山種美術館の「小林古径生誕130年記念 古径と土牛」ブロガー内覧会に行ってきました! | とんとん・にっき

山種美術館の「小林古径生誕130年記念 古径と土牛」ブロガー内覧会に行ってきました!



山種美術館の「小林古径生誕130年記念 古径と土牛」ブロガー内覧会に行ってきました。正式には、青い日記帳×山種美術館 ブロガー内覧会 第3弾「特別展 小林古径生誕130年記念 古径と土牛」(@山種美術館)をリアルタイムでレポートしよう!、という長いタイトルです。


会 場:山種美術館 ロビーおよび地下展示室 

     (〒150-0012東京都渋谷区広尾3-12-36)
日 時:2013年11月2日[土] 17:15~19:30(受付開始17:00~)
参加費:800円(税込)
   ・当日入館料込(一般1,200円、前売・団体1,000円相当)

    和菓子引換券付(1個/500円相当)
   ・山種美術館館長・山崎妙子によるギャラリートーク付
   ・当日に限り、会場写真撮影可能(一部、撮影不可の作品有)

   ・.特別ゲスト・人気アートブログ《青い日記帳》管理人Takさん


まず始めに、特別ゲスト・《青い日記帳》のTakさんによるイベントを愉しむコツが紹介されました。下はその時配布された資料です。古径74歳、土牛なんと101歳という長生きです。大観90歳、靫彦94歳、青邨92歳、長生きです。それと比して今村紫紅35歳、速水御舟40歳は夭折です。また古径作品の鑑賞のポイントも話していただけました。胡粉の盛り上がりが見どころだとか。古径の「静物」は、現存する唯一の油絵という珍しい例。「秌采(しゅうさい)」の柿の葉、葉の色は2種類の金泥です。


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展覧会の構成は、以下の通りです。


第1章 小林古径の芸術
小林古径(1883-1957)は故郷の新潟で日本画の手ほどきを受けた後、1899(明治32)年に16歳で上京し、梶田半古に師事しました。早くから展覧会で受賞を重ね、頭角を現した古径は、安田靫彦や今村紫紅ら同世代の画家とともに日本画の進むべき新たな道を模索しました。1922(大正11)年、ヨーロッパに渡った古径は、大英博物館で顧愷之(こがいし)の作と伝えられる「女史箴図」を模写し、中国画を基本とする線描の美に目覚めます。帰国後は古典を基礎としながら近代的な感覚をとり入れた新境地を開き、謹直な線描と清澄な色彩による自己の画風を確立しました。画壇においては、日本美術院を主な活動の場とし、靫彦、前田青邨とともに「三羽烏」と称され、横山大観らに続く世代の中心的な存在として活躍しました。第1章では、半古のもとで才能を開花させた明治期の歴史画から、西洋美術や日本の古典の影響を受けながら模索を続けた大正期の作品、さらに円熟を迎えた昭和期の作品までの変遷をたどるとともに、一貫して流れる古径の高い精神性と美意識をご覧いただきます。


第2章 古径と土牛
古径とその弟弟子にあたる奥村土牛の出会いは、1905(明治38)年、土牛が梶田半古塾に入門したときから始まります。病床の半古の代わりに塾頭をつとめていた古径は、その高い指導力や実直な性格、終始一貫した真摯な制作態度ゆえに、多くの塾生から篤い信望を得ていました。中でも古径を生涯の師と仰ぎ、1920(大正9)年から2年ほど古径の画室に住み込んで、もっとも身近で多くを学んだ弟子が土牛でした。土牛自身によれば、古径から学んだものは、絵に対する高い精神性や厳しさ、そして片時も絵のことを忘れぬ不断の向上心であったといいます。第2章では、さまざまな同趣の画題で描かれた二人の作品を並べてみることで、一見すると描法や色彩感覚、構図が必ずしも同様ではない作品にさえ、その根底には多くの共通項が見出せる点に着目します。さらに古径の没年に土牛が心を込めて描いた「浄心」、古径の姿に重ねて描いた「醍醐」など、古径とゆかりの深い作品も紹介します。


小林古径:略歴
1883(明治16)年2月11日、小林株とユウの次男として、新潟に生まれる。本名茂。1899年、16歳で梶田半古塾に入門。日本絵画協会等で受賞を重ね、1907年の第1回文展に出品。同年以降、師・半古の病気のため、推されて塾頭として塾生の指導にあたる。翌年、国画玉成会にも出品。1910年、安田靫彦、今村紫紅に誘われて紅児会に参加。1914(大正3)年には日本美術院の再興に参加し、同年、日本美術院同人。1918年、評議員となる。1922-23年にかけて約7ヶ月、西洋美術研究を目的とし、日本美術院留学生として前田青邨とともに渡欧。その間に、大英博物館で「女史籤図」を模写し、中国画を基本とする東アジアの線描表現を学ぶ。院展を中心に活動を続け、1944(昭和19)年6月、東京美術学校(現・東京藝術大学)教授に就任、7月、帝室技芸員となる。1950年、文化勲章受章。戦後は花卉や小禽を画題とする小品を多く描いた。線描を基調とした古典的な表現の中に、写生によって培われたリアリズムを加味し、清明で簡潔な格調高い画風を確立した。1957年4月3日、74歳で死去。


奥村土牛:略歴
1889(明治22)年2月18日、奥村金次郎とたまの長男として、東京に生まれる。本名義三。1905年、16歳で梶田半古塾に入門。半古や、塾頭の小林古径から指導を受ける。1920(大正9)年から2年間ほど古径の画室に住み込む、絵画の制作姿勢や精神性に影響を受ける。古径の指導により画集や研究会で触れた日本・中国の古画や、西洋絵画からも多くを学び、特にセザンヌの作品には深く傾倒した。1926年から古径の紹介で速水御舟の研究会に参加。翌年、再興第14回院展に38歳で初入選。1932(昭和7)年、日本美術院同人となる。1944年以降、東京美術学校、帝国美術学校(現・武蔵野美術大学)、女子美術大学、多摩美術大学などで指導にあたる。1947年、帝国芸術院会員。1962年、文化勲章受章。1978年、日本美術院理事長。院展を活躍の中心の場として、淡い色調における大らかで暖かみのある作風を確立し、世を去る直前まで意欲的に作品を発表し続けた。1990(平成2)年9月25日、101歳で死去。









注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。


「特別展 小林古径生誕130年記念 古径と土牛」

日本画における線を「内に籠もったものを現す、或は対象の実在を掴む」として重視し、端正かつ清澄な線を特徴とした日本画家・小林古径[こばやし こけい](1883-1957)。2013年はその古径の生誕130年にあたります。これを記念し、古径の作品とともに、古径の兄弟弟子・奥村土牛[おくむら とぎゅう](1889-1990)の作品を比較展示して二人の画業を振り返る展覧会を開催いたします。古径が画家として出発した明治30年代から大正初期は、日本画家が東洋と西洋、写実と装飾、伝統と革新の間[はざま]で揺れ動いた時代でした。その時代にあって古径は、安田靫彦[やすだ ゆきひこ]、今村紫紅[いまむら しこう]、速水御舟[はやみ ぎょしゅう]らとともに研究を重ね、時に西洋美術の影響も受けながら、日本画の進むべき新たな道を模索しました。院展においては、靫彦、前田青邨[まえだ せいそん]とともに「三羽烏」と称されて日本画の水準を高め、横山大観らに続く世代の中心的存在として活躍します。さらに1922(大正11)年のヨーロッパ留学、大英博物館での顧愷之[こがいし]の《女史箴図[じょししんず]》の模写体験は、古径の画業に大きな影響を与えることになりました。帰国後は中国画を基本とする東アジアの線描の美に目覚め、古典を基礎としながらも近代的な感覚をとり入れた新様式を確立し、後進画家たちに多大な影響を与えていきました。なかでも、梶田半古[かじた はんこ]塾で古径と同門であった奥村土牛は、塾頭をつとめていた古径を師と仰ぎ心から尊敬して多くを学びました。101歳で天寿を全うするまで絵を描き続けた土牛自身も、古径との出会いが「自分の一生を決定づけることになった」と語り、古径の作画に対する真摯な態度を引き継いでいきます。土牛の描いた《浄心》(古径を追悼し制作)、《醍醐》(古径の七回忌の帰路に見た桜の美しさに古径への想いを重ねて制作)、《泰山木》(古径好みの陶器と花の取り合わせ)などの作品には、古径への深い敬愛と思慕の念が込められています。本展では、古径が西洋画を強く意識していた時代に描かれた、現存する唯一の油彩画である《静物》、古典回帰時期の傑作と名高い連作《清姫》(3年ぶりに全8面を一挙公開)、西洋の静物画の様式を日本画の中で昇華させた《果子》や《三宝柑》など当館所蔵作品に加え、古径の古典や琳派研究の成果ともいえる《大毘古命図》、《紫苑紅蜀葵》、《狗》など公開されることの少ない他所蔵作品も展示いたします。一見すると異なる画風の二人の作品を、それぞれの言葉やエピソードとともにあらためて見つめなおし比較することで、古径と土牛のもつ共通項にも注目する展覧会です。

「山種美術館」ホームページ


とんとん・にっき-zuroku 特別展 小林古径生誕130年記念

「古径と土牛」

2013年10月22日発行

監修:山下裕二(公益財団法人山種美術財団評議員・顧問/明治学院大学教授)

編集:山種美術館学芸部

発行:山種美術館







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