上を向いて歩こう | お宝映画・番組私的見聞録

上を向いて歩こう

前項までと話題は全く変わるのだが、CSで日活映画「上を向いて歩こう」(62年)が放映された。その内容とか出演者については全く知らなかったのだが、坂本九が主演だということは予想がつく。それは正解だったのだが、ちょっとほろ苦い感じの歌謡恋愛映画かなあと思っていたのだが、かなり違っていた。他の出演者は浜田光夫と吉永小百合のゴールデンコンビ、それに高橋英樹という珍しい取り合わせである。高橋英樹はこの前年にデビューしたばかりで、当初は青春映画に出演していたが、翌63年に「男の紋章」への主演で日活任侠路線へ進んでいったので、浜田や吉永との共演は珍しく感じる(私が知らないだけかもしれんが)。ちなみに本作で吉永と絡むのは浜田ではなく高橋である。

さて内容だが、冒頭少年鑑別所からの集団脱走で幕を開ける。その中の二人が坂本と浜田だが、それを軽トラで拾うのが、例の黒縁メガネを掛けていなかったので一瞬誰かわからないが、「七人の刑事」の芦田伸介である。芦田は脱走した少年を鑑別所には返さずにそのまま引き取って更生させるという保護司という役柄だが、非常に無茶な設定である。その娘が吉永と後にジェリー藤尾と結婚する渡辺トモコだ。年頃の娘にある意味危険な若者たちの世話をさせているというのも無謀な話である。とまあ坂本九が主演とはいえコメディでも歌謡映画でみなく、普通に青春映画なのである。ところでどう見ても坂本九は善人にしか見えないが(映画の中でもやっぱりいい奴である)なんで鑑別所に入っていたのかは謎である。