Bunkamuraザ・ミュージアムで「英国の夢 ラファエル前派展」を観た! | とんとん・にっき

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Bunkamuraザ・ミュージアムで「英国の夢 ラファエル前派展」を観てきました。観に行ったのは昨年末、年の瀬も押し詰まった12月30日のことした。僕の場合、「リバプール」と聞くとすぐに、「ザ・ビートルズ」誕生の地と直結します。今回の「ラファエル前派」の作品を提供している「リバプール国立美術館」は、リバプール市内及び近郊の3美術館などの総称で、「ラファエル前派」の傑作を有する美術館として世界的に知られている、という。


日本で開催された「ラファエル前派」の展覧会は、今までもよく観ていました。やはりBunkamuraザ・ミュージアムで観た「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」が思い出されますが、「ラファエル前派」関連の展覧会でブログに書いたものを、下に載せておきます。

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猪突ですが、「ジェームズ・マクニール・ホイッスラー」と「ラファエル前派」の画家との関連はあるのでしょうか。ホイッスラーの作品、「白のシンフォニーNo.2」あるいは「白のシンフォニーNo.3」が、ローレンズ・アルマ=タデマの「お気に入りの詩人」やエドワード・ジョン・ポインターの「テラスにて」に、受ける印象が似ているような気がします。ホイッスラーはアメリカ人の画家ですが、ロンドンに移り住んでいるし、年代的にも一致するようですが、どうなんでしょう。単なる印象からの思い付きですが。


ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの「シビラ・パルミフェラ」を観ると、まさに「ラファエル前派」の画家が描く女性という感じがします。「シビラ」とは「巫女」の意味です。この女性は豪華な赤いローブを身にまとい、頭部から肩にかけてうねるような絹のヘアバンドを巻き、大理石の玉座に腰かけています。両脇の柱頭には愛と死の循環のシンボルが彫刻されています。モデルはアレクサ・ワイルディングという欠点のない女性です。ロセッティの作品はほかにも「パンドラ」が出されていました。モデルはウィリアム・モリスの妻のジェイン・モリスです。


そうしたいかにも「ラファエル前派」の女性に対して、チャールズ・エドワード・ペルジーニの「シャクヤクの花」は、作家自身が作り上げた女性美の表現の典型的なものだと、解説にあります。これだけ他の作品から浮き立っているようで、僕はこの作品の前でしばし佇んでしまいました。ルージュ飾りの豪華なドレスを着て、首の周囲にはひだが寄せられ、白いレースのフリンジが黒い糸によってまとめられています。左手はシャクヤクの浅い鉢を支え、右手で咲く花を効果的に見せようとしています。手や顔の皮膚の陶器のような滑らかさが際立っています。完全に独自の特徴を持っており、神秘的なリアリズムの到達していると、解説にあります。


なんとジョン・ラスキンの小さな水彩画が1点、出ていました。ラスキンはラファエル前派を擁護した批評家として知られていますが、自分でも水彩画を描いていたんですね。「旧コニストン・ホール」という小さな作品です。ラスキンは、イングランド湖水地方のコニストン湖東岸の家を購入しています。この作品は、オール漕ぎのボートからの眺めであり、友人へのプレゼントとして描かれたものです。ラスキンの建築に基づいたフィレンツェの歴史研究は、「ヴェネツィアの石」としてまとめられました。


今回の展覧会の構成は、以下の通りです。


Ⅰ ヴィクトリア朝のロマン主義者たち
Ⅱ 古代世界を描いた画家たち
Ⅲ 戸外の情景
Ⅳ 19世紀後半の象徴主義者たち

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Ⅰ ヴィクトリア朝のロマン主義者たち



Ⅱ 古代世界を描いた画家たち





Ⅲ 戸外の情景


Ⅳ 19世紀後半の象徴主義者たち




「英国の夢 ラファエル前派展」
ロセッティ、ミレイ、ハントらがラファエル前派を結成し活躍した19世紀中頃のリバプールは、造船業や様々な工業によって、また工業製品を輸出する英国随一の港町として大変栄えていました。リバプール国立美術館は、リバプール市内及び近郊の3美術館などの総称で、ラファエル前派の傑作を有する美術館として世界的に知られています。本展では、リバプール国立美術館の所蔵品から、ラファエル前派及びその継承者たちの油彩・水彩など65点を紹介し、近代における英国美術の英国らしさを「英国の夢」をキーワードに浮き彫りにしていきます。

「Bunkamuraザ・ミュージアム」ホームページ


bun1 「英国の夢 ラファエル前派展」

図録
企画・運営:
新潟市美術館
名古屋市美術館
Bunkamuraザ・ミュージアム
山口県立美術館
東京新聞
有限会社アルティス
監修・執筆:
クリストファー・ニューアル
木島俊介
制作:印象社
発行:有限会社アルティス





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