現代っ子
個人的にはほとんど見たことはないのだが、中山千夏は元々は子役として活躍していた。その子役時代のヒット作の一つに「現代っ子」(63年)がある。原作はあの倉本聡でもちろん脚本も担当しており、テレビドラマとして1年続いたが、同年に映画化もされている。主役は三人の兄妹で、鈴木やすし、市川好郎、そして中山千夏が演じている。中山は当時15歳で、市川も同じ15歳。吉永小百合主演の名作「キューポラのある街」などの名演技で有名な子役であった。しかし名子役大成せずの言葉通り伸び悩んだ。というよりこの人の場合、成長するに従いどんどん凶悪犯顔になっていたという感じだ。実際、自分は市川好郎は悪役(殺人犯とかチンピラ)でしか見たことがなく、名子役だったことを後で知り驚いたものである。市川は93年に45歳の若さで亡くなっているが、蔵忠芳(アっちゃん)、金子光伸(ジャイアントロボ)、飯塚仁樹(バロム1)など名子役といわれた人達は軒並み若くして亡くなっている。さて、鈴木やすしも実は子役からスタートしている。53年日本テレビの開局番組である「背番号16」で川上哲治の少年時代を演じたのが鈴木である。成長してからはやはり「不良番長」シリーズなどの出演が印象に深いが、60年代は歌手や司会としての活躍が目立っていた。鈴木と中山は大成した子役といえるだろう。
ちなみに映画版の他の出演者は松原智恵子、桂小金治、小沢栄太郎、安川実(ミッキー安川)などで、水の江滝子、渥美清がノンクレジットで出ているらしい。鈴木やすしは高校生の頃、渥美の付き人をしていたことがあるという。