天使の誘惑 | お宝映画・番組私的見聞録

天使の誘惑

前項で話題に出したので「天使の誘惑」(68年)についても触れておこうと思う。前項でも書いたとおり「天使の誘惑」と言えば黛ジュンの大ヒット曲だ。調べてみると、黛ジュンは68年から69年にかけて10本くらいの映画に出演しており、当時の人気が伺われる。しかし主演はこの「天使の誘惑」と「夕月」の2本だけのようで、後は当時の映画には付き物という感じの夜の酒場で唄う歌手のようなプロモーション的出演が多いようである。当時の黛ジュンは男子のように髪が短く、それだけでも私の範疇からはずれており(要するにロングヘアー好きなのだ)、あまり興味の湧かない存在であった気がする(歌は好きだったが)。さて本編だが、あらすじを読んだ限りでは(毎度のことなから未見である)、これは黛ジュン扮するヒロインが次々と男と出会い、次々と別れていくという、大ざっぱに言えばそういう映画である。勿論、彼女が色情狂のように描かれているわけではない。偶然出会い、好意を抱くけれども結ばれるには至らないというパターンを繰り返すのである。まずは石坂浩二、そして石立鉄男、次いで田中邦衛と次第に二枚目度はダウンしていき、最後は芦野宏。芦野宏って誰だ?と思い調べると、どうやらシャンソン歌手の芦野宏だと思われる。55年から64年にかけて10年連続で、紅白歌合戦に出場するという結構な経歴を持つ人で、当時は40歳であった。ちなみに映画出演は、これ1本だけのようである。まあ出会っているだけで、当然肉体関係まで行ったりしていないようだが、短期間にこれだけ出会いがあれば、たいしたものである。