ピンク・フロイドは,アルバム 『Animals (アニマルズ)』 のリリースに伴い,1977年1月23日ドイツはドルトムントのウェストファーレン・ハレ公演から「In The Flesh Tour (通称:Animals Tour)」 と銘打った大規模ツアーを敢行します.

 そして 「In The Flesh Tour」 の北米ツアーは,1977年4月22日フロリダ州マイアミのマイアミ・ベースボール・スタジアム公演から開始され,5月12日フロリダ州ポートランドのメモリアル・コロシアム公演までのファースト・レグと,間に一ヶ月のブレイクを挟んで,6月15日ウィスコンシン州ミルウォーキーのカントリー・スタジアム公演から7月6日カナダのスタッド・デ・パルク・オリンピック公演までのセカンド・レグに分けて行われました.

 本CDは,その北米ツアーのセカンド・レグ初盤に当たる,6月19日イリノイ州シカゴのソルジャー・フィールドで行われたスーパー・ボウル・オブ・ロックン・ロール公演をオーディエンス収録したものです.

 国内では同日の音源を使用した商品はリリースされていないものと思われますが,海外では 『CHICAGO '77 (No Label)』としてリリースされています.私はこのブートを持っていないので,音質の比較はできませんが,海外のサイトを参照すると,やはり余り良い音質では無いようです.

 この「In The Flesh Tour」は,First Set が直近でリリースされた 『Animals (アニマルズ)』 の曲,Second Set が 『Wish You Were Here (炎 ~ あなたがここにいてほしい ~)』 の曲,アンコールが 『Dark Side Of The Moon (狂気)』 からの "Money" や "Us and Them" が演奏されるセット・リストとなります.

 音像は少し遠く,野外会場の関係か音が回っている感じもありますが,このステレオ感は素晴らしい.

 メーカー情報では
 『1977年の”IN THE FLESH”ツアーのアメリカ日程から、本当に久々に登場するフレッシュなリリース!もちろん、アニマルズ・ツアーと呼んだ方が解りやすいですよね。
 今更ではありますが、ツアーの中でもアメリカ日程からは名音源の数々が残されており、しかもそれらの決定版と呼べるタイトルを当店がリリースし続けてきました。中でも5月のオークランド、6月のボストン、そしてツアー最終日かつ「ロジャー唾吐き事件」でおなじみ7月のモントリオールといった具合に、それぞれの月で決定的なオーディエンス録音が存在します。それどころか、これら三つの音源こそ、アメリカ日程を代表する三大音源だと言っても過言ではありません。
 しかし1970年代のコンサート録音です、すべてがそれらのクオリティで録音できることなど、到底無理な話。むしろ、この時代においてもそれらのような別格のクオリティを誇るオーディエンス録音が複数存在するということ自体が奇跡のようなもの。他にもマディソン・スクエア・ガーデンなどからも、やはりウルトラ・クオリティのオーディエンス録音が残されているなど、本当にアニマルズ・ツアーは音源が恵まれています。

 それらの定番と呼べる音源が出尽くしてしまった今、それでも新たなアニマルズ・ツアーの音源、あるいは存在しながらも見過ごされているオーディエンス録音のリリースを求める声が後を絶ちません。これは一重に、フロイドのキャリア後期において高い人気を誇る時期であることの証でしょう。1974年から始まった新たな方向性の模索が行き着いたのが「アニマルズ」のハードロック・サウンド。75年までの時点でどうしても垢抜けなさの抜けない、新曲のオーバーホールが見出したのがそのハードなサウンド。これはアルバム以上に、アニマルズ・ツアー開始後、中でもアメリカのスタジアム・コンサートで猛威を振るうことになるのです。
 もはやゴリゴリと言ってもおかしくないほどにハードなサウンドは、基本的に落ち着いてライブを鑑賞できない笑、あるいはドラッグでラリッた観客を威嚇するには十分なもの。それでいて「狂気」のメガヒットによってアメリカで絶大な人気を獲得していた地位によって、スタジアム・コンサートが当たり前となってしまった1977年。その成功と引き換えに、かつてのような繊細で深みのあるイメージを喚起させるサウンドがもはや奏でられなくなった違和感に悩みつつも、ロジャーを中心としたグループがアメリカのスタジアムで先進性すら感じさせるハード・ロックを鳴らしていた様を、先に挙げた極上音源の数々が証明してくれていました。

 そこで今回、アニマルズ・アメリカツアーから今までアイテムの存在しない公演の音源が限定のプレスCDにてリリースとなります。選ばれたのは6月19日のシカゴ、ソルジャー・フィールド公演。数か月前に同地を訪れたレッド・ツェッペリンがより小さな規模のシカゴ・スタジアムで連続公演を行ったのに対し、大掛かりな音響と照明の装置の移動も伴うフロイドは、はるかに大きなキャパシティを誇るソルジャー・フィールドを使って一夜限りのシカゴ公演というころがまたグループの人気の凄まじさを物語ります。しかも、そんな大会場でやるからには、やはりアニマルズのハードなサウンドが必要不可欠であったことでしょう。
 ただし今回の音源、マイク・ミラードによる最強音質を誇ったオークランド、あるいはクリアネスが魅力な優等生音質と言えるボストンの域には及びません。何といってもヒスノイズが目立つワイルドな質感、さらには「Pigs」などに起きるカット(5:24)。これらの問題から、先の名音源と比べて見劣りする面があることは否めません。それにオープニングの「Sheep」では周囲が騒がしく、いかにもアメリカのアニマルズ・ツアーらしい場面も見受けられました。
 しかしそれでもなお、リリースするからには大きな魅力を持った音源であることも断言いたしましょう。サウンドだけでなく、会場における音響システムも進化させてきたフロイドならではの臨場感を見事なまでにオンな音圧でキャッチしてくれました。確かにヒスノイズが気になりますが、それをねじ伏せるようなイコライズを施せば十年前のプレスCD的音質に堕ちかねません笑。むしろナチュラルさを生かしたヒスノイズ感と、それ以上に魅力なのがオンな音像に輪をかけた驚きのステレオ音像です。

 先にも触れましたように、フロイドのライブ会場が独自のPA設備によって70年代のコンサートとしては飛び抜けた音質の良さを誇っていました。それを捉えているのがこの音源であり、ヘッドフォンで聴くと各楽器の音が左右に飛び交うステレオ音像の見事な状態に打ちのめされてしまうこと間違いなし!録音者がそれを意識していたことも音源から伝わって来るのですが、例えば「Pigs on the Wing (Part II)」や「Have A Cigar」などにおいて、録音者が「(これが)マイクだと解るだろ、近寄って来るな!」といった具合に怒っているほど。つまり、自身が録音していることを周囲にアピールしているのだから笑わずにはいられません。反対に「Pigs」では二回も爆竹が鳴らされてしまうにもかかわらず、ロジャーは怒った様子もなく休憩を告げているからまた面白いものです。
 そんな録音者が苦心しただけのことはあってか、このシカゴ音源のステレオ感には本当に驚かされます。アンコールの「Money」におけるギルモアのギター・ソロなど、まるでラジオ放送のサウンドボード録音かと錯覚そうになるほどの音像とステレオ感。なるほど聴けば納得、荒さを感じさせる音質ながらも、さすがに今回限定のプレスCDにてリリースされるだけのことはあります。その度肝を抜くようなステレオ音像とアニマルズ・ツアー迫力のロック・サウンド(そんな中での「Pigs」終盤におけるちょっとしたジャジーな展開は聞き逃せません)、これらをヘッドフォンでじっくりと味わってみてください!

 ★貴重な1977年アニマルズ「IN THE FLESH」ツアーのワールド・ツアー・プログラムを復刻したレプリカ付き(全28ページ)』

Chicago 1977 (Sigma 147)
 
 Live At Soldier Field,Chicago,IL,USA 19th June 1977

 Disc 1
  1. Sheep
  2. Pigs On The Wing (Part 1)
  3. Dogs
  4. Pigs On The Wing (Part 2)
  5. Pigs (Three Different Ones)
  TOTAL TIME (51:51)

 Disc 2
  1. Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)
  2. Welcome To The Machine
  3. Have A Cigar
  4. Wish You Were Here
  5. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
  6. Money
  TOTAL TIME (63:31)

 「In The Flesh」ツアー・プログラム(レプリカ)
 
 

 Pigs (Three Different Ones)
 
 Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
 

 本商品の初回ナンバー入りステッカー付きに限って,北米ツアーのファースト・レグ 3公演目に当たる 4月26日ジョージア州アトランタはザ・オムニ・コロシアム公演を高音質オーディエンス録音で収録した 『Atlanta 1977 (Special Bonus CDR)』 が付属しています.
 メーカー情報には,4日目と記載されていますが,3公演目の誤りではないかと思われます.

 実は,こちらの方が商品である 『Chicago 1977 (Sigma 147)』 より各楽器がクリアで,バランス良く収録されています.メーカー情報にもありますが,確かにプレスでリリースして欲しいですねぇ.
 個人的には,商品とボーナス・アイテムが逆でも良かったかと.(笑)

 ちなみにアンコール部分は未収録ですが,この日も "Money" を演奏しています.

 メーカー情報では
 『1977年「ANIMALS」に伴う「In The Flesh」ツアーより、北米legの4日目、4月26日のアトランタ・オムニ公演を高音質オーディエンス録音で収録。
 Shine On You Crazy Diamond Pts. 6-9 が後半のボーカルに戻ったパートでカットアウト、アンコール未収といった欠点があるせいか、これまでブートレッグとは無縁だったアトランタ公演。ところが、その音質、全体のクオリティは上々で、「え?」と驚くほどの質の高い、安定感抜群のサウンドでショウのメインセットをじっくりと楽しむことが出来ます。
 Pigs の 5分55秒のノイズを修正したら、このままプレスCDも問題なしと断言できるほどの内容です。
 北米ツアー序盤ということで、演奏に関しては微妙に手堅い印象を受ける部分もありますが、既に長期のヨーロッパツアーを怠っていただけのことはあり、統制の取れた、非常に「聴かせる」演奏を披露しています。これから次第にヴァイオレント化してくるツアー中盤から後半のステージとは印象の異なるライヴパフォーマンスと言えるでしょう。下記の beatleg でのレビューでも書かれている通り、演奏は高度で聴き応え抜群。Wish You Were Here の前には珍しいラジオSE (公式SEのロングヴァージョン?)が延々と流れ、観客に大受けしている様子も聴くことが出来ます。ブート初登場にして、内容・価値、ともに第一級の作品です。

 ★下記はbeatleg vol.34(2003年5月号)からの同公演レビューです。
 「In The Flesh」ツアー32日目、アトランタ公演を収録。
 野外公演と思われるが、各楽器の音が粒だっていて非常に明瞭に聴こえる。特にメイソンのバスドラムにおいてそれが顕著である。ウォーターズのボーカルが少しオフ気味だが、これはPAの問題であり、彼自身の声は非常によく出ている。曲後半で、ウォーターズは長めのスクリーミングを発するが、それで吹っ切れたかのゆおうに昂る感情を抑えきれない様子がボーカルに良く表れている。終演部ではメイソンのバスドラの音圧が凄い。ギルモアの小技も随所で効いており、高水準の演奏内容である。
 「Pings On The Wing」でもウォーターズのアコースティック・ギターをバックに、ギルモアは様々なフレーズで装飾する。
 「Dogs」はライトのオルガンがバンドアンサンブルをしっかりと支えていることに驚かされる、更にグリッサンドを用いて、バンドの演奏の推進力に大きく貢献している。ギルモアのギターも流暢で、ホワイトのアンサンブルも完ぺきである。
 「Pigs」はギルモアのギターが通低音のようにうなりながら、ウォーターズのボーカルをバックアップする。ウォーターズはスクリームを挟む込むが、公演回数のカウントをここでは発しない。
 第二部は「Shine On You Crazy Diamond」から始まる。
 録音の関係から、小さくまとまったほうな演奏にも聞こえるが、逆に大音量でごり押ししていたギルモアの咆哮するギターがすっきりと良く聴こえる。
 「Welcome To Machine」は冒頭からギルモアとウォーターズによるデュオで歌われる。
 「Have a Cigar」は冒頭のギルモアの激しく歪んだギターと、それに続くメイソンのドラムとウォーターズのファンキーなベースが名演の予感をさせる。
 更に随所で挿入されるホワイトのギターがこれまでにない程積極的である。「Wish You Were Here」へのブリッジに使用されるSEは正規盤とは異なるオリジナルSE(ご当地向けか?)が使用されている。 』

Atlanta 1977 (Special Bonus CDR)
 
 Live At the Omni,Atlanta,GA,USA 26th April 1977

 Disc 1
  1. Sheep
  2. Pigs On The Wing (Part 1)
  3. Dogs
  4. Pigs On The Wing (Part 2)
  5. Pigs (Three Different Ones)
  TOTAL TIME (51:20)
 
 Disc 2
  1. Shine On You Crazy Diamond (Part 1-5)
  2. Welcome To The Machine
  3. Have A Cigar
  4. Wish You Were Here
  5. Shine On You Crazy Diamond (Part 6-9)
  TOTAL TIME (42:16)

 Sheep
 
 Have A Cigar
 

[参考]

狂気



炎~あなたがここにいてほしい~



アニマルズ




 CHICAGO '77 (No Label)
 

 1977 North American Tour
  April
   22 Miami Baseball Stadium, Miami, FL, USA [30]
   24 Tampa Stadium, Tampa, FL, USA [31]
   26 The Omni Coliseum, Atlanta, GA, USA
   28 Assembly Center, Louisiana State University, Baton Rouge, LA, USA [33]
   30 Jeppesen Stadium, University Of Houston, Houston, TX, USA [35]

  May
   01 Tarrant County Convention Center, Forth Worth, TX, USA [34]
   04 Veterans Memorial Coliseum, Phoenix, AZ, USA
   06 Anaheim Stadium, Anaheim, Los Angeles, CA, USA
   07 Anaheim Stadium, Anaheim, Los Angeles, CA, USA
   09 Alameda Coliseum, Oakland, CA, USA
   10 Alameda Coliseum, Oakland, CA, USA
   12 Memorial Coliseum, Portland, OR, USA

  June
   15 County Stadium, Milwaukee, WI, USA
   17 Freedom Hall, Louisville, KY, USA
   19 Super Bowl of Rock'n Roll, Soldier Field, Chicago, IL, USA
   21 kemper Arena, Kansas City, MO, USA
   23 Riverfront Coliseum, Cincinnati, OH, USA
   25 World Series of Rock, Municipal Stadium, Cleveland, OH, USA [46]
   27 Boston Garden, Boston, MA, USA [48]
   28 Spectrum Theater, Philadelphia, PA, USA
   29 Spectrum Theater, Philadelphia, PA, USA

  July
   01 Madison Square Garden, New York City, NY, USA
   02 Madison Square Garden, New York City, NY, USA
   03 Madison Square Garden, New York City, NY, USA [53]
   04 Madison Square Garden, New York City, NY, USA [54]
   06 Stade du Parc Olympique, Montréal, Québec, Canada [61]

 Poster
 


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