山種美術館で「上村松園―美人画の精華―」を観た!(その2) | とんとん・にっき

とんとん・にっき

来るもの拒まず去る者追わず、
日々、駄文を重ねております。

山種美術館で「上村松園―美人画の精華―」を観てきました。観に行ったのは9月1日のこと。


会期:2017年8月29日(火)~10月22日(日)

  前期:8月29日~9月24日

  後期:9月26日~10月22日


過去に観た上村松園に関する展覧会は、以下の通り。


東京国立近代美術館で「上村松園展」を観た!

山種美術館で「松園と華麗なる女性画家たち」を観た!

山種美術館で「美人画の粋 上村松園」展を観た!     


いつの間にか集まってしまった山種美術館の展覧会の小冊子!

saltu

第1章 上村松園―珠玉の美

は、以下を参照のこと


山種美術館で「上村松園―美人画の精華―」を観た!(その1)


ここでは第2章以下を載せておきます。


第3章の北田克己「ゆふまどひ」と、京都絵美「ゆめうつつ」は始めて観ました。(画像なし) その他は、ほとんど今までに何らかのかたちで観たことのある作品でした。


なぜか「砧」だけが第1章上村松園に入らずに、第2章の始めに入っています。(この作品のみ撮影可能でした)



上村松園「砧」

能の中でも最も格が高い名曲のひとつ「砧」(世阿弥作)より題材をとる。訴訟のために京に上った夫の帰りを待ちわびる妻は、「夫の身を案じつつ打った砧の音が遠く万里を隔てた夫の枕上に響いた」という中国の故事にならい、砧を打つ。松園は「夫を想いながら空の一角を仰いで月を見、これから砧を打とうというところの妻女を、肖像のような又仏像のような気持で描い」たという。文言には細かい時代設定がなされていないため「私の自由に徳川時代元禄から享保頃まで」の風俗で表現してみたとも述べている。内に秘めた強い思慕の情を凛とした表情に包み込み、高貴な中にも親しみやすさを醸し出している。品格を大事にする画家ならではの作品となっている。松園は自ら謡と仕舞を金剛流で習うほど能を愛し、「焔」(東京国立博物館)、「序の舞」「草紙洗小町」(いづれも東京藝術大学)など能楽に取材した作品も多数手がけている。(「松園と華麗なる女性画家たち」櫛淵)


上村松園のことば

想いを内にと秘めて、地熱のごとき女の愛情を、一本の砧にたくして、タンタンタンタンと都に響けとそれを打つところ、そこに尊い日本女性の優しい姿を見ることが出来るのではないでしょうか。 口に言えぬ内に燃え上がる愛の炎・・・・その炎を抱いているだけに、タンタンタンタンと打つ砧の音は哀々切々たるものがあったんであろうと思います。私の「砧」の絵は、いま正に座を起って、夕霧がしつらえてくれた砧の座へ着こうとする妻の端麗な姿をとらえたものであります。昭和13年の文展出品作で「草紙洗小町」の次に描いたものです。謡曲には時代はハッキリ明示してありませんが、私は元禄時代の風俗にして砧のヒロインを描きました。砧打つ炎の内面にひそめている女を表現するには元禄の女のほうがいいと思ったからであります。(謡曲と画題)


第2章 文学と歴史を彩った女性たち









第3章 舞妓と芸妓(まいことげいこ)







第4章 古今の美人―和装の粋・洋装の華








上村松園:

1875-1949(明治8-昭和24)

京都に生まれる。本名津禰(つね)。京都府画学校(現・京都市立芸術大学)に入学、鈴木松年に師事したのち、幸野楳嶺、竹内栖鳳に学ぶ。15歳で内国勧業博覧会の一等褒状に選ばれ、その後も様々な展覧会で受賞を重ねる。文展、帝展を中心に活躍し、江戸・明治の風俗、和漢の古典や謡曲に取材した女性像を手がけた。1941(昭和16)年、帝国芸術院会員。1944年、帝室技芸員。1948年、女性初の文化勲章を受章。


「上村松園―美人画の精華―」

「女性は美しければよい、という気持ちで描いたことは一度もない。一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」と語り、生涯を通じて女性たちの姿を描き続けた上村松園 (1875-1949)。

当館創立者で初代館長の山崎種二(1893-1983)が松園と親しく交流したことから、現在山種美術館には、《蛍》、《砧》などの代表作を含む18点が所蔵され、日本屈指の松園コレクションとして知られています。本展では、これら全点を一挙公開するとともに、さまざまな画家たちによって描かれた女性に注目いたします。

松園以外の作品では、浮世絵師たちによる美人画もご覧いただきます。世界で数枚しか現存しないとされる稀少な鈴木春信《梅の枝折り》などにみる華奢な娘の姿、すらりとした八頭身に流行の着物をまとった鳥居清長の美女たち、喜多川歌麿の艶やかで魅惑的な女性。さらに、秘蔵のコレクションを特別に拝借し初公開する、近年人気の高い月岡芳年の代表作《風俗三十二相》では、芳年ならではのウィットに富んだ女性たちの豊かな表情をお楽しみいただきます。

一方、当館の近代絵画コレクションからは、菱田春草や池田輝方による江戸風俗の女性たち、和田英作、鏑木清方、伊東深水らによる古今の和装や洋装の美人、小倉遊亀、片岡球子ら女性画家が描く凛とした女性たちなど、バラエティに富んだ美人画をご紹介いたします。江戸時代から現代にいたる、多彩な美人画をお楽しみください。

「山種美術館」ホームページ


li2 特別展 上村松園 生誕140年記念

松園と華麗なる女性画家たち

小冊子

2015(平成27)年4月18日発行

監修:山下裕二(公益財団法人山種美術館評議員/山種美術館顧問/明治学院大学教授)

監修・執筆:仲町啓子(実践女子学園香雪記念資料館館長/実践女子大学教授)

発行:山種美術館

li1

山種美術館の上村松園

小冊子

2009年5月?

企画・編集:山種美術館







 


過去の関連記事:

東京国立近代美術館で「上村松園展」を観た!


過去の関連記事:山種関連

山種美術館で「川端龍子 超ド級の日本画 」を観た!

山種美術館で「花*flower*華―琳派から現代へ―」を観た!

山種美術館で「日本画の教科書 東京編―大観、春草から土牛、魁夷へ―」を観た!
山種美術館で「日本画の教科書 京都編―栖鳳、松園から竹喬、平八郎へ―」を観た!

山種美術館で「速水御舟の全貌―日本画の破壊と創造―」を観た!

山種美術館「浮世絵六大絵師の競演」ブロガー内覧会!

山種美術館「浮世絵六大絵師の競演」ブロガー内覧会に行ってきました!

山種美術館で「江戸絵画への視線―岩佐又兵衛から江戸琳派へ―」を観た!

山種美術館で「ゆかいな若冲・めでたい大観」を観た!

山種美術館「琳派と秋の彩り」ブロガー内覧会!

山種美術館で「前田青邨と日本美術院―大観・古径・御舟―」を観た!

山種美術館で「松園と華麗なる女性画家たち」を観た!

山種美術館で「花と鳥の万華鏡」を観た!

山種美術館の「東山魁夷と日本の四季」ブロガー内覧会!

山種美術館「輝ける金と銀一琳派から加山又造まで一」展ブロガー内覧会!
山種美術館で「輝ける金と銀―琳派から加山又造まで―」を観た!
青い日記帳×山種美術館ブロガー内覧会「水の音―広重から千住博まで―」に参加した!
山種美術館で「クールな男とおしゃれな女―絵の中のよそおい」を観た!

山種美術館で「Kawaii 日本美術―若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで―」を観た!
山種美術館の「小林古径生誕130年記念 古径と土牛」ブロガー内覧会

山種美術館で「再興院展100年記念 速水御舟―日本美術院の精鋭たち―」を観た!
山種美術館で「百花繚乱―花言葉・花図鑑―」(後期)を観た!
山種美術館で「百花繚乱―花言葉・花図鑑―」(前期)を観た!
山種美術館で「琳派から日本画へ―和歌のこころ・絵のこころ―」(前期)を観た!
山種美術館で「生誕100年 高山辰雄・奥田元宋―文展から日展へ―」を観た!
山種美術館で「没後70年 竹内栖鳳―京都画壇の画家たち―」を観た!
山種美術館で「桜 さくら SAKURA 2012」を観た!
山種美術館で「和のよそおい―松園・清方・深水―」展を観た!
山下裕二の変化球「山種コレクションベスト10」!
山下裕二の「知られざる山種コレクション10選」を聞いた!
山種美術館で「ザ・ベスト・オブ・山種コレクション」展(前期)を観た!
山種美術館で「百花繚乱 桜・牡丹・菊・椿」展を観た!
山種美術館で「BOSTON 錦絵の黄金時代 清長、歌麿、写楽」展を観た!
山種美術館で「歴史画を描く―松園・靫彦・古径・青邨―」展を観た!
山種美術館で「日本美術院の画家たち―横山大観から平山郁夫まで」展を観た!

山種美術館で「日本画と洋画のはざまで」展を観た!
山種美術館で「江戸絵画への視線」展を観た!
山種美術館で「浮世絵入門」展を観た!
山種美術館で「生誕120年 奥村土牛」展を観た!
山種美術館で「大観と栖鳳―東西の日本画―」展を観た!

山種美術館で「東山魁夷と昭和の日本画展」を観た!

山種美術館で「速水御舟―日本画への挑戦―」展を観た!
山種美術館で「美人画の粋 上村松園」展を観た!
山種美術館で「桜さくらサクラ・2009」展を観た!
山種美術館で「松岡映丘とその一門」展を観た!
山種美術館で「大正から昭和へ」展を観た