「2005年 読んだ本ベスト10」バトン | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

以降の更新は、http://tsuna11.blog70.fc2.com/で。

バトン嫌いを公言されておられる(笑)、「辻斬り書評 」のtujigiriさん発のバトン です。2005年を振り返る意味でも、こういうバトンは面白いですよね。 ここまでの繋がりは、こんな感じみたいです(今回のバトンは二本に分裂)。

◆tujigiriさん
→「手当たり次第の本棚 」のとらさん→「物語三昧 」のペトロニウスさん                             
                        →私      
→「乱れ撃ち涜書ノート 」 のmidareutiさん→「本と本屋と図書館に魅せられて
                              のtakam16さん
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さて、設問に入ります。

【Q1】 2005年に読了した本の中で印象に残ったものを教えてください。
   本の刊行年度は問いません。
【Q2】 これらの作品について簡単に解説してください。
(設問については、とらさんの所で若干変化したものを使用しています)

2005年に読了した、ということで、古い本も含んでおりますが、ご了承下さいませ。またベスト10といっても、順位付けが苦手なので、良かったと思う10冊という程度になります。順位による差はそれほどありません。
(本のタイトルに、過去記事をリンクしています)

第1位 姫野カオルコ 『ツ、イ、ラ、ク』
 少々気恥ずかしくもあるけれど、初めてすごい恋愛小説を読んだ!、という気がしたので、これを1位に。内容は有体に言えば、女子中学生と教師の恋物語。
 ドスンと落ちるような衝撃で、読後、現実復帰に時間が掛かった。狂おしい程の恋にすっかり当てられた。

第2位 佐藤賢一 『カルチェ・ラタン』
 時は16世紀。パリのカルチェ・ラタンは、学問の都であると共に、宗教改革の嵐が吹き荒れた、この時代の神学の砦でもあった。この物語は、ある一人の男性の成長を描いたものでもあるし、カトリックとプロテスタントが対立する、この時代の学僧たちの青春群像でもある。
 エンターテインメント性では、同作者の『王妃の離婚』 の方が勝っていると思うのだけれど、後半部からの学僧ミシェルの研ぎ澄まされていく様が圧巻だった。

第3位 いしいしんじ 『プラネタリウムのふたご』
 ある村のプラネタリウムで拾われたふたご、テンペルとタットルの物語。一人は郵便配達夫兼プラネタリウムの投影係として村に残り、もう一人は手品師として外の世界で生きていく。
 最初は物語に入りにくかったのだけれど、読後じんわりいい物語だと感じた。童話のような味わい。

第4位 夢枕獏 『シナン』
 オスマントルコ時代の建築家の話。彼の名はシナン。彼はそれまでのトルコ建築、あるいはイスラム建築の歴史を一変させた人物であった。その百年の生涯をかけ、石をもって神を捕らえようと試み、トルコの悲願である、聖ソフィアよりも巨きなモスク、セリミエ・ジャーミーを完成させた。
 この時代の風俗が生き生きと描かれ、爽やかな風が吹くように感じる物語だった。

第5位 恩田陸 『黒と茶の幻想』
 学生時代の友人である四人が、過去を取り戻すための旅をする。「美しい謎」を持ち寄って、Y島への旅へ出た彼らは、深い森に分け入り、滝、M岳、J杉を見るために山を登る。Y島の森を歩くことは、それぞれの心の森に入ることでもあった。
 恩田陸さんも、2005年に初めて読み始めた作家さん。今まで読んだ中では、この本が一番好き。

第6位 小川洋子 『沈黙博物館』
 ある村の老婆に望まれ、博物館技師の「僕」は形見専門の不思議な博物館を作ることになる。この形見は死の混乱に乗じて老婆が盗んだもので、大抵の場合高価でも美しくもない。その肉体が間違いなく存在していた、という証である。
 不思議な世界に魅せられた。「沈黙」博物館だけに、静謐な美しさ。『博士の愛した数式』 も良かったけれど、私の好みはこちら。

第7位 オトフリート-プロイスラー 『クラバート』
 ドイツのある地方に伝わる<クラバート伝説>を元にした物語。水車場の見習いとなった少年クラバートは、親方の秘密を暴き、愛と友情の助けを借りて、水車場の親方に挑むことになる。
 amazonによると、これ、「宮崎駿が『千と千尋の神隠し』の下地とした」本なのだそうだ。珠玉の児童文学だと思う。

第8位 伊坂幸太郎 『オーデュボンの祈り』
 外界から隔絶された「荻島」という島で、物言うカカシ優午が殺された。カカシを殺したのは一体誰?「荻島」は、日本の開国とほぼ逆行するように、百五十年間も鎖国を続けている、不思議な島。
 2005年は初めて伊坂幸太郎さんの本に触れ、何冊か読み進めたのだけれど、まだ荒削りだけれど(多分、これは氏のデビュー作)、この荒唐無稽な物語が一番魅力的に感じた。

第9位 サン‐テグジュペリ 『夜間飛行』
今更な名作だけれど、『星の王子さま』 もこの本も、2005年に初めて読んだ。夜をゆく開拓者たちである、夜間飛行に関わる人々の物語。
 暗い夜空に向かって、夜の星に向かって、地上の灯りに向かって心が開かれる。各々がその立場、役割に従って、高潔な心で最善を尽くす様が美しい。

第10位 柳田 邦男, 伊勢 英子 『はじまりの記憶』
 ノンフィクション作家柳田邦男さんと、絵描きの伊勢 英子さん、お二人によるテーマに沿ったエッセイ集。テーマは、かなしみ、空、ころぶ、存在理由、忘れる、音楽、マイ ウェイ、眠る、身体感覚、笑う、夢、自立など。原風景を探すお二人のエッセイは、読みながら自分の原風景についても、考えることとなる。

2005年はブログを通じて興味を持った本、作家さんが沢山おりまして、読書の幅が随分広がったようにも思ったのですが、こうしてみるとまだまだでした。2006年もまた皆さんのブログで、新たな本や作家さんに出会えるのを楽しみにしています♪

【Q3】 2006年一発目に読みたいものは?(読んでいる、読んだものでも可)
現在、めちゃめちゃに併読中。
・デーヴ・グロスマン著 『戦争における「人殺し」の心理学』
・南條竹則著 『酒仙』
(上二冊はだらだら読んでる間に越年・・・)
・黒岩重吾 『役小角仙道剣』
(夫実家で読み終わらず、借りてきました)
・モーリス ドリュオン  『みどりのゆび』
(唯一、読了)
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・佐藤賢一 『オクシタニア』
・ルイス・サッカー 『穴』
(こちら二冊は、図書館で借りてきたけれど、まだ手を付けていないもの)

【Q4】 このバトンを回したい人を2人まであげてください。
喜八ログ 」の喜八さん、如何でしょうか?
いま一人は、書評ブログではないのに、大変恐縮ですが、rizwords さん。すみません、どんな本を読んでおられるのか、純粋にお聞きしてみたいな~と思いまして。如何でしょうか?

お二方とも、お忙しかったり、適当な場所がない場合にはスルーしてください~。