1977年4月22日フロリダ州マイアミのマイアミ・ベースベール・スタジアム公演を皮切りに実施された1977年北米ツアー ("In The Flesh" ツアー) から,約半月後の 5月6日,7日と 2日間連続して行われたカリフォルニア州ロサンジェルスはアナハイム・スタジアム公演を収録したもので,Siréneレーベルから 『 California Stockyard (Siréne-136) 』として,2005年にリリースされたものです.(メーカー情報では 2006年になっていますが,2005年のように記憶しています)
 ちなみに Scorpioレーベルから同名の 『 California Stockyard (Scorpio-27) 』がリリースされていますが,全然関係は無く,内容も公演日も異なっています.
 
 本公演日初日である 5月6日に関しては,過去から有名なアナログ・ブート「California Stockyard (On The Road) (PF400)」として陽の目をみていますが, 今回はアナログ・ブートで使用されたものとは異なる,しかもマスターに近い世代の音源を使用してのプレス化であり,完全収録となっています.ちなみに本CDは,現時点でも同アナハイム・スタジアム公演の決定盤タイトルでしょう.

 そして本CDは,Disc 5 にアナログ・ブート落としの音源を収録,Disc 6 のDVD には 2日目である 5月7日の映像を収録した,5CD+1DVD という,コアなファンには嬉しいコレクターズ・アイテム的なリリースであり, この Disc 5 は,針パチ・ノイズは若干あるものの,素晴らしい音質での録音となっています.

 Disc 1と2 に収録された,5月6日公演を収録したテープ音源は,音像は多少遠め感はあるものの,バランスは相応に良い録音となっています.しかしこの頃の北米のファンは,本当に煩く,会場内が騒然としており,ロジャー・ウォーターズが "Pigs (Three Different Ones)" が終了して,第二部開始までの30分のブレイクに入る際に「騒ぐのは止めてくれ,こんな状態で演奏するのは難しい」と観衆を諭します.でも第二部も一向に騒ぐのは収まっていません.そんな中で始まる "Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)" ですが,マスターに起因する問題でしょうが,10分09秒に劣化に伴うドロップアウト等とは異なるカットがあります.続く "Welcome To The Machine" の後半では多少観衆も静かになってきます."Have A Cigar" でのデイブ・ギルモアのソロは何時もと感じが異なるのも興味深いです.そして第二部の最終曲である "Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)" では前半部のデイブ・ギルモアと,ツアー・サポート・ギタリストのスノー・ホワイトのスライド・ギターの演奏,中間部での 2人の素晴らしいジャムを聴くことができます.
 アンコールルとして演奏された "Money" は非常にリラックスしたギター・ソロを聴く事ができますし,終演後のロジャーウォーターズの "Goodnight." で終了します.

 Disc 3と4 に収録された,5月7日公演を収録したテープ音源ですが,この公演日自体が,本CDで初めてのリリースとなるのでは無いかと思います.また前日に近い音像で,割とマスターに近いテープ世代からの収録ではないでしょうか.元マスターの関係か,トリートメントの関係か,高音域部分は少し歪んでいますが,かなりクリアで,前日より若干音質は良いです.この日も前日同様に会場は騒然としています.最初の "Sheep" の00分12秒に一瞬ではありますが,元マスター起因のテープのヨレがあります.
 "Pigs (Three Different Ones)" では,元マスターに起因する10分36秒からのテープ劣化と,10分38秒でのカットがあり,アンコールで演奏される "Money" は終盤部の 9分55秒でカット・アウトになります.

 アナログ落しである,Disc 5 と,ボーナスCDR で付属している「California Stockyard (On The Road)」の方がアナログ・ノイズがあるものの,元にしているマスターが別音源,アナログ落しなので聴き易いからなのか,高音質のように感じます.(個人的には,ボーナスCDR として付属しているカラー盤落としの方はそのように感じます)

 Disc 6 には 2日目である,5月7日の映像が収録されています.映像的には昔のブート・ヴィデオのように,ダビングを重ねたようなレベルの映像なので,メーカー情報に記載されているように貴重ではあるものの,コアなファン以外は厳しいかとも思います.


 メーカー情報では
 『1977年「アニマルズ」ツアーより、5月6日と7日のアナハイム・スタジアム2日連続公演をそれぞれ高音質オーディエンス録音で完全収録。さらに初日公演を別音源の高音質オーディエンス録音で80分に渡って収録した名盤アナログ・ブート「CALIFORNIA STOCKYARD」(オリジナル黒盤)を復刻したCDと、9分間ながら翌日公演をオーディエンス・ショットで撮影した貴重な映像もプレスDVDで収録。5枚のCDとボーナスDVD、その全てがプレス盤で構成されたマニア必携盤が登場です。

 初日は音の抜けも良く、非常に安定したオーディエンス録音で収録されています。特にドラムとベースが乾いた感じのアメリカ公演らしい、タイトで力強いサウンドで収録されており、大変気持ちよく聴くことができます。 Pigsのギルモアのギターカッティングとロジャーの硬質なベースの絡みは聴いたことない程ソリッドでかっこよく、後半のギターソロの素晴らしいプレイは必聴です。アメリカのスタジアム公演らしく、終始お客の声が煩いですが、演奏より大きめに録音されていることはないのでじっくりと演奏に集中できます。SOYCD Pt6-9での粘りつくようなギターソロも必聴です。第一部終演後、ロジャーが、会場内で喧嘩している観客をなじるシーンも収録されています。全体的にカットがないのもこの音源の特徴で、SOYCD Pt1-5の10:09でマスターに起因する音切れがある以外は、非常に安定した素晴らしい録音で収録されています。

 2日目の5月7日公演録音は、初日以上に素晴らしい音質で収録されています。Sheepの2:30ではいつもと違って強烈なドラム&ベースの3連連打のアレンジで聴かれ、なかなかかっこいいです。Dogsのギタープレイも非常に素晴らしく、音質が良いので迫力満点です。Pigsの10:38にテープチェンジによる音切れと劣化がありますが、全体的に非常に高品質な音像で収録されており、初日のような観客の声に煩わされることなくじっくりと演奏に集中できます。

 ディスク5には、ある意味、このセットの目玉とも言うべき、名盤アナログ・ブート「CALIFORNIA STOCKYARD」オリジナル黒盤を、原盤からダイレクトに収録。アナログ時代の産物らしく、曲順は実際のコンサートとは異なりますが、鮮度の高い実に 素晴らしい音質で80分に渡って収録されており、終始聴き応え満点です。
 
 最後にディスク6には2日目公演の8ミリ映像が約9分間収められています。 Pigsの冒頭で燃え上がる豚のシーンにおっと思いますが、全くのぶつ切り収録で、音と画面も全くシンクロしてませんので、あくまでもマニア向けの産物です。しかし、映像は大変きれいで、メンバーの接近映像やステージでの火花やライティングなどを生々しい映像で見ることができます。完全限定でのリリースで す。8ミリ映像はマニア向けですが、5ディスクとも本当に素晴らしい音質で収録されていますのでコレクターの皆様にはぜひとも入手して頂きたいアイテムです。

★beatleg誌 vol.72(2006年7月号)のレビュー要約です。ご参考まで。
 1977年の世界ツアー「In The Fresh」から、第一次北米ツアー序盤に2日連続で行われたAnaheim公演を収録。現存する音源や映像を丸ごとパッケージし、非常に美しいコーティ ング・ジャケットに加え、200枚限定のファクトリープレスという究極のセットが、今回ようやく実現することとなった。ディスク毎に順を追って紹介してみたい。
 まずディスク1と2は、初日となった5月6日の公演をアンコールまで完全収録。2000年頃にヨーロッパのファンが制作した紙ジャケ仕様の2CD 『California Stockyard (Non Lavel)』が本公演を完全に収録した最初の音源だったが、質の悪いメディアを使用していたため、後に大量のデジノイズに覆われてしまい、まともにリスニングできなくなってしまった。その『California Stockyard (Non Lavel)』をリマスタリングしてデジノイズを除去した『The Evil Tide』が現在では広く流通しているのだが、デジノイズの除去によって音質全体にも悪影響を及ぼし、こちらも聴くに耐えない。
 そんな中、デジノイズの影響を一切受けていないマスターテープのデジタルコピーの入手に成功し、その音源が本盤に使用されている。非常に良好なオーディエンス音源で、既存の音源がゴミ箱行きとなった。
 ディスク3、4は2日目の5月7日の公演をアンコールまで完全収録。本公演の音源が広く流通するのは、今回が初めてだろう。こちらも非常に高い音質の 1st gen.音源が使用されている。なおファン制作の『Calirfornia Pigs』というCD-Rは、同日の公演を収録したとされているが、実際は1月27日のFrankfurt公演なので注意されたい。
 ディスク5は、1970年代にリリースされた2枚組ブートLP『California Stockyard[On The Road](pf400)』をハイエンド・ターンテーブルで完璧に再生して復刻したもの。LPの収録時間の関係で曲数が除外されてしまっているが、初日の 5月6日公演が収録されている。本盤は初回限定でマルチカラー盤も制作されているが、黒盤の方が音質が優れているのと、プレスミスが原因と思われるが「Pigs On The Wing Part 2」がマルチカラー盤には未収録であるため、黒盤がチョイスされている。
 そしてディスク6は2日目の5月7日を収録した貴重な8mm映像(約9分)がDVDで収録された。音と映像がシンクロしていないが、花火を撒き散らしな がら上昇するクレーンや炎上する豚のバルーンなど、ステージ上での様々な演出を断片的に観ることができる。なお今年になって、この8mm映像を再構成して 音と映像をシンクロさせたDVDがHarvestedレーベルから『8mm』というタイトルでリリースされている。』
との事.

California Stockyard (Siréne-136)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF - California Stockyard (Sirene)
 Live At Anaheim Stadium,Anaheim,California,USA
                      06th & 07th May 1977

[Anaheim Stadium,Anaheim,California,USA 06th May 1977]
 Disc 1
  1. Sheep
  2. Pigs On The Wing (Part 1)
  3. Dogs
  4. Pigs On The Wing (Part 2)
  5. Pigs (Three Different Ones)

 Disc 2
  1. Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)
  2. Welcome To The Machine
  3. Have A Cigar
  4. Wish You Were Here
  5. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
  6. Money

[Anaheim Stadium,Anaheim,California,USA 07th May 1977]
 Disc 3
  1. Sheep
  2. Pigs On The Wing (Part 1)
  3. Dogs
  4. Pigs On The Wing (Part 2)
  5. Pigs (Three Different Ones)

 Disc 4
  1. Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)
  2. Welcome To The Machine
  3. Have A Cigar
  4. Wish You Were Here
  5. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
  6. Money

[Anaheim Stadium,Anaheim,California,USA 06th May 1977]
 Taken from the original Analogue Bootleg LP
        "California Stockyard (On The Road)"
 Disc 5
  1. Welcome To The Machine
  2. Have A Cigar
  3. Wish You Were Here
  4. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
  5. Pigs On The Wing (Part 1)
  6. Dogs
  7. Pigs On The Wing (Part 2)
  8. Pigs

[Anaheim Stadium,Anaheim,California,USA 07th May 1977]
 Disc 6 (DVD:Colour NTSC Approx. 9min.)
  1. Pigs (Three Different Ones)
  2. Welcome To The Machine
  3. Dogs
  4. Have A Cigar
  5. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)



 Welcome To The Machine [Disc 2 06th May 1977]
 
 Welcome To The Machine [Disc 4 07th May 1977]
 
 Welcome To The Machine [Disc 5 06th May 1977]
 

 [Disc 6 USA 07th May 1977]
 


 本CDの初回プレス分には,有名なアナログ盤「California Stockyard (On The Road) (PF400)」のマルチ・カラー・レコード「Multi Colour Vinyl Edition」(原盤) 落としのボーナスCDR が付属しています.ちなみにレーベル面もマルチカラー盤を模した凝ったつくりになっているところは凝っています.(笑)

California Stockyard (On The Road)
 Multi Colour Vinyl Edition(Bonus Picture Disc CDR)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF - California Stockyard (On The Road)) Bonus $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF - California Stockyard (On The Road)) Bonus
 Live At Anaheim Stadium,Anaheim,California,USA 06th May 1977
 Taken From The Original Analogue Bootleg LP
      "California Stockyard (On The Road)" Multi Colour Vinyl Edition

 1. Welcome To The Machine
 2. Have A Cigar
 3. Wish You Were Here
 4. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
 5. Pigs On The Wing (Part 1)
 6. Dogs
 7. Pigs
 TOTAL TIME(76:31)

 Welcome To The Machine [Bonus CDR 06th May 1977]
 

 アナログ・ブート「California Stockyard (On The Road)」は,オリジナルの黒盤とセカンド・プレスのマルチ・カラー・レコード盤の2種が存在していいますが,収録曲は黒盤とカラー盤では下記のようになっています.
 カラー盤では C面に "Pigs On The Wing (Part 2)" が未収録になっています.

 以下,メーカー情報から引用します.
 『通常ブラックLPのほうがハイファイで安定しており,スクラッチ・ノイズも少ないというのが通説になっているようですが, 2つのヴァージョンを実際に比較してみると,カラーLPにはピクチャ盤特有のノイジーで音声が抜けない感触がありますが,その分密度があるようにも聴こえます.場所によってはスクラッチノイズと音声が混濁してしまう感もありますが,渾然一体となった音の迫力は相当なもので,その強烈なアナログサウンドで音質で一気に聴ききってしまいます.黒盤のほうが音の完成度や落ち着きはあると思いますが,マニアの方にはぜひとも両盤の比較を楽しんでいただけると嬉しく思います.
 ディスクラベルも,カラーの盤イメージも再現したマニア必携のアイテムです.』

 [参考:黒盤とカラー盤の収録曲]
  Black LP
   [Side A]
    1. Welcome To The Machine
    2. Have A Cigar
    3. Wish You Were Here
   [Side B]
    4. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
   [Side C]
    5. Pigs On The Wing (Part 1)
    6. Dogs
    7. Pigs On The Wing (Part 2)
   [Side D]
    8. Pigs

  Colour LP
   [Side A]
    1. Welcome To The Machine
    2. Have A Cigar
    3. Wish You Were Here
   [Side B]
    4. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
   [Side C]
    5. Pigs On The Wing (Part 1)
    6. Dogs
   [Side D]
    7. Pigs



[参考]
 California Stockyard (Scorpio - 27)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF - California Stockyard (Scopio)

 North American Tour 1977
 April
  22 Miami Baseball Stadium,Miami,FL,USA
  24 Tampa Stadium,Tampa,FL,USA
  26 The Omni Coliseum,Atlanta,GA,USA
  28 Assembly Center,Louisiana State University,Baton Rouge,LA,USA
  30 Jeppesen Stadium,University Of Houston, Houston,TX,USA

 May
  01 Tarrant County Convention Center,Forth Worth,TX,USA
  04 Veterans Memorial Coliseum,Phoenix,AZ,USA
  06 Anaheim Stadium,Anaheim,Los Angeles,CA,USA
  07 Anaheim Stadium,Anaheim,Los Angeles,CA,USA
  09 Oakland Coliseum Arena,Oakland,CA,USA
  10 Oakland Coliseum Arena,Oakland,CA,USA
  12 Memorial Coliseum, Portland,OR,USA

 June
  15 County Stadium, Milwaukee,WI,USA
  17 Freedom Hall, Louisville,KY,USA
  19 Super Bowl Of Rock 'n' Roll,Soldier Field,Chicago,IL,USA
  21 Kemper Arena,Kansas City,MO,USA
  23 Riverfront Coliseum,Cincinnati,OH,USA
  25 World Series Of Rock,Municipal Stadium,Cleveland,OH,USA
  27 Boston Garden,Boston,MA,USA
  28 Spectrum Theater,Philadelphia,PA,USA
  29 Spectrum Theater,Philadelphia,PA,USA

 July
  01 Madison Square Garden,New York City,NY,USA
  02 Madison Square Garden,New York City,NY,USA
  03 Madison Square Garden,New York City,NY,USA
  04 Madison Square Garden,New York City,NY,USA
  06 Stade du Parc Olympique,Montréal,Québec,CANADA


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