お宝映画・番組私的見聞録 -235ページ目

コートにかける青春

前項の「美人はいかが?」と同時期に「マーガレット」に連載されていたのが志賀公江の「スマッシュを決めろ!」であり、それをドラマ化したのが「コートにかける青春」(71年)である。タイトルからわかると思うがテニスのスポコン物だ。テニスといえば「エースをねらえ!」を思い出す人も多いかもしれないが、アニメの放映は73年でこちらのほうが先である。主演は紀比呂子で、個人的には「アテンションプリーズ」の方のイメージが強い。というより「コートにかける青春」を見た記憶はなかったりする。でもう一人のヒロインといえるのが「仮面ライダー」「アイアンキング」の森川千恵子。「仮面ライダー」の時は真樹千恵子名義で、初期1クールに主演していた。ちなみに彼女の役名は東城真琴というのだが、アニメ「エースをねらえ!」での主演声優は高坂真琴である。ちょっとややこしい。他の出演者も当時の青春ドラマにかかせない役者が並んでいる。「ダイヤモンドアイ」の黒沢のり子、「レインボーマン」の皆川妙子、「八月の濡れた砂」のテレサ野田、「飛び出せ青春」の大田黒久美、「レットバロン」「スーパーガール」の牧れい(当時・牧れい子)などである。

さて主演の紀比呂子は三条美紀の娘としても知られるが、あまり似ているという印象がない。パーツは似ているかも知れないが決定的に顔の形が違うことが、似てないという印象を与えるのだろう。つまり紀比呂子の顔は丸いということである。

美人はいかが?

またも唐突だが、奈良富士子という女優をご存知であろうか?まあ結構有名な人だと思われるので、当然知っているという人も多いだろう。しかし「彼女の代表作は?」と問われるとどうであろうか。いろんなドラマに顔はだしているもののゲスト出演という立場が多く、これだというものが思い浮かばないのではないだろうか。そんな彼女の主演ドラマが「美人はいかが?」(71年)で、原作は「マーガレット」に連載されていた忠津陽子の漫画である。奈良富士子は元々大阪の方で子役として活動しており、「忍者ハットリ君(実写版)」などに顔を出していた。そんな彼女が財津一郎の目にとまり、このドラマ主演のため上京してきたとテレビドラマデータベースには書かれている。ドラマのほうは四人の兄を持つ男まさりの女子高生・十文字丸(まろい)が、だんだん素敵なレディになっていくというようなお話のようだ。当時、奈良は役柄とほぼ同じ17歳で、どうみても美人に見えたらしく、美人ではないという設定には無理があったようだ。四人の兄を演じるのが「西部警察」寺尾聡、「特捜最前線」夏夕介、「笛吹童子」内田喜郎、そして何故か日本舞踊の西川鯉之丞という面々である。彼らの役名が無理矢理としか思えないのだ。順に東(はじめ)、西(きよし)、南(たかし)、北(おさむ)と読ませるのである。実在したら「特ダネ登場」の珍名さんコーナーに出れること請け合いである。他の出演者だが奈良の同級生役では今やシャアの中の人で有名な池田秀一、田辺昭知夫人である小林麻美、「飛び出せ青春」の相原ふさ子などで、兄たちの彼女役として「ミラーマン」の沢井孝子、鳩山邦夫夫人である高見エミリー、「大江戸捜査網」の山口いづみと中々豪華なメンバーである。当時小学生の自分はこの手のドラマは全く見なかったので、存在すら知らなかったがキャスト的には興味があるので一度見てみたいものである。

びっくり捕物帳

もう一つOTVでスタートした人気番組を挙げてみる。兄弟漫才コンビ中田ダイマル・ラケットによる「びっくり捕物帳」(57年)である。まあ若い人にはわからんコンビかもしれないが、中田カウス・ボタンの師匠といえばわかるだろうか。元々は十二人兄弟の長男であるデパートと三男であるダイマルのコンビだったのだが(ようするに大丸デパート)、デパートが病気で倒れたため(戦死したからと記述されているところもある)、ダイマルが六男を無理矢理引き入れ、ダイマル・ラケットとして再スタートしたのである。当時は40前後と脂の乗っていた二人が十手持ちに扮し、彼らを見守る与力にこれがテレビ初出演である藤田まこと、そしてその妹に森光子という布陣であった。ちなみに森のほうが13歳年上だが(当時ラケットと同じ37歳)、あくまでも妹である。メンバーからしてお笑いっぽい話になりそうだが、結構推理的要素も入り、基本的に前後編で放映されていたようである。NTV(日テレ)でネットされたらしいので、関東でも見ることができたようだ。

ところでダイマル・ラケットは既にこの世にないが、同世代だった森光子(86歳)はまだまだ元気だ。今でも藤田の妹役でとおりそうである。



部長刑事・その2

前項に引き続き「部長刑事」の話題である。まずは2代目から7代目を列記してみよう。カッコ内は役名とスタート年である。2代目・北村英三(大鍋:65年~)、3代目・永野達雄(力:67年~)、4代目・美川陽一郎(神:69年~)、5代目・高城淳一(城:70年~)、6代目・飯沼慧(沼:73年~)、7代目・橋爪功(爪:75年~)、この後再び飯沼が戻り76年~84年まで演じた。つまり前項で書いた初代の中村栄二が一番長いというのは間違いで明らかに飯沼慧であった(再登板の部分を見逃していた)。このあたりはいかにもデカ長らしい、通常の番組では主役などありえない中年の渋い役者が並んでいる。北村や永野などは悪役でしか見た記憶がないので意外な感じがする。美川陽一郎といえば「七人の刑事」、69年に幕を閉じているので番組終了直後に起用されたものと思われる。高城淳一は「大都会PartⅢ」の課長や「西部警察」の係長役でお馴染みの人も多いだろう。飯沼慧は前々項で触れた「名探偵ラコック」での主演であるが、関西を中心に活動していた人なので知名度はいまいちであろうか。そして橋爪功、この人は年を取ってから活躍が目立つようになったが、この「部長刑事」就任時はまだ34歳とダントツに若い(他の役者は40歳を過ぎていた)。若い頃の橋爪のイメージが湧かないが、年より老けて見えていたことは確かだろう。ところで彼らの役名だが、城とか神とか沼は普通の苗字だが、力とか爪はかなりの珍名である。ある苗字サイトによれば、力(ちから)さんは全国に70件くらい。爪などは全国で7件とかろうじて存在している名前なのだ(そのデータが正しければだが)。橋爪の「爪」を取ったのだろうが何故、橋ではなく爪だったのか。まあどうでもいいことだが。

とまあ地味なメンツが続いたのだが、84年5月より突然2班体制になり、8代目・入川保則(六条)と9代目・佐藤允(鍋島)という地味ではない役者が交替で登場するようになった。まあ入川も関西を中心に活動しているので、全国的には悪役のイメージが強いのではないだろうか。ちなみに奥さんはホーン・ユキである。佐藤允は説明不要な東宝のスターだが、この時は既に50歳。年齢的にはかつてのデカ長たちと変わらないのだが、妙に若く見えるのである。

この後番組である「アーバンポリス24」でも「二人の事件簿」の篠田三郎、「太陽にほえろ」の勝野洋に小野寺昭、そして京本政樹とかつて若手刑事を演じていた面々がそれなりに年を取ってデカ長を演じるようになったのである。リアルタイムで若い頃を見ていると今も若く見えるから不思議である。勿論例外もあるけれども。 

部長刑事

関西ローカルの番組であるながら全国的に知られているドラマといえば、まず「部長刑事」が挙げられるだろう。何しろ長くやっていたということだけは、自分を含む多地域の人間も知っていた。逆に終わっていることを知らない人の方が多いかも。「部長刑事」というタイトルでの放映は(58年~89年)と結構前に終わっており、その後シリーズとして「アーバンポリス24」「シンマイ」「警部補マリコ」と続き、02年に幕を閉じたようである。部長刑事シリーズとかいいながら、新米刑事や警部補が主役じゃやっぱり変だよなあと関西の人々も思っていたのではないだろうか。で、関西人ではない自分が見たことがないかといえば、実はあるのである。北海道にいた少年時代、確か一時期ではあるがネットされたことがあったと記憶している。ただいつ頃だったか誰が出ていたかとかは全く覚えていないのである。実際多地域で放映されていたことはあるらしいので、多分間違いないと思う。

とまあ実質見たことがない「部長刑事」だが、スタートした58年は最近取り上げているOTVの生ドラマであった。初代の矢島部長刑事を演じたのは中村栄二。顔も名前も知らないので調べてみると、プロレタリア演劇などというのをやっていた人で、映画では「ビルマの立琴」(59年)などに出演している。よくセリフを忘れタバコを吸ってこまかしていたというエピソードもある。歴代では一番長期で65年まで演じたが、翌66年に亡くなっているようだ。テレビドラマデータベースでは、当時のレギュラー出演者として波田久夫、島蓮太郎、真木康次郎、筧田幸男といった名があるが、唯一知っているのが波田久夫。もっぱら時代劇の悪役などで見かける役者だが、波田が針井警部補として「部長刑事」から「アーバンポリス24」に切り替わる時にレギュラーだったことはドラマ関連の雑誌で見たことがある。「特別機動捜査隊」などでは同じ役者が違う刑事役で何年かを経て戻ってくることもあるが、波田久夫はどうなのであろうか。さすがにその辺りは、資料もないしほぼ見たこともない番組なのでわからないのだが、30年以上出続けていたとしたらそれはそれで凄い。主役ではない波田がこの番組の顔だといえよう。長くなってきたので以下次項へ続く。

名探偵ルコック

前項に引き続きOTV(大阪テレビ)で放映されたドラマについてなのだが、その1つが「名探偵ルコック」(57年)である。タイトルだけ聞くと海外ドラマ?と思うかもしれないが、れっきとした日本のドラマだ。といっても日本人がかつらをかぶったり、メーキャップしたりして「外国人」を演じたもので、当時は赤毛物と言われていたものである。原作が外国の推理小説だからなのだろうが、今だったら日本人による日本のドラマとしてアレンジしてしまうのが普通だ。そういう発想が思いつかなかったのかどうかは不明だが、余計な手間がかかったと思われる。ちなみにスタジオでの生ドラマだったらしく、当然映像など残っていないだろう。まあ見た人も覚えている人もほとんどいないだろうが。主演は飯沼慧。6代目の「部長刑事」の人である。他の出演者は溝田繁、西山喜孝、荒木雅子、坂本和子などである。意外と好評だったらしく、終了後のやはり飯沼慧の主演で「皇太子の冒険」という赤毛物が制作されたようだ。

赤胴鈴之助(OTV版)

月も替わったところで、話題をガラリと変えてみる。自分は関西の人間ではないので良くはわからないのだが、関西地区の民放キー局といえば、朝日放送、毎日放送、読売テレビ、関西テレビ、テレビ大阪といったところであろうか。しかし関西地区の民放の第1号は大阪テレビ放送(OTV)という局で、56年から59年までの約2年半存在し、朝日放送に吸収合併という形で、その名は消えてしまったらしい。ちなみに現在OTVといえば沖縄テレビのことをいうようだが、ここでは大阪テレビのことである。

存在期間は短かったが結構自局制作でのドラマを作っており、タイトルの「赤胴鈴之助」(57年)もその1つだ。しかし、同時期に関東で放映された「赤胴鈴之助」とは出演者が違う。つまり別の作品であり、OTV版のほうは、おそらく関西地区のみで放映されたものと思われる。当時のことだからスタジオでの生ドラマであり再放送などないだろうし、テレビの普及台数もまだ低かったので、見たことある人などほとんどいないのではないだろうか。まあ「赤胴鈴之助」自体はメジャーなタイトルだし、映画化もされているので見たことがあるとカン違いしている人も多いかも。ちなみに主演つまり鈴之助や一般公募行い(関東もやったようだ)、選ばれたのが吉田豊明。吉田豊明といえば東映ニューフェースの10期生で(同期は小林稔待、池田駿介など)、「特別機動捜査隊」の石原刑事として活躍した役者と同名だが、まあ同一人物と思っていいだろう。ニューフェース以前にこういった前歴があったとは知らなかった。他の出演者は石田茂樹、矢野文彦などである。ちなみに関東で選ばれたのは尾上緑也。尾上松緑の息子ではなく預かり弟子だったそうである。ラジオドラマに出ていた吉永小百合はこちらにも出演したそうで、テレビ初出演だったらしい。他の出演者では五月みどりや今や大御所声優の野沢雅子などの名もみえる。こちらが関東以外で放映されたかどうかは不明だが、テレビドラマの鈴之助を見たとう人は大抵こっちなのだろうなあと思われる。


黒蜥蝪

三島由紀夫から連想される映画といえば「黒蜥蝪」(68年)が挙げられる。この映画は江戸川乱歩の原作を三島由紀夫が戯曲化し、それを成澤昌茂が脚色し深作欣二の監督で映画化したというもの。こうやって書くととても複雑な過程を経ている気がするが、要は美輪明宏(当時は丸山明宏)の舞台を見た深作が美輪を主演にして映画化したというものである。現在は美輪といえば黒蜥蝪というイメージが定着している感もある。本来主役であるべき明智小五郎(木村功)もとても陰が薄い。何年か前になんとなく見たのだが、木村の印象がほとんどなっかたりする。 この作品で美輪はあくまでも女性であり、女装の麗人?ではないのだが、私にはオ○マにしか見えない。まあ奇麗ではあるのだけれども。歌舞伎の女形とでも思えばいいのだろう。もっとも歌舞伎をまともに見たことはないが。そしてこの作品にも三島が登場する。それも上半身裸の生人形の役だ。生来虚弱で少年の頃は「アオジロ」などと呼ばれ、俳号を自ら「青城」などとしていた三島をボディビルが変えた。その鍛えた筋肉を当時は何かと見せたがっていたそうである。それにしても美輪といい三島といい、江戸川乱歩のおどろおどろした世界には妙にはまっている。他の出演者は川津祐介、松岡きっこ、宇佐美淳也、そして丹波哲郎が「黒木」という役ででているようだ(記憶にないけど)。ご存知かと思うが「キイハンター」でも「Gメン75」でも黒木(鉄也)であった。よほど黒木が好きだったようだ。


潮騒

三島由紀夫といえば「潮騒」、というか前項でも書いたとおりそれぐらいしか読んでいないのである。ところでこの「潮騒」、5度も映画化されていたのをご存知であろうか。主な登場人物として久保新治、宮田初江、久保とみ、宮田照吉を挙げ、年代順に追ってみることにする。第1作は東宝で54年、新治は久保明、初江は青山京子、とみは沢村貞子、照吉は上田吉二郎である。久保明と青山京子はこのあと数作コンビを組むことになる当時の人気者だった。ちなみに久保明という芸名は彼のデビュー作での役名をもらったもので、本作でも久保なので久保には縁があったのであろう。2作目は日活で64年、新治は浜田光夫、初江は吉永小百合という定番コンビ。このコンビの作品が多くて本作はあまり目立っていない気がする。とみ役は望月優子、照吉は石山健二郎。3作目は東宝で71年、三島が自決した翌年の映画化だ。新治は朝比奈逸人、初江は小野里みどりという誰?という感じのコンビ。詳細は不明だが一般公募で選ばれた二人なのではないだろうか。実際に朝比奈の出演作は2本、小野里はこれ1本だけのようである。ちなみに三島が主演した「からっ風野郎」での役名が朝比奈武夫で、朝比奈という芸名はそこから来てるのではないだろうか。本名かもしれないけれども。とみ役は小田切みき、照吉役は前作と同じ石山健二郎である。4作目はやはり東宝で75年、新治は三浦友和、初江は山口百恵という当時のゴールデンコンビ。我々世代に一番馴染みのあるのはこの作品であろう。とみ役は初井言栄、照吉は中村竹弥であった。そして5作目が85年、この辺りになると逆にそんなのあったっけ?という感じになるのだが、新治には鶴見辰吾、初江には堀ちえみというドラマで人気のあった二人だ。未見だが堀ちえみはあの「スチュワーデス物語」のような演技だったのだろうか。とみ役は前作と同じ初井言栄、照吉役は丹波哲郎であった。さて、6度目の映画化はあるのだろうか。なくてもいいけれども。

不道徳教育講座

前項の「複雑な彼」の原作が三島由紀夫ということで、今回も彼の原作を映画化した「不道徳教育講座」(59年)を取り上げてみたい。三島といえば、70年に自衛隊市ヶ谷駐屯地に「楯の会」のメンバーと乗り込み、数分間の演説の後割腹自殺してしまったが、当時自分は小学生だったが何故かこの事件はよく覚えている。もちろん当時は三島由紀夫とは何者かよく知らなかったと思うが。三島の作品って読んだことがあるかというと、大昔に「潮騒」を読んだ程度なのに今さらながら気付いた。どうもこの事件のせいか、そういった傾向の作品を書く人というイメージが強く読みたいと思ったこともなかった。まあ三島だけでく純文学といわれる作品はほとんど読んだ記憶はないけれども。

さて映画の方だが、OPはアニメーションなのに驚く。トリスのCMで知られる柳原良平のアニメである。まあすでに「白蛇伝」(58年)など劇場長編アニメも存在していたので驚くことはないのだが、やはりこの時代のものは目をひく。そして冒頭、案内人として登場するのが三島由紀夫本人である。これは2度目の映画出演で、翌年には「からっ風野郎」で主役を演じたりしている。さて本作の主演は大坂志郎である。以前取り上げた「俺は犯人じゃない」(56年)でも主演だが、これには日活の俳優不足という事情もあったようだが、この頃はすでに石原裕次郎も小林旭もデビューしていた中での主演である。世にも不道徳な男を演じているのだが、どう見ても不道徳なキャラには見えない。二役で正反対のキャラも演じているがこちらはピッタリくる。まあ見た目だけではわからないといえばそれまでだが。他の出演者は長門裕之、岡田真澄、柳沢真一、清水まゆみ、月丘夢路などである。

ところで、三島由紀夫と楯の会がレコードを出していたのを知っている人はいるだろうか。その名も「起て!紅の若き獅子たち」。誰が買ったのだろうか。