クイズグランプリ
「タイムショック」とくれば「クイズグランプリ」(70年~80年)である。現在あるクイズ番組の基本フォーマットはこの番組にあるといえる。芸能音楽、スポーツ、文学歴史、科学、社会、ノンセクションの各ジャンルに10点から50点、つまり30問の問題を早押しで答えるというシンプルなものだ。なにしろ15分番組なので、余計なことを一切せずスピーディに進行されていた。ミリオネアのみのもんたのような間でやったら3問くらいで終わってしまうであろう。司会はタイムショックの田宮二郎に対抗してか、やはり俳優の小泉博。何故この人が選ばれたのかといえば、それは彼が俳優になる前はNHKのアナウンサーだったからであろう。野際陽子がやはりNHKアナウンサーから女優に転身したことは割合知られているが、実は小泉博も2,3年とはいえアナウンサーだったのである。そういえば、あまり感情をいれず淡々と進行していたような記憶がある。役者としての小泉は「マタンゴ」や「レインボーマン」くらいしか咄嗟には思いつかないくらい、この番組の印象が強い。ちなみに岡まゆみはこの番組のアシスタント出身である。
クイズタイムショック
今回は趣向を変えてクイズ番組を取り上げてみようと思う。田宮二郎の司会で有名なのが「クイズタイムショック」 (69年~86年)である。実はこのネタは数日前にやろうと思ったのだが、まさにその日に「タイムショック」を取り上げているブログがあり、とりえあえず回避したのだが(別に回避する必要はないが)、広い世界まったく同じ思いつきを同じ日にする人がいるのだなあと神秘の力を感じたりする。前項の「青空にとび出せ」もほぼ同じ日にピンキーとキラーズを取り上げていたブログがあったし、不思議なものである。
さてタイムショックであるが、当時映画俳優として順調であったはずの田宮二郎が何故、クイズ番組の司会をすることになったのかというと、実はこの時田宮は干されていたからである。映画「不信のとき」(68年)の宣伝ポスターの俳優序列が主演の若尾文子の相手役だったにもかかわらず、若尾、加賀まりこ、岸田今日子、田宮の順になっていたことに抗議して対立、大映の永田社長は他の映画会社にも田宮を使わぬよう通達し、映画には出れない状態に陥っていたのだった。不本意な仕事だったはずだが、映画に復帰できた後もタイムショックの司会は続け、結局(78年12月に)自殺する直前の78年9月まで勤めあげたのであった。司会は同じ俳優の山口崇が引き継ぎ86年3月、合計888回まで続いた。これはあの「銭形平次」と全く同じ回数である。
ちなみに田宮の父は彼の生後4日で亡くなったらしいが、その兄の息子(つまり従兄弟)は「特別機動捜査隊」で橘部長刑事を演じていた南川直である。
青空にとび出せ!
昔から当時のアイドルを起用したドラマや映画というのは結構あるが、「恋の季節」で大ヒットを飛ばしたピンキーとキラーズを主役にしたドラマが「青空にとび出せ!」(69年)である。ピンキラのメンバーがサイケデリックに塗装したバス(マツダ・ニューライトバス)で各地を旅するというような話である。このドラマに関しては当時見た記憶が残っていて、放映時間も日曜日の夜7時半だったことも覚えている。この時間帯は「オバケのQ太郎」→「パーマン」→「怪物くん」→「ウメ星デンカ」と藤子不二雄のアニメが続いていた時間帯だったのである。その勢いでチャンネルをあわせていたのかも知れない。ちなみにこの前の時間帯、つまり日曜7時はウルトラシリーズなどを放映していたタケダアワーで、この時点では「妖術武芸帳」が放映されていた。(1クールで打ち切られ「柔道一直線」が始まった)。
ピンキーとキラーズに関してここで詳しく解説する必要はないと思うが、ピンキーは今陽子、キラーズはジョージ浜野、ルイス高野、エンディ山口、パンチョ加賀美というヒゲのおっさん4人組で、パンチョ以外の区別はつきにくかった。まあ当然のこ とながら演技はヘタであった。グループは71年に解散しているが、もうちょっとやっていたようなイメージがある。ちなみに彼らが歌う番組の主題歌は「青空に飛びだそう」だ。統一してほしいものである。
アイちゃんが行く
先日CSで始まったのが、坂口良子のデビュー作として知られる「アイちゃんが行く」(72年)である。正確には、以前取り上げた「さぼてんとマシュマロ」にゲスト出演したのが先のようだが、一般的にはこっちということになっている。内容は全然覚えておらず、なんか坂口良子が旅をしているドラマだという記憶しかないかった。旅の理由は父親探しなのだが、再開後は展開がガラリと変わり、父の家に居るお手伝いさんにイジメに合うというような話になるらしい。雰囲気的には青春ドラマがホームドラマにチェンジされるという感じであろうか。他の出演者は本郷直樹、吉田次昭(「マグマ大使」で17話~20話のみガムを演じた)、鈴木ヒロミツ、野際陽子、高橋悦史などで、主題歌は本郷直樹が歌っている。
本郷は71年「燃える恋人」でレコード大賞新人賞を受賞した歌手で、「白い牙」でも主題歌を歌っている。ちなみにバーニングプロの歌手第1号のよ うだ。一方で役者としても活動しており、当時はかなりの勢いだったと思うが、個人的にはあまり売れていたという印象はない。00年に脳出血で倒れなんとか復活したものの、今度は尿毒症などに犯され人工透析を受けながらも芸能活動を続けているということだ。凄まじい執念である。
フランケンシュタイン対地底怪獣
エスパイ
いま巷では新作の「日本沈没」が公開されているが、旧作の方は73年の公開だから、もう30年以上もたっているわけである。その時の主演は藤岡弘、その翌74年にやはり小松左京原作、藤岡弘主演の映画が公開されている。それが「エスパイ」である。今まで何故か見る機会を逸していて、先日初めて見た。一言でいえば、正義の超能力者対悪の超能力者というわかりやすい映画であった。正義のメンバーは藤岡の他には、由美かおる、草刈正雄、睦五郎、そしてリーダーが加山雄三という布陣である。これは東宝作品でありながら加山、新人だった草刈くらいしか東宝の俳優がいなかったりする。一方の悪役側は内田勝正、元ゴールデンハーフの高村ルナ、そして親玉が若山富三郎という具合である。サイコキネ シス、テレパシー、テレポテーションといったお馴染みの超能力が随所に登場し、話もとても都合よく進む。外国人俳優もロルフ・ジェーサー、フランツ・グルーバー、ウィーリー・ドーシーといった70年代のアクションドラマではお馴染みの面々が登場する。脚本は「太陽にほえろ」のメインライターであった小川英、主題歌は当時ヒットシンガーだった尾崎紀世彦である。まあ「日本沈没」とは違って、単純に楽しめる娯楽作品といったところであろう。
女と命をかけてブッ飛ばせ
最初タイトルを見たとき「女と」で切るのかと思い語呂が悪いなと感じたが、内容を見て「女と命を」で切るのが正しいのだろうなと思った。そんな新東宝スター宇津井健主演の「女と命をかけてブッ飛ばせ」(60年)だが、前半はバイクでぶっ飛ばし「俺はオートバイで死にてえんだ」と言っていた宇津井が、後半はスピードボートでブッ飛ばす映画である。他の出演者だが、個人的にはパッと見てわかるのは伊達正三郎くらいで、ヒロイン的存在である星輝美や三条魔子は名前は知ってるが、いまいち顔がわかっていなかったりする。悪役の芝田新と泉田洋志は見るからに悪役ヅラである。宇津井の仕事は新聞社の記事輸送員、つまり飛行場で記事を受け取り社までバイクでブッ飛ばすという時代を感じさせる仕事である。今で言うバイク便のようなものだが。「時速50キロで走るカミナリ」とか、そのスピードや貨幣価値にも時代を感じる場面が沢山ある。ところで、この映画に出ている沖竜次は以前取り上げた(撮影中に事故死した)高須賀忍のことらしいが、確認はできなかった。
グラマ島の誘惑
川島雄三の映画って、なんとなく今まで見たことがなかったのだが、先日なんとなくCSで見てみたのが「グラマ島の誘惑」(59年)である。見て驚いたのだが、皇族と慰安婦が共同生活を送る映画とでもいうのだろうか。とにかく現代では口に出しにくい要素満載の内容である。主演の森繁久弥、フランキー堺が皇族の兄弟軍人で、桂小金治がそのお付の武官、従軍記者が淡路恵子に岸田今日子、慰安婦たちに浪花知栄子、轟夕起子、春川ますみ、桜京美、左京路子に宮城まり子、未亡人に八千草薫とこの12名がグラマ島に流れついて共同生活を行うという話である。その他にも島の黒塗りの原住民に三橋達也(顔がアップになるまでわからない)、日本に戻った森繁の相手をするマッサージ嬢( 小金治の娘)に市原悦子など、45年を経た今でも活躍している顔も多い豪華なメンバーである。
メンバーからもわかると思うが喜劇映画である。皇族批判や慰安婦問題を扱っているわけではない(と思う。皮肉はこめられているだろうけど)。難しいことは考えずに「あの人がこんな役を」みたいな感じで見るのが良いだろう。前述の通り三橋の原住民とか市原の風俗嬢とか、頭の足りない宮城とか、ベテラン慰安婦の轟とか他の作品ではまずお目にかかれないはずである。
大人には分からない 青春白書
60年代の東宝を背負う若手が大勢出演しているのが「大人には分からない 青春白書」(58年)である。まあ古い映画を見てればいつも感じるのだけれども、とにかくみんな若い。特にデビューしたての夏木陽介、ここまで少年っぽい夏木を見たのは初めてに感じた。他にも団令子、白川由美、佐原健二、佐藤允、江原達怡もみんなまだまだ青い感じがする。佐藤允なんて黒縁メガネをかけている(キャラ)なので、一瞬分からなかったりする。ここにあげた面々は微妙に違う路線に進んでいる(無論共演もあるが)。夏木は60年代後半になると「青春とは何だ」の主役抜擢か らテレビの仕事が多くなる。佐原は特撮路線一筋という感じだし、佐藤は独立愚連隊シリーズ、江原は若大将シリーズと、それぞれ東宝の看板シリーズで活躍する。あと瀬木俊一という役者が出ているが、夏木、佐藤と共に「東宝スリーガイズ」として売出された人である。にしてはよく知らんなあと思って調べると、60年早々に引退してしまったようである。瀬木に替わって東宝のエースとなるのが加山雄三である。
さて、この作品には60年代にはやはり主役級にのし上る中丸忠雄や若林映子などの姿も見えるが、ここでの扱いは大きくない。ベテラン勢では草笛光子、沢村貞子、杉葉子などが登場するが、彼女らもさすがに若い。よく考えるとベテランというほどの年でもない。
とにかく出演者の「若さ」を見る、そんな作品である。
東京アンタッチャブル
米のドラマ「アンタッチャブル」の放映開始は59年、で日本でも放映され(たはず)、それのおそらく肖ったタイトルの映画が「東京アンタッチャブル」(62年)である。何のことはない、凶悪な脱獄犯とそれを追う刑事の話なのだが、キャストも豪華で中々面白い作品である。主演の西山警部補に三国連太郎、その部下の 原田刑事(ちなみにフルネームは原田芳夫)に高倉健、その恋人百合子に三田佳子、脱獄犯の川本に丹波哲郎である。最後は三国・高倉対丹波の銃撃戦である。東映作品に三国というのは珍しい気もするが、この頃は松竹からフリーになって、色々な所に出ていたようだ。ちなみに三国連太郎というのはデビュー作の役名をそのまま芸名にしたらしい(本名・佐藤政雄、とても平凡である)。他の出演者は渡辺美佐子、筑波久子、丹波の強盗共犯者が織本順吉、地獄大使こと潮健児、当時「特別機動捜査隊」の岩井田刑事だった滝川潤である。
この翌年、「東京アンタッチャブル・脱走」が制作されている。見ていないので資料のみで記するが、主演は三国、高倉、三田は役柄もそのままに登場するようだ。それはよいが丹波も川本という脱獄犯で登場するらしい。前作のラストで死んだはずだが…。どうやら前作とは無関係らしいのだが、だったら役名くらい変えろよなあ、ややこしい。
40年以上が過ぎ、高倉は70を越え、三国・丹波は80を越して(丹波が1歳上)なお元気である。多分。