お宝映画・番組私的見聞録 -230ページ目

バンパイヤ

突然だが、手塚治虫の「バンパイヤ」(68年)である。この作品は実写とアニメの合成という実験的な作り方がなされており、アニメのカテゴリーに入れられることも多いのだが、どう見てもベースは実写なので、特撮ということにしておいた。主演は当時16歳の水谷豊で、これがデビュー作のように言われているが、どうやらその前年に渥美清、中村玉緒主演の「おもろい夫婦」(啓助・唄子ではない)というドラマに出演しているようである。第1話では水谷演じるトッペイが手塚プロに入るところから始まり、手塚治虫本人も出演している。このあたりは生で見ていたような記憶がある。当時どう思って見ていたかさすがに記憶はないが、最近CSで始まった放送で三十数年ぶりに見てみると、やっぱり違和感がある。水谷がバンパイヤに変身する過程はなかなかだが、変身し終わると単なるアニメの狼(もちろん手塚タッチ)になってしまうので、画面に馴染んでいない気がする。まあ最近のCGよりは味があってよい気もするけれども。他の出演者だがロック役はスタート時は佐藤博で、途中で梶健司に交替する。これはロックが整形して生まれ変わったからである(役者の都合かどうかは不明)。後は渡辺文雄、戸浦六宏、岩下浩、嘉手納清美などで、トッペイの父立花博士役で左卜全も登場する。左卜全が博士というのは似合いそうで似合わない気がする。

日本漫画映画発達史

アニメではないが、アニメを扱っている映画がある。「日本漫画映画発達史」(71年)がそれで、どのジャンルになるのかよくわからないが、ドキュメンタリーということになるのだろうか。実は2本作られており、戦前編が「漫画誕生」で、戦後編が「アニメ新画帖」(73年)である。ある意味壮大なタイトルと、前後編の間が2年空いたりしていることから、日本アニメの歴史を追いかけた超大作のように思われる人もいるかもしれないが、両方合わせても70分程度の作品のようである。それでも結構貴重な作品が紹介されているようだ。「漫画誕生」では一番古いもので、1917年のものから私でも聞いたことのある「くもとちゅうりっぷ」とか「桃太郎の荒鷲」といった作品を、「アニメ新画帖」ではメジャーな作品は「鉄腕アトム」と「白蛇伝」くらいで、後は月岡貞夫、柳原良平、久里洋二、鈴木伸一などの個人製作の作品が取り上げられているようだ。まあ今ではあまり見ることのできない貴重な作品が並んでいる印象だが、この映画自体がソフト化もされておらず、あまり見ることのできない貴重な作品になってしまった気がする。つまり2倍貴重な作品なのである。

ヤスジのポルノラマ・やっちまえ!

「ドラえもん」の項で書いた日本テレビ動画だが、東京テレビ動画と名乗っていた時代に劇場用アニメを制作している。その名も「ヤスジのポルノラマ・やっちまえ!」(71年)である。まあタイトルどおり、谷岡ヤスジのマンガをアニメにしたものであるが、結果からいうと一週間で打ち切られるという見事なまでの失敗に終わった作品なのである。おそらくソフト化もされていないはずなので、知っている人はかなりの通である。私自身も「ドラえもん」を調べている過程で、初めて知った作品であった。この失敗により東京テレビ動画は解散、日本テレビ動画として再編されることになる。というわけで「ヤスジのポルノラマ」については、そのスチールさえ見たこともないのだが、東京テレビ動画が作っていた作品というのが「夕焼け番長」「男一匹ガキ大将」「男どアホウ甲子園」といった月~土の帯で夕方6時半くらいからやっていた10分アニメなので、その出来から考えるとハイクオリティな物は想像しにくいのだが。

声の出演だが、主役に鈴木ヤスシ。ヤスシとヤスジをかけてキャスティングされたかどうかは不明だ。他にコロンビア・トップ、南利明といったコメディアンに加えて、本職の鈴木弘子、雨森雅司(初代バカボンのパパ)、大塚周夫(初代ねずみ男)などである。この作品後にアメリカで公開されると大ヒットしたという話である。いずれにしろちょっと見てみたい気はする。

ジャングル黒べえ

藤子不二雄作品は健全な子供向け作品の代表のように思われているが、何故か前項の「ドラえもん」のように世に出なくなってしまった作品がいくつかある。ご存知の方も多いと思うが「ジャングル黒べえ」(73年)も今は見ることのできないものの一つだ。旧「ドラえもん」は行方不明な作品だが、こちらは封印されてしまった作品である。大ざっぱな認識では、この作品が黒人差別にあたるという理由で封印されてしまったと思っている人が多いと思うが、実際は少し違っているようである。詳しくは安藤健二氏の「封印作品の謎2」に書かれているのだが、その抗議は「オバケのQ太郎」の1エピソードについて行われたものであり、出版社側はそれに過剰反応して、「ジャングル黒べえ」まで封印してしまったという説が有力である。まあ当時(89年)は、「黒人差別をなくす会」による抗議行動が猛威を振るっており、あの「ちびくろサンボ」が封印状態の追い込まれたりしていた頃である(現在は復活している)。この団体は当時は大阪の一家三人がそう名乗っているに過ぎなかったのだが(現在は二百名を超えるらしい)、バックに大きな組織が控えているのではと、出版社側がビビッてしまったのである。大出版社なら多少の抗議くらいはねつける度量が欲しいところであるが、面倒は御免ということなのだろう。それに伴いアニメの方も封印されることになった。「東京ムービー・アニメ主題歌大全集」にも収録されず、存在していなかったかのような扱いとなっているのが現状である。CDは収録されているものがあり、唯一その存在を証明するものとなっている。

ところでこの作品はアニメ企画の方が先行しており、原案を考えたのがあの宮崎駿だったというのはファンの間では有名な話だ。しかしそれは黒人ではなく、コロボックルのようなキャラだったらしく、それを変えたのは楠部三吉郎(現・シンエイ動画社長)だったという。27年延々と続くアニメ「ドラえもん」を成功させた立役者が、皮肉にも「黒べえ」に関しては封印される原因を作ってしまったともいえる。コロボックルといえばこの73年には「冒険コロボックル」というアニメも放映されているが、それは偶然だったのだろうか。

ドラえもん(日本テレビ版)・その2

前項の続きである。もしこの日テレ版の「ドラえもん」を見ることができたとしたら、初めての人はその声に驚くのではないだろうか。ドラえもんの声がおっさんなのである。冨田耕生という今も現役で、数多くの作品に出ている声優だが、二代目バカボンのパパとでもいえば分かりやすいだろうか。当時はどうっだたかと言えば、何の違和感も感じなかった。まだ単行本も出ておらず、世の中に浸透していなかったということもあろう。今の子供はどうか知らんが「ドラえもんがアニメ化されたら、声優は○○がいい」などと当時の子供は考えたりしていなかったので、最初に世に出たものを受け入れるだけだったのである。当時は小学館の学習雑誌に掲載されており、自分も小学2年生から4年生まで読んでいたと思われる。ちゃんと最終回があり(よく覚えていないのだが)、簡単にいえばドラえもんが未来に帰ってしまう話で、アニメの最終話もそれに準じた話だったようだ。ようだと言うのは恐らく見ていないからである。実は1クールでドラえもんの声がお馴染みの野沢雅子に替わったらしいのだが、私はそれを聞いた記憶がないので、14話以降は見ていなかったと思われる。これはやはり視聴率低迷によるテコ入れの一つだったようで、ドラえもんを保護者目線から友達目線に変えるといったような意味合いもあったようだ。しかしいきなり主役の声が変わったら(しかも似ても似つかない声に)子供でなくても驚くだろうなやはり。他のキャストだが、のび太は太田淑子(「オバQの正ちゃんなど)、ジャイアンが新作でスネ夫になる肝付兼太、スネ夫が八代駿(仮面ライダーの怪人役など)、静香が恵比寿まさ子、パパが村越伊知郎(バロム1の声など)、そしてママが新作ではのび太となる小原乃梨子であった。

その映像を今は見ることができないと書いたが、何故かYouTubeで、その旧作ドラえもんのOPがアップされていたりするのだ。興味のある人は探してみるといい。個人的には断然こちらの「内藤はるみと劇団NLT」の歌う主題歌のほうが好きである。

ドラえもん(日本テレビ版)・その1

今まで映画というブログジャンルということもあり、取り上げたたことはなかったのだが、まあバラエティなども取り上げているわけだし、このブログのタイトルは「お宝番組・映画」なので、アニメについても取り上げてみることにする。その第1弾として「ドラえもん・日本テレビ版」(73年)について語ってみようと思う。現在放映中のものは、テレビ朝日系で79年にスタートしたもので、それ以前にもアニメ化されていたことを若い人はあまり知らないかもしれない。旧作はなんと呼称しようかと思ったが、ファンとかの間では「日本テレビ版」と呼んでいるようである。この旧作だが、リアル子供だった我々世代でも見た人は少ないかもしれない。日曜夜7時というゴールデンな時間に放映されていたのだが、裏番組が「マジンガーZ」だったり、「お笑いオンステージ」だったり、「アップダウンクイズ」だったりして私自身もそんなには見ていなかったと記憶している。それに加え放送期間も普通に半年で終了しており、しかも再放送もほとんどされていないということもあり「幻のアニメ」ともいわれている。実際問題、フィルムの所在は不明らしい。今までアニメのオープニング集というものはビデオやLDなどで結構発売されているが、確かこの日テレ版のドラえもんの映像は収録されたことはないはずである。(CDならOP、EDとも収録されているものが発売されている)。

何故このような事態になっているのかというと、アニメを制作していた日本テレビ動画の渡辺社長が辞めてしまったからである。当時のスタッフによると実は視聴率が上向きになり、放送延長もほぼ決定していたらしいのだが、社長が投げ出してしまったため、番組は終了することになり、日本テレビ動画自体も解散することとなったのである。そしてこの番組の資料など保管する場所もなくなり、荒川の土手で燃やしてしまったということらしい。ただしフィルムはテレビ局に納品したため、燃やしていないとのこと。つまり、どこかの倉庫に眠っている可能性があり、再び陽の目を見ることがあるかもしれない。(藤子不二雄ファンサークルマガジンNeo Utopiaより)。

ちなみに日本・テレビ動画であり、日本テレビの子会社というわけではないらしい。日本放送映画、東京テレビ動画、そして日本テレビ動画と社名が変わっており、他の作品には「ミュンヘンへの道」「モンシェリCoCo」などがあり、かなりマイナーなものが多い。

次項では、その内容について語ってみたい。

爆笑王座征服

新東宝に「爆笑王座征服」(58年)という作品があるのだが、このタイトルからどういう内容を想像するだろうか。今で言うM-1グランプリみたいなものなのかなどと考えてしまうかもしれないが、全く違う。これは新東宝オールスター総出演の顔見せ的映画なのである。ずっと以前の紹介した大映の「スタジオはてんやわんや」みたいなものなのだ。簡単にいえば舞台の上で出し物を見せるというかくし芸大会的な作品である。であるから出演者だけは非常に豪華だ。宇津井健、天知茂、中山昭二、丹波哲郎、高島忠夫、江見俊太郎、御木本伸介、和田桂之助といったお馴染みの男優陣、三ツ矢歌子、久保菜穂子、大空真弓、高倉みゆき、池内淳子、小畑絹子、三原葉子、万里昌代といった女優陣、ちなみに三原と万里はやはりセクシーなダンサーの役である。それに加えて時代劇部門からは戦前の大スター嵐寛寿郎、坂東好太郎、そして明智十三郎、中村竜三郎、天城竜太郎(後の若杉英二)が白浪五人男を披露、女性では宇治みさ子、北沢典子らが登場、そしてこの頃新東宝映画によく出ていた由利徹などがどしょうすくいを披露するといった具合。まあ30分にみたない作品なので誰がどこに出ているかを探すだけでも楽しめるかもしれない。しかしこれを見て爆笑する人はまずいないと思うが、このタイトルはどこから来たのか謎である。 

戦雲アジアの女王

前項で挙げた宇津井健、中山昭二、丹波哲郎の三人が揃って出ている作品の一つに「戦雲アジアの女王」(57年)がある。主演は前述の三人ではなく、高倉みゆき、高島忠夫である。高倉みゆきは社長の大蔵貢が自らスカウトした元東映の女優で、新東宝移籍第一作目にして主演に抜擢されたのである。東映時代は本名の和田道子名義で「紅孔雀」などに出演していた。このような経緯もあり「大蔵貢の愛人」と言われていた。高島は新東宝スターレットの1期生で(同期に天知茂など)、専らコメディ路線の作品に出ており、あまり前述の三人とは共演していない(と思う)。近年は鬱病になり、テレビからは遠ざかっているようだ。この作品には御木本伸介、細川俊夫、伊達正三郎(当時は舘正三郎)、そして古川ロッパ(当時は禄波)なども登場するオールスターキャスト的な作品であった。さて高倉みゆきだが、大蔵との仲がおかしくなると主演予定だった作品を降板させられ、60年には新東宝を離れていくことになる。大蔵の「女優を妾にしたのではない。妾を女優にしたのだ」という発言は有名だが、実際は愛人というような関係ではなかったという説もある。新東宝は翌61年に倒産するのだが、高倉はその後も女優活動は続けていた。ある意味強い人である。

暴力の王者

ちょっとネタが尽きたので、たまたま見た新東宝映画を取り上げる。宇津井健主演の「暴力の王者」(56年)である。この作品は宇津井の他に中山昭二、丹波哲郎がメイン。この三人が揃っている作品はあまりないのではないだろうか、と思って探してみると意外とあったりする。この半年後に公開された「波止場の王者」などでも三人が揃って出演していた。たまたま自分が見たことなかっただけであった。

さて本作だが、宇津井と中山は元ヤクザという設定だが、とても似合わない。しかもどう見ても年上な中山が宇津井を「兄貴」と呼ぶのは非常に違和感がある(実際は当時宇津井25歳、中山28歳)。やはり我々世代にとっては、宇津井は「ザ・ガードマン」の高倉キャップであり、中山は「ウルトラセブン」のキリヤマ隊長なのだ。この二人と対決するのが丹波哲郎だが、この人も我が世代には土曜9時の正義の人なのだが、悪役でもさほど違和感を感じない。まあ新東宝時代の丹波はこういった役柄がほとんどであった。女優陣は久保菜穂子、江畑絢子、水帆順子といった面々だが、久保以外はよく知らない。久保菜穂子は美人かもしれないが、あまり男ウケするタイプではないように思う。

まあどうしても感じてしまう違和感を大いに楽しむ作品であるといえよう。

二人の刑事

二人組が主役の刑事ドラマといえば「あぶない刑事」(舘ひろし・柴田恭兵)、「二人の事件簿」(篠田三郎・高岡健二)、「俺たちの勲章」(松田優作・中村雅俊)といったように、ほぼ同世代のはみだし刑事といったものが多いが、前項で名前を挙げた「二人の刑事」(70年)は当時53歳の芦田伸介と28歳の中尾彬という年の差25歳というコンビが主役である。見た目どおり、大ベテラン刑事と新米刑事という組み合わせだ。そのタイトルと芦田伸介主演ということからして、「七人の刑事」を意識しているように見えるが、まさにその通りで、「七人の刑事」終了から丁度1年後に脚本早坂暁、演出山田和也という「七人」のスタッフで制作されている。そのキャッチフレーズも「七人の刑事を凌ぐ心理描写」というものであった。しかし、七人から二人というパワーダウンのせいかどうかは知らんが、わずか16回で幕を閉じている。放送期間は半年だったので、水曜8時という時間帯からしてナイター中継などによる休止も多かったようだ。他の出演者は役柄は不明だが加藤武、仲谷昇、田村正和らが出ていたようである。ゲストは第1話が小川真由美、以降江原真二郎、御木本伸介、中山仁、南原宏治、そして最終回は川地民夫といった具合だったようだ。おそらく一度も見たことがないが、子供の頃その番組宣伝は見たような気がする。まあ一度見てみたいドラマの1つである。