お宝映画・番組私的見聞録 -234ページ目

名探偵ルコック

前項に引き続きOTV(大阪テレビ)で放映されたドラマについてなのだが、その1つが「名探偵ルコック」(57年)である。タイトルだけ聞くと海外ドラマ?と思うかもしれないが、れっきとした日本のドラマだ。といっても日本人がかつらをかぶったり、メーキャップしたりして「外国人」を演じたもので、当時は赤毛物と言われていたものである。原作が外国の推理小説だからなのだろうが、今だったら日本人による日本のドラマとしてアレンジしてしまうのが普通だ。そういう発想が思いつかなかったのかどうかは不明だが、余計な手間がかかったと思われる。ちなみにスタジオでの生ドラマだったらしく、当然映像など残っていないだろう。まあ見た人も覚えている人もほとんどいないだろうが。主演は飯沼慧。6代目の「部長刑事」の人である。他の出演者は溝田繁、西山喜孝、荒木雅子、坂本和子などである。意外と好評だったらしく、終了後のやはり飯沼慧の主演で「皇太子の冒険」という赤毛物が制作されたようだ。

赤胴鈴之助(OTV版)

月も替わったところで、話題をガラリと変えてみる。自分は関西の人間ではないので良くはわからないのだが、関西地区の民放キー局といえば、朝日放送、毎日放送、読売テレビ、関西テレビ、テレビ大阪といったところであろうか。しかし関西地区の民放の第1号は大阪テレビ放送(OTV)という局で、56年から59年までの約2年半存在し、朝日放送に吸収合併という形で、その名は消えてしまったらしい。ちなみに現在OTVといえば沖縄テレビのことをいうようだが、ここでは大阪テレビのことである。

存在期間は短かったが結構自局制作でのドラマを作っており、タイトルの「赤胴鈴之助」(57年)もその1つだ。しかし、同時期に関東で放映された「赤胴鈴之助」とは出演者が違う。つまり別の作品であり、OTV版のほうは、おそらく関西地区のみで放映されたものと思われる。当時のことだからスタジオでの生ドラマであり再放送などないだろうし、テレビの普及台数もまだ低かったので、見たことある人などほとんどいないのではないだろうか。まあ「赤胴鈴之助」自体はメジャーなタイトルだし、映画化もされているので見たことがあるとカン違いしている人も多いかも。ちなみに主演つまり鈴之助や一般公募行い(関東もやったようだ)、選ばれたのが吉田豊明。吉田豊明といえば東映ニューフェースの10期生で(同期は小林稔待、池田駿介など)、「特別機動捜査隊」の石原刑事として活躍した役者と同名だが、まあ同一人物と思っていいだろう。ニューフェース以前にこういった前歴があったとは知らなかった。他の出演者は石田茂樹、矢野文彦などである。ちなみに関東で選ばれたのは尾上緑也。尾上松緑の息子ではなく預かり弟子だったそうである。ラジオドラマに出ていた吉永小百合はこちらにも出演したそうで、テレビ初出演だったらしい。他の出演者では五月みどりや今や大御所声優の野沢雅子などの名もみえる。こちらが関東以外で放映されたかどうかは不明だが、テレビドラマの鈴之助を見たとう人は大抵こっちなのだろうなあと思われる。


黒蜥蝪

三島由紀夫から連想される映画といえば「黒蜥蝪」(68年)が挙げられる。この映画は江戸川乱歩の原作を三島由紀夫が戯曲化し、それを成澤昌茂が脚色し深作欣二の監督で映画化したというもの。こうやって書くととても複雑な過程を経ている気がするが、要は美輪明宏(当時は丸山明宏)の舞台を見た深作が美輪を主演にして映画化したというものである。現在は美輪といえば黒蜥蝪というイメージが定着している感もある。本来主役であるべき明智小五郎(木村功)もとても陰が薄い。何年か前になんとなく見たのだが、木村の印象がほとんどなっかたりする。 この作品で美輪はあくまでも女性であり、女装の麗人?ではないのだが、私にはオ○マにしか見えない。まあ奇麗ではあるのだけれども。歌舞伎の女形とでも思えばいいのだろう。もっとも歌舞伎をまともに見たことはないが。そしてこの作品にも三島が登場する。それも上半身裸の生人形の役だ。生来虚弱で少年の頃は「アオジロ」などと呼ばれ、俳号を自ら「青城」などとしていた三島をボディビルが変えた。その鍛えた筋肉を当時は何かと見せたがっていたそうである。それにしても美輪といい三島といい、江戸川乱歩のおどろおどろした世界には妙にはまっている。他の出演者は川津祐介、松岡きっこ、宇佐美淳也、そして丹波哲郎が「黒木」という役ででているようだ(記憶にないけど)。ご存知かと思うが「キイハンター」でも「Gメン75」でも黒木(鉄也)であった。よほど黒木が好きだったようだ。


潮騒

三島由紀夫といえば「潮騒」、というか前項でも書いたとおりそれぐらいしか読んでいないのである。ところでこの「潮騒」、5度も映画化されていたのをご存知であろうか。主な登場人物として久保新治、宮田初江、久保とみ、宮田照吉を挙げ、年代順に追ってみることにする。第1作は東宝で54年、新治は久保明、初江は青山京子、とみは沢村貞子、照吉は上田吉二郎である。久保明と青山京子はこのあと数作コンビを組むことになる当時の人気者だった。ちなみに久保明という芸名は彼のデビュー作での役名をもらったもので、本作でも久保なので久保には縁があったのであろう。2作目は日活で64年、新治は浜田光夫、初江は吉永小百合という定番コンビ。このコンビの作品が多くて本作はあまり目立っていない気がする。とみ役は望月優子、照吉は石山健二郎。3作目は東宝で71年、三島が自決した翌年の映画化だ。新治は朝比奈逸人、初江は小野里みどりという誰?という感じのコンビ。詳細は不明だが一般公募で選ばれた二人なのではないだろうか。実際に朝比奈の出演作は2本、小野里はこれ1本だけのようである。ちなみに三島が主演した「からっ風野郎」での役名が朝比奈武夫で、朝比奈という芸名はそこから来てるのではないだろうか。本名かもしれないけれども。とみ役は小田切みき、照吉役は前作と同じ石山健二郎である。4作目はやはり東宝で75年、新治は三浦友和、初江は山口百恵という当時のゴールデンコンビ。我々世代に一番馴染みのあるのはこの作品であろう。とみ役は初井言栄、照吉は中村竹弥であった。そして5作目が85年、この辺りになると逆にそんなのあったっけ?という感じになるのだが、新治には鶴見辰吾、初江には堀ちえみというドラマで人気のあった二人だ。未見だが堀ちえみはあの「スチュワーデス物語」のような演技だったのだろうか。とみ役は前作と同じ初井言栄、照吉役は丹波哲郎であった。さて、6度目の映画化はあるのだろうか。なくてもいいけれども。

不道徳教育講座

前項の「複雑な彼」の原作が三島由紀夫ということで、今回も彼の原作を映画化した「不道徳教育講座」(59年)を取り上げてみたい。三島といえば、70年に自衛隊市ヶ谷駐屯地に「楯の会」のメンバーと乗り込み、数分間の演説の後割腹自殺してしまったが、当時自分は小学生だったが何故かこの事件はよく覚えている。もちろん当時は三島由紀夫とは何者かよく知らなかったと思うが。三島の作品って読んだことがあるかというと、大昔に「潮騒」を読んだ程度なのに今さらながら気付いた。どうもこの事件のせいか、そういった傾向の作品を書く人というイメージが強く読みたいと思ったこともなかった。まあ三島だけでく純文学といわれる作品はほとんど読んだ記憶はないけれども。

さて映画の方だが、OPはアニメーションなのに驚く。トリスのCMで知られる柳原良平のアニメである。まあすでに「白蛇伝」(58年)など劇場長編アニメも存在していたので驚くことはないのだが、やはりこの時代のものは目をひく。そして冒頭、案内人として登場するのが三島由紀夫本人である。これは2度目の映画出演で、翌年には「からっ風野郎」で主役を演じたりしている。さて本作の主演は大坂志郎である。以前取り上げた「俺は犯人じゃない」(56年)でも主演だが、これには日活の俳優不足という事情もあったようだが、この頃はすでに石原裕次郎も小林旭もデビューしていた中での主演である。世にも不道徳な男を演じているのだが、どう見ても不道徳なキャラには見えない。二役で正反対のキャラも演じているがこちらはピッタリくる。まあ見た目だけではわからないといえばそれまでだが。他の出演者は長門裕之、岡田真澄、柳沢真一、清水まゆみ、月丘夢路などである。

ところで、三島由紀夫と楯の会がレコードを出していたのを知っている人はいるだろうか。その名も「起て!紅の若き獅子たち」。誰が買ったのだろうか。

複雑な彼

「裸の青春」の項で、チラッと触れた「複雑な彼」(66年)が先日CSで放映された。書いた時点では(放映を)知らなかったのでナイスなタイミングであった。真理アンヌが「マリアンヌ・シェーツ」名義で出演しているというネタ以外が何も知らなかったのだが、原作は三島由紀夫で主演が田宮二郎という、まあ衝撃の自殺コンビとでもいうのだろうか、でも中身はおとなしめのメロドラマといった感じの作品である。本作での田宮の役はあの安部譲二がモデルになっているらしいのだが、イメージが違いすぎて想像できない。安部がパーサーをやっていたこと自体が想像しづらいし。

さてヒロイン役は高毬子である。高毬子といえば、真っ先に思い出すのが「プレイガール」である。というかそれ以外思いつかないのだが、プレイガール以前の彼女については全然知らなかった。宝塚歌劇団の出身で、映画デビューはこの66年、出演2作目の本作でヒロインに抜擢されている。この年出演した五本の映画はすべて田宮が主演であり、高もほとんどヒロイン役のようだ。しかし大映での活躍は翌67年までで、68年からは東映の作品に顔を出すようになっている。セクシー美女という感じでもなく、まさか「プレイガール」に出演するようになるとは本人も予想していなかったであろう。この大映時代のイメージとプレイガールの時とではかなりイメージが違っている。現在は普通に主婦だそうである。

新・平四郎危機一発

前項の「平四郎危機一発」には続編が存在する。その名も「新・平四郎危機一発」(69年)ってそのまんまである。正直その存在すら最近まで知らなかったので当然未見であるし、その資料・記録などもほぼ見当たらないので、ほとんど謎の番組なのだ。唯一の資料ともいえるテレビドラマデータベースによれば、主演はそのまま宝田明だが、その他のメンバーは替わっているようである。前作ではキャスト総入れ替えという事態に見舞われた「平四郎」だが、実は今回も宝田がケガのため14話で降板するという事態に見舞われる。まさに呪われた番組といえよう。そしてまたしてもキャスト総入れ替え。三代目平四郎に抜擢されたのは浜畑賢吉、当時劇団四季に在籍していた売出し中の役者であった。以前取り上げた「進め!青春」(68年)の主役教師を演じたりもしていた。11回で終わってしまったけれども。インテリな石坂、キザな宝田に比べるとキャラクター的には弱いと個人的には思う。他のレギュラー陣だが、誰が宝田編で誰が浜畑編かは不明だが、野川由美子、川口恒、小山ルミ、奈美悦子、河原崎長一郎、菅原謙次、千葉治郎、郷瑛治、四方晴美、夏純子と中々豪華な布陣である。ちなみに第1話のゲストはフランキー堺、コント55号などで結構気合いが入っていたようだ。続けてこちらも放映されることを期待するのである。

平四郎危機一発

一度見てみたいと思っていた番組がCSでスタートした(といっても2ヶ月ほど前からだが)。それが「平四郎危機一発」(67年)である。これはあの「キイハンター」の前番組にあたるというのでTBS系の土曜21時から放送されていたはずだ。しかし制作は東映ではなく東宝である。主演は当時大人気の石坂浩二で、石坂本人が得意なフェンシングの技を使う九条平四郎を演じている。探偵物には違いないが、九条はあくまでも探偵マニアであり本業は花屋を営む青年実業家という設定だ。その彼が毎回事件に首を突っ込んでいくというある意味強引なドラマだが、そうでないと話が進まない。他のレギュラーは次の「キイハンター」でもレギュラーとなる大川栄子、そして誰?という感じの広町富雄に田中紀久子。実際にこれ以外の出演記録は見当たらなかったりする。とまあ微妙なメンバーでスタートした番組だが、当時の石坂というのは大変な殺人的スケジュールだったようで、ついには体調を崩し第8話を持って降板ということになった。主役のいなくなった番組に対して制作サイドがとった手段はキャストの総入れ替えであった。一人だけ交替するというのはたまにあるケースだが、番組タイトルや設定そのままでレギュラー総入れ替えとうのは珍しいケースだろう(まあ新企画などを立てている暇などなっかたであろうが)。広町や田中など恐らく初レギュラー作品だったと思われるが道連れになってしまったのである。

で第9話より九条平四郎となったのが宝田明である。青年っぽい石坂からアダルトな宝田へチェンジされ、キザっぽさが強調されるようになった。ヒロインも娘っぽい大川から大人っぽい雰囲気の夏圭子へと替わった。他のレギュラーは当時は人気のあった砂塚秀夫や東宝期待の若手で二代目若大将に予定されていた矢吹渡(後の浜田柾彦)や進千賀子など多少華やかな雰囲気となっている。10話には土屋嘉男や佐原健二がゲストで登場し東宝色が強くなった。兎にも角にもこうして26話を乗り切ったのである。番組そのものが「危機一発」だったのである。

ちなみに国語的には「危機一髪」が正しいので注意しよう。何故か映画やドラマのタイトルには「発」が使われることが多い。間違いやすい原因は間違いなくこういったドラマにあるのだろう。


裸の青春

「裸の青春」というタイトルだけだと日テレの青春ドラマシリーズかなと思ったり(ありません)、加山雄三主演の「高校教師」の主題歌を思い浮かべる人もいるかもしれないが(夏木マリ「裸の青春」)、65年の田村正和主演の松竹映画だったりする。当時22歳の田村が少年院を脱走してきた不良少年を演じているが、品の良いハンサムである正和は不良には見えないのである。といっても内容は純愛物で、ヒロインは市川瑛子が演じている。誰?と思ったが当時の新人で、活躍時期は65年と66年の二年だけのようで詳しくは不明である。正和を拾ってトラックに乗せてやる運ちゃんが加東大介(東宝)だが、この人は「陸軍中野学校」にも(東宝)付きで出ていたが、他社への出演が多かったようだ。工藤堅太郎がヤクザの子分で兄貴分が鹿内孝(当時はタカシ)。鹿内孝は若い頃からヤクザ役が多かったようである。ちなみに映画の主題歌を熱唱しているのは鹿内だ。

彼らの周りにる少女たちを演じるのが嘉手納清美や真理アンヌなのだが、やはり真理アンヌが目立つ。当時17歳だが妙に貫禄がある。ちなみに彼女が真理アンヌ名義で出演したのは本作が初めてだったようで、64年の「自転車泥棒」はデビー・シェス名義(本名ワサンティデビィ・シェス)で、66年の「複雑な彼」ではマリアンヌ・シェーツ名義で出演しているらしい。正和も田村三兄弟として有名だが、真理アンヌの三姉妹も有名だ。長女がアンヌで、次女がプラバー・シェス、三女が久万里由香だ。プラバー・シェスはモデルと「ヤング720」の司会などをしていたが女優活動はほとんどしていないのであまり記憶にないが、久万里由香は女番映画とかに出演していた。三人の中では一番日本人っぽい顔立ちだと思う。久万里というのは本名のスワァクマリから来ているようだ。いつの間にか真理アンヌの話になってしまった。そういえばずっと以前に取り上げた「コードナンバー108・七人のリブ」に毬杏双(まりあんぬ)という人が出ているが、この人は「アテンション・プリーズ」などに出演していた麻衣ルリ子だったらしい。今さらながら記しておく。

家庭の事情シリーズ

古い話題が多くなっているついでにもう一つ、トニー谷である。自分なんかの世代では、かろうじて「アベック歌合戦」(62年~)での「あなたのお名前なんてえの」という拍子木を叩きながら(ソロバンではない)の司会ぶりを生で見た記憶が残っている程度である。当時はもちろん知らなかったが、人気が落ち目になっていたトニー谷はこの番組で復活を遂げていたのであった。大人気だったのは50年代で、初の主演映画として作られたのが「家庭の事情」シリーズ(54年)である。1作目の「馬ッ鹿じゃなかろかの巻」「さいざんすの巻」「おこんばんわの巻」「ネチョリンコンの巻」の計四本が作られている。これらのタイトルはいずれも彼のギャグ?であり、当時の作品らしくいずれも50分弱くらいである。共演はかろうじて知っている名前をあげると重山規子、柳谷寛、千葉信男、有木山太、谷晃、寺島雄作といったところであろうか。ちなみに2本目だけ頭に続がつく(つまり続家庭の事情・さいざんすの巻)。トニー谷という人はかなり不幸な生い立ちを背負っている人のようで、継母から虐待を受けていたとか最初の妻は空襲で行方不明になったとか色々あるようだ。順調に見えた芸人生活も55年に長男が誘拐されるという事件にあってしまう。当時は報道協定などもなく子を心配する彼の素の姿が報じられ被害者なのに人気を落とすという目にあう。結局無事に戻ってきたのだが、このときから晩年までマスコミ嫌いだったという。

冒頭の「アベック歌合戦」の終了(68年)と共に姿を消したような印象が強いが、実際は「スター飛び出せ歌合戦」を経て71年の「トニーの外人歌合戦」が3ヶ月で終了した後に休養期間に入り、そして77年の「てんぷく笑劇場」でまた復活していたのである。個人的にも子供の頃にテレビで見たのが最後だった(と思う)ので意外な事実であった。