1977年4月22日マイアミのベースボール・スタジアムより開始された北米ツアー．
本音源は，その北米ツアーの終盤に近い，6月27日マサチューセッツのボストンガーデン公演を収録した音源です．ボストンと言えば，ボストンを拠点に活躍していたテーパー，ダン・ランピンスキーが有名で，非常に高音質の録音を行っていますが，本音源はスティーブ・ホプキンスの録音です．そして，このホプキンス版には，カット部分があるので，その部分をランピンスキー音源で補填しているとの事です．
ランピンスキー版は，Sigmaレーベルより，過去に「Perfect End (Sigma 064)」が発売されていますが，ホプキンス版の方が録音した席がステージに近いのか，音が近くクリアで，サックス，ギターの音をはじめとして，すべての楽器の音が生々しく録音されて，聴きやすく仕上がっています．
本音源もCDタイトルに「Definitive」と付いているように，過去に「Boredom And Pain ((Sirene 159)」としてリリースされていましたが，1977年当時のフロイドはハードロックバンド的に騒々しい音を出している上に，各種の加工を行っていた事で，音に歪が出たり，聴きにくいものとなっており，且つ曲間のカットもありました．同様のテープで少しトリートメントを変更して聴きやすくしたのが，キャノンボール・レーベルの「Have A Cigar (CA-2004015/16)」です．今回のCDは，その辺をより自然にして，静と動のメリハリを付けると共に，カット部分も他音源を補填することで，より聴きやすくしています．
ホプキンス音源での欠落部分「Pigs On The Wing (Part 1)」の0分18秒～23秒の5秒間，「Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)」の10分25秒～14分55秒までの 4分30分は，ランピンスキー音源で補填することで，完全版の形を実現しています．ただ「Dogs」と「Pigs On The Wing (Part 2)」の曲間(TrackではDogsの16分55秒)に関しては補填されていません．逆に「Sheep」の曲前の冒頭部をランピンスキー音源でより長く補填しています．
ランピンスキーはフロイド以外にもリック・ウェイクマン等，かなりの公演を高音質で録音している事で有名ですが，中でもフロイドの1975年6月18日のボストン公演を録音した「Definitive Rave Master (Sigma 52)」が高音質で非常に有名です．ただランピンスキーも録音場所によっては，「Perfect End (Sigma 064)」のように少し音が遠い録音もあるんですね．そうは言っても他の録音者のブートに比較すれば，音質はかなり良いです．ただこの日の公演に関しては，ホプキンス録音に軍配が上がります．よって補填部分はどうしても音像が遠めになってしまうのは致し方ないです．
全体を通して，本音源には爆竹等の音が遠くに収録されているので然程気になりませんが，米国のファンは騒然としており，欧州のファンとは全然違いますね．
第一部の「Animals」セット．然程気にはなりませんが「Sheep」では，00分34秒から5秒程度，音像が遠くなります．遠くでは爆竹も聴こえ，また何故か 9分05秒の部分で左側チャンネルが一瞬オフになります．「Dogs」での 5分07秒からのギターが素晴らしい音で録音されています．また9分台後半から11分台のシンセサイザーも同様です．「Pigs (Three Different Ones)」の 4分50秒ではギルモアのミスピッキングがあります．また 7分13秒部分では，欧州ツアー初日の1977年1月23日ドルトムントのヴェストファーレン・ホール公演からの回数だと思われますが，搾り出すようにウォーターズがエフェクトのかかった声で「48」と呟きます．
第二部の「Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)は，ギルモアの突き抜けるようなギターが素晴らしく，続く「Welcome To The Machine」における 5分24秒からのシンセサイザーの音色と雰囲気は，SBD録音かと思わせる程です．また「Have A Cigar」冒頭のディストーションのかかったギルモアのギターも鳥肌もんです．そして 4分45秒で一気にゲインが落ちて，SE(：Sound Effect)で，ラジオからの音声が流れる部分も含めて素晴らしい出来です．(ちなみに，このSE部分は少し長めです) その後の「Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)」の 2分47秒から始まるギルモアのスライドは素晴らしく，空を翔るようなフレーズを弾き，17分12秒からの聴かせるギターも良い出来です．
そしてアンコールの「Money」となりますが，この「Money」は他の曲と比較すると前半部分で若干音が篭りますが，アンコールに伴って全体的に騒然としている中での録音で，マイク位置等が変更になったのかも知れません．途中から第二アンコールの「Us And Them」含めて，また高音質に戻ります．
この日は，アンコールの「Us And Them」が終了した後に，ランピンスキー音源を使用したSigma盤のタイトルにもなった「Perfect End」("Perfect End To A Perfect Day! Good Night. God Bless")とロジャーがMCで言っているように，ロジャーおよびフロイドにとっては完璧に近く会心の出来だったようで，それが本盤からも聴いて取れます．
ちなみに，ホプキンスは「Sony ECM-99A」と「Sony TC-158SD Cassette Deck」の組合せで，ランピンスキーは「Nakamichi CM-300 Microphones」と「Nakamichi 550 Tape Recorder」の組合せで録音したものです．
Definitive Boredom And Pain (Sigma 65)
Live At Boston Garden, Boston, Massachusetts, USA June 27th 1977
Disc 1
1. Sheep
2. Pigs On The Wing (Part 1)
3. Dogs
4. Pigs On The Wing (Part 2)
5. Pigs (Three Different Ones)
Disc 2
1. Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)
2. Welcome To The Machine
3. Have A Cigar
4. Wish You Were Here
5. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
6. Money
7. Us And Them
Pigs (Three Different Ones)
Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)
Have A Cigar
ちなみに，このCDの初回プレス分には，観客によって撮影され，8mmフィルムに記録されたフロイドのコンサートを70分間収録した「8mm」が添付されています．こちらは以前に「Pink Floyd 8mm Harvested Records (HRV DVD 009)」として発売されていたものと同様です．
8mm
Live At Hollywood Bowl, LA, USA 22 September 1972
Live At LA Sports Arena, LA, USA 27 April 1975
Live At Stadthalle Vienna, Austria 01 February 1977
Live At Anaheim Stadium, CA, USA 07 May 1977
Live At Olympiahalle Munich, GERMANY 01 March 1977
Live At Spectrum, Philadelphia, USA 29 April 1972
Hollywood Bowl 22 September 1972
Olympiahalle 01 March 1977
[参考]
North American Tour 1977
April 1977
22 Miami Baseball Stadium, Miami, FL, USA
24 Tampa Stadium, Tampa, FL, USA
26 The Omni Coliseum, Atlanta, GA, USA
28 Assembly Center, Louisiana State University, Baton Rouge, LA, USA
30 Jeppesen Stadium, University Of Houston, Houston, TX, USA
May 1977
01 Tarrant County Convention Center, Forth Worth, TX, USA
04 Veterans Memorial Coliseum, Phoenix, AZ, USA
06 Anaheim Stadium, Anaheim, Los Angeles, CA, USA
07 Anaheim Stadium, Anaheim, Los Angeles, CA, USA
09 Oakland Coliseum Arena, Oakland, CA, USA
10 Oakland Coliseum Arena, Oakland, CA, USA
12 Memorial Coliseum, Portland, OR, USA
June 1977
15 County Stadium, Milwaukee, WI, USA
17 Freedom Hall, Louisville, KY, USA
19 Super Bowl of Rock 'n' Roll, Soldier Field, Chicago, IL, USA
21 Kemper Arena, Kansas City, MO, USA
23 Riverfront Coliseum, Cincinnati, OH, USA
25 World Series of Rock, Municipal Stadium, Cleveland, OH, USA
27 Boston Garden, Boston, MA, USA
28 Spectrum Theater, Philadelphia, PA, USA
29 Spectrum Theater, Philadelphia, PA, USA
July 1977
01 Madison Square Garden, New York City, NY, USA
02 Madison Square Garden, New York City, NY, USA
03 Madison Square Garden, New York City, NY, USA
04 Madison Square Garden, New York City, NY, USA
06 Stade du Parc Olympique, Montréal, Québec, Canada
Boredom And Pain ((Sirene 159)
Have A Cigar (CA-2004015/16)
Perfect End (Sigma 64)
[関連記事]
「Pink Floyd － The Unpocessed Boston 1977 (Sigma78)」
本音源は，その北米ツアーの終盤に近い，6月27日マサチューセッツのボストンガーデン公演を収録した音源です．ボストンと言えば，ボストンを拠点に活躍していたテーパー，ダン・ランピンスキーが有名で，非常に高音質の録音を行っていますが，本音源はスティーブ・ホプキンスの録音です．そして，このホプキンス版には，カット部分があるので，その部分をランピンスキー音源で補填しているとの事です．
ランピンスキー版は，Sigmaレーベルより，過去に「Perfect End (Sigma 064)」が発売されていますが，ホプキンス版の方が録音した席がステージに近いのか，音が近くクリアで，サックス，ギターの音をはじめとして，すべての楽器の音が生々しく録音されて，聴きやすく仕上がっています．
本音源もCDタイトルに「Definitive」と付いているように，過去に「Boredom And Pain ((Sirene 159)」としてリリースされていましたが，1977年当時のフロイドはハードロックバンド的に騒々しい音を出している上に，各種の加工を行っていた事で，音に歪が出たり，聴きにくいものとなっており，且つ曲間のカットもありました．同様のテープで少しトリートメントを変更して聴きやすくしたのが，キャノンボール・レーベルの「Have A Cigar (CA-2004015/16)」です．今回のCDは，その辺をより自然にして，静と動のメリハリを付けると共に，カット部分も他音源を補填することで，より聴きやすくしています．
ホプキンス音源での欠落部分「Pigs On The Wing (Part 1)」の0分18秒～23秒の5秒間，「Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)」の10分25秒～14分55秒までの 4分30分は，ランピンスキー音源で補填することで，完全版の形を実現しています．ただ「Dogs」と「Pigs On The Wing (Part 2)」の曲間(TrackではDogsの16分55秒)に関しては補填されていません．逆に「Sheep」の曲前の冒頭部をランピンスキー音源でより長く補填しています．
ランピンスキーはフロイド以外にもリック・ウェイクマン等，かなりの公演を高音質で録音している事で有名ですが，中でもフロイドの1975年6月18日のボストン公演を録音した「Definitive Rave Master (Sigma 52)」が高音質で非常に有名です．ただランピンスキーも録音場所によっては，「Perfect End (Sigma 064)」のように少し音が遠い録音もあるんですね．そうは言っても他の録音者のブートに比較すれば，音質はかなり良いです．ただこの日の公演に関しては，ホプキンス録音に軍配が上がります．よって補填部分はどうしても音像が遠めになってしまうのは致し方ないです．
全体を通して，本音源には爆竹等の音が遠くに収録されているので然程気になりませんが，米国のファンは騒然としており，欧州のファンとは全然違いますね．
第一部の「Animals」セット．然程気にはなりませんが「Sheep」では，00分34秒から5秒程度，音像が遠くなります．遠くでは爆竹も聴こえ，また何故か 9分05秒の部分で左側チャンネルが一瞬オフになります．「Dogs」での 5分07秒からのギターが素晴らしい音で録音されています．また9分台後半から11分台のシンセサイザーも同様です．「Pigs (Three Different Ones)」の 4分50秒ではギルモアのミスピッキングがあります．また 7分13秒部分では，欧州ツアー初日の1977年1月23日ドルトムントのヴェストファーレン・ホール公演からの回数だと思われますが，搾り出すようにウォーターズがエフェクトのかかった声で「48」と呟きます．
第二部の「Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)は，ギルモアの突き抜けるようなギターが素晴らしく，続く「Welcome To The Machine」における 5分24秒からのシンセサイザーの音色と雰囲気は，SBD録音かと思わせる程です．また「Have A Cigar」冒頭のディストーションのかかったギルモアのギターも鳥肌もんです．そして 4分45秒で一気にゲインが落ちて，SE(：Sound Effect)で，ラジオからの音声が流れる部分も含めて素晴らしい出来です．(ちなみに，このSE部分は少し長めです) その後の「Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)」の 2分47秒から始まるギルモアのスライドは素晴らしく，空を翔るようなフレーズを弾き，17分12秒からの聴かせるギターも良い出来です．
そしてアンコールの「Money」となりますが，この「Money」は他の曲と比較すると前半部分で若干音が篭りますが，アンコールに伴って全体的に騒然としている中での録音で，マイク位置等が変更になったのかも知れません．途中から第二アンコールの「Us And Them」含めて，また高音質に戻ります．
この日は，アンコールの「Us And Them」が終了した後に，ランピンスキー音源を使用したSigma盤のタイトルにもなった「Perfect End」("Perfect End To A Perfect Day! Good Night. God Bless")とロジャーがMCで言っているように，ロジャーおよびフロイドにとっては完璧に近く会心の出来だったようで，それが本盤からも聴いて取れます．
ちなみに，ホプキンスは「Sony ECM-99A」と「Sony TC-158SD Cassette Deck」の組合せで，ランピンスキーは「Nakamichi CM-300 Microphones」と「Nakamichi 550 Tape Recorder」の組合せで録音したものです．
Definitive Boredom And Pain (Sigma 65)
Live At Boston Garden, Boston, Massachusetts, USA June 27th 1977
Disc 1
1. Sheep
2. Pigs On The Wing (Part 1)
3. Dogs
4. Pigs On The Wing (Part 2)
5. Pigs (Three Different Ones)
Disc 2
1. Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)
2. Welcome To The Machine
3. Have A Cigar
4. Wish You Were Here
5. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
6. Money
7. Us And Them
Pigs (Three Different Ones)
Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)
Have A Cigar
ちなみに，このCDの初回プレス分には，観客によって撮影され，8mmフィルムに記録されたフロイドのコンサートを70分間収録した「8mm」が添付されています．こちらは以前に「Pink Floyd 8mm Harvested Records (HRV DVD 009)」として発売されていたものと同様です．
8mm
Live At Hollywood Bowl, LA, USA 22 September 1972
Live At LA Sports Arena, LA, USA 27 April 1975
Live At Stadthalle Vienna, Austria 01 February 1977
Live At Anaheim Stadium, CA, USA 07 May 1977
Live At Olympiahalle Munich, GERMANY 01 March 1977
Live At Spectrum, Philadelphia, USA 29 April 1972
Hollywood Bowl 22 September 1972
Olympiahalle 01 March 1977
[参考]
North American Tour 1977
April 1977
22 Miami Baseball Stadium, Miami, FL, USA
24 Tampa Stadium, Tampa, FL, USA
26 The Omni Coliseum, Atlanta, GA, USA
28 Assembly Center, Louisiana State University, Baton Rouge, LA, USA
30 Jeppesen Stadium, University Of Houston, Houston, TX, USA
May 1977
01 Tarrant County Convention Center, Forth Worth, TX, USA
04 Veterans Memorial Coliseum, Phoenix, AZ, USA
06 Anaheim Stadium, Anaheim, Los Angeles, CA, USA
07 Anaheim Stadium, Anaheim, Los Angeles, CA, USA
09 Oakland Coliseum Arena, Oakland, CA, USA
10 Oakland Coliseum Arena, Oakland, CA, USA
12 Memorial Coliseum, Portland, OR, USA
June 1977
15 County Stadium, Milwaukee, WI, USA
17 Freedom Hall, Louisville, KY, USA
19 Super Bowl of Rock 'n' Roll, Soldier Field, Chicago, IL, USA
21 Kemper Arena, Kansas City, MO, USA
23 Riverfront Coliseum, Cincinnati, OH, USA
25 World Series of Rock, Municipal Stadium, Cleveland, OH, USA
27 Boston Garden, Boston, MA, USA
28 Spectrum Theater, Philadelphia, PA, USA
29 Spectrum Theater, Philadelphia, PA, USA
July 1977
01 Madison Square Garden, New York City, NY, USA
02 Madison Square Garden, New York City, NY, USA
03 Madison Square Garden, New York City, NY, USA
04 Madison Square Garden, New York City, NY, USA
06 Stade du Parc Olympique, Montréal, Québec, Canada
Boredom And Pain ((Sirene 159)
Have A Cigar (CA-2004015/16)
Perfect End (Sigma 64)
[関連記事]
「Pink Floyd － The Unpocessed Boston 1977 (Sigma78)」