お宝映画・番組私的見聞録 -242ページ目

怪談

夏といえば怪談。その名もずばり「怪談」(64年)というタイトルの映画がある。その印象は怖いよりも何よりも「長い」この一言である。4話のオムニバス形式とはいえ何せ3時間を超えるのである。よほどこの手の映画が好きな人でないとつらいかもしれない。しかしよく考えると私が個人的に好きな映画といえば邦画では「七人の侍」であったり、洋画では「タワーリングインフェルノ」とかであったり、非常に長い映画が多かったりするので、長いから良くないとは言えなかったりする。

さて内容だが、4つの話のオムニバス構成で、その1が「黒髪」。出演が新珠三千代、三国連太郎、渡辺美佐子など。その2が「雪女」で、出演は仲代達矢、岸恵子などで、千石規子、菅井きん、野村昭子などおばさん女優の姿も見える(菅井や野村はまだ若かったはずだが)。その3が「耳無し芳一の話」で、出演は中村嘉津雄、丹波哲郎、林与一、志村喬などである。この話では、その他大勢の出演者の中に長山藍子の名が見える。確認してないがかなりのチョイ役のようである。そして4本目が「茶碗の中」で、中村翫右衛門、杉村春子、滝沢修、中村鴈治郎とやたらビッグネームというか重鎮が並んでいる。以上のように出演者は結構豪華なので、夏の夜長に楽しめるかもしれない。保証はできないけれども。

信号は赤だ

タイトルだけ聞くと一瞬、交通安全の教材映画かななどと思ってしまうのが「信号は赤だ」(58年)である。もちろんそんなわけはなく、まだ「悪名」だの「座頭市」だのの当たり役を得る前の勝新太郎が主演の50分足らずのSP(ショートプログラム)である。この頃の大映は時代劇のイメージが強いが、タイトルからわかると思うが現代劇でサスペンス物である。林成年や千葉敏郎(当時は登四男)など時代劇のイメージが強い役者も登場する。ていうか千葉敏郎なんて時代劇以外で初めて見た気がする。出演は他に春風すみれ、若松和子、北原義郎などで、宝塚っぽい名前の春風すみれは50年代に活躍した女優である。ちなみに主演の勝新の役どころはヤクザな流しで、ずんぐりむっくりな二枚目である。体形は若い頃から変わらなかったようだ。

危うしGメン 暗黒街の野獣

今回はCSでたまたま見た「危うしGメン 暗黒街の野獣」(60年)を取り上げる。何度か書いているが、60年のみ存在した第二東映の作品で、主演は波多伸二、他に波島進、河野秋武、岡譲司などである。内容はさておき、気になったのは主演の波多伸二である。聞いたことがない。調べてみると驚くべきことが判明した。波多伸二の活動はこの60年のみで、3本の映画はすべて主演で、この「危うしGメン~」がデビュー作のようだ。何故3本だけなのかというと、彼はこの年に亡くなっているのである。しかも日付からすると、この映画の公開中である。既に撮影されていた他の2本は彼の死後、続けて公開されたようだ。3本の主演で亡くなったというのは、あのジェームス・ディーンと一緒だが、波多の場合は忘れられた存在となっている。作品が非常にマイナーであることや、顔が知られる前に亡くなってしまったので無理もないかもしれない。ネットで調べても波多について書かれているものは皆無であった。享年22歳、何故亡くなったのかはわからなかった。ちなみに、日本のジェームス・ディーンと言われる赤木圭一郎が亡くなったのは、この翌年(61年)である。彼はすでに人気者だったこともあり、今だに語り継がれる存在となっている。このことも波多を記憶から消す一因となっている気がする。

話は変わるが、以前動く波島進を見たことがないと書いたが、CSで「特別機動捜査隊」の放送がスタートし、初めて動く波島を拝見した。続いてこの作品である。何故か下っ端悪党として登場したと思ったら、実は正義の人であった。ネタバレしてすいません。

おーい中村君

昔はやった歌謡映画の1つから「おーい中村君」(58年)を取り上げてみる。当時ヒットした若原一郎の歌をベースにした作品で、50分たらずのショートプログラムでもある。出演は意外に豪華で、川崎敬三、船越英二そして柴田吾郎こと田宮二郎である。田宮が本名の柴田吾郎名義で出ている貴重な作品でもある。作品では、この三人全員が「中村」姓という設定だ。まあ、ありふれた苗字だし無理な設定とはいえないだろう。田舎などでは、その地区のほとんどが同じ苗字というケースもあるし。他の出演者は近藤美恵子、若松和子、市川和子、そして歌を唄っている若原一郎ももちろん登場する。若原といえば我々世代では「欽ちゃんのどこまでやるの」の印象が強い。けっこうひょうきんなオジサンだったというイメージだ。娘の若原瞳もこの番組で有名になった。ちなみに戦後の10代歌手第1号だったそうである。90年に58歳で亡くなっている。


虎の子作戦

久々に60年代の日活でも映画を取り上げてみる。「虎の子作戦」(63年)は、五人の潜入刑事がとある町に巣くう巨悪を退治するという日活お得意のアクション物、ではなくコメディ映画といったほうがよいだろう。五人の刑事には宍戸錠(旦那)、小高雄二(シャネル)、山田吾一(パラボラ)、垂水悟郎(六段)、桂小金治(忍術)というキャスティング。今は子供でもやらないだろうあだ名でよびあったりする。悪党側の大ボスが上田吉二郎で、お馴染みの安部徹、そして錠の弟・郷瑛治といった面々である。多には五人の上司が殿山泰司、行方不明の刑事が上野山功一でほとんど写真出演である。そしてヒロイン役が笹森礼子で、垂水と笹森といえば「紅の拳銃」を思い出す人もいるかも知れない。まあ日活アクションでお馴染みの面々もいるが、たいしたアクションがあるわけでもなく、前述のとおりコメディである。

ふと気になったのが桂小金治である。子供の頃から知っている存在だったが、名前からして落語家が役者もやっているというイメージであった。しかし調べてみるとこの頃は完全に役者だったのである。スタートは落語家だが、ニつ目に昇進するとほぼ同時に役者に転向している。どうりでこの頃は映画にでまくっているわけである。「アフタヌーンショー」の司会者としても有名で、怒りの小金治と言われていた。ちなみに小金治が司会を降板した後を継いだのは、この映画でも共演している山田吾一である。ただし三ヶ月で降板しているので、覚えている人はほとんどいないだろう。さて、小金治は現在落語家活動を再開しているらしい。一見、大御所に見えるが実は真打ちではない(はず)である。

手錠をかけろ

今回も割合新しいが(といっても25年以上たってるが)、全く知らなかった番組として「手錠をかけろ」(79年)を取り上げてみる。これは現在CSで放映されており、タイトル通り刑事ドラマだがわずか10回で終了したこともあってか、かなりマイナーな部類に入ると思われる。主演は一応、荻島真一で同僚刑事に赤塚真人、現在は主に声優として活躍する中田譲治、「バイオマン」のバイオレッドこと阪本良介、刑事ドラマの定番通称「長さん」と呼ばれるのが小池朝雄で、珍しくバリバリの熱血デカ長役である。そして課長役が松村達雄で松村、小池、荻島は既に故人となっている。

一応荻島が主役と書いたのは、このドラマは毎回北海道から鹿児島まで、必ずどこかへレギュラーが出張するのだが、その地元刑事(市民)役のゲストが実質的に主役だからである。そのゲストが西郷輝彦、宍戸錠、宝田明、中村敦夫、梅宮辰夫、竹脇無我、藤田まことなど明らかにレギュラー陣より豪華なメンバーである。

色んな地方へ出張する形式の刑事ドラマは「俺たちの勲章」や「新・二人の事件簿」などが思い浮かぶが、流石に全話地方へ行くのはこのドラマだけであろう。普通の所轄警察なのに。10話での終了は予定通りか打ち切りだったのかは不明だが、視聴率は低かったようである。

走れ!熱血刑事

自分の高校生時代の番組で全く知らないシリーズ?今回は「走れ!熱血刑事」(80年)である。なぜこの番組を選んだかといえば、「暴れん坊将軍」こと松平健が主役だからである。松平健といえばイコール吉宗という感じで、現代劇のイメージが全くないが、タイトルどおり熱血若手刑事を演じていたらしい。スチールを見たかぎりでは、髪もフサフサしていてカツラがなくても二枚目である。他の出演者は坂上二郎、宍戸錠、竜崎勝、水沢アキ、荒木しげるなどで、このメンバーが松平の同僚刑事かどうかはわからないのだが、「夜明けの刑事」の坂上、「特捜最前線」の荒木など結構、刑事っぽいメンバーが揃っているという印象だ。未成年がらみの犯罪に取り組む、という解説から少年課が舞台なのかもしれない。

さて「暴れん坊将軍」だが、78年にスタートしており、この頃すでに松平もそれなりに人気を得ていたはずだが、完全に忘れられた番組という感じである。まあマツケンサンバも徐々にクローズアップされてきた歌だし、いつかこの番組のことが語られる日が…こないだろう。しかし松平の本名、鈴木清七は妙にインパクトがあると思う。


駆け込みビル7号室

このまま「必殺」の話題を続けたほうが個人的には楽なのだが、ちょっと話題を変えることにする。私は子供の頃の番組はよく覚えているのだが、逆に高校生時代の番組はわからないものが結構あったりする。何故かといえば、あまりテレビを見ていなかったからに他ならない。「駆け込みビル7号室」(79年)もそんな番組の1つである。CSで先日始まったのだが、まったく初耳の番組であった。しかも主演はあの三船敏郎であり、タイトルからわかると思うが時代劇ではなく現代劇である。まあ映画のほうでは黒沢映画を始めとして現代劇も多いが、テレビでは時代劇以外思い浮かばない。弁護士事務所の所長という役柄で、他の出演者は「荒野の素浪人」などでも共演していた坂上二郎、そしてテキサス刑事こと勝野洋(実際はこっちが主役)などである。まあ現代劇の三船というのが見どころだったのかもしれないが、視聴率は低迷しわずか11回で打ち切られている。

実はこの年、フジテレビは目標視聴率制度を導入し、目標に達しない場合は一方的に番組を打ち切れるというもので、この制度の適用第一号となったのがこの番組だったのである。しかし、この制度は逆に制作サイドのやる気を削ぎ、当時不振だったフジテレビはますます不振に陥ったため、翌年にはこの制度は廃止されることになった。フジテレビの快進撃が始まるのはこの直後である。

必殺必中仕事屋稼業

「助け人」「仕留人」ときたら当然のごとく次はシリーズ第5弾「必殺必中仕事屋稼業」(75年)ということになる。これは非主水シリーズでは最後の名作といえる作品である、と自分では思っている。以降の「からくり人」とか「仕舞人」とかの1クール作品は、どうしても「仕事人」を初めとする主水作品のつなぎである印象がいなめない(あ、「からくり人血風編」は結構面白かったな)。「必殺」の文字がタイトルに復活し、出演者も「仕掛人」の梅安こと緒形拳(半兵衛)が再度登板、相棒は同じ林でも与一ではなく隆三(政吉)である。林隆三は「仕掛人」においてもゲスト仕掛人として、地上波では放送禁止扱いとなっている「地獄へ送れ狂った血」の回で緒形拳とコンビを組んでいる。他のメンバーは元締の草笛光子につなぎ役の岡本信人と少数精鋭である。よく言われていることだが、この番組の面白いところは半兵衛と政吉の二人が殺しの素人であるということだ。武器も剃刀に懐刀と大量殺には向かないので、相手も二人ということが多く、二人がかりで一人を倒すこともある。その一方で24話に登場の強敵(浜畑賢吉演ずるお庭番)を意外にあっさりと倒したりということもあった。ゲスト悪役についてだが、珍しいところでは和田浩治、山城新伍、東野英心(当時は孝彦)、池玲子、嵯峨三智子(山田五十鈴の娘、山田が必殺シリーズに出演するきっかけになったらしい)、そして手は下されなかったが「好き好き魔女先生」こと菊容子といったところであろうか。ちなみに菊容子はこの年に亡くなっているので、ほぼ最期の出演だったと思われる。
この番組で一番の事件といえば、以前にも書いたがやはり「腸捻転」と言われるネット局の編成変更であろう。そのため関東では土曜22時TBSでの放送が、14話から金曜22時テレ朝の放送に変わってしまったのである。そのため視聴率は半減したらしい。まあ番組のほうもゲスト悪役の岡田英次を13話では殺さず、14話で仕留めるといった前後編のような形にしたりしたのだが。変更を知らなかった視聴者が多かったということだろう。20話にはお馴染みの津川雅彦が登場し、仕事屋とポーカー勝負を繰り広げるのだが、この回は必殺のメインともいえる殺しがない。にもかかわらず大変面白く、名作との呼び声も高い。まあ当時は少し物足りない感じがしたけれども。
草笛光子と林隆三は実は親子であるという設定だったが、実際は10歳しか離れていない。まあ林隆三演じる政吉は20歳そこそこという設定なんだろうが、そんなに若くは見えない。音楽についてだが、EDの「さすらいの唄」ではなく、そのB面の「夜空の慕情」が殺しのテーマに使われたが、これがまた名曲であった。この歌を唄った小沢深雪は後に作曲した平尾昌章と結婚することになる(離婚したけど)。最終回は政吉、利助、そして政吉の情婦だったおまき(芹明香)が次々死んでいく壮絶なものだ。必殺シリーズでは「新必殺仕置人」と並ぶ名最終回であるといえよう。ところで、おまき役の芹明香だが一切EDに名前が出ないのである。本放送の時はちゃんと名前があったような気がするのだが、大麻事件で逮捕されたため、再放送時から名前を消されたのであろうか。

暗闇仕留人 その2

前項の続きである。この番組は中盤でレギュラーが減っていく。15話「過去ありて候」でセミレギュラーだったおみつ(佐野厚子)が石橋蓮司の手裏剣に殺され、半次(秋野太作)が何の説明もなく姿を消す。おそらくスケジュールの都合であろうが、どうせ姿を消すならその前回「切なくて候」にすればよかったのにと思うのである。この回、半次は故郷を訪れ、初めて自ら刃物を持ち殺しに参加する。姿を消すにふさわしいではないか。次の回も普通に出演しているので中途半端な感じがするのである。そして17話「仕上げて候」では貢の妻あや(木村夏江)が殺されてしまったりする。これを機会に貢の武器は三味線の撥から針を仕込んだ矢立へとチェンジされる。この仕込み矢立は10回程度しか使われなかったのだが、勿体無い気がした。

次はゲスト悪役についてだが、「サインはV」の中山仁、「特捜最前線」の本郷功次郎、「あかんたれ」の沢本忠雄、山本三兄弟の長兄・山本学などあまり悪役としては見かけない役者もいる。特に山本学が演じる佐島昌軒は頭突きで相手のあばらをバラバラにしてしまうという必殺技の持ち主で、1回限りにしてしまうのは勿体無いと思ったものである。(私の知っている限りでは以降のシリーズで使われていない)。

この番組はやたらと悪人に十手持ちが多い。20話「一途にて候」では、被害者側同心が「仮面ライダー」のおやっさんこと小林昭二と「ミラーマン」こと石田信之、加害者側同心に「赤影」こと坂口祐三郎(当時は坂口徹)など沢山の役人たちが死ぬ。ちなみに坂口は普通に悪徳同心の一人であり、あの赤影だと気付いた人はなかなかいないのではないどろうか。赤影といえば、8話に白影こと牧冬吉、24話には青影こと金子吉延、15話に幻妖斎こと天津敏がゲスト出演している。金子がゲストの24話の監督は赤影で監督を務めた倉田準二である(倉田が必殺シリーズで監督を務めたのは仕留人の2エピソードだけである)。この24話の悪役は「地獄大使」こと潮健児で、潮といえば「悪魔くん」で金子吉延ではなく、金子光伸とコンビをくんでいたなあ、などと考えていくと面白い。そう感じるのは私だけであろうか。