ピンク・フロイドは,アルバム 『アニマルズ (Animals)』 のリリースに伴い,1977年1月23日ドイツはドルトムントのウェストファーレン・ハレ公演から「In The Flesh Tour (通称:Animals Tour)」 と銘打った大規模ツアーを敢行します.

 「In The Flesh Tour」 の北米ツアーは,1977年4月22日フロリダ州マイアミのマイアミ・ベースボール・スタジアム公演から開始され,5月12日フロリダ州ポートランドのメモリアル・コロシアム公演までのファースト・レグと,間に一ヶ月のブレイクを挟んで,6月15日ウィスコンシン州ミルウォーキーのカントリー・スタジアム公演から7月6日カナダのスタッド・デ・パルク・オリンピック公演までのセカンド・レグに分けて行われました.

 本CD はセカンド・レグ終盤に行われたニューヨークはマジソン・スクエア・ガーデン 4日間連続公演 (7月1日~4日) の 2日目にあたる 7月2日公演をオーディエンス録音で収録したもので,フロイド専門レーベルである Sigmaレーベルからのリリースです.

 本公演は,過去に The Swinging Pigレーベルより,セカンド・セットの一部を収録した 『Welcome To The Machine (TSP-CD-061)』,および Sireneレーベルから粗コンサート全編を収録した 『Prog King (Sirene-099)』,そのアッパー盤のテープを使用し, Sigmaレーベルより 『Day Of The Animals (Sigma 77)』がリリースされていますが,音像はハッキリしています.また公演前半に数箇所で聴こえる爆竹の音等もリアルに録音されており,トリートメントも含めて本公演のアップグレード盤と言えるでしょう.何と言っても音が安定しだす,セット2 を収録した Disc 2 部分が素晴らしい.

 それにしても米国の観客は爆竹を鳴らしたり,お祭り騒ぎですねぇ.ヨーロッパのファンとは大違いです.(笑)

 ツアー最終日(*)のモントリオール公演(1977年7月6日)では,Roger Waters が怒って,観客に唾を吐きかけたり,演奏が投げやりになったりもしますが,本公演はそのようなこともなく,演奏自体も素晴らしい出来です.そして既発 『Prog King (Sirene-099)』 では,中間部にカットのあった「Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)」は,前作 『Day Of The Animals (Sigma 77)』 で,同日のセカンド・ソースで補填し,全編ストレスなく聴くことを可能にしていましたが,今回も同様の手法で補填されており,全編ストレス無く聴くことができます.

(*)この日の様子は 『Spitting Incident (6 Source Mixed Edition) (Gift CDR)』 で聴くことができます.

 メーカー情報では
 『名録音・名音源というものはすべからくして数々のタイトルを生み出します。しかしどこかにマスターが存在している限り、ジェネを重ねたものはいつか後手に回る運命にあるものです。
 我らがピンク・フロイドの音源とてそれは逃れられず、ANIMALSツアーの最終章となる1977年7月2日、ニューヨーク・MSG公演4DAYSの2日目を超高品質オーディエンス録音で収録したあの名音源も、遂にその時がやってきた様です。本公演はこれまで 『PROG KING (Sirene-099)』 や、その飛躍的なアッパー版として親しまれてきた 『DAY OF THE ANIMALS (Sigma 77)』 がその最たる地位を獲得していましたが、つい先日、当Sigmaレーベルは独自のルートでそれらのタイトルに使われた真のマスターテープと接触する機会に恵まれました。
 元々この録音は77年北米ツアー屈指のものとしてファンにはお馴染みのものでしたが、その大元となるマスターカセットに記録されたサウンドとは一体どんなものなのか・・。広く知られた名音源であるが故にその想像は膨らむばかりでしたが、それは予想した通り、いや予想以上に秀逸過ぎる極上音質だったのです! そのストレートな高音の音抜けの良さ、近くて振幅の深い響き、スケール感満点の厚みと密度の高い重みを自然に出す中~低音の迫力は、一聴してその場に居たレーベル関係者全員を唸らせました。本作はこの真のマスターカセットから一切の劣化無く24bit / 96khzでデジタル・トランスファーさせたものとなっており、まさに当時会場で記録されたサウンドそのものが目の前に現れる驚きのアッパー版タイトルとなっているのです!!
 
 勿論、トリートメントと調整も細心の注意を払って施してあります。収録音は凄まじく上質でしたが全体的に或る程度のピッチの狂いやノイズの発生箇所がありましたので、そこは原音に影響を与えないよう丁寧な音像調整と補正を施してあります。また予め分かっていた 「Shine On You...Pt. 6-9」 後半のジャム部分のカット(※90分テープの反転箇所。12分30秒~13分43秒付近)は同日のセカンドソース音源で丁寧に補填し、本作も曲中の流れを途切らせずシームレスで聴き通せる様に仕上げてあります。これら原音の魅力を最高値で惹き出す仕上がりにしたのは、周知の通りこの日は演奏内容にも素晴らしいものがあるからです。
 最終日6日のモントリオールと違ってロジャーが怒ったり、ギルモアが演奏を放り出してPA卓から眺める事も無くショウを通して理想的なステージングをしていますが、それらが各既発盤以上のサウンドで出てくる興奮は計り知れません。まず 「Sheep」 ではエッジの効いたサウンドが立ち上がり、メタリックなギターサウンドに先導された曲がグイグイと推進力を上げてゆく様子が鮮やかに広がります。エコーの残響も淡い音まで拾っているうえ、リズムラインのタフな響きもこれまで以上にリアルな音で現れますので1曲目から深い聴き応えをお感じになること請け合いです。 「Dogs」 は3分22秒から入ってゆくツインギターの音色がどちらも非常に近く、お互いに蕩けるような旋律を官能的に響かせ合う様子がこれまで以上の解像度で飛び出してきます。またこの曲は静と動を繰り返す構造を取っていますが、静かな部分、つまり殆どリズムレスの中に見える微かな響きや弱音の単旋律、或いはその中から浮き上がってくるキーボードの広がり(※8分44秒~ほか)では、その湿り気のある響きが過去最高の艶と鮮明さを伴って現れるので、この時期のフロイドが持っていた音楽的な裾野の広さも確かな手応えで感じ取って戴けるでしょう。 「Pigs On The Wing Pt. 2」 では前半の静かな部分での透明度、及び後半で歌い出すギターの近さと解像度が向上している点に注目で、演奏というよりは音楽そのものがグッと近付いてくる興奮を味わって戴けると思います。「Pigs (Three Different Ones)」 は透明度を増した間近な音像が演奏に更なる具体性をもたらします。この日は6分40秒付近からSE(冒頭で出てくる豚の鳴き声?)が鳴っていたり、爆竹・パイロがいつになく大量に使われ終盤まで随所で炸裂するのも特徴ですが、これらの音も迫力の音で現れるため他日演奏との違いと興奮をより一層高めてくれる筈です。
 「Shine On You...Pt. 1-5」 も24bitデジタル変換ならではの濃密な音で音楽が流れます。ギターが出す曲の主題となる4つの音が少しずつ表情を変化させ、やがて音のグラデーションの中からまろやかな歌唱旋律が動き始める後半ではフロイドが(或いは、音楽そのものが)詞を解放するマジカルな瞬間を最高値で味わって戴けるでしょう。またこの日、ロジャーがやや早口で歌唱している印象がある 「Have A Cigar」 もこれまで以上に曲の構造がよく見えるサウンドで飛び出すのですが、これを聴くと掛け合ったり木霊したりという音響効果の狙いを曲が秘めていた事が伺え、この曲に対する新たな知見と可能性が感じられる音像も魅力となっています。「Wish You Were Here」 ではツインで鳴らされるアコギによる幅の広い響きが見事に浮き出し、その旋律がより純粋な美しさで輝いているのをお感じになるでしょう。コーラスのハーモニーと、それに続いて出てくるギターソロや素朴なエレキピアノの響きも素晴らしい輝きを放っていますので是非御注目下さい。「Shine On You...Pt. 6-9」 ではスライドギターの鋭い音色が縦横無尽に駆け巡る様子が質感高いサウンドで浮き上がります。主題への回帰後もまろやかに音楽が綴られ、響きの新たな出逢いを求める様なジャムが過去最高の音像で現れる様子にもアッパー感を感じて戴けると思います。尚、マスターに起因する曲後半の部分的なカット(※90分テープの反転箇所)については前述した通りで、シームレスに聴き通せるように仕上げてあります。「Money」は周囲の透明感が上がった事でボーカルに掛けられた弱めのエコーとその拡散が一層明瞭に聴いて取れるでしょう。音群移動装置による効果としてギターサウンドが近くなったり遠のいたりしている様子も伺えますが、収録位置が程好い位置にあったのか会場に響いていたであろう全体のサウンドを上方から俯瞰した様な音像で追えるので、その鳥観的な音の反響も更なる明瞭感を伴ってお愉しみ戴けます。「Us And Them」 も浮遊感漂う中で揺れ動くメロディラインが質の高い音像で耳に届き、彩りを与えているサックスも音域を広く動く様子が芯のある音色で出てきます。マスターにあった2分26秒~29秒にあった僅かな欠落も 「Shine On You...Pt. 6-9」 同様に同日のセカンドソースから補填し、流れを途切らせずに聴き通せるようになっています。

 真のマスターテープに記録された音像でその日の演奏を体験出来る喜びは、これまでジェネを重ねた音源でそれを長く体験してきた方であればこそ「やっと辿り着いた・・」という或る種の到達感のようなものがあると思います。勿論、既発盤を知らずに初めてこの音像に触れる方にとってもそれは目覚しい体験となりますが、しかしその日の録音ソースの頂点に触れる事により、音質の不鮮明さから生じていた演奏の抽象性をブレの無い具体的な音に変換する喜びは、これまでのソースの音を体験していればこそ思いもひとしおだと思うのです。これは今週末に本作と同時リリースされるもうひとつの77年代表作『OAKLAND 1977 1ST NIGHT (Sigma 124)』も同じで、どちらも「やっと辿りついた・・」という深い喜びの爪痕を聴く側に残してくれるタイトルとなっています。今週末は是非 『OAKLAND 1977 1ST NIGHT』と併せて、本作もお試し下さい。マスターカセットから24bitデジタル・トランスファーされた劣化の一切無い音像が、この公演の魅力を一から塗り替えてゆく驚きに立ち合える極上タイトルです。限定ナンバリングステッカー付き・美麗なオリジナル・ピクチャーディスク仕様で、大好評Sigmaレーベルより登場致します!!

 ★貴重な1977年アニマルズ「IN THE FLESH」ツアーのワールド・ツアー・プログラムを復刻したレプリカ付き(全28ページ)』

New York 1977 2nd Night (Sigma 125)
 
 Live At Madison Square Garden, New York City, NY. USA 2nd July 1977
 The 24 bit digital transfer from the original master cassette tapes

 Disc 1
  1. Sheep
  2. Pigs On The Wing (Part 1)
  3. Dogs
  4. Pigs On The Wing (Part 2)
  5. Pigs (Three Different Ones)
  TOTAL TIME (51:53)

 Disc 2
  1. Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)
  2. Welcome To The Machine
  3. Have A Cigar
  4. Wish You Were Here
  5. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
  6. Money
  7. Us And Them
  TOTAL TIME (72:49)

 Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)
 
 Have A Cigar
 


 「In The Flesh
  ツアー・プグラムのミニチュア・レプリカ
 
 

 本商品のナンバー入りステッカー付きに限って,ボーナスが付属しており、以下の 2点から選択する事ができます.

 マジソン・スクエア・ガーデン 4日間連続公演 (7月1日~4日)から

 初日に当たる 7月1日をオーディエンス収録した
  『New York 1977 1st Night ((Special Bonus 2CDR))

 3日目,4日目に当たる 7月3日,7月4日をオーディエンス収録した
  『Animal Cops (Sigma 30)
        or 『Animal Cops (Bonus CDR)

 1点目 の 『New York 1977 1st Night (Bonus CDR)』 ですが,プレスの『New York 1977 2nd Night (Sigma 125)』に比較すると,音質的には厳しいですが,録音された年代を考えれば,相応な音質ですし,まぁボーナスですから問題もありません.と言うか,耳がブートの音に慣れてしまっているので,気にならないと言った方が正解かと.(苦笑)
 ちなみにメーカー情報には "Sheep" の 3分32秒にカットとありますが,4分06秒の誤りです.また Disc 1 の Track 1 は "Introduction" として,Track が切られていますが,ジャケットには記載されていません.

 メーカー情報では
 『1977年「In The Flesh」ツアー、その最終章として、フロイド史に燦然と輝く、ニューヨークはマジソン・スクエア・ガーデン4デイズ。その歴史的公演の初日を初音盤化!
 7月1日のニューヨーク公演の圧巻の記録音源。音質は新作プレス盤に収録されたニューヨーク公演2日目の怒涛の超高音質と比べて数段劣る、地味目のサウンドと言えますが、音の鮮度・安定感は申し分なく、プレス盤を聴かずに、これを単体で聴けば、全く問題ない程の良質なサウンドでショウ全体を楽しむことができます(Sheepの3:32のカットは元からです。)。
 聴きどころのひとつに公演前に先立っての会場アナウンスがクリアーに収録されていることで、ここでは「花火、爆竹を絶対に使用しないように」と何回も繰り返し説明する様子をリアルに聴くことが出来ます。(ご存知の通り、連日・各所で派手な爆竹音が炸裂するわけですが)ツアー初のニューヨーク公演、しかもMSGとあって、メンバーの気合の入り方は尋常でないものがあったと思われますが、比較的手堅く演奏する様子にそういった気構えが伺われます。

 ショウは大成功したかに見えますが、アンコールの MONEY で「事件」起こります。
 ステージに再び姿を現したメンバーたち。サウンドチェックが鳴り響く中、ロジャーがマイクに向かって 「Thank you for coming」 とお礼の言葉を観客に告げます。ここまでは普通に挨拶のようですが、突如、ロジャーが異常なほどに怒り始めます。一言話したい、と前置きしてから、会場のマジソン・スクエア・ガーデンのライティング・スタッフを使うように強いた地元ユニオンと、会場のライティングスタッフによる最悪な仕事に対して、ロジャーが猛烈に抗議し罵倒を始めます。
 名指しで攻撃するヒステリックな様子はツアー中でも殆どみられなかっただけに、彼が相当、頭に来ていたことが察せられます。怒り狂うロジャーの言葉にレジスターのSEが重なり、普通にMoneyが演奏される様子も興味深く、最後の面白い聴きどころになっています。

 ★コンサートの内容につきましては、beatleg vol.41の「From The Underground 36」に素晴らしいレビューが載っていましたので、転載致しました。
 ぜひ、ご一読下さい。

「IN THE FLESH」 ツアー51日目、4日連続で行われたニューヨーク公演から初日の模様を収録。
 彼等の長い歴史の中でマジソン・スクエア・ガーデンでの演奏は、この4連続公演が最初で最後となっている。4日間全てに共通していることだが、威風堂々とした貫禄ある演奏内容は、長期間に及ぶワールド・ツアーの総決算と言えよう。
 しかし、ウォーターズはこれまで以上に外部からの干渉、特に花火のような爆発物を持ちこんでの演奏の進行を妨げるような観客に対して神経質になっており、苛立ちを押さえきれずにスラングを交えてヒステリックに叫ぶ姿が記録されている。
 
 さて、冒頭、花火などの爆発物を打ち上げないよう、スタッフが観客に対してアナウンスを行う。まるで 「The Wall Perfomrmed Live」 を思わせる光景である。その後、「Sheep」 の演奏が始まるが、手元の音源では間奏で若干カットがある (本盤の 3:32のことと思われます。)。「Pigs On The Wing」はイントロが始まると、観客から一斉に拍手が沸き起こる。ウォーターズのボーカルは終始穏やかだ。「Dogs」 はイントロに続いてギルモアのボーカルが始まると、本公演では初めてギルモアの肉声が聴こえてきたことで、大歓声が沸き起こる。曲後半のギルモアの2度目のギルモアのソロは、正規盤よりも倍の尺になっているが、その前半は低音部を活かしたフレーズで音を外さないように着実に音を置いていき、後半は正規盤と同じフレーズでソロをまとめる。そして終演直後、観客席から連続して爆発音が鳴り渡り、場内の観客から一斉にブーイングが起こる。「Pigs On The Wing Pt. 2」 は後半で、音数の多いテクニカルなフレーズをいくつも挟み込んだソロを披露する。「Pigs」 はウォターズのスクリーミングがかなりオン。ギルモアのギターは奔放で、ブレイクの部分も激しく歪んだギターでフレーズを埋めていく。ウォーターズのボーカルは音程も安定しており、表現力も豊かだ。ライトのシンセサイザーソロもギルモアに負けじと、ピッチベンダーをうまく駆使してしゃくりあげるようなソロを弾く。3番の歌詞が終わった直後、ウォーターズのスクリーミングと合わせて録音者の付近からと思われる強烈な爆裂音が聴こえる。終演付近ではライトのオルガンソロをメインとした即興演奏が延々と繰り広げられる。

 第二部は 「Shine On You Crazy Diamond」。ミスもなく淡々と演奏が進んでいく。「Welcome To The Machine」 は非常に珍しいことに、曲の間奏近くに至るまで、バックに流れるSEと演奏が完璧にシンクロしていない。終演直後に観客席から激しい爆発音が連続で発せられ、同時にブーイングも起こる。観客席が混乱している最中に、低音をブーストさせた 「Have A Cigar」 の激しいギターが鳴り渡り、場内の喧騒を一蹴する。イントロのリフにおいて、おそらく初めてだと思うが、ギルモアとホワイトがハーモニーを絡んでいる。後半のホワイトのソロはギルモアのギターの音量に負けているが、減衰しないロングサスティーンと濁りのないクリアーなトーン、そして高度なテクニックで魅力的なソロを展開している。 「Shine On You Crazy Diamond」 は冒頭で意図的に発生させたメタリックなノイズから、ライトのシンセサイザーソロが始まる。ギルモアのスチールギターソロはトリッキーだが、音域を広く使ったフレーズはほぼ固定化したものである。ボーカルの後に続く長い即興パートは、音色を激しく歪ませたギルモアのギターソロから始まる。そして少しのブレイクの後に様子を伺いながら、ホワイトのソロが始まるが、流れるようなテクニカルなフレーズはあまりなく、短いフレーズを散発的に繰り出す。業を煮やしたのか、後半にはギルモアとメイソンがホワイトを後押しするにようにプッシュする。終演近くにはステージ後方から回転式反射板がせり出してきて、普通はここで歓声が沸くのだが、ここでの観客の反応はいまひとつな感じである。ここで前述のロジャーの激しい罵倒が聴ける。
 アンコールは鳴り響くレジスターの音をバックに「Money」と曲紹介して演奏を始める。テンポをぐっと落とした間奏部のギルモアのソロで、しんと静まり返っている会場の様子が実に印象的である。』

New York 1977 1st Night (Special Bonus 2CDR)
 
 Live At Madison Square Garden, New York City, NY. USA 1st July 1977

 Disc 1
  1. Introduction
  2. Sheep
  3. Pigs On The Wing Pt. 1
  4. Dogs
  5. Pigs On The Wing Pt. 2
  6. Pigs (Three Different Ones)
  TOTAL TIME (54:00)

 Disc 2
  1. Shine On You Crazy Diamond Pts. 1-5
  2. Welcome To The Machine
  3. Have A Cigar
  4. Wish You Were Here
  5. Shine On You Crazy Diamond Pts. 6-9
  6. Money
  TOTAL TIME (67:20)

 Welcome To The Machine
 
 Money
 


 2点目 の 『Animal Cops (Sigma 30)』 ですが,こちらは音像が多少遠く,篭った感はあるものの,過去 Sigmaレーベルからリリースされたものなので,安心して聴く事ができます.(笑)
 私は既にこの Sigma盤持っていた関係もあり 『New York 1977 1st Night (Special Bonus 2CDR)』 を選択しましたが,コアなファンで無ければ,こちらを選択した方が正解かと思います.

 メーカー情報では
 『1977年「アニマルズ」ツアー終盤に4日連続で行われたニューヨークはマジソン・スクエア・ガーデンの後半2日、7月3日と4日公演をそれぞれマスター・クオリティの極上音質で完全収録。オリジナルは2009年2月リリース、Sigmaからリリースされ、長らく好評を頂いていた傑作4枚組です。

 ディスク1&2に収録された7月3日公演はより鮮度の良い、ヒスノイズの含有量が少なめのマスターサウンドで収録。
 音の粒立ちが既発とまるで違うのでより安定したクリアーなパンチ抜群のサウンドで楽しめます。既発は「炎」パートがディスクをまたがって収録されていましたが、本盤はショウ第二部をノンカットで聴くことができます。
 爆竹を鳴らす観客にピリピリムードのウォータースのアグレッシブなパフォーマンスが、全体の演奏をより緊張感あるものにしています。Pigs On The Wing 1 では歌の途中(0:49)で爆竹に You Cunt! と歌の途中で抗議します。Dogs の 2:33で派手な爆竹音が聞こえますが、ギルモアは豪快なギターソロで迫力ある演奏を披露します。Dogs 終演後の花火に怒ったロジャーが "You Stupid Mother Fxxker!" と暴言を吐き、爆竹を打ち上げた人に "Fxxk Off!" と言う言葉を使って強烈に抗議します。Pigs On The Wing 2 では構成を間違えてしまい、「間違えた」との言葉の次に、ギターをカッティングしながら怒りをかみ殺すように "Stupid Mother Fxxker" と非難の言葉を発します。スノウィも可も不可もなくといったソロを披露。仕切り直しのようにリックがPigsを端正なオルガンリフとシンセを絡ませるイントロをプレイすると、バンド全体も再びドライブがかかり始め、17分の巨大なドラマをスタートします。11:32-11:38と13:41に音の劣化あり(既発も同様)。既発同様に12:37でカットがありますが、吹っ切れたような豪快な演奏は聴き手を大いに満足させてくれます。ロジャーのボーカルも凄く、「19-53!」のシャウトもいつも以上に気合が入っています。強烈な演奏後、ロジャーは20分の休憩についての説明の後、再びキレ、「花火を鳴らすな!」と叫びステージを去ります。初めて「炎」パートをそのまま収録した第二部のSOYCDでは、5分38秒からのギターソロが一風変わっていたメロディで面白いです。7:53からのギルモアのソロは気合が入っており聴き応え満点。Have A Cigar ではロジャーの熱唱が光ります。ギターソロは最初ノリの良いプレイを聞かせますが、後半、むちゃくちゃになってしまいます。Wish You Were Here のイントロSEがいつもより長く収録されています。ギルモアが落ち着いたボーカルで和んだ雰囲気を出します。Wish You Were Here の2:10でテープ劣化するのは既発と同じです。後半のSOYCDは既発同様に8:19でテープチェンジによるカットがあります。中間部のスチールギターのスライドソロも凄い迫力ですし、ロジャーのボーカルも好調ですが、後半のインストパートでは盛り上がりにやや欠ける感じの演奏になってしまっています。前半、あれほどピリピリしていたロジャーですが、MoneyのSEイントロの中で、観客に対するお礼と曲紹介をします。4分台のギターソロ以降は、バンド全体が醸し出す、いつもと違ったスポンテニアスな雰囲気のロングプレイが非常に面白く、当日の素晴らしい聴き所になっています。やはり暴言を反省しているのかラストアンコールUs And Themの前にもロジャーは「花火を持ってこなかった人たち、今日は来てくれてありがとう。僕達も楽しかったよ。」と神妙なMCを行います。緊張感を解す様に演奏されるUs And Themもこの日は味わい深いものがあります。

ディスク3&4に収録されたMSG公演最終日は、既発を上回る極上音質で収録されています。ジェネレーションの差は明らかで、ヒスが少なく鮮度の良いクリアーなサウンドでこの日の素晴らしいライブを再現してくれます。アニマルズ・ツアーの音源としてはオークランド、ボストンに匹敵する最高の音質で、これらの音源のようなダイレクト感とは違う、信じられないようなスケールの大きな音像で収録されており、これもまた「奇跡の録音」と言えるのではないでしょう。冒頭のSheepから究極のダイナミズムを感じることができ、あまりの迫力に、誰しもが押し黙って聴き入ってしまうことでしょう。Pigs On The Wing 1終わった後には前日同様に花火の音が数回にわたって炸裂。観客からもブーイングが起こりますが、ロジャーは前日のようにキレたりせず淡々と演奏をこなします。Dogs冒頭(0:54)の音のアタックの素晴らしさは凄いものがあります。曲中・曲間、お構いなしにパンパン鳴っている花火を蹴散らすような豪快なサウンドは爽快でもあります。バンド全体もノッて演奏しており、特に中間部のギターソロ・パートの迫力はものすごく、誰しもがその迫力におおいなる感動を覚えることでしょう。Pigs On The Wing 2の30秒付近でまたもや花火が打ち上げられ、ロジャーもさすがにボソッと抗議します。曲後半のギターソロも独創的でアドリブながらなんとか上手くまとめます。Pigsの5分~6分台の腰の座った粘り気のあるサウンドでのギターのロングソロはこれまた凄い迫力です。Pigsでは既発にもあったマスターに起因する11:46-12:30と13:31-14:20のカットを、同日のもうひとつの録音テイクをパッチすることでこの部分を完全収録しています。ロジャーは12:56で「90-54!」と叫びます。Shine On You Crazy Diamond前半で聴かれるこの日のギターソロは一風変わっていて面白く、聴き応えがあります。8分台のダーティなギターサウンドの盛り上がりは必聴!会場に設置された音群移動装置が威力を発揮し、凄まじい音空間を体感できます。後半のサックスも緊迫感を伴った殺伐としたムードを盛り上げます。Welcome To The Machine のイントロのアニメに観客が大受けしている様子がリアルに伝わってきます。ここまで迫力のある Welcome To The Machine の演奏テイクはちょっと聴いたことがありません。怒涛の迫力の Have A Cigar のギターカッティングは是非体感して下さい。曲後半のロングソロも流暢とは無縁のある種、殺伐としたような叩きつけるようなソロを延々と展開しており、非常に迫力があります。Wish You Were HereのイントロSEは前日と違って短め。やや淡々とした Wish You Were Here はボーカルメロを変えながらのギルモアの熱唱が耳を引きます。SOYCD Pt6-9では3:40でマスターに起因する一瞬の音の劣化、そして10:49でのマスターに起因するカットがあります(既発も同じ)。前半のスペイシーなスチールギターソロなどは迫力満点ですが、20分間の、スポンテニアスでセッション風の演奏は長いツアーを経て行き着くところまで行ってしまった感のあるフロイド末期の姿を聴く思いであり(実際16分台ではニックが途中でドラムを止めてしまいます。)、同曲のエンドのリックのピアノからのパートは70年代フロイド自身への鎮魂歌のようにも聴こえます。欠落してた Money の冒頭43秒分を、ショウ後半のみを収録した同日別ソースから補填しており、初めてMoney のレジスターSEとイントロを聴くことができます。3分台のソロでは再び会場内の音群移動装置が大活躍。Us And Them冒頭に再び派手な花火が打ち上げられ観客からブーイングが起こります。味わい深いこの日の Us And Them では絶品の演奏が聴けます。
 まさに大別格音源。アニマルズ史上最強の音源と言っても過言ではない、ヴァイオレンスに満ちた壮絶極まりない音のドラマを体感できる超高音質録音版。』

Animal Cops (Sigma 30)
 
 Live At Madison Square Garden, New York, USA 3rd & 4th July 1977

[Madison Square Garden, New York, USA 3rd July 1977]
 Disc 1
  1. Sheep
  2. Pigs On The Wing (Part 1)
  3. Dogs
  4. Pigs On The Wing (Part 2)
  5. Pigs(Three Different Ones)

 Disc 2
  1. Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)
  2. Welcome To The Machine
  3. Have A Cigar
  4. Wish You Were Here
  5. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9) 
  6. Money 
  7. Us And Them

[Madison Square Garden, New York, USA 4th July 1977]
 Disc 3
  1. Sheep
  2. Pigs On The Wing (Part 1)
  3. Dogs
  4. Pigs On The Wing (Part 2)
  5. Pigs(Three Different Ones)

 Disc 4
  1. Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)
  2. Welcome To The Machine
  3. Have A Cigar
  4. Wish You Were Here
  5. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
  6. Money
  7. Us And Them


 Pigs On The Wing (Part 1) [Disc 1]
 
 Pigs On The Wing (Part 2) [Disc 1]
 

 Money [Disc 4]
 
 Us And Them [Disc 4]
 


[参考]
 Prog King (Sirene-099)
 
 Day Of The Animals (Sigma 77)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想

 1977 North American Tour
  April
   22 Miami Baseball Stadium, Miami, FL, USA [30]
   24 Tampa Stadium, Tampa, FL, USA [31]
   26 The Omni Coliseum, Atlanta, GA, USA
   28 Assembly Center, Louisiana State University, Baton Rouge, LA, USA [33]
   30 Jeppesen Stadium, University Of Houston, Houston, TX, USA [35]

  May
   01 Tarrant County Convention Center, Forth Worth, TX, USA [34]
   04 Veterans Memorial Coliseum, Phoenix, AZ, USA
   06 Anaheim Stadium, Anaheim, Los Angeles, CA, USA
   07 Anaheim Stadium, Anaheim, Los Angeles, CA, USA
   09 Alameda Coliseum, Oakland, CA, USA
   10 Alameda Coliseum, Oakland, CA, USA
   12 Memorial Coliseum, Portland, OR, USA

  June
   15 County Stadium, Milwaukee, WI, USA
   17 Freedom Hall, Louisville, KY, USA
   19 Super Bowl of Rock 'n' Roll, Soldier Field, Chicago, IL, USA
   21 kemper Arena, Kansas City, MO, USA
   23 Riverfront Coliseum, Cincinnati, OH, USA
   25 World Series of Rock, Municipal Stadium, Cleveland, OH, USA [46]
   27 Boston Garden, Boston, MA, USA [48]
   28 Spectrum Theater, Philadelphia, PA, USA
   29 Spectrum Theater, Philadelphia, PA, USA

  July
   01 Madison Square Garden, New York City, NY, USA
   02 Madison Square Garden, New York City, NY, USA
   03 Madison Square Garden, New York City, NY, USA [53]
   04 Madison Square Garden, New York City, NY, USA [54]
   06 Stade du Parc Olympique, Montréal, Québec, Canada [61]


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