コント55号の映画
前項に引き続き、その他のコント55号映画を簡単に取り上げてみよう。前項で取り上げた松竹での4作品では55号の単独タイトルがなかったが、東宝での4作品はすべて55号単独主演の形である。「コント55号の世紀の大弱点」(68年)、「コント55号の人類の大弱点」「コント55号の俺は忍者の孫の孫」「コント55号の宇宙大冒険」(いずれも69年)の4作品だが、松竹作品が人情喜劇っぽいのに対してこれらの東宝作品はコメディに徹しているという感じである。それだけに見事にカラ回りしており、これ見て観客は笑うのであろうかと思ってしまった。一応「忍者の孫の孫」は山田風太郎の小説が原作、「宇宙大冒険」はジェームス三木が脚本を書いていたりするが、監督はすべて一緒(福田純)ということもあってか、どれもこれも似たり寄ったりに見える。目だった出演者をあげると「世紀の大弱点」では水垣洋子、真理アンヌ、天本英世、上田吉二郎、内田裕也など、「人類の大弱点」では岡田可愛、白川由美、大辻伺郎、藤木悠など、「忍者の孫の孫」では伴淳三郎、藤岡琢也、柏木由紀子、柳家金語楼など、「宇宙大冒険」では川口浩、高橋紀子、カルーセル麻紀、応蘭芳といったところである。また、すべての作品に事務所の後輩である車だん吉(当時はたんくだん吉)と岩がん太(当時はいわたがん太)のコント0番地が登場する。
この時55号は東宝と専属契約を交わしていたのだが、結局この4作品のみで、残りは松竹の作品となる。ここまでで挙げてないものには「チンチン55号ぶっ飛ばせ!出発進行」(69年)、「こちら55号応答せよ!危機百発」(70年)がある。都電が舞台なので「チンチン55号」って、別にコント55号でいいんじゃないのと思ってしまう。出演者は奈美悦子、中山千夏、小川ローザ、「黒猫のタンゴ」の皆川おさむ、ピンキーとキラーズなど、「危機百発」の方は石立鉄男、倍賞美津子、長山藍子などである。そして、タイトルに55号の文字がないのが「初笑い!びっくり武士道」(71年)で、最後の55号主演映画となっている。評価の低い55号映画の中では唯一、評価されている作品のようだ。岡崎友紀、榊原るみ、光本幸子、宍戸錠、嵐寛寿郎といったところが出演している。
これで全部と思いきや実はまだあったりするのだ。
コント55号と水前寺清子の神様の恋人
コント55号の主演映画って、五本程度しか知らなかったのだが、調べてみると十本以上(おそらく十三本)あることが判明した。絶頂期であった68年~72年にかけて松竹と東宝で交替に撮影されている。で松竹での第1作となるのが「コント55号と水前寺清子の神様の恋人」(68年)である。前項で「チータ55号」というテレビバラエティについて触れたが、このコンビ(三人だが)は映画の方にも存在する。しかも「ワンツーパンチ・三百六十五歩のマーチ」(69年)、「大勝負」(70年)と三本も制作されているのである。水前寺清子はこの映画の時点で「いっぽんどっこの唄」というミリオンセラーあり、それなりに人気もあったと思うが、おそらく次の映画タイトルにもなる「三百六十五歩のマーチ」の大ヒットやドラマの「ありがとう」への出演で不動の人気を築いたといえよう。なぜこの二組がタッグを組むことになったのかは不明である。ちなみに「神様の恋人」というのも水前寺がこの時点で歌っていたシングル曲のタイトルである。はっきりいって聞いたことがない。
さて内容のほうだが、自分が見たのは「三百六十五歩のマーチ」だけなのだが、特に面白いということはない。松竹というと人情喜劇テイストという印象があるのだが、この作品もまさにそんな感じである。個人的に好きではない分野ということもあろうが、ここにあげた作品は最近までその存在すら知らなかったぐらいだし、一般的にもあまり好評ではなかったと思われる。他の出演者で目立つのは「神様の恋人」と「三百六十五歩のマーチ」に出演している藤岡弘であろうか。もともと松竹のニューフェースなので、「仮面ライダー」以前は結構地味な作品も多いのである。でもやはりアクション以外の藤岡は違和感を感じてしまう。あと「三百六十五歩のマーチ」では‘キックの鬼‘こと沢村忠が、「大勝負」ではアントニオ猪木が顔見せ的に登場する。
水前寺とのコンビは3作で終わり、この翌年は「コント55号とミーコの絶対絶命」(71年)が公開されている。ミーコって誰だ?と思ったら由美かおるのことであった。ミーコって呼ばれていたのか由美かおる?当時はともかく、今はミーコから由美かおるを連想できる人はそうそういないだろう。
8時だョ!全員集合(黎明編)
さて、前項で触れたプロデューサーの居作が強行発進させた「全員集合」だが、当初はコント以外には山本直純の指揮による「みんなで歌おう」という感じのコーナーや、異色ゲストを呼んでのトーク・コーナーがあったそうである。ちなみにそのゲストというのが、戸川昌子、浪越徳治郎、無着成恭、藤原弘達、中西太、梶原一騎と本当に異色である。しかしこれらのコーナーはドリフが苦手としていたようだ。視聴率は14,5%あったそうだが、裏番組の「コント55号の世界は笑う」は30%近くあったそうである。そこで居作はこれらのコーナーを廃止してしまうと共に、ある手段に打って出た。当時のTBSの人気番組である「サインはV」「柔道一直線」「キイハンター」の出演者をゲストに呼ぼうとしたのである。結果はすべてOKで、岡田可愛、范文雀、中山麻理、岸ユキら「サインはV」のメンバーはバレボールコントを、「柔道一直線」の桜木健一とは当然柔道コントを、丹波哲郎、野際陽子らの「キイハンター」のメンバーとは強盗団コントを演じてもらったという。これらを集中的に放送した結果、視聴率は25%以上に跳ね上がったのであった。これ以降はほとんど下がることもなく怪物番組へと成長していくのである。リアルタイムで見ていた世代ではあるが、さすがにこのあたりは見た記憶はない。
なおこれらのことは居作昌果自身の著書「8時だヨ!全員集合伝説」に書かれていたりする。興味ある人は読んで見よう。もう売っていないかもしれないけれども。
進め!ドリフターズ VS チータ55号
ぎんぎら!ボンボン!
「シャボン玉ホリデー」が11年に及ぶ歴史を閉じたその後番組をご存知の方はいるだろうか。それが音楽バラエティ「ぎんぎら!ボンボン!」(72年)という番組なのである。主演は作曲家の都倉俊一とお笑いコンビのマック・ボンボンである。知っている人もいるかもしれないが、マック・ボンボンとは、あの志村けんが同じドリフの付き人だった井山淳と結成したコンビで、ドリフの前座などを務めていた。たまたま見ていた関係者から声がかかったようだが、いかりやは大反対したそうである。しかしせっかく掴んだチャンスと出演を強行した二人だったが、結果は惨敗であった。すぐに出番が削られていき、しまいにはなくなったそうである。番組自体も三ヶ月で終了してしまった。あのシャボン玉の後番組を作曲家とテレビ初出演のコンビでは荷が重いのは素人目にもわかると思う。このショックで井山は失踪し、志村も結局マック・ボンボンを諦め、ドリフの付き人に戻ろうとした矢先、荒井注の脱退があり、後任として志村に白羽の矢がたったという経緯があったという。いずれにしろ幻のコンビ、マック・ボンボンを目にすることのできる貴重な番組であった。無論私自身も見た記憶がない。しかし翌週から始まった円谷特撮の「ファイヤーマン」は見た記憶があったりするのである。ちなみに「ぎんぎら!ボンボン!」は時間帯を変えてリニューアルされることになった。萩本欽一を司会に迎えたその名も「シャボン玉ボンボン」。思わず絶句してしまうが、予想通り短命に終わったようである。
前項で「シャボン玉ホリデー」を取り上げたのは今回の前振りだったりするのだ。
シャボン玉ホリデー
ルバング島の奇跡 陸軍中野学校
陸軍中野学校といえば、大映のシリーズが有名だが、実は東映にもこれを扱った映画がある。それが「ルバング島の奇跡・陸軍中野学校」(74年)である。ルバング島といえば、当時戦後29年目にして小野田寛郎少尉が発見された場所として話題になっていた。その小野田氏が陸軍中野学校の出身だったということで、急遽作られた映画という感じである。かといって小野田さんをモデルにしたノンフィクション映画というわけではない。中野学校生たちの活躍を描いた作品である。その中野学校生に扮するのが千葉真一、若林豪、夏八木勲、沢田情児、南条竜也などで、その教官に扮するのが菅原文太、室田日出男などである。もちろん?丹波哲郎も少し出ている。大映のそれとくらべると、何故かこう派手な感じのするキャスティングである。ちなみに沢田情児という人は「ネオンくらげ」とか「SEXハイウェイ」とか「キャンパスエロチカ」とかに出ていた役者で、80年代は主に平仮名のにっかつで活躍している。南条竜也といえば、変身忍者嵐の人として有名だが、その後は「東京ディープスロート」とか「赤いスキャンダル情事」とか成人路線を進み、やはりにっかつの方で活躍していたようだ。
一応、千葉真一が主役扱いになっているが、ファーストシーンもラストシーンも若林豪なので、こちらが主役という感じである。その若林が一人突っ込んでいくラストは、戦記映画というよりヤクザ映画という感じである。一言でいえば東映テイスト満載な作品であるといえるだろう。
そろりと参ろう
陸軍中野学校
「陸軍中野学校」(66年)といえば、ここで改めて説明するまでもない市川雷蔵主演の人気シリーズの第1作である。全5作あるが、雷蔵の役名は何故かこの1作目のみ三好次郎で、2作目以降は椎名次郎である。大映作品でありながら、何故か東宝から出演の加東大介はすべて草薙だし、3作目まで登場の仲村隆もずっと杉本なのに、何故であろう。まあ、そんなことはどうでもよろしい。この第1作では、中野学校生18名が登場する。雷蔵はもちろん、彼の相棒となる仲村隆以外には、どんな役者がいたのか、誰も注目してなだろうから調べてみた。三夏伸、井上大吾、森矢雄二、喜多大八、九段吾郎、佐山真次、南堂正則、河島尚真などで、三夏伸以外は見事にしらない。ちなみにこの作品で死ぬ役なのは三夏と南堂である。この面々は何者かと言えば、大映の若手脇役陣たちで、この時代の大映映画のキャストをよく見れば、結構見かける名前だったりするのだ。たとえば「ガメラ対ギャオス」では佐山以外は全員出演していたりする。しかし71年の大映倒産後は、ほぼ全員姿を消してしまう。出世頭といえる仲村隆さえ、見かけなくなってしまうのである。唯一頑張っていたのが三夏伸で「怪傑ズバット」などにゲスト出演したりしていた。その名は知らなくても(正直私も最近まで知らなかった)、その顔は見たことがある人もいるのでは。何というか、チンピラ小悪党といった感じの顔である。
パレンバン奇襲作戦
続けて戦争物を。今度は東映の「パレンバン奇襲作戦」(63年)を取り上げてみる。南方戦線パレンバンの油田基地を自爆させないようにする作戦を遂行する6人の男たちの話である。前項の「五人の突撃隊」の五人が六人になっただけで、ある意味同じような構成である。最後に一人だけ生き残るのも一緒だし。たとえばこの情報を事前に知っていて出演者を見ると、誰がこの六人を演ずるのかと予想すると、まずは主役の丹波哲郎は確定として、江原真二郎、梅宮辰夫、南廣、岡田真澄あたりだろうと思ったら全然違った。丹波と江原はそうだったが、後は織本順吉、今井健二、山本麟一、潮健児といったいかにも途中で死にそうな悪役軍団だったのである。ちなみに指揮官は江原(中尉)で、南と梅宮はその同僚将校、岡田はパレンパン油田の技術師という役柄であり、南と梅宮はたいして出番はないのである。主役の丹波は軍人ではなく、元パレンバン 油田の技術師ということで、無理矢理作戦に同行させられるという役柄である。まあ「七人の侍」でいえば三船敏郎みたいな感じである(ちょっと違うか)。この作品も女性で登場するのはシスター役のフランソワーズ・モレシャンくらいで、男一色な映画だ。他には、神田隆、佐藤慶、須賀不二男といったところで、これに先の今井、山本、潮などを加えれば、まさに時代劇の悪役軍団である。
まあ丹波といえば、お偉いさんの役か、ちょっとしか登場しない役というイメージがあるが、さすがにこの頃はよく動いている。