虎の子作戦 | お宝映画・番組私的見聞録

虎の子作戦

久々に60年代の日活でも映画を取り上げてみる。「虎の子作戦」(63年)は、五人の潜入刑事がとある町に巣くう巨悪を退治するという日活お得意のアクション物、ではなくコメディ映画といったほうがよいだろう。五人の刑事には宍戸錠(旦那)、小高雄二(シャネル)、山田吾一(パラボラ)、垂水悟郎(六段)、桂小金治(忍術)というキャスティング。今は子供でもやらないだろうあだ名でよびあったりする。悪党側の大ボスが上田吉二郎で、お馴染みの安部徹、そして錠の弟・郷瑛治といった面々である。多には五人の上司が殿山泰司、行方不明の刑事が上野山功一でほとんど写真出演である。そしてヒロイン役が笹森礼子で、垂水と笹森といえば「紅の拳銃」を思い出す人もいるかも知れない。まあ日活アクションでお馴染みの面々もいるが、たいしたアクションがあるわけでもなく、前述のとおりコメディである。

ふと気になったのが桂小金治である。子供の頃から知っている存在だったが、名前からして落語家が役者もやっているというイメージであった。しかし調べてみるとこの頃は完全に役者だったのである。スタートは落語家だが、ニつ目に昇進するとほぼ同時に役者に転向している。どうりでこの頃は映画にでまくっているわけである。「アフタヌーンショー」の司会者としても有名で、怒りの小金治と言われていた。ちなみに小金治が司会を降板した後を継いだのは、この映画でも共演している山田吾一である。ただし三ヶ月で降板しているので、覚えている人はほとんどいないだろう。さて、小金治は現在落語家活動を再開しているらしい。一見、大御所に見えるが実は真打ちではない(はず)である。