山種美術館「浮世絵六大絵師の競演」ブロガー内覧会! | とんとん・にっき

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山種美術館の「浮世絵六大絵師の競演」ブロガー内覧会に行ってきました。

今回はとくに「解説」に気を配っているように見受けられました。國學院大學の藤澤紫先生も、解説に加わったとか。


浮世絵に親しむための3つのキーワード

その1 「浮世絵」・・・うきよとは現世のことで、浮世絵には江戸っ子が日々を楽しく生きるための情報が詰まっています。

その2 「江戸絵」・・・江戸生まれの浮世絵は江戸絵とも呼ばれ、軽くて美しい江戸土産として各地に広まりました。

その3 「東(吾妻)錦絵」・・・錦のように色鮮やかな多色摺木版技法に付けられた名称で、東都(江戸)を代表するメディアに成長しました。


浮世絵の主題(江戸のメディア)

1 「美人画」(グラビア・ファッション誌)

2 「役者絵」(ブロマイド・パンフレット)

3 「名所絵」(情報誌・お守り)


記憶に残る山種美術館の浮世絵関連の展覧会は、2010年7月に開催された「浮世絵入門」ですね。今回とほぼ同様な展示内容でした。煩雑になりますが、その一部を下に載せておきます。


初期の浮世絵版画はまだ色を塗り重ねる技術がなく、墨で摺った後に1枚ずつ筆で彩色していました。初めは鉱物質の鈍い赤である丹を主体に彩色した丹絵が、その後植物性の透明感のある紅を主とした「紅絵」が起こります。「漆絵」は紅絵の一種で、黒の部分に膠を混ぜた墨を塗って漆のような光沢を出したもの。「錦絵」は色数の少ない紅摺絵より多くの色数を用いたもので、画面の隅々まで色を摺り込むようになります。「ごま摺」は摺る際に馬連の力を加減して色つきにざらついた感じを出す技法です。「板ぼかし」は通常よりも浅い角度で彫り境目を滑らかに磨いた色板で摺る技法で、紙に摺ったときにぼかしの効果が得られます。錦絵の版木は山桜の材に彫られますが、大きな板を確保しにくいことなどから、画面を拡大する場合は一図ずつ摺った絵を2枚、3枚とつないでいく「続絵」の形式がとられました。「大首絵」は人物の上半身をクローズアップした形式のこと。「毛割」は髪の生え際の彫りのこと。「雲母摺」は鉱物の一種である雲母の粉を用いて画面に光沢を出す摺り方で、「置き雲母」「撒き雲母」「摺り雲母」などがあります。「ベロ藍」とは化学合成顔料であるプルシャンブルーのことで、18世紀初期にプロシア王国のベルリンで発明され、江戸の浮世絵には文政後期頃に用いられ始めました。「拭きぼかし」色版の版面を濡らした布で拭いて水気を与え、その上に刷毛で絵具をはいてのばします。絵具が水気でにじんだ状態で髪を置いてすることでぼかしの効果を得る技法です。

山種美術館で「浮世絵入門」展を観た!


「浮世絵六大絵師の競演」







「東海道五拾三次 」保永堂



以下、歌川広重(初代)「東海道五拾三次之内」:順不同





世界に羽ばたく浮世絵



注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。


開館50周年記念特別展山種コレク偆名品選Ⅱ

「浮世絵六大絵師の競演―春信・清長・歌麿・写楽・北斎・広重―」

山種美術館では、開館50周年を記念する特別展「山種コレクション名品選」の第2弾として、当館秘蔵の浮世絵コレクションの全貌を紹介する「浮世絵 六大絵師の競演―春信・清長・歌麿・写楽・北斎・広重―」を開催いたします。

当館の浮世絵コレクションは、総点数90点程度と決して大規模ではありませんが、鈴木春信から鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重まで、誰もが知る六大絵師の名品が多数含まれており、保存状態も良いことから、専門家の間で高く評価されています。中でも、写楽については、《二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉》をはじめとする個性的な役者大首絵を3点所蔵していますが、所蔵規模からすれば割合としては非常に高く、厳選されたコレクションであることを象徴しています。また、広重の代表作である保永堂版《東海道五拾三次》は、その多くが初摺りというだけでなく、かつて画帖に 収められていた際の扉の題字も含まれており、数ある現存作品の中でも極めて貴重な作例です。本展ではこの《東海道五拾三次》全56枚を揃いで一堂に公開いたします。

浮世絵は本来、庶民のために生まれたものであり、誰もが親しみやすいという性質を持っています。また、海外でも人気が高く、世界各地にコレクションが存在していることから、グローバルな価値を備えた芸術であるともいえるでしょう。国境や時代を超え、私たちを魅了し続ける浮世絵の真髄を、当館の粒揃いの浮世絵作品の数々とともにご堪能ください。さらに、50周年にちなみ、東山魁夷や加山又造ら、当館と縁の深い近代・現代の日本画家の作品も特別に展示します。


「山種美術館」ホームページ


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「山種コレクション 浮世絵 江戸絵画」

監修:

大久保純一(国立歴史民族博物館教授)

山下裕二(山種美術館顧問、明治学院大学教授)

編集:

山種美術館学芸部

発行:

山種美術館




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