お宝映画・番組私的見聞録 -231ページ目

真昼の誘拐

前項で取り上げた高橋英樹だが、デビュー作では端役だったが、2作目で早くも主役格に起用されたのが「真昼の誘拐」(61年)である。これは不良な若者たちが子供を誘拐、といっても直ぐに子供を送ってきたふりをして礼金をせしめよう程度の計画だったのが、子供は警視総監の娘で思わぬ大事態に発展してしまうというような話。その若者たちに扮するのが高橋英樹、川地民夫、杉山元、石崎克己、中尾彬といった面々である。この中で既に活躍していたのは川地だけで、後はほぼ無名の新人であった。杉山元は最近取り上げた「ミラーマン」の安田役が有名。石崎克己は詳細不明だが、60年代前半のみ活動していた人のようである。そして、これがデビュー作になる中尾彬。当時はまだ俳優というわけではなく単に大学生だったようだ。中尾はこれがきっかけで、この翌年日活に入社するのである。他の出演者は警視総監に芦田伸介、誘拐に絡んでくる悪人に垂水悟郎、刑事役には後に刑事ドラマで活躍することになる佐野浅夫、庄司永建などである。芦田と中尾も後に「二人の刑事」というドラマで共演することになる。毎度のことながら未見だが、デビューまもない高橋英樹と中尾彬が見られるという点で、見てみたい作品である。

上を向いて歩こう

前項までと話題は全く変わるのだが、CSで日活映画「上を向いて歩こう」(62年)が放映された。その内容とか出演者については全く知らなかったのだが、坂本九が主演だということは予想がつく。それは正解だったのだが、ちょっとほろ苦い感じの歌謡恋愛映画かなあと思っていたのだが、かなり違っていた。他の出演者は浜田光夫と吉永小百合のゴールデンコンビ、それに高橋英樹という珍しい取り合わせである。高橋英樹はこの前年にデビューしたばかりで、当初は青春映画に出演していたが、翌63年に「男の紋章」への主演で日活任侠路線へ進んでいったので、浜田や吉永との共演は珍しく感じる(私が知らないだけかもしれんが)。ちなみに本作で吉永と絡むのは浜田ではなく高橋である。

さて内容だが、冒頭少年鑑別所からの集団脱走で幕を開ける。その中の二人が坂本と浜田だが、それを軽トラで拾うのが、例の黒縁メガネを掛けていなかったので一瞬誰かわからないが、「七人の刑事」の芦田伸介である。芦田は脱走した少年を鑑別所には返さずにそのまま引き取って更生させるという保護司という役柄だが、非常に無茶な設定である。その娘が吉永と後にジェリー藤尾と結婚する渡辺トモコだ。年頃の娘にある意味危険な若者たちの世話をさせているというのも無謀な話である。とまあ坂本九が主演とはいえコメディでも歌謡映画でみなく、普通に青春映画なのである。ところでどう見ても坂本九は善人にしか見えないが(映画の中でもやっぱりいい奴である)なんで鑑別所に入っていたのかは謎である。

夕日と拳銃(映画版)

前項の「夕日と拳銃」には映画版が存在しており、56年に制作されている。主演は東千代之介で、当時はデビューして3年目だが既に30歳、中村(萬屋)錦之介と並ぶ東映のエース的存在であった。東の活躍はデビューから10年くらいに集中しており、その後はたまにテレビに出ているという感じで00年に亡くなっている。元々日本舞踊界の人なのでその世界に戻ろうと思えば戻れたということもあり、それほど役者への固執はなかったようだ。個人的には東千代之介をテレビで見た記憶がほとんどないが、「バトルフィーバーJ」に司令官役で出演していたのには驚いた。

さて他の出演者だが、父親役で小沢栄太郎(当時は小沢栄)、弟役に高倉健、加藤嘉、村瀬幸子、宇佐美淳(当時は諄)らに加え、今やベテラン声優の藤田淑子や南原宏治(当時は伸二)、そして新人だった今井健二(当時は俊一)らが出ている。今井健二は今井俊二名義でデビューしたと思っていたが、デビュー作と本作の二作のみ本名である俊一名義で出ているようだ。その他にも神田隆、波島進、南川直、佐原広二、岩上瑛という「特別機動捜査隊」の初期メンバーが揃って出ている。注目すべきは波島進でなんと金日成の役。この金日成があの将軍様の父を指しているのかたまたま同じ名前なのかよくわからないのだが、満州解放の闘士と解説にはあるので、あの金日成だろうと思われる。ちなみにこの映画では主人公側の人間のようだ。

夕日と拳銃

工藤堅太郎という人は、自分がかなり子供の頃には認識していた俳優だが、彼を一躍有名にしたのは「夕日と拳銃」(64年)というドラマのようだ。わずか1クールということもあるのか全く初耳であった。テレビドラマデータベースには「大陸の広大な荒野を舞台に描く」とあり、なんのことやら一瞬わからなかったが、ようするに馬賊を描いた話のようだ。原作は壇一雄の小説で実在の人物である伊達順之助をモデルにした伊達麟之介が主人公となっているので、テレビドラマデータベースや日本映画俳優全集には工藤堅太郎が演じたのは伊達順之助となっているが、正確には麟之介が正しいと思われる。共演は嘉手納清美、扇千景、小松方正などで、工藤と嘉手納はこの共演がきっかけで結婚している(後に離婚)。当然聞いたことはないのだが、この番組の主題歌はとても「巨人の星」に似ているそうである。作曲は同じ渡辺岳夫なので似ていても不思議ではないのだが、一度聞いてみたいものである。

五番目の刑事

最近このブログに登場した工藤堅太郎、そして原田芳雄から連想されるのが「五番目の刑事」(69年)である。とはいっても毎度のことながら見たことがあるのは、そのOPとEDだけで、おそらく番組自体は一度も見たことがない。再放送などもおそらくうちの地域ではされていないのではないだろうか。資料もなくあまり語られることもないレアな番組の一つといえるだろう。というわけで、そのOPと少ない情報のみで書いていくことにする。

タイトルどおり五人の刑事が活躍する話で、五番目というのは当然主演の原田芳雄演ずる原田刑事のことである。同じ東映制作の「特別機動捜査隊」のようなお堅い刑事ドラマとは打って変わって原田はジープに乗って走り回る。「太陽にほえろ」の第1話で萩原健一はジープに乗って現れるが、同じことを原田は3年早くやっていたのである。原田のデビューはテレビも映画も68年だったので、まだ新人同然であった。しかし既に28歳ということもあり初々しさは感じられない。他の四人だが、まずは工藤堅太郎(立花刑事)。ドラマ上ではどうだったかわからないが、実年齢は原田と同い年である。「Gメン75」の若林豪(立花警部補→警部→警視)、「特捜最前線」の本郷功次郎(橘警部)、「非情のライセンス」の渡辺文雄(橘警部)、「特別機動捜査隊」の南川直(橘部長刑事)など東映のタチバナ好きは有名だが、ここにも立花がいたのである。ただ若手刑事は工藤だけだ。話を戻し後は常田富士男(庄田刑事)、桑山正一(牛山刑事)、中村竹弥(山田部長刑事)という渋いメンバーである。中村竹弥は歌舞伎界では下積みの人だったが、テレビ開局まもなくからテレビに進出し「半七捕物帳」「右門捕物帳」「旗本退屈男」と次々に主演し、初のテレビ時代劇スターといわれた人でなので、こういった現代劇に出演するのは珍しかったと思われる。まあ我々世代にはやはり「大江戸捜査網」の内藤勘下由役が一番馴染みがあるのではないだろうか。

まあいずれにしろCSあたりでの放送を望む次第である。

ミラーマン

前項で話が出たついでに「ミラーマン」(71年)を取り上げてみよう。今やミラーマンといえば植草教授みたいな感じになっているが、関係者にとっては迷惑な話であろう。円谷の作品の中では「ウルトラセブン」に近い雰囲気と言おうか、日曜19時という放映時間の割にはあまり子供向けではない作風であった。出演者もかなり渋いメンツが揃っていたと思う。主演の石田信之は「柔道一直線」でデビューした当時21歳、元々は警官志望だったという役柄どおり生真面目なタイプだったようだ。村上チーフの和崎俊哉は日本電波映画時代は姿三四郎などを演じており、「木枯し紋次郎」の最終選考にも残ったらしい。当時は33歳だが、もっと老けて見える。藤本役の工藤堅太郎は万年青年といった感じでいつ見てもイメージが変わらない感があるが当時すでに30歳であった。野村由紀役の市地洋子は当時20歳で、前年の映画「三匹の牝蜂」では夏純子、大原麗子と共にズベ公を演じていた。安芸晶子と名乗っていた時期もある。御手洗博士の宇佐美淳也は「光速エスパー」でも博士を演じており、博士といえばこの人というようなイメージがある。古くは宇佐美諄を名乗っており、80年に亡くなった時は宇佐美淳だったようだ。

さて「ミラーマン」といえば、この裏番組であった「シルバー仮面」とかなり関連がある。「ミラーマン」にはパイロット版が存在するが、そこで主役の京太郎を演じたのはシルバー仮面の主役となる柴俊夫であった。一方の石田信之には「シルバー仮面」の主役の話もきていたという。たまたま「ミラーマン」の話が先だったので選択したらしい。ちなみにパイロット版のキャストだが、宇佐美淳也や工藤堅太郎(役名は今野)はそのままだが、ユミという役でアイドル歌手の南沙織、村上役はなんと南原宏治が演じていたという。南原宏治の村上というのも見てみたい気がするが、途中で裏切ってインベーダー側につきそうである。そういえば南沙織がゲスト出演したのはミラーマンではなくシルバー仮面のほうであった。シルバー仮面が途中でジャイアントになったのは、やはりミラーマンに視聴率で負けていたからで、それをみたミラーマンも途中で侵略者路線から怪獣路線へと切り替わっていくのである。まあどっちも地味な番組ではあったけれども、個人的にはそれがまたいいと思うのである。

ジャンボーグA

「怪奇大作戦」の話が出たので、もう一つ円谷の特撮ということで「ジャンボーグA」(73年)を取り上げてみたい。やはり本家のウルトラシリーズに比べるとマイナー感のある作品だが一年続いた(全50話)ところを見るとそれなりに人気を得ていたのかもしれない。私自身も結構見ていた記憶がある。当時は自分もガキなのにガキっぽい作品だと思っていた気がするが、今見直すとハードな部分も多い。何しろ隊員(本作ではPAT)の入れ替わりが激しい。殉職が三人に左遷が一人、移動が一人といった具合である。第1話でいきなり主人公立花ナオキ(立花直樹)の兄である立花隊長(天田俊明)が殉職する。天田俊明は「七人の刑事」の一人として有名。立花直樹は等ブログでも何度が触れたが、本主人公の名をもらったのではなく、逆に番組が彼の名をそのまま主人公の名にしてしまったようだ。よく考えれば当時はこのパターンは結構あり、たとえば「プレイガール」では沢たまきの役名は沢村たまきだし、片山由美子の役名は片岡由美子たったりする。また「ゴールドアイ」では渡瀬恒彦はそのまま渡瀬だし、藤岡弘は藤弘という役名であった。立花の後を継いだ岸隊長(大橋一元)も12話で殉職する。 大橋一元は60年代後半から70年代前半に活躍していた人で「特命捜査室」(68年)というドラマではレギュラーで、「ウルトラセブン」にもゲスト出演している。岸の後を継いだのが浜田(松川勉)で1クールで隊員→チーフ→隊長まで昇格している。松川勉も60年代~70年代に活躍していた慶応ボーイで、「オレとシャム猫」では主演の石坂浩二が忙しいときの代理主演みたいなポジションにいた。「白い牙」の第1話で藤岡弘に射殺される村木刑事を演じていたのも松川である。14話から隊員として加わるのが風間(中村俊男)だが、19話には命令無視を犯し左遷処分となってしまう。中村俊男といえば加山雄三の「高校教師」での小柄だが学ランに下駄履きの番長役が印象に深い。こういったタイプの役が多く、正義の味方は似合っていなかったと思う。さて浜田隊長も31話でヨーロッパでのPAT隊長会議に出席のため隊を離れる。そんなに長い会議なのか?で32話より4代目隊長として登場するのが元SGMの村上(和崎俊哉)で、「ミラーマン」と同じ役柄なのである。唐突に「ミラーマン」と「ジャンボーグA」の世界は繋がっていたことになったのだ。なおこの回はやはり元SGMの野村由紀(市地洋子)も登場するが、この回のみであった。PATの女性隊員も野村せつ子(加瀬麗子)なので、同じ野村でややこしいからだろうか。個人的には市地洋子のほうが好みなのだが。そういえば14話では風間の他に大羽(瀬戸山功)という隊員がひっそりと加わっていたのだが、初めて目立った42話に殉職してしまう。そして43話から登場するのがやはり元SGMの安田(杉山元)で、メガネを外し色黒になっていたのでまるで別人に見えた。杉山元は日活の青春映画で山内賢や和田浩治とバンドを組んでギターを弾いていたりした人である。

とまあ実に入れ替わりの激しいPATだが、デブの熊井隊員(丸岡将一郎)と華のない野村隊員のみ最初から最後まで登場していた。ミラーマンで主役を演じた石田信之も岸の弟という役でゲスト出演している。ちなみに第26話のサブタイトルはDVDなどでは「謎!ノンビリゴンの正体」となっているがオリジナルは「気ちがい星とノンビリゴン」である。数年前のCSではそのまま放映されている。脚本は前項にも登場した山浦弘靖だが、このテのネタが好きなのだろうか。

怪奇大作戦

最近ここで取り上げたネタが勝呂誉や放送禁止作品だったりするので、ここはやはりそれらに共通する「怪奇大作戦」(68年)について触れなければなるまい。封印されているのは第24話「狂鬼人間」で、タイトルどおり気違いネタである。同じ円谷プロの封印作品では「ウルトラセブン」(67年)の12話「遊星より愛をこめて」が有名だが、その後番組である本作との大きな違いは「狂鬼人間」を収録しているビデオやLDが発売されていたということであろう。25年くらい前であろうか、突如封印され欠番扱いとなってしまったわけだが、他の封印作品に比べればその映像は手に入れやすいかもしれない(実は自分も最近YouTubeで見た)。本放送を見ていた記憶はあるのだが、子供が楽しめる類の作品ではなかったし、それほど思いいれもなかった。まさか突然封印されるとは思っていなかったので、ビデオにとって置かなかったのは失敗だったと思ったものである。まあ朝日ソノラマが出していた「ファンタステックコレクション・ウルトラQ/怪奇大作戦」(79年発売)はたまたま所持しており、それには「狂鬼人間」のエピソードも収録されているので、この頃はまだ解禁されていたことがわかる。

まあこのエピソードを解説・紹介しているサイトは結構あると思うので詳しくはそちらを見ていただくとして、ようするに精神障害者に対する差別的な発言が多いのは確かである。関係団体から抗議があり封印されることになったのかも知れないが、70年代まではそういった作品は非常に多かったと思う。当時の刑事ドラマやアクションドラマなどでも犯人が異常者であることは珍しくなかったのである。迂闊に封印すべきではないとは言えないが、逆に好奇心をあおることにも繋がってしまうと思ったりする。ちなみに「狂鬼人間」の監督は今も円谷プロに在籍する満田かずほ、脚本は山浦弘靖だが、両名とも「怪奇大作戦」での担当はこれ一作だけである。この満田に脅迫電話がかかってきた為に封印されたという噂もある。

青年の樹

大空真弓の元夫といえば勝呂誉だが、その勝呂のデビュー作となるのがテレビドラマ「青年の樹」(61年)である。石原慎太郎原作のこのドラマで主役に抜擢された勝呂はこの一作で人気者となった。この作品で共演したのがなんと大空真弓で、デビューしていきなり二人は出会っていたのである。ちなみに二人は同い年の21歳であった。そして前項で取り上げた寺島達夫もこのドラマに出演しており、他には森繁久弥、沢村貞子、馬渕晴子と中々豪華なキャストだったようだ。そして63年の「大学生諸君」というドラマでも二人は共演、そして68年の東芝日曜劇場「小指」というドラマには婚約直後に共演している。まあ共演を繰り返しての結婚というのは世間でいえば職場結婚ということだし、石原裕次郎と北原三枝とか三浦友和と山口百恵とか珍しいことではないが、この勝呂・大空コンビのことはあまりよく知らなかった。 我々世代が勝呂を知るのは「怪奇大作戦」(69年)という人が多いのではないだろうか。というか他に勝呂を見た記憶はほとんどない。映画の方も松竹に所属していた60年代に数本出ているが、それ以降はほとんど出ていないようだ。そういえば芸能人野球大会によく出ていたような記憶がある。昔はよくスペシャル番組としてよく放送していたと思うが何故か勝呂誉が印象に残っているのである。

十代の曲り角

前項であまりよく知らないと書いたハンサムタワーの寺島達夫がどんな作品に出ていたか、ちょっと調べてみた。この人はその新東宝時代においても主役ではなく、大体が準主役といった感じだったようだ。その中に「十代の曲り角」(59年)という作品があるが、ポスターでは寺島の名が2番目にきている。主演となるのはそのポスターに<十代のトップスター>と銘打たれている大空真弓だ。実際当時19歳で宝塚っぽい芸名の大空真弓が新東宝出身なのは意外に感じてしまう。デビューして2年程度で20本近い作品に出演していた売れっ子である。まあこの作品は不倫する母親(荒川さつき)に反抗して女番長になった大空真弓が売春組織から手下の不良少女たちを救うというもの。 ちなみに寺島の役柄は刑事、ポスターに<五輪のバラ娘>とあるのが手下の不良少女のことであろう。花園あやめ、松原由美子、瀬川美智子、月野百合子、九条明子といった面々だが、いずれも詳しいプロフィールは不明で、十代だったかどうかもわからないが、2年から3年程度の活躍期間で映画界を去った人たちだと思われる。他の出演者も三原純、江波志郎などあまり聞いたことのない名前が並ぶ俗に言う「十代の性典」的な作品である。