不道徳教育講座 | お宝映画・番組私的見聞録

不道徳教育講座

前項の「複雑な彼」の原作が三島由紀夫ということで、今回も彼の原作を映画化した「不道徳教育講座」(59年)を取り上げてみたい。三島といえば、70年に自衛隊市ヶ谷駐屯地に「楯の会」のメンバーと乗り込み、数分間の演説の後割腹自殺してしまったが、当時自分は小学生だったが何故かこの事件はよく覚えている。もちろん当時は三島由紀夫とは何者かよく知らなかったと思うが。三島の作品って読んだことがあるかというと、大昔に「潮騒」を読んだ程度なのに今さらながら気付いた。どうもこの事件のせいか、そういった傾向の作品を書く人というイメージが強く読みたいと思ったこともなかった。まあ三島だけでく純文学といわれる作品はほとんど読んだ記憶はないけれども。

さて映画の方だが、OPはアニメーションなのに驚く。トリスのCMで知られる柳原良平のアニメである。まあすでに「白蛇伝」(58年)など劇場長編アニメも存在していたので驚くことはないのだが、やはりこの時代のものは目をひく。そして冒頭、案内人として登場するのが三島由紀夫本人である。これは2度目の映画出演で、翌年には「からっ風野郎」で主役を演じたりしている。さて本作の主演は大坂志郎である。以前取り上げた「俺は犯人じゃない」(56年)でも主演だが、これには日活の俳優不足という事情もあったようだが、この頃はすでに石原裕次郎も小林旭もデビューしていた中での主演である。世にも不道徳な男を演じているのだが、どう見ても不道徳なキャラには見えない。二役で正反対のキャラも演じているがこちらはピッタリくる。まあ見た目だけではわからないといえばそれまでだが。他の出演者は長門裕之、岡田真澄、柳沢真一、清水まゆみ、月丘夢路などである。

ところで、三島由紀夫と楯の会がレコードを出していたのを知っている人はいるだろうか。その名も「起て!紅の若き獅子たち」。誰が買ったのだろうか。