン」。当店の『OAKLAND 1977 1ST NIGHT』は既発群の中でも最高峰として知られてきましたが、それでも「ユージン」の位相が微妙にズレており、ピッチも1%(!!)高かった。波形編集の経験がある方ならピンと来ると思いますが、1%のズレは人間の聴覚では判別できない次元(位相ズレの方はステレオ感の微妙な違いで認識できるかも知れません。既発をお持ちの方は本作と聴き比べてみてください)。しかし、本作は「分からないから放置」ではなく、「一見見えない塵も積もれば山になる」の発想で補整。そこまで徹底追究しており(誤解を恐れずに言うなら)やや偏執気味とさえ言える執念が滲むマスタリングなのです。

【「良い音」よりも上の次元に存在する「現場の音」】
 そしてもう1つ重要なのは、最終目標が「(聞こえの)良い音」ではなく「現場の音」であること。もちろん、音楽作品として「良い音」を追究しているわけですが、微妙な最終判断は歴史考証の次元で下している。つまり、単純に1つの録音を磨くのではなく、長年に渡ってPINK FLOYDの……もっと言えば、FLOYD以外の70年代のあらゆる記録を手掛けてきた知識と経験を活かしている。例えば、本作は原音からホンの僅かに低音をブーストされていますが、それも「1977年の機材ならこういう出音」「この会場ならこれくらい響く」まで検証した上での判断です。
 そして、この判断に好みを挟まない。公式/非公式を問わず、世の中の大多数のマスタリングが「エンジニアのセンス」頼みなわけですが、それに対してGRAF ZEPPELINはあくまで「理詰め」。つまり、本作に詰まっているサウンドは「作業人のエゴ」を排除し、「史実への飽くなき探究心」を最優先した結果たどり着いたものなのです。
 グダグダと細かい話に終始してしまって恐縮至極です。
 しかし、今さら1977年のオークランド録音に対して「オーディエンス録音の常識外」「まるでオフィシャル作品」と書き立てても何の参考にもならないでしょう。本作が立つ地平、そこにたどり着くまでの工程をご紹介するためには、ここまで緻密で重箱な話が必要だったのです。
 逆に言えば、この次元の違いに価値を見出して頂ける方こそ、本作の真価を体感して頂ける。そんな究極超えの究極盤。永久保存のプレス3CDで存分に味わい尽くしてください。

 ★「1977年5月9日オークランド公演」の伝説的オーディエンス録音。長年に渡ってアップグレードを繰り返してきた“IN THE FLESH Tour”の象徴録音ですが、本作はその2021年版。大元マスターをベースに「GRAF ZEPPELIN」による入魂のマスタリングを実施。ピッチ補整では1%のズレもランダムな変化にも対応し、位相ズレの修正は1/1000秒まで追究。人間の聴覚では判別できない乱れでも、「分からないから放置」ではなく「一見見えない塵も積もれば山になる」の発想で補整しています。また、各作業のさじ加減は時代考証で決定され。エンジニアの好みではなく「1977年ならこういう出音」「この会場ならこれくらい響く」という理詰めで追究。それこそ絵画修復と同じ視点/次元で磨き上げられた文化遺産アルバムです。』

Ultimate Oakland (Sigma 287)
 
 Live At Alameda Coliseum,Oakland,CA,USA 09th May 1977
 [UPGRADE]

  Disc 1
   01. Sheep
   02. Pigs On The Wing Pt. 1
   03. Dogs
   04. Pigs On The Wing Pt. 2
   05. Pigs (Three Different Ones)
   TOTAL TIME (51:53)

  Disc 2
   01. Shine On You Crazy Diamond Pts. 1-5
   02. Welcome To The Machine
   03. Have A Cigar
   04. Wish You Were Here
   05. Shine On You Crazy Diamond Pts. 6-9
   TOTAL TIME (56:21)

  Disc 3
   [Encores]
   01. Money
   02. Us And Them
   03. Careful With That Axe, Eugene
   TOTAL TIME (29:22)

 Dogs
 
 Have A Cigar
 
 Careful With That Axe, Eugene
 

[参考]
 Poster
 

1977 North American Tour
 April
  22 Miami Baseball Stadium,Miami,FL,USA [30]
  24 Tampa Stadium,Tampa,FL,USA [31]
  26 The Omni Coliseum,Atlanta,GA,USA
  28 Assembly Center,Louisiana State University,Baton Rouge,LA,USA [33]
  30 Jeppesen Stadium,University Of Houston,Houston,TX,USA [35]

 May
  01 Tarrant County Convention Center,Forth Worth,TX,USA [34]
  04 Veterans Memorial Coliseum,Phoenix,AZ,USA
  06 Anaheim Stadium,Anaheim,Los Angeles,CA,USA
  07 Anaheim Stadium,Anaheim,Los Angeles,CA,USA
  09 Alameda Coliseum,Oakland,CA,USA
  10 Alameda Coliseum,Oakland,CA,USA
  12 Memorial Coliseum,Portland,OR,USA

 June
  15 County Stadium,Milwaukee,WI,USA
  17 Freedom Hall, Louisville, KY, USA
  19 Super Bowl of Rock 'n' Roll,Soldier Field,Chicago,IL,USA
  21 kemper Arena, Kansas City,MO,USA
  23 Riverfront Coliseum,Cincinnati,OH,USA
  25 World Series of Rock,Municipal Stadium,Cleveland,OH,USA [46]
  27 Boston Garden,Boston,MA,USA [48]
  28 Spectrum Theater,Philadelphia,PA,USA
  29 Spectrum Theater,Philadelphia,PA,USA

 July
  01 Madison Square Garden,New York City,NY,USA
  02 Madison Square Garden,New York City,NY,USA
  03 Madison Square Garden,New York City,NY,USA [53]
  04 Madison Square Garden,New York City,NY,USA [54]
  06 Stade du Parc Olympique,Montréal,Québec,CANADA [61]







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#2021-09-21