喧嘩太郎
吉沢京子をテレビドラマデータベースで検索すると先頭にくるのが「喧嘩太郎」(68年)というドラマである。初レギュラーは前々項で取り上げた「フルーツポンチ3対3」だが、こちらにはゲストで出たということなのだろう。本人の公式HPでも、これより以前の作品は出てこないので、これがテレビ初出演ということになる。
さて「喧嘩太郎」だが、主演はあの杉良太郎である。杉はこの前年の「文吾捕物帳」で人気を得ており、それに続く主演ということになる。他の出演者が和田浩治、山本陽子、松原智恵子に宍戸錠、大坂志郎と日活のメンバーが並んでいる。それもそのはずで、杉は当時日活の俳優であり、このドラマの制作には日活もかかわっていたからである。ところで「喧嘩太郎」といえば、石原裕次郎主演の映画(60年)を思い出す人も多いかもしれない。原作は同じ源氏鶏太なので、つまりかつての映画をテレビ化したものがこのドラマということだ。かつて石原裕次郎の演じた役を杉良太郎が演じたということになるのだが、どっちがいいかはその人の好みということになるが、どっちも見てないのでなんともいえない。内容だが、もちろん喧嘩太郎さんという珍名さんが活躍する話ではなくそれは通称である。映画の方は宇野太郎だが、テレビの方は大門大太というらしい。
ところで自分は「喧嘩太郎」と聞いて高倉健の映画だと勘違いしていた。ほぼ同時期に高倉主演で「万年太郎」「旋風太郎」「突進太郎」という作品があり、やはり高倉主演で「喧嘩社員」という作品もあるので混同してしまった。当時は男は太郎という時代だったのである。
レモンの天使・かけだし天使
吉沢京子でもう一つ印象深い番組といえば、個人的には「レモンの天使」(71年)なのである。日曜日の午前、朝食時に見ていたというより、テレビをつけていたら始まったという感じの番組なのである。恐らく本放送だったと思うのだが、わが故郷ではこの番組を日曜の午前中にやっていたと記憶している(関東では月曜の19時からだったようだ)。正直見ていたというよりは、吉沢が草原(お花畑だったかも)を走っているOPしか記憶にない。ただ看護婦だったよなあというのは漠然と覚えていた。なぜならナース服だったから。これだけでも吉沢が看護婦を目指す(あるいは新人看護婦)の青春ドラマだという見当がつく。他の出演者は「飛び出せ青春」の青木英美と松原麻里、「でっかい青春」の竜雷太、ゲストも梅田智子に皆川妙子と東宝の青春ドラマでお馴染みの面々が並んでいる。
書くことがなくなったのでもう一つ新人看護婦を主人公としたドラマをあげておこう。「かけだし天使」という68年のドラマで、舞台は整形外科でヒロインはなんと浜美枝。こちらは見たことがないのだが、浜は当時25歳でこの前年には「007は二度死ぬ」にボンドガールとして出演している。この時点で貫禄のある女優というイメージがあるので、あまり初々しくない新人看護婦だったのではないかと失礼なことを想像してしまう。ちなみに他に共演者は園井啓介、宮口精二などである。
どちらのタイトルにも共通するのは「天使」。今でもそうかもしれないが、当時は看護婦=天使というようなイメージが強かったのであろう。やはり看護師と言うよりも看護婦の方がピンとくると思う(もちろん女性の場合)。けっこうそういう人は多いのではないだろうか。
フルーツポンチ3対3
今回は吉沢京子の話題である。個人的には70年代のアイドル女優の中では、かなり好きな方であった。とはいっても何分自分は小学生だったこともあり、出演ドラマを必ずしも見ていたわけではなかった。当時自分がすきだったマンガ「ド根性ガエル」のヒロインの名もまんま吉沢京子であるくらい人気があった。彼女の出世作といえば、やはり「柔道一直線」ということになるだろうが、彼女は劇団ひまわりにいたということもあり、それ以前からテレビや映画に登場していた。そんな彼女のテレビ初レギュラーが「フルーツポンチ3対3」(68年)である。当時、吉沢京子はまだ14歳の中学生であった。内容は父親と男三人兄弟の家庭と母親と女三人姉妹の家庭のからみを描いたコメディタッチのドラマということである。出演者だが男家庭のほうは、父親が大坂志郎で、三兄弟が川崎敬三、山口崇、山本紀彦で、女家庭のほうは、母親が高峰三枝子で、三姉妹が星由里子、吉沢京子なのだが後一人はわからない(おそらく弓恵子か寺島信子という人のようだ)。で主演は誰かといえば星由里子で、相手役となるのがいつもの加山雄三ではなく山口崇である。もちろん 見たこともないドラマだが、最終的には大坂と高峰が結ばれるようだし、「3対3」ではなく「4対4」でも良かったんじゃないのとか思ってしまった。
魔女はホットなお年頃
さて70年代に活躍した女優として忘れてはならないのが新藤恵美。新藤といえば、やはりボウリングスポ根物「美しきチャレンジャー」(71年)が思い浮かぶが、彼女はこのドラマが初主演だったわけではない。調べてみるとデビューは66年で、まだ16歳の時。テレビのほうも60年代後半には何本か出演しいているが、初主役となったのは70年の「魔女はホットなお年頃」というドラマである。タイトル通り新藤が魔女を演じる。しかもその正体は人間に化けた狐という設定である。とはいうものの資料はまったくなく、記憶に残っている人もあまりいないと思われる。「美しきチャレンジャー」の後だったら、もう少し注目されていたかもしれない。このドラマの背景にはやはり66年から放送された「奥様は魔女」のヒットがあると思われる。この頃で魔法物といえば、アニメなら「魔法使いサリー」を始めとした東映魔女ッ子シリーズやドラマなら「コメットさん」や「好き好き魔女先生」といった割合低年齢 層を意識したものがほとんどだが、この「魔女はホットなお年頃」はどうだったのであろうか。放映時間は19:30からだったようだが、もう少し高い年齢をねらってたように思うのだが。出演は他に藤村有弘、奈良富士子、ピーター、戸浦六宏、伊吹友木子などである。
マドモアゼル通り
コートにかける青春
前項の「美人はいかが?」と同時期に「マーガレット」に連載されていたのが志賀公江の「スマッシュを決めろ!」であり、それをドラマ化したのが「コートにかける青春」(71年)である。タイトルからわかると思うがテニスのスポコン物だ。テニスといえば「エースをねらえ!」を思い出す人も多いかもしれないが、アニメの放映は73年でこちらのほうが先である。主演は紀比呂子で、個人的には「アテンションプリーズ」の方のイメージが強い。というより「コートに かける青春」を見た記憶はなかったりする。でもう一人のヒロインといえるのが「仮面ライダー」「アイアンキング」の森川千恵子。「仮面ライダー」の時は真樹千恵子名義で、初期1クールに主演していた。ちなみに彼女の役名は東城真琴というのだが、アニメ「エースをねらえ!」での主演声優は高坂真琴である。ちょっとややこしい。他の出演者も当時の青春ドラマにかかせない役者が並んでいる。「ダイヤモンドアイ」の黒沢のり子、「レインボーマン」の皆川妙子、「八月の濡れた砂」のテレサ野田、「飛び出せ青春」の大田黒久美、「レットバロン」「スーパーガール」の牧れい(当時・牧れい子)などである。
さて主演の紀比呂子は三条美紀の娘としても知られるが、あまり似ているという印象がない。パーツは似ているかも知れないが決定的に顔の形が違うことが、似てないという印象を与えるのだろう。つまり紀比呂子の顔は丸いということである。
美人はいかが?
またも唐突だが、奈良富士子という女優をご存知であろうか?まあ結構有名な人だと思われるので、当然知っているという人も多いだろう。しかし「彼女の代表作は?」と問われるとどうであろうか。いろんなドラマに顔はだしているもののゲスト出演という立場が多く、これだというものが思い浮かばないのではないだろうか。そんな彼女の主演ドラマが「美人はいかが?」(71年)で、原作は「マーガレット」に連載されていた忠津陽子の漫画である。奈良富士子は元々大阪の方で子役として活動しており、「忍者ハットリ君(実写版)」などに顔を出していた。そんな彼女が財津一郎の目にとまり、このドラマ主演のため上京してきたとテレビドラマデータベースには書かれている。ドラマのほうは四人の兄を持つ男まさりの女子高生・十文字丸(まろい)が、だんだん素敵なレディになっていくというようなお話のようだ。当時、奈良は役柄とほぼ同じ17歳で、どうみても美人に見えたらしく、美人ではないという設定には無理があったようだ。四人の兄を演じるのが「西部警察」寺尾聡、「特捜最前線」夏夕介、「笛吹童子」内田喜郎、そして何故か日本舞踊の西川鯉之丞という面々である。彼らの役名が無理矢理としか思えないのだ。順に東(はじめ)、西(きよし)、南(たかし)、北(おさむ)と読ませるのである。実在したら「特ダネ登場」の珍名さんコーナーに出れること請け合いである。他の出演者だが奈良の同級生役では今やシャアの中の人で有名な池田秀一、田辺昭知夫人である小林麻美、「飛び出せ青春」の相原ふさ子などで、兄たちの彼女役として「ミラーマン」の沢井孝子、鳩山邦夫夫人である高見エミリー、「大江戸捜査網」の山口いづみと中々豪華なメンバーである。当時小学生の自分はこの手のドラマは全く見なかったので、存在すら知らなかったがキャスト的には興味があるので一度見てみたいものである。
びっくり捕物帳
もう一つOTVでスタートした人気番組を挙げてみる。兄弟漫才コンビ中田ダイマル・ラケットによる「びっくり捕物帳」(57年)である。まあ若い人にはわからんコンビかもしれないが、中田カウス・ボタンの師匠といえばわかるだろうか。元々は十二人兄弟の長男であるデパートと三男であるダイマルのコンビだったのだが(ようするに大丸デパート)、デパートが病気で倒れたため(戦死したからと記述されているところもある)、ダイマルが六男を無理矢理引き入れ、ダイマル・ラケットとして再スタートしたのである。当時は40前後と脂の乗っていた二人が十手持ちに扮し、彼らを見守る与力にこれがテレビ初出演である藤田まこと、そしてその妹に森光子という布陣であった。ちなみに森のほうが13歳年上だが(当時ラケットと同じ37歳)、あくまでも妹である。メンバーからしてお笑いっぽい話になりそうだが、結構推理的要素も入り、基本的に前後編で放映されていたようである。NTV(日テレ)でネットされたらしいので、関東でも見ることができたようだ。
ところでダイマル・ラケットは既にこの世にないが、同世代だった森光子(86歳)はまだまだ元気だ 。今でも藤田の妹役でとおりそうである。
部長刑事・その2
前項に引き続き「部長刑事」の話題である。まずは2代目から7代目を列記してみよう。カッコ内は役名とスタート年である。2代目・北村英三(大鍋:65年~)、3代目・永野達雄(力:67年~)、4代目・美川陽一郎(神:69年~)、5代目・高城淳一(城:70年~)、6代目・飯沼慧(沼:73年~)、7代目・橋爪功(爪:75年~)、この後再び飯沼が戻り76年~84年まで演じた。つまり前項で書いた初代の中村栄二が一番長いというのは間違いで明らかに飯沼慧であった(再登板の部分を見逃していた)。このあたりはいかにもデカ長らしい、通常の番組では主役などありえない中年の渋い役者が並んでいる。北村や永野などは悪役でしか見た記憶がないので意外な感じがする。美川陽一郎といえば「七人の刑事」、69年に幕を閉じているので番組終了直後に起用されたものと思われる。高城淳一は「大都会PartⅢ」の課長や「西部警察」の係長役でお馴染みの人も多いだろう。飯沼慧は前々項で触れた「名探偵ラコック」での主演であるが、関西を中心に活動していた人なので知名度はいまいちであろうか。そして橋爪功、この人は年を取ってから活躍が目立つようになったが、この「部長刑事」就任時はまだ34歳とダントツに若い(他の役者は40歳を過ぎていた)。若い頃の橋爪のイメージが湧かないが、年より老けて見えていたことは確かだろう。ところで彼らの役名だが、城とか神とか沼は普通の苗字だが、力とか爪はかなりの珍名である。ある苗字サイトによれば、力(ちから)さんは全国に70件くらい。爪などは全国で7件とかろうじて存在している名前なのだ(そのデータが正しければだが)。橋爪の「爪」を取ったのだろうが何故、橋ではなく爪だったのか。まあどうでもいいことだが。
とまあ地味なメンツが続いたのだが、84年5月より突然2班体制になり、8代目・入川保則(六条)と9代目・佐藤允(鍋島)という地味ではない役者が交替で登場するようになった。まあ入川も関西を中心に活動しているので、全国的には悪役のイメージが強いのではないだろうか。ちなみに奥さんはホーン・ユキである。佐藤允は説明不要な東宝のスターだが、この時は既に50歳。年齢的にはかつてのデカ長たちと変わらないのだが、妙に若く見えるのである。
この後番組である「アーバンポリス24」でも「二人の事件簿」の篠田三郎、「太陽にほえろ」の勝野洋に小野寺昭、そして京本政樹とかつて若手刑事を演じていた面々がそれなりに年を取ってデカ長を演じるようになったのである。リアルタイムで若い頃を見ていると今も若く見えるから不思議である。勿論例外もあるけれども。
部長刑事
関西ローカルの番組であるながら全国的に知られているドラマといえば、まず「部長刑事」が挙げられるだろう。何しろ長くやっていたということだけは、自分を含む多地域の人間も知っていた。逆に終わっていることを知らない人の方が多いかも。「部長刑事」というタイトルでの放映は(58年~89年)と結構前に終わっており、その後シリーズとして「アーバンポリス24」「シンマイ」「警部補マリコ」と続き、02年に幕を閉じたようである。部長刑事シリーズとかいいながら、新米刑事や警部補が主役じゃやっぱり変だよなあと関西の人々も思っていたのではないだろうか。で、関西人ではない自分が見たことがないかといえば、実はあるのである。北海道にいた少年時代、確か一時期ではあるがネットされたことがあったと記憶している。ただいつ頃だったか誰が出ていたかとかは全く覚えていないのである。実際多地域で放映されていたことはあるらしいので、多分間違いないと思う。
とまあ実質見たことがない「部長刑事」だが、スタートした58年は最近取り上げているOTVの生ドラマであった。初代の矢島部長刑事を演じたのは中村栄二。顔も名前も知らないので調べてみると、プロレタリア演劇などというのをやっていた人で、映画では「ビルマの立琴」(59年)などに出演している。よくセリフを忘れタバコを吸ってこまかしていたというエピソードもある。歴代では一番長期で65年まで演じたが、翌66年に亡くなっているようだ。テレビドラマデータベースでは、当時のレギュラー出演者として波田久夫、島蓮太郎、真木康次郎、筧田幸男といった名があるが、唯一知っているのが波田久夫。もっぱら時代劇の悪役などで見かける役者だが、波田が針井警部補として「部長刑事」から「アーバンポリス24」に切り替わる時にレギュラーだったことはドラマ関連の雑誌で見たことがある。「特別機動捜査隊」などでは同じ役者が違う刑事役で何年かを経て戻ってくることもあるが、波田久夫はどうなのであろうか。さすがにその辺りは、資料もないしほぼ見たこともない番組なのでわからないのだが、30年以上出続けていたとしたらそれはそれで凄い。主役ではない波田がこの番組の顔だといえよう。長くなってきたので以下次項へ続く。