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2005-10-07 08:01:55

「オーデュボンの祈り」/奇想天外だけど・・・

テーマ:新潮社
伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」

カカシを殺したのは誰?

「カカシを殺す」って普通はおかしなことだ。けれど、ここではおかしくない。なぜなら、この「カカシ」はただのカカシではなく、ものを言う、預言するカカシだから。そんなの、私たちが知る普通の世界では有り得ない出来事。そう、この物語の舞台は、外界から隔絶した「荻島」という島。島の住人、日比野がいうには、この島はこんなところ。

「この島は孤立している。閉じこもっているんだ。仙台なんかと行き来があるものか。俺はこの島で生まれたし、このまま外に出ることもなく、死ぬ。小さな荻島の数千人はみんなそうだ」

「変な島だろ。ここは本当の孤島だ。外界とは隔絶している」

主人公である伊藤は、百五十年ぶりにこの島にやってきた、二人目の人間。日本の開国とほぼ逆行するように、百五十年間も鎖国を続けているこの島には、ここには大事なものが、はじめから、消えている。だから誰もがからっぽだ。島の外から来た奴が、欠けているものを置いていく』という伝説がある。

物言うカカシ・優午を殺したのは誰? 島に欠けているものは何?

島の人間たちは、みな、どこか変わっている。それは伊藤を案内してくれる日比野だってそうだし、その他にも、嘘しか言わない変人画家・園山、唯一人外の世界と行き来をしている、熊の様な男・、島のルールであり、武力を行使する男・、あまりに太りすぎてその場から動けない女・ウサギ、地面に寝転がって心臓の音を聞く少女・若葉、妻である百合ちゃんを盲目的に信仰する郵便配達員・草薙、鳥が大好きで足が不自由な男・田中などなど、どれも一癖ある人物ばかり。

更に、伊藤のいた元の世界の住人である、強迫的に仕事に没頭する元恋人・静香伊藤とは中学時代からの因縁がある、最低の警察官・城山が加わって、物語は進行する。

伊坂さん得意の全てが繋がっていく物語。少々馬鹿馬鹿しくもある設定だけれど、美しい島の描写のせいか、どこか淋しげな日比野のせいか、はたまた優しい優午のせいか、私はこの物語がとても好きだった。

ラスト、まだ若く達観する前の、意地を張って見せたりもする優午も、微笑ましくていい。

 ←私が読んだのはこちら
伊坂 幸太郎
オーデュボンの祈り

 ←既に文庫化されています
伊坂 幸太郎
オーデュボンの祈り
*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。


これ、伊坂さんのデビュー作なんだそうだ。
後の物語の片鱗となる部分があるようにも思う。

☆関連過去記事
 廻る廻る/「アヒルと鴨のコインロッカー
 兄弟/「重力ピエロ

コメント

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1 ■いいですよね~

私もこの作品は好きです。
独特の世界ですよね。
カカシが主役?の話なんて。
これが、デビュー作みたいですが、これは結構読むのは遅めでした。
でも、ホント好きです。
島に住む、独特なキャラクター達がいいですね^^
みんな好きです。
あ、でも特にうさぎさんかなぁ。

2 ■喋るかかしって・・・

私も最初、案山子が喋るってどぅよと思ってたんですが
読み始めると何故か違和感なく
一気に読めてしまいました。
ちょっと出来すぎ感も感じましたが
デビュー作と聞いて、それなら仕方ないかな~なんて(笑
と言いつつ伊坂作品には嵌ってます。

3 ■>苗坊さん

ほんと独特の世界だけれど、引き込まれて一気読みでした! 「アヒルと鴨~」もそうだったんですが、微妙にずれる世界観と特徴あるキャラクター達が、村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を思わせる展開でした。私はこれが三冊目なんですが、これが一番好きかも。
トラバも頂き、ありがとうです。この後、こちらからも繋げさせてくださいね♪

4 ■>りこさん

ほんと、「どうよ?」なんですが(笑)、引き込まれて一気読みでした。
上の苗坊さんへのレスにも書いたのですが、私は三作品読んだ中では、この作品が一番好きです。デビュー作が一番好きって、それこそ「どうよ?」なんですが。笑
でも、非凡な才能を感じますよね~。

5 ■こんち

なんか三毛猫ホームズの無人島を思い出してしまった。

なんか最近特に活字読む気になれなくてうつうつとした日々を過ごしておりますが、つなさんの所に来たら読まねばっと思ってしまうです。

6 ■>もとさん

こんにちはー。
うーん、三毛猫ホームズは、多分全部読んだわけではないんだな、きっと。それ、記憶にないようです。

でも、もとさんこそ、怒涛の更新だよう。笑 漫画の読み取り能力とか、視点の面白さは、もとさんには敵いません(いつも笑ってるもん)。
体調は大丈夫?

7 ■takam16

お!伊坂兄さんを読んだのですね。
伊坂兄さんの作品は
「陽気なギャングが....」
や「チルドレン」、
新刊「死神の精度」を楽しんで読んでおります。
林真理子嬢いわく、直木賞選評でお馴染みの
「さて、期待の伊坂幸太郎氏だが..」
と彼女もすでにワールドの仲間入り。
それじゃあ選評前から物を見る判断基準にズレが!?

なんて思ったりしておるんですが、

「兄さん、キャスバル兄さん!!」
byつなどのご贔屓のセイラより

8 ■>takam16さん

ほー、林真理子氏のお気に入りでもありましたか。知りませんでした。
でも、直木賞の選考委員って、渡辺○一さんとか、色々納得いかないんですが・・・。あの人が選んでいいんですか?(小声) いや、ワタクシ、林氏の小説もあまり好きでは(ごにょごにょ)。
おお、しかし、takam16さんが読了されたものと、ものの見事に被ってませんね。笑 またこれから読みまーす。

ところで、私、セイラさん贔屓してましたっけ?笑 
「若者をいじめないで頂きたい」(嘘)

9 ■TBさせて頂きました

私も「オーデュボンの祈り」が、伊坂作品の中で一番好きです。

10 ■>チムさん

はじめまして!
おお、チムさんも「オーデュボンの祈り」が一番お好きなんですね。この奇想天外な世界、いいですよね。
この後、こちらからもトラバお返しさせてくださいね。

11 ■そうそう

この不思議さがおもしろいですよね~。
伊坂ワールドって感じ。
伊坂さんの作品って、読み終わると
どれも不思議な感覚が残る気がします。

つなさん、林真理子さんがお好きでないの?
私は結構好きですよ~。
最近のはだんだんおもしろくなってきている気がするの。

12 ■>みわさん

こんばんはー。
そうそう、奇想天外不思議ワールド♪
透明な不思議な感覚が残るように思います。それこそ、風に吹かれているような。

>林真理子さん
うーむ、最近は違うんでしょうか。どうも、私が苦手とする「女性的なモノ」が詰まっていたように思うのです。冷たい長く続く悪意とか。
みわさんのお勧めって、ありますでしょうか~?

13 ■あぁ・・・

そっかぁ、そういう女性的なものが
彼女のウリかもしれない。
林真理子さんの本って2種類あって
性善説のタイプと性悪説のタイプがあるですよ。
冷たく長く続く悪意ってやつは、きっと性悪説の方の
本なんだろうなぁ。
私も最近あまり手にとってなかったんですけど「天鵞絨物語」ってのが
記憶に残ってます。
図書館にないかなぁ??

あと、美女入門なんかもおもしろかったかも。

14 ■無題

つなさん☆こんにちは
伊坂さんの作品って、どれも奇想天外なんだけど、デビュー作の時からこれですからね、どうしてこういうことを思いつくんだろう?

15 ■>みわさん

教えてくれて、ありがとう~。
そういえば、「美女入門」とか着物関係のは読んだかも。エッセイはまあ、読める(←偉そう。笑)んですが、小説はなんか悪意を感じてしまって、怖いんだなぁ。結構「女性的」ですよね。
「天鵞絨物語」ですね、図書館でちょっと探してみます。どうもありがと♪

16 ■>Rokoさん

トラバありがとうございまーす。
この後、こちらからも返させてくださいね。
ほんと、デビュー作からして、人を喰ってましたよね。でも、こういう作品、好きです。イマジネーションが豊かですよねー。

17 ■こんばんは~

そうですねえ、今『重力ピエロ』などを読めば、前回とは違った世界が見えるかもしれませんね。
私も、末席にこっそりとTBさせていただきます(^^;

18 ■>けいちゃっぷさん

トラバ返し、ありがとうございました!
でも、私も「オーデュボンの祈り」が一番好きでした。「重力ピエロ」や「アヒルと鴨~」は大分洗練されてしまっているけれど、この人はこの洗練される前の勢いがあった方が、面白いんじゃないかなー、なんて思いました。

19 ■不思議な世界

あらすじを読んだ時は「どうなんだろう?」といまいち乗り気ではなかったんですが、読んでくうちにどんどん引き込まれました。
「桜」の存在がなんとも伊坂さんらしく、グラスホッパーを思い出しました。レイプや虐待などに対する「許さない」という伊坂さんの徹底した姿勢も垣間見えて良かったです。こういう不思議な世界のお話しをもっと書いて欲しいですね。
次は「陽気なギャングが・・・」を読んでみたいなぁと思います。
TBさせて下さいませ。

20 ■>喋喋雲さん

そうですよね。笑<あらすじ
これ、あらすじからは、魅力が伝わってきませんよね。「な、なんの話だ~?汗」となってしまいますよねー。
そうかー、私は「グラスホッパー」は未読なんです。伊坂さんは現実よりも、これくらいぶっ飛んじゃってる方が楽しめるようです。
「陽気なギャング・・・」は映画化かなんかされるんでしたっけ? 喋喋雲さんの記事、楽しみにしてます♪

21 ■いまさらながら・・・

伊坂作品にはまってます!
こんな非現実的な設定なのに、スッとはいっていけちゃうのって、なんだかすごいですよね。
どこかのんびりした雰囲気で、いつまでもその世界に浸っていたくなるような魅力の作品です。
桜、すばらしいですね~。地域に1人ほしいですね。ばしばし成敗してほしいです。
TBさせていただきます。

22 ■>まんぷくガールさん

お久しぶりでーす!
トラバ、どうもです♪
ほんとにねえ、どう考えてもおかしな設定なのに、するすると世界に入ることが出来ますよね。
登場人物、それぞれがそれぞれに魅力的でしたね。

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