山種美術館で、日本美術院創立120年記念「日本画の挑戦者たち―大観・春草・古径・御舟―」を観てきました。観に行ったのは、約1か月前の9月26日のことでした。
展覧会の構成は、以下の通りです。
第1章 日本美術院のはじまり
第2章 再興された日本美術院
第3章 戦後の日本美術院
今回の展覧会の見どころは、以下の通りです。
1. 日本美術院120年の軌跡を画家たちで振り返る!
山種美術館は、日本美術院で活躍した画家の作品を数多く所蔵しています。そのうち、大観、春草、古径、御舟から現代画家にいたる日本画の挑戦者たちの優品で、同院の120年の歴史を振り返ります。
2. 院展(日本美術院展覧会)出品作が大集合!
新たな日本画の創造のため、画家たちが院展へ出品した大作を多数展示します。試行錯誤しながら挑んだ色彩、線描など多様な表現を、ぜひ間近でご覧ください。
3. 小林古径《清姫》全8点の一挙公開とともに、速水御舟《名樹散椿》を特別展示!
小林古径の代表作《清姫》(第17回院展出品作)を修復後初めて公開します。連作全8点を一挙公開するのは、約5年振りです。 さらに、映画「散り椿」の公開に合わせ、同題の原作小説(葉室麟 著・角川文庫)の表紙を飾った速水御舟《名樹散椿》【重要文化財】を特別出品いたします(10月16日-11月11日展示)。
展覧会のトップを飾るのは、小林古径の「猫」です。何度か観てはいますが、今回見てみると意外に大きな作品で驚きました。
第1章 日本美術院のはじまり
第2章 再興された日本美術院
以下、小林古径「清姫」(昭和5年)より
1.旅立
時は平安時代。若き僧、安珍は老僧と連れ立って奥州から熊野詣の旅に出る。
2.寝所
安珍は紀伊国で一夜の宿を借りる。その家の女主人、清姫は美麗な安珍に愛欲の心を抱き、夜半に安珍の寝所に忍び込む。
3.熊野
安珍は清姫の求愛を拒み、熊野詣を果たしたら戻ると約束して出発する。描かれるのは安珍が向かった熊野の本宮。
4.清姫
安珍が約束を破り、参詣後に戻ることなく帰途に就いたことを知った清姫は、山を越え、疾風のごとく安珍の後を追う。
5.川岸
必死で逃げる安珍が日高川にたどり着く。安珍は舟で川を渡り、船頭には後から来る清姫を乗せないよう頼むのだった。
6.日高川
日高川に着いた清姫が川に向かって手を伸ばしている。この後、清姫は着物を脱ぎ棄てて大蛇と化し、日高川を渡ることとなる。
7.鐘巻
道成寺に逃げ込んだ安珍は鐘の中に隠れるが、安珍を追ってきた大蛇(清姫)が鐘に巻きつき、安珍を焼き殺してしまう。
8.入相桜
安珍と清姫は道成寺の僧によって供養された。古径は、二人を埋葬した比翼塚(ひよくづか)に育ったと伝えられる道成寺の入相桜で作品を締めくくる。
第3章 戦後の日本美術院
日本美術院創立120年記念
「日本画の挑戦者たち―大観・春草・古径・御舟―」
近代以降の日本画壇において、常に先導的な役割を担ってきた日本美術院。今年、創立120年を迎えることを記念して、山種美術館では、日本美術院において、特にめざましい活躍をみせた横山大観、菱田春草、小林古径、速水御舟を中心に、画家たちの活動の軌跡をたどる展覧会を開催します。
明治時代に入り、新時代にふさわしい日本画を画家たちは探求していました。その状況下、東京美術学校(現・東京藝術大学)を辞職した岡倉天心は、自らに従った大観をはじめとする若手画家らとともに、1898(明治31)年、日本美術院を創立します。一時、茨城県五浦での苦難の時期を経たものの、1914(大正3)年に、大観たちによって再興されました。その後も、古典に学びつつ日本画の新生面を切り拓こうと挑む多くの画家たちが、日本美術院を舞台に活躍しています。
なかでも注目されるのが、日本美術院の創立に参加した大観と春草、および彼らに続く世代の旗手として活躍した古径と御舟です。大観は再興後も日本美術院の中心的な存在であり続け、春草は16年の短い画業の間に数々の秀作を生み出しました。また、古径は無駄のない線描と清澄な色彩で格調高い画風を確立し、古径より一回り若い御舟は、次々と新たな日本画の創造に挑み続けました。
本展では、これら4名を中心に、日本美術院の草創期に活躍した画家から、現代の日本画壇を代表するにいたる同院の画家の優品をご紹介します。また、院展出品時から高評価を受けた古径の代表作《清姫》全8点を一堂に展示するとともに、昭和期に制作された作品で初めて重要文化財に指定された御舟《名樹散椿》(10月16日-11月11日公開)を特別展示します。
山種コレクションにおける日本美術院の画家たちの作品を通し、新たな日本画の開拓に挑んだ画家たちの軌跡をご覧ください。
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