拳銃を磨く男シリーズ
特ダネ三十時間シリーズ
まだ俳優に転向してまもなかった南廣が主演の映画が「特ダネ三十時間」シリーズで、59年~61年にかけて全10作が制作されている。まあ正直いうとこのシリーズに関しては、その存在すら知らなかったので当然未見だが、当時人気だったドラマ「事件記者」の影響もあってか、社会部記者清水浩平(南)を主人公としたシリーズだ。調べていた思ったのだが、このシリーズにはややこしい問題がある。まあ昔の映画ではよくある話だが、出演者の顔ぶれはほぼ一緒なのだが役名が途中で変わるのである。しかもその役名を他の役者が引き継いでいるのだ。まあネット上にある映画サイトの記述が正しいと仮定しての話ではある(たまに違っていることもある)。具体的にいうと南廣は全作清水浩平だが、やはり全作に登場する神田隆は谷村デスクから部長へと変わる(谷村部長ではない)。その谷村の役は1,2作目では森、5,6作目では井上だった成瀬昌彦が引き継ぐといった具合だ。わかりやすく書いてみると、部長:三島雅夫→神田隆、谷村:神田隆→成瀬昌彦、森:成瀬昌彦→関山耕司、斎藤:大木史朗→佐原広二→清村耕次、飯島:関山耕司→大木史朗→佐原広二、木内:冨田浩太郎→南 川直、宮田:長谷部健→北峰有二→長谷部健ってな感じである。まあテレビシリーズと違って、映画を見ている方には主役以外はそれほど気にならないかも知れないけれども、いきあたりばったりで決めていたとしか思えないのである。
戦え!マイティジャック
「マイティジャック」とくれば、次は「戦え!マイティジャック」(68年)であるが、私はこの番組をとんと見た記憶がない。子供の頃目にしたことはあるような気もするが、少なくても30年以上は見ていないはずである。再放送はされなかったし、ソフトが出ていたかどうかは不明だが、レンタル屋に並ぶことはなかった。今年になってDVDが発売されたらしいが、買ってまで見る気はないので、レンタルあるいはCSで放映される日を待とう(もうされたかもしれないが私が加入してからはない)。
さて前項でも書いたとおり、子供向けの30分番組へとリニューアルした本番組だが、レギュラーも11人から5人へと減り、年齢も若返った。ウルトラマンやセブンで馴染みのあった南廣と二瓶正也のみ残留し、「忍者部隊月光」で名月を演じた山口暁と月影を演じた渚健二のコンビ、そして役名をそのまま芸名にした江村奈美が新加入した。山口暁といえばその月光でデビューし、「ライダーマン」や「電人ザボーガー」としても有名で、特撮の人というイメージがある。86年に41歳の若さで亡くなったが、晩年は豪久と名乗っていたようだ。やはり暁のほうがしっくりくる。渚健二で印象に深いのは、やはり「仮面ライダー」の第3話。本郷(藤岡弘)の友人として登場するが実は蠍男であったという役である。江村奈美は他に出演作があるのか探してみると、同じ円谷プロ制作の「恐怖劇場アンバランス」の「猫は知っていた」の回に登場しているようだ。この回には渚も出演しているが、実はこの二人その後に結婚したそうである。めでたし、めでたし。そういえば山口暁も、以前書いたと思うが「マグマ大使」にチョイ役で出演した際、そのアベック役だった女優さんと結婚したという。見事な職場結婚である。ちなみに「猫は知っていた」には忍者部隊月光こと水木襄も出演している。なんか月光の話題のほうが多くなってしまった気がする。
マイティジャック
最近このブログに登場した南廣や福岡正剛に共通した作品といえば「マイティジャック」(68年)。というわけで、久々に特撮の話題である。この作品、円谷プロもかなり力を入れていたのはわかる。30分が普通であるテレビ特撮において、豪華俳優陣を使い1時間ドラマに挑戦したのだが、結果はご存知の方も多いと思うが惨敗に終わった。13回で終了し、結局通常の30分子供向けである「戦え!マイティジャック」への路線変更を余儀なくされる。大人向けということで、子供が見ても面白くなかったのは当然かもそれないが、大学生くらいになってレンタルビデオかなんかで見たときもあまり面白くなかった。それ以来未見なので、また改めて見てみたい気もするのである。
さて、その豪華俳優陣に目を向けると主演の二谷英明、「死神博士」こと天本英世、「イデ隊員」こと二瓶正也などはまあ説明不要であろう。副長役の南廣は元々は「渡辺晋とシックスジョーズ」のドラマー。渡辺晋は渡辺プロの社長となったが、南は「南廣とザ・サウスメン」を結成し、58年頃から俳優に転向したという経歴の持ち主だ。驚いたのは二谷(30年生)よりも年上(28年生)であったこと。89年に亡くなったが、60歳と聞いて驚いた記憶がある。若く見えるタイプだったと思う。福岡正剛や春日章良も二谷より年長で、共に地味で印象に残りにくい。春日は「春日俊二」の名で活躍していたが、この頃は本名の章良を名乗っている。夏目俊二という俳優もいてややこしかったからかどうかは知らない。久保菜穂子はかつての主演女優とはいえ、この頃既に36歳でちょっとおばさんに見えた。井上紀明はこれ以外には丹波哲郎主演の「ジキルとハイド」の刑事役くらいしか知らない。若い方の女性隊員池田和歌子もよく知らないが意外に長い女優生活を送っていたようだ(現役かもしれない)。残る二人は11話で殉職する田中淑隆と大屋満だが、やはりよくわからない。大屋は「とんま天狗」など喜劇系に出ていた人のようなので、あまり若くないだろう。その代わりに登場するのがずっとネームバリューのある睦五郎と真理アンヌだが、3回目にして番組が終了してしまうのである。
こう改めて書くといかに地味なメンバーだったかがわかる。しかもレギュラー11人中、設定はさておき35歳以上が7人というのはやはり多すぎるだろう。この配役で刑事ドラマだったら良かったと思うのだけれども。
学生五人男
最近このブログによく登場する波島進だが、そのデビュー当時についてちょっと調べてみた。デビュー当時は本名の小倉正則でほぼ助演であった。53年の「早稲田大学」という映画の役名である波島晋から波島進を名乗るようになる。そして54年の3部作「学生五人男」あたりから主演役者として活躍するようになる。姿三四郎役や明智小五郎役も50年代に演じている。
というわけで「学生五人男」だが、当然メインは五人(波島進、山本麟一、福岡正剛、杉義一、船山汎)いる。これがデビューとなる山本麟一だが、彼は東映ニューフェースの1期生(同期に南原宏治、中原ひとみ等)で、悪役のイメージが強いが、「警視庁物語」の項でも触れたとおり、全作刑事役として登場している。福岡正剛は演出家を志して50年に太泉映画に入ったが、役者が足りないという理由でそのまま役者となる。結局波島などとは同期ということになるのだろうか。名前は良くみかけるのだが、いまいち顔のイメージが湧いてこない。円谷の特撮「マイティジャック」では隊員の一人であったが、やはりあまり印象にない。杉義一も名前は見かけるが、顔がよくわからない。杉狂児(よく知らないが)の息子だそうだ。船山汎は全く聞いたことがないが、50年代の終わりには引退してしまった人らしい。ちなみに汎はひろしと読むのだが、誰も読めないからかどうかは不明だが、55年に船山裕二と改名しており、歌手としてレコードも出している。読み方といえば福岡正剛は「せいごう」だが本名は「まさたけ」と読み、杉義一は「ぎいち」と読むが本名は「よしかず」である。名前とは難しいものである。
警視庁物語・十二人の刑事
警視庁物語・上野発五時三分
「警視庁物語」シリーズは56年~64年にかけて年2,3本のペースで前後編も含めて(自分が調べた限りでは)24本もの作品が制作されている人気シリーズだ。捜査課長の松本克平、捜査主任の神田隆、長田部長刑事の堀雄二、林刑事の花沢徳衛、金子刑事の山本麟一はほぼレギュラーで、後は須藤健、佐原広二、今井健二らの登場が多い。そして、ほぼ年変わりで、レギュラー以外の主役的若手刑事(あまり若くない場合もあるが)が登場する。56年はデビュー当時は正義役もあった南原宏治(当時は伸二)、57年は『初代七色仮面』波島進、58年は『映画版月光仮面』大村文武、59年は『マイティ・ジャック』南廣、60年は『キリヤマ隊長』中山昭二、61年は『二代目七色仮面兼アラーの使者』千葉真一といった具合である。個人的にはCSで放映されたのを2,3本見た程度で、こんなに続いたシリーズだったこともよく知らなかった。
取り上げた「上野発五時三分」(57年)はシリーズ五作目で、共に61年にスタートする長期刑事ドラマ「七人の刑事」と「特別機捜査隊」のそれぞれの主役である堀 雄二と波島進が同僚刑事として共演した作品である。堀雄二はおそらく、この作品のイメージから「七人の刑事」の赤木係長役に抜擢されたと思われる。波島と神田隆、田中刑事役の佐原広二は「特別機動捜査隊」の初期レギュラーだ。ところで、この作品の犯人役は先日亡くなった多々良純である。そういえば、多々良も「非常のライセンス」では特捜部のベテラン吉田刑事を演じていた。とりあえず合掌。
特別機動捜査隊・ニューフェース編
前項でニューフェースの話題が出たが、これは昔はどの映画会社も採用していたシステムである。しかし以外とその詳細ははっきりしない。ネット上での話だが、出身者一覧が出てくるのは東映くらいなのだ。特に松竹などは藤岡弘くらいしか把握できていない。古い話だし、そういう資料ってあまり出回っていないのかもしれない。新東宝はスターレットという表現を使っていたが、その1期生(51年)は天知茂、高島忠夫、松本朝夫などである。同じ新東宝のスターでも宇津井健などは俳優座から、中山昭二などはバレエ団からの転身なので、そのあたりも話しをややこしくする。さて中山の話がでたところで「特別機動捜査隊」の刑事を演じた役者の話題である。
これは東映制作だからして当然、東映のニューフェース出身者は多い。それも意外に地味なメンバーである。前項であげた滝川潤、小嶋一郎の他には、第1話で妹尾部長刑事を演じていた佐原広二や刑事ではないが鑑識役の北峰有二などは東映ニューフェースの1期生である。他にも木川哲也や吉田豊明、白石鈴雄、割合名前が知られている者では倉丘伸太郎や「忍者部隊月光」こと水木襄なども東映ニューフェースの出身なのだ。ところで、東映という会社は51年に東横映画、太泉映画、東京映画配給の三社による合併で誕生したのだが、その中の太泉(おおいずみ)映画のニューフェース出身なのが波島進、南川直、そして藤島班の小杉刑事役だった三島耕である。しかし50年に募集したのが第1期ということらしいので、翌年合併してしまったということは太泉のニュフェースというのはこの1期だけということになると思われるので、ある意味貴重である。特に波島と南川は10年に渡って出演を続け、番組降板後まもなく引退してしまったところも同じである。
この太泉映画が後の大泉撮影所となるのだが「太」だったり「大」だったりややこしい。ところで三橋達也はこの太泉映画の大部屋俳優としてスタートしているらしい。ニューフェースとしてスター候補としてデビューする者もいれば、エキストラ同然から這い上がる者もいるのである。
特別機動捜査隊(映画版)
以前、テレビ版の特別機動捜査隊については取り上げたことがあるが、その時点ではCSでの放送は始まっていなかった。さすがに全話は保存されていなかったようで、第1話の後は117話まで飛んでしまった。つまり現在放映されているのは64年に放映されたものが中心だが、映画版「特別機動捜査隊」は2本制作され、いずれも63年に公開されている。何が違うかと言えば、それはもう出演者である。テレビ版の方の64年ごろのメンバーはほぼ立石班の五人で固定されており、波島進(立石警部補)が主任で、南川直(橘部長刑事)、岩上瑛(荒牧刑事)、轟謙二(桃井刑事)、滝川潤(岩井田刑事)といずれも漢字三文字名前のとても地味なメンバーである。波島以外は知らないという人も多いのではないだろうか。それに比べこの映画版のキャストだが、主任の秋山警部補の安部徹、以下のメンバーは織本順吉(倉本部長刑事)、南廣(井上刑事)、亀石征一郎(土屋刑事)、千葉真一(小松刑事)と当時でもそれなりにネームバリューのあった連中ばかりである。特に千葉真一は「七色仮面」を波島進から受け継ぎ、その後「アラーの使者」などにも抜擢されすでにヒーローであった。亀石征一郎はご存知の通り、約10年後に5番目の主任・矢崎警部補として特捜隊にレギュラー入りすることになる。ちなみに千葉と亀石は第6期東映ニューフェースの同期生である。テレビ版の滝川潤とたまに出てくる小嶋一郎(村上刑事)は第5期のニューフェース、映画版のゲストである中原ひとみ(1期)、大村文武(3期)、室田日出男、曽根晴美(4期)、第2作である「特別機動捜査隊・東京駅に張り込め」のゲストである小川守(8期)、新井茂子(6期)などもみんな東映ニューフェース出身だ。スタートは同じでも千葉のようにスターになる者や、小川守のようにすぐに引退してしまった者もいる。
ところで映画の方はやはり安部徹が主役ということになるのだろうが、どうみてもギャングのボスにしか見えないと思うのは私だけではあるまい。
七人の野獣
日活アクションといえば、石原裕次郎、小林旭、渡哲也、二谷英明、宍戸錠あたりの名前が挙がると思うのだが、丹波哲郎主演の日活アクションも存在する。それが「七人の野獣」(67年)である。丹波哲郎は新東宝を離れた後は東映のイメージが強いのだが、調べると日活にも東宝にも松竹にも出演している(テレビは東映制作が多いが)。さて「七人の野獣」だが、これは元刑事の丹波が特捜部の刑事だという男(宍戸錠)に依頼され、仲間の五人(内田良平、岡田真澄、高品格、郷瑛治、深江章喜)と原子力技師の救出と三億円の強奪を企てるという話である。七人というのは丹波たち六人と宍戸錠のことをいうのだろう。他の出演者は松原智恵子、安部徹などである。この作品には続編があり、同年に「七人の野獣・血の宣言」が制作されている。今度は単純に現金を強奪しようという話で丹波、岡田、高品、郷は前作と同様の役、役は同じだが内田良平は青木義郎に交代、前作では裏切り者だった深江に代わり小池朝雄が仲間に加わる。やはり強奪を決行するのはこの六人で、七人目は前作とは違う役で登場する宍戸錠のことをいうようだ。他の出演者は弓恵子、浜川智子(「プレイガ ール」の浜かおる)などである。それにしても、丹波、高品、小池、青木など後に刑事役で活躍する面々が多い強盗団である。
未見なのであらすじから抜粋したが、タイトルは物騒だが、野獣というほど野獣でもなく、コメディっぽい要素を含んだ作品のようである。