お宝映画・番組私的見聞録 -228ページ目

黒いパトカー

続けて高松英郎が出演していたドラマからのネタだが、「黒いパトカー」(61年)というドラマが存在する。当然見たことはないし、資料もないのだが、タイトルどおり刑事物で、警視庁の特務刑事の活躍を描いた物語らしい。主演は高松の他は友田輝、伊東光一、深川きよみとなっている。友田輝は聞きなれない名前だと思うが、「隠密剣士」で敵忍者の頭目役で出ていたのを見たことがあるくらいだ。そこで友田輝について調べてみると、59年に大映からデビューし、60年には「拳銃の掟」で主演に抜擢されている。その時の敵役は根上淳や高松英郎である。同年の「犯罪6号地」でも刑事役で高松と共演、しかし翌61年からは脇役にまわっており、62年には大映京都に行っていた時期があるようで、その時に「隠密剣士」にも出演したのかもしれない。ちなみに「黒いパトカー」の監督は「隠密剣士」でも監督を務めた船床定男である。この62年に大映を退社して、そのまま姿を消してしまったようだ。つまり約3年のみ活躍した役者なのである。そのため成年月日や出身地などが不明らしいが、俳優座で山崎努や山本耕一の同期だったらしいので、そのへんの年齢(35年、36年生まれ)だったと思われる。しかし、主役まで務めた役者がこれほど、あっさり消えるとは彼の身に何が起こったのであろうか。

虎の子作戦(テレビ版)・ミスターシャネル

高松英郎の出演した60年代初期のテレビドラマに、「虎の子作戦」(63年)というのがあった。これは以前ここで取り上げた映画のテレビ版である。というより、このドラマが好評だったので映画化されたとうのが正しいのかも知れない。これは五人の潜入捜査官のお話だが、映画版のキャストをおさらいすると、宍戸錠、小高雄二、山田吾一、垂水悟郎、桂小金治だったが、テレビ版の方は高松英郎、天知茂、若原雅夫、そしておそらく遠藤太津朗、河上一夫という面々だと思われる。と思われると書いたのは、このテレビ版についての資料が皆無だからである。テレビドラマデータベースに並んでいる出演者の名前をレギュラーだと勝手に判断したので、当然違うかもしれない。若原雅夫は戦前から新興キネマなどで活躍していたベテラン、遠藤太津朗は「銭型平次」の万七役がお馴染み、河上一夫は詳しくはわからないが「仮面の忍者赤影」でゲスト出演していたのを見たことがある。

当然、誰がどの役に対応しているのかもわからないのだが、天知茂は映画で小高雄二が演じたシャネルを演じていたことだけは判明している。天知のこの役は好評だったようで、このドラマの続編ともいえる「ミスターシャネル」(65年)という番組が作られたほどである。出演は天知茂、若原雅夫に加えて、二本柳寛、人見きよし、富士真奈美、水島道太郎、そして新東宝時代よく共演していた三原葉子などが出ていたようだ。個人的にはどちらも全く初耳の番組であった。

黒の試走車

植木等が亡くなった。ネット上の書き込みなどを見るとこれでクレージーキャッツで存命なのは谷啓だけ?などというのが結構見られたが、実際は谷啓(75歳)の他にも、犬塚弘(78歳)、桜井センリ(83歳)も存命である。今、世間では夏川純の年齢サバよみが話題になっているが、植木等も当初は1歳だけ若く発表していた。しかし、桜井センリは6歳、ドリフターズの荒井注、高木ブーも6歳サバよんでいたのだから、3歳くらいなら可愛いものである。 で、今回はクレージーの話題かというと、そういうわけではない(他にもやる人が多いだろうし)。

ここ一月の間に有名俳優が次々と亡くなっている。鈴木ヒロミツ、高松英郎、船越英二といった面々だ。高松と船越は同じ大映現代劇部門の出身である。船越は大映ニューフェースの2期生、高松は5期生である。しかし、この二人の共演というのは意外と少ない。詳しく調べてはいないが、パッと出てくるのが「黒の試走車」(62年)くらいである。原作は梶山季之の小説で、実際に読んだことはないが、タイトルだけなら小学生の頃から知っていたと記憶している。自動車メーカーを舞台にした産業スパイ物だが、主演は田宮二郎で、スパイを調査する役で、その上司役が高松英郎、情報を流したつまりスパイが船越英二と、さすがにみんな重要な役どころである。しかし大映のスターといえば、市川雷蔵、勝新太郎、根上淳、菅原謙次、川口浩そしてここに挙げた田宮、船越、高松とみんな故人となってしまった。とりあえず合掌。

高校さすらい派

もう一つモリケン映画を、ということで今回は「高校さすらい派」(70年)である。やはり森田健作といえばガクランのイメージが強いが、今まで紹介した映画では不思議とガクラン姿はなかった。まあ20歳は過ぎていたので当然といえば当然だが、この作品ではお馴染みともいえる高校生の役だ。で彼の同級生を演じるのが当時27歳の山本紀彦、当時24歳の武原英子である。まあ全員若く見えるタイプではあるが、武原英子などはこの翌年には以前取り上げた「クラスメート」では教師を演じているのだ。まあ以前から書いている通り、この時代は20代後半の高校生など(もちろん役者の実年齢の話)珍しくはなかったのである。この作品で武原は血友病という設定がある。「加山雄三のブラックジャック」では、血友病を扱った回が欠番扱いになっているようだが、表現方法によっては封印されてしまうこともある設定なのだ。ビデオ化もされているようなので、その点は大丈夫なのだろう。他の出演者は吉沢京子、佐藤友美、神田隆、そして内田朝雄、佐野浅夫のアサオコンビはこの高校の校長、教頭を演じている。

この映画の原作は滝沢解、芳谷圭児による漫画で、もちろん見たことはないが少年サンデーに連載されていたらしい。芳谷といえば「高校生無頼控」とか「ぶれいボーイ」とか「カニバケツ」とか青年誌マンガのイメージが強いが、「ワル」とか「男組」とかの路線であろうか、まあ少年誌に青年向けの作品が載っていても珍しくは無かった。単行本を調べてみると「高校さすらい派・フジオプロ作品集」となっている。芳谷はフジオプロの出身だったのだろうか。いずれにしろレアな物であることは間違いない。

夕陽が呼んだ男

森田健作の「夕陽」シリーズ(勝手に命名)は、もう一作品ある。それが「夕陽が呼んだ男」(70年)である。タイトルだけ聞くと、石原裕次郎か小林旭が登場する日活映画っぽいが、地味な松竹映画である。森田はここでも、自動車工場で働く快活な青年という役柄だが、実は財閥一家と血縁関係にあるという大映ドラマっぽい設定があったりする。で、そこの兄弟の兄のほう(竹脇無我)は、森田にも優しく接してくれるのだが、ドラ息子な弟のほうは森田と対立する。その弟を演じるのが藤岡弘なのである。青春ドラマによくある主人公を敵視し、貶めようとする存在だ。森田健作はデビューから今に至るまで、ずっと正義の人のイメージだが、藤岡弘もアウトロー的なところはあっても結局は正義の人であるイメージだと思う。しかし、やはりそれは「仮面ライダー」以降のことであって、それ以前、つまり松竹時代の藤岡弘はこういったいわば悪役を演じることもあったのである。恋人役は「夕陽の恋人」と同様に尾崎奈々で、他の出演者は藤岡琢也、左とん平、水戸光子、そして辰巳柳太郎などである。嫌な藤岡弘が見れる、ある意味貴重な作品なのである。

夕陽に向かう・夕陽の恋人

さて、黛ジュンの相手役としてデビューした森田健作だが、やはりテレビの「おれは男だ!」(71年)で人気者になったイメージが強いのだが、既に69年、70年と数本の映画で主演を務めているのである。その中の2本が「夕陽に向かう」「夕陽の恋人」(69年)である。青春ドラマといえば、夕陽に向かって「バカヤロー」と叫ぶイメージがあると思うが、やはりそのイメージは森田健作から来ているものと思われる。これらの映画のタイトルを見ても、まさにそういったシーンを予想させる。森田健作=夕陽の男という感じで、売出しているのだ。どちらの映画も主人公森田は工場で労働にいそしむ青年だが、ある日恋人となる女性と知り合うというパターンは一緒である。「夕陽に向かう」の恋人役は珠めぐみで、彼女は何だかんだあって、鳥取砂丘で自殺を図ろうするのだが、寸でのところで森田が救う。二人のバックには大きな夕陽が沈んでいくというラスト。「夕陽の恋人」の恋人役は尾崎奈々で、こちらは事故に遭い、病院のベットで森田に見守られながら息を引き取る。屋上に駆け上がった森田は夕陽に向かって慟哭するというラスト。「バカヤロー」と叫んだのかどうかは不明だが、70年代青春ドラマの原点がここには見えるような気がする。他の出演者だが、「夕陽に向かう」の方は、田中邦衛、河内桃子、小松方正、太田博之、根岸一正などで、「夕陽の恋人」は、岡田英次、久保菜穂子、森次浩司(森田の兄役)、そして黛ジュンが本人役で登場するようだ。

天使の誘惑

前項で話題に出したので「天使の誘惑」(68年)についても触れておこうと思う。前項でも書いたとおり「天使の誘惑」と言えば黛ジュンの大ヒット曲だ。調べてみると、黛ジュンは68年から69年にかけて10本くらいの映画に出演しており、当時の人気が伺われる。しかし主演はこの「天使の誘惑」と「夕月」の2本だけのようで、後は当時の映画には付き物という感じの夜の酒場で唄う歌手のようなプロモーション的出演が多いようである。当時の黛ジュンは男子のように髪が短く、それだけでも私の範疇からはずれており(要するにロングヘアー好きなのだ)、あまり興味の湧かない存在であった気がする(歌は好きだったが)。さて本編だが、あらすじを読んだ限りでは(毎度のことなから未見である)、これは黛ジュン扮するヒロインが次々と男と出会い、次々と別れていくという、大ざっぱに言えばそういう映画である。勿論、彼女が色情狂のように描かれているわけではない。偶然出会い、好意を抱くけれども結ばれるには至らないというパターンを繰り返すのである。まずは石坂浩二、そして石立鉄男、次いで田中邦衛と次第に二枚目度はダウンしていき、最後は芦野宏。芦野宏って誰だ?と思い調べると、どうやらシャンソン歌手の芦野宏だと思われる。55年から64年にかけて10年連続で、紅白歌合戦に出場するという結構な経歴を持つ人で、当時は40歳であった。ちなみに映画出演は、これ1本だけのようである。まあ出会っているだけで、当然肉体関係まで行ったりしていないようだが、短期間にこれだけ出会いがあれば、たいしたものである。

夕月

中山千夏からたどって行くと「天使の誘惑」「夕月」という2本の映画にたどり着いた。これは2本とも当時の人気歌手である黛ジュンの主演映画であり、中山は両方ともその友人という役柄のようである。黛ジュンが演技しているところなど映画、テレビ含めて見た記憶はないが、当時は人気物とあらば映画に出演することはよくあった。「天使の誘惑」は同名の大ヒット曲があるので、すくに黛ジュン関係の映画だと見当がつくが、「夕月」(69年)はその地味なタイトルを聞いただけでは想像もつきにくい。鶴が恩返しするような映画かななどと思ってしまう(それは夕鶴)。簡単に言えば純愛映画で、黛ジュンの相手役として一般公募のオーディションで選出されたのが鈴木栄治こと森田健作である。森田健作というのはこの映画での役名であり、それをそのまま芸名にしたのか、先に芸名を決めてから、それを役名にしたのかは不明だが、いずれにしろこの地味なタイトルの映画から森田健作は誕生したのである。他の出演者は田中邦衛、山口崇、佐藤友美、小沢栄太郎などである。

クレオパトラ

中山千夏は人気だった当時でも、映画においては主演というのはなかったようである。しかし声優としてなら何本かある。映画化された「ひょっこりひょうたん島」に「じゃりん子チエ」、そして「クレオパトラ」(70年)である。これは手塚治虫が監督(山本瑛一と共同)を務めたアニメーション映画だが、大人向けのエロティックな作品であり、まともに見た記憶はない。キャラクターデザインも手塚ではなく「仙人部落」や「ヒゲとボイン」で有名な漫画家・小島功が担当している。手塚キャラより色っぽいとの判断かもしれないが微妙なところである。主題歌は由紀さおり、挿入歌「ゲリラの歌」は小室等率いる六文銭が担当している。声の出演は、クレオパトラは前述の通り中山千夏で、シーザーがハナ肇、アントニウスがなべおさみ、他にも吉村実子、塚本信夫、柳家つばめなど本職の声優といえる人は野沢那智くらいであろうか。おまけに「連想ゲーム」の男性キャプテンだった漫画家・加藤芳郎や、「ハレンチ学園」の予告に登場する教育評論家・カバゴンこと阿部進も出演している。この二人のキャラは本人に似せてあり、阿部進の役名はカバゴニスという。今ならR15指定くらい受けるのであろうか。俗に言う「萌え」絵ではないので、そういうのが好きな人には受けないと思われる。

現代っ子

個人的にはほとんど見たことはないのだが、中山千夏は元々は子役として活躍していた。その子役時代のヒット作の一つに「現代っ子」(63年)がある。原作はあの倉本聡でもちろん脚本も担当しており、テレビドラマとして1年続いたが、同年に映画化もされている。主役は三人の兄妹で、鈴木やすし、市川好郎、そして中山千夏が演じている。中山は当時15歳で、市川も同じ15歳。吉永小百合主演の名作「キューポラのある街」などの名演技で有名な子役であった。しかし名子役大成せずの言葉通り伸び悩んだ。というよりこの人の場合、成長するに従いどんどん凶悪犯顔になっていたという感じだ。実際、自分は市川好郎は悪役(殺人犯とかチンピラ)でしか見たことがなく、名子役だったことを後で知り驚いたものである。市川は93年に45歳の若さで亡くなっているが、蔵忠芳(アっちゃん)、金子光伸(ジャイアントロボ)、飯塚仁樹(バロム1)など名子役といわれた人達は軒並み若くして亡くなっている。さて、鈴木やすしも実は子役からスタートしている。53年日本テレビの開局番組である「背番号16」で川上哲治の少年時代を演じたのが鈴木である。成長してからはやはり「不良番長」シリーズなどの出演が印象に深いが、60年代は歌手や司会としての活躍が目立っていた。鈴木と中山は大成した子役といえるだろう。

ちなみに映画版の他の出演者は松原智恵子、桂小金治、小沢栄太郎、安川実(ミッキー安川)などで、水の江滝子、渥美清がノンクレジットで出ているらしい。鈴木やすしは高校生の頃、渥美の付き人をしていたことがあるという。