森アーツセンターギャラリーで「ラファエル前派展」を観た! | とんとん・にっき

森アーツセンターギャラリーで「ラファエル前派展」を観た!

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森アーツセンターギャラリーで「テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢」を観てきました。観に行ったのは2月2日の日曜日でした。


ラファエル前派またはミレイ関連の展覧会は、過去に2回観ていました。他に三菱一号館美術館でバーン=ジョーンズ関連も観ていました。

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特にザ・ミュージアムの「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」の出品は同じテート美術館でしたので、今回の展覧会と重なり合う部分が多く、以下の4点、同じ作品が出品されていました。

 ・両親の家のキリスト(大工の仕事場)

 ・マリアナ

 ・1746年の放免令

 ・安息の谷間「疲れし者の安らぎの場」


テート美術館は、上にあげたBunkamuraザ・ミュージアムの「ミレイ展」(2008年)、東京都美術館の「ターナー展」(2013-14年)、そして今回という、3回目の朝日新聞社との共催です。今回の展覧会は、ミレイの「オフィーリア」やロセッティの「ベアタ・ベアトリクス」などの傑作を含むテート美術館所蔵の名画を通し、1848年のラファエロル前派兄弟団の結成時から、象徴主義的な作品に彩られるバーン=ジョーンズの晩年にいたるまで脈々と流れる、ラファエル前派の急進性に光が当てられています。挑発的な様式と主題をもって同時代の社会的、政治的な動乱に向き合うラファエル前派芸術を紹介します。


ラファエル前派兄弟団は1848年、ロンドンのロイヤル・アカデミー美術学校で学ぶ3人の学生、ジョン・エヴァレット・ミレイ、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウイリアム・ホルマン・ハントを中心とする7人の若者によって結成されました。彼らは、盛期ルネサンスの巨匠ラファエロを規範に据えていた当時の保守的なアカデミズムを憂い、ラファエロ以前の初期ルネサンス絵画に理想を見出します。自然を注意深く観察してありのままの姿を忠実に描き、より自由な表現を追求しました。彼らの前衛的、すなわち「アヴァンギャルド」な作品は社会から猛反発を受け、英国画壇にスキャンダルを巻き起こします。


しかし、美術評論家ジョン・ラスキンの擁護もあり、次第に彼らの活動は認められていきました。またロセッティのもとにエドワード・バーン=ジョーンズやウィリアム・モリスら第二世代が集い、唯美主義やアーツ・アンド・クラフツ運動にもつながる英国近代美術の発展に大きく貢献しました。今回の展覧会では、テート美術館の至宝ともいえる名画72点により、グループ結成から1890年代までのラファエル前派の歩みを紹介し、その活動の意義と全容に迫ります。


過去のミレイ関連の記事を読み直してみると、苦肉の策ですが「オフィーリア」について、夏目漱石の「草枕」を引き合いに出して書いていたり、映画「めぐりあう時間たち」の冒頭は、ヴァージニア・ウルフの衝撃的な入水シーンを引き合いに出したりもしています。今回はミレイだけでなく、ロセッティ作の名画19点も一挙公開、まさに「美女の競演」といえます。しかも、彼らの相関関係が凄い。ラファエル前派は、ミレイにロセッティ、ハントの3人はモデルと関係し、ロセッティとモリスがジェインを加えて奇妙な三角関係になり、それにバーン=ジョーンズが加わり、わけが分かりません。図録にも「人物相関図」が載っていました。 まあ、これを見れば一目瞭然か?


展覧会の構成は、以下の通りです。


1.歴史

2.宗教

3.風景

4.近代生活

5.詩的な絵画

6.美

7.象徴主義



1.歴史



2.宗教



3.風景


4.近代生活


5.詩的な絵画



6.美



7.象徴主義


「ラファエル前派」とは?
1848年ロンドンー前衛芸術運動を起こし、英国の美術史に大きな影響を与えた芸術家グループが7人の若者によって結成されました。正式名称は「ラファエル前派兄弟団(Pre-Raphaelite Brotherhood)、略してPRB。中心となったのはロイヤル・アカデミーで学ぶ3人の学生、ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-96)、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(1828-82)、ウィリアム・ホルマン・ハント(1827-1910)でした。彼らは盛期ルネサンスの巨匠ラファエロを規範としてその形式だけを踏襲する当時のアカデミズムに反発し、ラファエロ以前の率直で誠実な初期ルネサンス絵画を理想としてこのグループ名を付けました。彼らの作品は、具体的にはどういった絵画だったのでしょうかー彼らは自然をありのままに見つめ、その姿を正確に写しだそうとして、戸外での制作を試みたり、くっきりした明るい色彩を使用し細部を描き込んだりして、リアリズムに徹した画面を作り上げたのです。当初、そのような姿勢や絵画は社会から猛反発を受け、一種のスキャンダルになりましたが、美術評論家ジョン・ラスキンの援護もあり、しだいに受容されていきました。本展では、ラファエル前派を英国の近代美術に新たな道を切り開いたアヴァンギャルド運動としてご紹介します。


「ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢」

英国を代表する絵画の殿堂、テート美術館が所蔵する名品72点を通し、ラファエル前派を紹介する展覧会を開催します。1848年、ロンドン。ジョン・エヴァレット・ミレイ、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハントを中心とする若い作家たちは、ラファエロを規範とする保守的なアカデミズムに反旗を翻し、それ以前の初期ルネサンス美術に立ち返るべく「ラファエル前派兄弟団」を結成しました。古典的な形式や慣例にとらわれない彼らの芸術運動は、英国のアート界にスキャンダルを巻き起こしました。本展は、グループの結成から1890年代までのラファエル前派の歩みを歴史、宗教、近代生活、風景、詩的な絵画、美、象徴主義の7つのテーマに分けて紹介します。ロンドン、ワシントン、モスクワ、と各地で話題を集めた展覧会がいよいよ東京に巡回します。どうぞご期待ください。


「森アーツセンターギャラリー」ホームページ


raph21 テート美術館の至宝

「ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢」
監修:荒川裕子(法政大学キャリアデザイン学部教授)

編集:朝日新聞社

発行:朝日新聞社







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