山種美術館で「水を描く―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―」を観た! | とんとん・にっき

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「水を描く―広重の雨、玉堂の清流、
土牛のうずしお―」チラシ

 

「水を描く―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―」
案内板

 

山種美術館で「水を描く―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―」を観てきました。観に行ったのは、7月19日のことでした。ブロガー内覧会へは、用事があって残念ながら行けませんでした。

 

今回の展覧会の見どころは以下の通りです。

 

1. 水を描いた絵画が一堂に!
山種コレクションの中から、海、川、滝、雨などの水を描いた絵画を厳選して展示します。江戸時代の浮世絵から近代・現代の日本画まで、描かれる水の多彩さにご注目ください。
2. 名だたる画家たちによる、水の絵画の競演!
横山大観、川合玉堂、前田青邨、奥村土牛、東山魁夷、平山郁夫をはじめとする名だたる画家たちの作品をご紹介します。迫力ある波や滝、きらめく水面など、さまざまな画家が描いた水の姿をお楽しみください。
3. 美術館で納涼!
美術館の展示室は、作品の保護のため、温度・湿度が一定に保たれています。暑い夏の日に、清涼感あふれる水の絵画を鑑賞しながら、美術館で快適な時間をお過ごしください。

 

今回の展覧会のトップを飾るのは、

東山魁夷「緑潤う」1976(昭和51)年

「京都のあるうちに描いておいてください」という作家・川端康成の言葉から生まれた「京洛四季」シリーズ。修学院離宮に取材したこの「緑潤う」は、魁夷が山種美術館の10周年記念に揮毫してくださった作品です。(山崎館長ツイッターより)

 

展覧会の構成は、以下の通りです。

 

第1章 波と水面のイメージ

第2章 滝のダイナミズム

第3章 雨の情景

 

山種美術館としては、ちょっと異質ですが、これも目玉か?

千住博「フォーリングカラーズ」2006(平成18)年

 

第1章 波と水面のイメージ

川―流れる水

 

左:山元春挙「清流」1927-33(昭和2-8)年

右:小林古径「河風」1915(大正4)年

 

奥田元宋「奥入瀬(秋)」1983(昭和58)年

 

水面の表現

 

竹内栖鳳「緑池」1927(昭和2)年頃

 

前田青邨「鶺鴒」1971(昭和46)年

 

小野竹喬「沖の灯」1977(昭和52)年

小野竹喬の最後の日展出品作「沖の灯」。静かな夏の夕暮時、沖に漁火がちらつく光景を描いた作品。淡い茜色に縁取られた雲や、その輝きを反射させている水面が、限られた色数ながら、印象的に表現されていますね。(山崎館長ツイッターより)

 

宮廻正明「水花火()」2012(平成24)年

 

海―波の躍動感

 

横山大観「夏の海」1952(昭和27)年頃

 

橋本関雪「生々流転」左側、1944(昭和19)年

4画面を連ねた6曲2双の大作。嵐でしける海原を、墨と淡彩、金泥で巧みに表現しています。関雪はこの波の画題について、「人生の行路を暗示したもの」、「私一代の過去の行程」と語っています。(山崎館長ツイッターより)

橋本関雪「生々流転」右側、1944(昭和19)年

 

川端龍子「鳴門」左隻、1929(昭和4)年

川端龍子《鳴門》(山種美術館)。横幅8mを越える本作には、群青の絵の具が約3.6kgも使われています。実は、鳴門海峡には行ったことがない龍子。荒々しい海の象徴として、当初考えていた主題を変更し、鳴門を描いたそうですよ。(山崎館長ツイッターより)

川端龍子「鳴門」右隻、1929(昭和4)年

 

奥村土牛「鳴門」1959(昭和34)年

 

第2章 滝のダイナミズム

 

奥村土牛「那智」1958(昭和33)年

 

千住博「ウォーターフォール」1995(平成7)年

 

第3章 雨の情景

 

歌川広重(初代)「東海道五拾三次之内 庄野・白雨」

1833-36(天保4-7)年頃

 

歌川広重(初代)「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」

1857(安政4)年

 

竹内栖鳳「雨中山水」1932(昭和7)年頃

線で表現される雨とは異なり、栖鳳が描く雨は墨のぼかしを利用した、しっとりと湿った雨。茨城県の水郷・潮来に取材した作品ですが、栖鳳はこの湿潤な土地を好んで何度も訪れているんですよ。(山崎館長ツイッターより)

 

川合玉堂「渓雨紅樹」1946(昭和21)年

 

川合玉堂「水声雨声」1951(昭和26)年頃

 

横山操「越後十景 越前雨晴」1968(昭和38)年

 

「水を描く―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―」

2018年9月、世界各国の水の専門家が参加する「国際水協会(IWA)世界会議」が東京で行われます。水をテーマにした国際会議が催され、世界の水環境への関心がますます高まる今夏、山種美術館では、日本美術に表された水に注目し、水を描いた絵画を一堂にご覧いただく展覧会を開催します。
豊かな水源に恵まれた日本では、水は常に人々の生活とともにあり、美術作品においてもさまざまに表現されてきました。雨が池や湖をつくり、川となり海へ注ぐように、水は刻々と姿を変化させます。また、躍動する波や、光を反射する水面など、水が見せる表情は多くの画家の創作意欲をかきたてたのでしょう。水を描いた絵画には、画家たちの優れた技巧や多彩な表現をみることができます。
本展では、当館が所蔵する江戸時代の浮世絵から近代・現代の日本画まで、水が描かれた作品を厳選し、ご紹介いたします。奥入瀬渓流に取材した奥田元宋(おくだげんそう)《奥入瀬(秋)》、鳴門海峡の渦潮を描いた川端龍子(かわばたりゅうし)《鳴門》や奥村土牛(おくむらとぎゅう)《鳴門》は、川や海の流動する姿を生き生きと捉えています。また、土牛《那智》や千住博(せんじゅひろし)《ウォーターフォール》においては、勢いよく流れ落ちる滝が迫力ある大画面に描かれ、水の持つ神聖さも感じさせます。一方で、激しい夕立のなか、橋を行き交う人々を描いた歌川広重(うたがわひろしげ)(初代)《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》[後期展示]や、雨に煙る山路を表した川合玉堂(かわいぎょくどう)《渓雨紅樹(けいうこうじゅ)》は、情趣豊かに雨の風景を描き出しています。
これらの作品を通して、水の表現の幅広さとともに、画家たちが水に向けてきたまなざしや思いを感じていただければ幸いです。暑い夏の季節に、涼やかな水の絵画をお楽しみください。

 

「山種美術館」ホームページ

 

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