ピンク・フロイドとして有りそうで無かった企画ものの登場です.
 過日,レッドツェッペリンの1973年北米ツアーのコンピレーション・アルバム 『 1973 U.S. Tour Compilation (No Label) 』 がリリースされたのは割と記憶に新しいところですが,今回はピンク・フロイドの 1977年 「 In The Flesh Tour 」 の北米公演のコンピレーション・アルバムが Sigmaレーベルより 『 Best Of North American Tour 1977 (Sigma 218) 』 としてリリースされました.

 ピンク・フロイドは,1977年にアルバム 『 アニマルズ (Animals) 』 のリリースに伴い,1977年1月23日ドイツはドルトムントのウェストファーレン・ハレ公演から「 In The Flesh Tour (通称:Animals Tour) 」 と銘打った大規模ツアーを敢行します.

 「 In The Flesh Tour 」 の北米公演は,1977年4月22日フロリダ州マイアミのマイアミ・ベースボール・スタジアム公演から開始され,5月12日フロリダ州ポートランドのメモリアル・コロシアム公演までのファースト・レグと,間に一ヶ月のブレイクを挟んで,6月15日ウィスコンシン州ミルウォーキーのカントリー・スタジアム公演から7月6日カナダのスタッド・デ・パルク・オリンピック公演までのセカンド・レグに分けて行われ,既に行われていた欧州ツアー同様に,セット・リストとして第一部が 『 Animals (アニマルズ) 』,第二部が 『 Wish You Were Here (炎~あなたがここにいてほしい~) 』 の完全再現で構成され,アンコールとして "Money" あるいは "Us And Them" (:5月9日のみ "Careful with That Axe, Eugene",7月6日のみ ”Drift Away Blues” = "Blues")が演奏されています.

 本商品はコンピレーションものではあるものの,北米ツアーで演奏された全ての曲を網羅しており,初心者でも中々楽しめるのでは無いでしょうか.

 特に Disc 1 の最終トラックに収録されている ”Pigs (Three Different Ones)" の 17分台でロジャー・ウォーターズが大騒ぎするシーンも興味深く聴く事ができます.

 この企画ものは相応に売れているようで,
 「 7/8 ★ピンク・フロイド「BEST OF NORTH AMERICAN TOUR 1977」のナンバー入りシール・ステッカー付きは完売致しました。お問合せ多数の為、急遽20セット(No.121~140)を用意させて頂きました。
 後,1ヵ月程度で売り切れになりそうな予感..

 メーカー情報では
 『以前レッド・ツェッペリン1973年アメリカ・ツアーからベスト編集コンピレーションをリリースしたことがありましたが、フロイドでそうしたコンセプトというのが今まで存在しなかった。
 アルバムとステージの両方でトータル・コンセプトを大切にグループ故、マニアもそうしたコンピが思い付かなかったのでしょう。

 ところが昨年「Jimfisheye」を名乗るテーパーが、フロイドのライブ音源としては画期的なコンピレーションを制作してネット上に公開しています。それが今回限定プレスCDにてリリースとなる「Best Of North American Tour 1977」。
 今までフロイドではありそうでなかったコンセプトですが、Jimfisheyeは1977年のアニマルズ・アメリカ・ツアーから、彼が言うところの「a definitive 1977 tour album」作ろうとしたのは非常に的確な判断であるように思えます。
 このツアーではサウンドボード録音こそ発掘されていませんが、その代わりに「まるでサウンドボード」と呼びたくなるような極上音質のオーディエンス録音がゴロゴロしている。またツアー自体も端正に演奏していたヨーロッパからアメリカに移ったところで各人のプレイやロジャーの歌なども日によって違う表情を見せることが多く、フロイド初のライブ・ツアー・コンピレーションとして、これほど打ってつけな時期はありません。

 元になった音源はすべてベストのバージョンを厳選して採用。
 しかも三枚のディスクを使ってツアーですべて演奏された曲をセットリスト順に網羅しています。

 まず一枚目の大半を占めるのは永遠のエバーグリーン、オークランド。もはや説明がいらないほどアニマルズ・ツアーを代表する音源ですが、本録音は「Sheep」のイントロから唐突に録音が始まっていましたので、演奏開始前の様子はツアー最終日のモントリオールでパッチ。
 もちろん一枚のディスクの演奏をすべてオークランドのテイクで埋めてしまってはコンピレーションの意味がない。
 そこで一枚目のディスク、他の日が登場するのは何と「Pigs on the Wing (part 2)」のギター・ソロ。ここからモントリオールへと切り替わるのです。この編集にJimfisheyeが目指したであろうコンセプトが伺えます。オークランドの同曲はスノウィー・ホワイトがソロで弾き損じてしまった箇所(それもこの日の魅力だったのですが)があり、そこを隠蔽すべくモントリオールのテイクへと切り替えさせた。つまり、オフィシャルのライブ・アルバムのように複数のテイクを組み合わせて完成度の高いバージョンへと仕上げたのでしょう。
 そこから一枚目のディスクはモントリオールのままで終えますので、聞き慣れたオークランドのアニマルズ・セットがロジャー絶叫の「Pigs」のモントリオール・バージョンで幕を閉じるのが面白い。

 二枚目はアニマルズ・ツアーにおいて「セカンド・セットといえばコレ」というほどの名音源であるMSG二日目がメイン・フィーチャー。
 ところが「Shine On You Crazy Diamond (Parts I-V)」はJimfisheye がMSGだけでなくオークランドに5月のフォートワースまでも引用し、彼の目指すベストな状態へと仕上げられています。ということなら痛恨のカットが入ってしまった「Shine On You Crazy Diamond (Parts VI-IX)」の後半をどうするかと思いきや、4月のマイアミで補填するというユニークなセンス。

 そして三枚目に関しては、ここまで挙げてきたオークランド、モントリオール、そしてMSG二日目という三大音源を駆使した編集。特に「Us & Them」に至ってはオークランドとMSGで込み入った編集の仕上がりとなっていますし、ツアー最終日で締めくくりの演奏となった「Blues」に至っては、一つの演奏の中で複数のソースを組み合わせているのです。
 これによって観客に唾を吐き終え、すっかりイってしまったロジャーの独断でアンコールに演奏されたブルース・ジャムに他のメンバーや観客が困惑する様子をリアルに再現させようとしたことが伺えます。

 そうした入魂の編集によってJimfisheyeがまとめ上げたコンピレーションではありますが、その割に「Careful With That Axe, Eugene」や「Blues」はピッチが高い状態のまま収録されるという粗も散見されます。
 どちらもツアーにおける有名なワンオフ・パフォーマンスですので、それらのピッチの狂いを見逃したのは痛い。当然そうした問題もしっかりとアジャスト。
 もちろん目新しい部分や音質の向上がある訳ではなく、むしろ音源自体はこれまでにSireneやSigmaのアイテムによって極められた感のある有名オーディエンス録音ばかり。それでもなお、先に挙げた音源チョイスと編集の見事さも確かであり、全体を通して初心者からマニアまで非常に楽しめる、これぞアニマルズ・ツアー・アンソロジーと呼ぶに相応しい仕上がりは圧巻!

 ★貴重な1977年アニマルズ「IN THE FLESH」ツアーのワールド・ツアー・プログラムを復刻したレプリカ付き(全28ページ)』

Best Of North American Tour 1977 (Sigma 218)
 
 This Set Is Assembled To Be A Definitive 1977 Tour Album
  With Some Of The Best Performances From The North American 1977 Tour
  Featuring Consistent High Fidelity And Discreet Surround Sound
  As Heard At The Original Shows

  Disc 1
   1. Sheep [Montreal 7/6, Oakland 5/9]
   2. Pigs on the Wing (Part 1) (%1)
   3. Dogs (%1)
   4. Pigs on the Wing (Part 2) (%1), (&1)
   5. Pigs (Three Different Ones) (&1)
   TOTAL TIME (54:31)

  Disc 2
   1. Shine On You Crazy Diamond (Parts I-V) (%1), (@1), ($1)
   2. Welcome To The Machine ($1)
   3. Have A Cigar ($1)
   4. Wish You Were Here ($1)
   5. Shine On You Crazy Diamond (Parts VI-IX) ($1), (#1)
   TOTAL TIME (56:06)

  Disc 3
   1. Money ($1)
   2. Us And Them (%1),($1)
   3. Careful With That Axe, Eugene (%1)
   4. Blues (&1)
   TOTAL TIME (42:09)

  (#1) Miami Baseball Stadium,Miami,FL,USA 22nd April 1977
  (@1) Tarrant County Convention Center,Fort Worth,TX,USA 01st May 1977
  (%1) Alameda Coliseum,Oakland,CA,USA 09th May 1977
  ($1) Madison Square Garden,New York,NY,USA 02nd July 1977
  (&1) Stade Du Parc Olympique,Montreal,QC,CANADA 06th July 1977

 Pigs (Three Different Ones)
 
 Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
 
 Careful With That Axe, Eugene
 

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