山種美術館で「美人画の粋 上村松園」展を観た! | とんとん・にっき

山種美術館で「美人画の粋 上村松園」展を観た!

 とんとん・にっき-yama11


山種美術館で開催されている「美人画の粋 上村松園」展を観てきました。山種美術館はこの展覧会を最終回として、渋谷区広尾の新山種美術館へ移転いたします。ということで、通りに面した植え込みにある「山種美術館」の館銘板も、まさか広尾にまで持って行くようなことはないでしょうから今回が見納めです。「日本画の専門美術館」として特異な存在でしたから、そう広いスペースは必要なかったのでしょうが、貸しビルの中ではやはり狭い感じは否めないし、美術館として自由な展示ができなかったのでしょう。


さて、「上村松園 美人画の粋」展、副題には「没後60年記念」とあります。上村松篁は息子、上村淳之は孫にあたります。今回の展覧会、全部で59の作品が展示してありましたが、上村松園の作品はそのうちの18点、約1/3といったところです。松園の他には、錦絵では鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿など7点、日本画は鏑木清方、小林古径、土田麦穂、村上華岳、奥村土牛、小倉遊亀、伊東深水、橋本明治、平山郁夫、等々そうそうたる大御所たち、全部が全部、山種美術館の所蔵品というから凄いことです。


伊東深水の作品が5作品出ていましたが、これが上村松園の作品と比較して観るのにちょうどいい。どちらかというと、深水の描く女性はちょっと勝ち気な、意志の強い感じがしましたが、松園の女性は穏やかで優しそうな感じを受けました。ということで、もちろん僕は松園の描く女性の方が好きです。凄いと思った作品の一つに、「盆踊り」があります。色紙に、力を入れずにさらっと描いたものですが、これが素晴らしい。「蛍」を描いたものが二つ、蚊帳をつりながら足元を見ると蛍がいるズバリ「蛍」という作品と、すだれ越しに蛍を見ている団扇片手の女性を描いた「新蛍」です。どちらも夏向きの絵で、左下に蛍がいます。


「いざいざ砧を打たんとて馴れし襖の床の上・・・」、謡の「砧」に取材したもの、夫を想いながら空の一角を仰いで月を見、これから砧を打とうというところの妻女を、仏像を描くように描いたという。「砧」は縦7尺7寸、横4尺ある大作です。「桜可里」はまさに桜の枝を折って持ち帰るところ。「春のよそをひ」は扇子を手に櫛を髪に挿したうつむき加減の女性を描いたもの、「娘」は針に糸を通そうとしているまだ若い女性を描いたものです。「春芳」は梅香る春を描いたもの、「杜鵑を聴く」は耳を澄まして杜鵑の鳴き声を聞いている女性を描いたものです。














以下、「山種美術館」ホームページより

上村松園(1875-1949)は、京都の四条で葉茶屋を営む家に生れました。京都府画学校に学んだ後、鈴木松年(しょうねん)、幸野楳嶺(ばいれい)、竹内栖鳳(せいほう)に師事し、早くから内国勧業博覧会などで評価を得、文展で受賞を重ね、1948(昭和23)年には女性初の文化勲章を受章しています。
「女性は美しければよい、という気持で描いたことは一度もない。一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」―松園は自らの理想をこう述べています。このような真摯な態度が作品に凛とした美しさを与えているのでしょう。
今年は松園没後60年の節目にあたります。「東の鏑木清方、西の上村松園」と並び称され、美人画の巨匠として、また、女流画家の草分け的存在として、松園は大きな功績を残しました。本展では当館所蔵作品を通して松園の画業を振り返るとともに、清方や伊東深水が描いた美人画、そして近現代日本画・洋画の個性豊かな美人たち、また喜多川歌麿や鈴木春信などの浮世絵もあわせて、およそ50点をご紹介いたします。
当美術館は本展覧会を最終回として、千鳥ヶ淵にほど近い三番町から現在新築中の渋谷区広尾の新山種美術館へ本移転いたします。この最後の展覧会に、皆様お誘いあわせの上お越しいただければ幸いです。



とんとん・にっき-yama12 「山種美術館の上村松園」
小冊子500円
とんとん・にっき-yama10 新「山種美術館」

2009年秋、新たにオープン!

新美術館開館記念特別展

「速水御舟―日本画への挑戦―展」

2009年10月1日~1月29日

















山種美術館


過去の関連記事:

山種美術館で「桜さくらサクラ・2009」展を観た!
山種美術館で「松岡映丘とその一門」展を観た!
山種美術館で「大正から昭和へ」展を観た