お宝映画・番組私的見聞録 -226ページ目

水戸黄門(ブラザー劇場版)

水戸黄門といえば、日本人なら誰でも知っている国民的番組だが、それは69年にスタートしたナショナル劇場のことであろう。しかし、その5年前64年ブラザー劇場枠において「水戸黄門」のテレビシリーズが放映されていたのをご存知だろうか。ブラザー劇場といえば「コメットさん」とか「刑事くん」とかを放映した枠である。しかも黄門役は月形龍之介。映画版での月形黄門は知っていたが、テレビ版があったことは正直知らなかった。この前番組である「白馬の剣士」の白馬が急死したため、急遽たてられた企画らしい。で黄門役は映画版そのままに月形を持ってきたようだ。格さん役は石浜朗。高校生の時「少年期」という映画で主演デビューし、専ら松竹映画で活躍していた役者だ。助さんは関真太郎。この人についてはこれ以外の出演経歴が見当たらない。名前を変えたのかもしれないが、この一作のみで消えた役者かもしれない。他のレギュラーは何の役かは不明だが遠藤太津朗(当時は辰雄)、清川虹子など。ゲストも豪華で第1話には坂本九、木村功。他に藤田まこと、トニー谷、先日亡くなった横山ノックのいた漫画トリオ、番組主題歌を歌っている三波春夫、最近このブログでも話題にしている水島道太郎、近衛十四郎といった面々である。ちなみに月形はこの頃リウマチに悩まされており、立ち回りは息子の俳優・月形哲之介が吹き替えで演じていたという。よく似た親子であり、黄門メイクでアップにしなければ不自然ではなかったであろう。このドラマは東伸テレビ映画というところが制作していたのだが、50話の時点で倒産してしまう。打ち切りでもおかしくないところだが、TBSは松竹テレビ室に残りの製作を依頼し、何とか最終の61話まで撮り終えることができたという。月形黄門といえばやはり映画のイメージが強いし、今も続く水戸黄門があまりにも有名になり過ぎたことで、こちらの黄門は忘れられた番組になってしまったようである。

ハローCQ

東京12チャンネル(現テレビ東京)は64年に開局したのたが、この局は元々日本科学振興財団の番組制作を目的として開局したおカタイ局だったのである。 まあテレビ朝日も元はNET(日本教育テレビ)だったりと、現在の民放はカタい目的で開局しているところが多い。で開局まもない12chが岩波映画に依頼して制作されたドラマが「ハローCQ」(64年)である。タイトルから想像つくと思うがアマチュア無線のお話だ。携帯電話やインターネットの普及で利用人口は減る一方であろうが、現在でも立派に存在している。監督は羽仁進、メインライターが何故か「アンパンマン」で有名なやなせたかしである。もちろんマンガではなく脚本を書いているらしい。やなせはテーマソングの作詞も担当し、ブレイク前のいしだあゆみが歌っている。後に有名になる向田邦子や岩間芳樹も1話ではあるが担当している。主役の少年には前項で登場した伊藤敏孝、他には柳家小せん、瀬能礼子、今や名演出家である蜷川幸雄、そして荒木一郎などが出演している。荒木一郎といえば、どうも「893愚連隊」などのチンピラっぽいイメージが強いのだが、羽仁進作品では音楽を担当したりもしている。ゲストでは島かおりや子役時代の風間杜夫(当時・住田知仁)が出演している。こう書いてみると、後に有名となる人が実に多くかかわっている作品であることがわかる。しかし開局したばかりの科学専門局の番組ということもあり、あまり話題になることもなかったようだ。まあ知っている人自体貴重かもしれない。

おれの太陽

もう一つ伊達正三郎からたどっていき、みつけたドラマが「おれの太陽」(67年)である。これだけだとどんなドラマか想像がつかないと思うが、第7話よりタイトルが変更になり「おれの太陽・涙の栄冠馬」となったらしい。馬の一文字で見当がついたと思うが、これは馬好きの少年が競走馬を育てる物語なのである。結論からいえば有馬記念を勝つらしい。このタイトルからだと「オレノタイヨウ」という馬名なのかと思ってしまう。「オレハマッテルゼ」とか「ゲンキナシャチョウ」なんて馬がいるこのご時世なら不思議はないが、この時代だと四文字くらいの馬名が多かったかもしれない。ということは「タイヨウ」という馬名かも。そんなことはどうでもよい。テレビドラマデータベースの出演者欄から、この主人公の少年を演じるのが竹内泉という人だと思われる。しかし次に伊藤敏孝の名がある。伊藤敏孝は映画「はだかっ子」の主演など名子役としてならした役者で、当時まだ17歳くらいだったので彼が主役である可能性もある。まあドラマ的には小中学生くらいが主役のほうが面白いかもしれない。ちなみに伊藤はこの前、都知事選で落選した桜金造に似ている。他の出演者は伊沢一郎、舟橋元、木村幌、そして伊達正三郎などである。

ちなみに私は競馬好きだが、競馬関係のドラマや映画はそれほど見たいと思ったことはない。やはり本物のレースが一番のドラマだからである。なんてね。

東京秘密情報

伊達正三郎からたどっていき、面白そうな番組を見つけた。その名も「東京秘密情報」(62年)である。もちろん東京の穴場スポットを紹介するような情報番組ではない。外国人犯罪の調査,など、日本の社会を守るため活動する入国警備官の活躍を描いた話である。現代、外国人犯罪は増加傾向にあるようだが、40年以上前にこういった番組が存在していたのに驚いた。

主演は水島道太郎、当時丁度50歳であった。他は前述の伊達正三郎、真弓田一夫、久富惟晴というところがメンバーらしい。水島道太郎といえば渋くダンディなオヤジのイメージがあるが、その経歴は波乱に満ちている。戦前は松竹の大部屋に始まり、エノケン一座など軽演劇を経て、大都映画、日活多摩川、大映へと渡り歩く。戦後は50年代後半に日活専属だった以外は、新東宝、東宝、松竹、東映、大映とすべての映画に出演している。一つの所に留まるのが嫌いなのであろうか。真弓田一夫はその名は見たことがあったが、その顔も年取ってるのか若いのかさえも知らなかった。調べてみると大正生まれということでベテランであることが判明した。「恐怖のミイラ」での助手役や「怪奇大作戦」では冷凍人間を演じたりしているらしい。久富惟晴も時代劇でも現代劇でもインテリな悪役というイメージくらいしかない。こちらも調べてみるとNHK俳優養成所の1期生ということである。NHKの養成所といのも初耳である。ということでデビューから数本はNHKオンリーで活動しており、このドラマは民放にも出始めた頃の作品である。アラン・ドロンの吹き替えといえば野沢那智のイメージが強いが、久富も何本か担当している。

今回はほとんど話題にしたことがない人ばかりで面倒、いや勉強になった。

アタック拳

最近時代劇が続いていたので、この辺で変えたいと思う。で、何の脈絡もないのだが、ふと思い出したのが「アタック拳」(66年)である。原作は「巨人の星」「いなかっぺ大将」で有名な川崎のぼるのマンガである。簡単にいえば二人の諜報部員の活躍を描く少年向けのアクションドラマである。主人公はZ10号、コードネーム「アタック拳」こと安宅拳太郎、普段は移動レストラン「アタック軒」を開いている。とまあしつこいくらいにアタックケンなのである。相棒がZ23号、コードネーム「ブラックフェニックス」こと戸川隆吉、普段はガソリンスタンドを営んでいる。で安宅を演じるのが高島英志郎、戸川が伊達正三郎である。高島は主に60年代に活躍した役者で、東映ニューフェースの5期生である。同期が梅宮辰夫、「特別機動捜査隊」の滝川潤に小嶋一郎、「プレイガール」の八代真智子、応蘭芳などがいる。デビュー時は高島新太郎の名で「雪麿一本刀」や「風雲黒潮丸」では主役を演じている。後に高島英志郎に改名し、さらに高島弘行に改名している。未確認だがその後弘行新太郎に改名したらしい。伊達正三郎は以前にも書いたが新東宝の出身で、「ジャイアントロボ」の東支部長役が有名である。大映の時代劇などに登場する悪役俳優の伊達三郎とややこしいが特に関係はないようだ。この二人に共通するのが「特別機動捜査隊」である。二人とも特捜隊の刑事として出演している。特に伊達は笠原刑事役で6班中の5班に登場する唯一の刑事として一部では知られる。他の出演者は新井茂子、江見俊太郎、鮎川浩、市村俊幸といったところである。OPを思いっきり子供(おそらく小学校低学年)が歌っているので、かなり低年齢向けの番組かと思ってしまうが、そこまで低年齢向けではないと思う。

お耳役秘帳

もう一つだけ伊吹吾郎の主演作を取り上げる。それが「お耳役秘帳」(76年)なのだが、私が調べた限りでは、伊吹が主役の作品は今のところこれが最後となっている。以降はみなさんご存知の「水戸黄門」の格さんとか「必殺仕事人」の畷左門とか準主役のポジションが定位置という感じになっている。で「お耳役秘帳」だが、これは本放送当時リアルタイムで見ている個人的にはお気に入り時代劇の一つであった。伊吹のキャラは無用ノ介が隻眼ではなくなり、浪人かられきっとした藩のお目付け役になったこと以外変わりない。一見クールな顔立ちだが、気さくでいい奴なのはお耳役でも一緒である。この番組を気に入っていたのは、おそらく「必殺テイスト」を感じていたからだと思う。オープニングからして芥川隆行のナレーションで始まり、エンディングは伊吹自らが唄う。一人で数十人斬り捨てるような回もあるが、基本的には斬る人数は少ない。特に初期は必殺っぽい音楽にのって伊吹が殺陣を繰り広げたこともあり、余計にそう感じたのかも知れない。しかしその曲は必殺との差別化を図るためかどうか知らんが直ぐに使用されなくなってしまう(ある本によると使用回数は5回だそうだ)。印象に残っているのは「くの一けもの宿」という回だったと思うが、伊吹扮する十三郎が五人の忍び(草野大悟、原口剛、二本柳俊衣、大前均、大関優子)と戦って一人づつ倒していく話だ。この中で小娘だが、位の高いくの一を演じたのが大関優子。ピンとくる人は少ないかもしれないが後に佳那晃子と名を変え有名になった女優である。子供心に奇麗な人だと思ったものである。あとサブタイはわからないが、瀕死の重傷を負いながらも三人の悪党(沼田曜一、小田部通麿、鶴田忍)を刀ではなくドスで倒す回も面白かった。レギュラー陣は十三郎の上司に有島一郎、親友の同心に御木本伸介、取り巻き連中に高沢順子、砂塚英夫、八木孝子などである。このドラマ91年に永島敏行主演でリメイクされているが、そっちは見ようとも思わなかった。別に永島が嫌いだというわけではなく、80年代以降のテレビ時代劇はつまらんからである。

北斗の人

伊吹吾郎といえば、まあ「無用ノ介」で有名になったこともあろうが、やはり時代劇の人というイメージがある。実際時代劇がほとんどなのだが、「無用ノ介」以外にも主演の番組がある。その一つが「北斗の人」(74年)である。タイトルを見るとどうしても「北斗の拳」を思い出してしまうが、あながち無関係ではない。この話は簡単にいえば、千葉周作の若い頃を描いたものである。千葉周作といえば北辰一刀流。北辰とは北斗七星のこと、ゆえに「北斗の人」なのである。原作は司馬遼太郎の小説だが、タイトルは「北斗の剣」でも成り立つ気がする。もしこちらが「北斗の剣」というタイトルだったら、堂々と「北斗の拳」というタイトルをつけられたかどうか。そんなことはどうでも良いのだが、その千葉周作役が伊吹吾郎で、でその父親役が小沢栄太郎、他に宇野重吉、田島令子、剣客として登場するのが岡田英次、池部良、井上昭文、汐路章という妙に渋いメンバーで固められている。1クールの番組だったこともあり、個人的には見たことがない。というより時代劇好きの小学生だった自分だが、その存在すら知らなかった番組だったりするのだ。おそらく再放送もほとんどされていないと思われる。もし今後CSなどで放送されることがあれば、「北斗の拳」好きがうっかりチャンネルをあわせてしまうかもしれない。

無用ノ介

今回は前項で話題に出た「無用ノ介」(69年)について取り上げる。個人的には好きな番組で、今まで取り上げなかったのが不思議なくらいである(単に忘れていた)。劇画の実写化というのはたいていの場合不評だが、この番組は好評な方だったのではないだろうか。なにしろレギュラーは無用ノ介だけなので、彼にピッタリする役者さえ選べば成功したようなものだったのだ。で、一万数千人の中から選ばれたのが新人俳優だった伊吹吾郎である。伊吹はこれがデビューのように言われるがそうではない。もちろん初の主演ではあるが、これ以前に2本ほどドラマに出演しているようだ。主役が新人である分、ゲストは豪華であった。第1話では山形勲、南原宏治。第2話は伊丹十三、大辻伺郎、吉沢京子。ちなみに吉沢京子は伊丹に斬られてしまう。第3話は「ジャイアントロボ」の大作少年・金子光伸。彼も死んでしまう役だ。無用ノ介は賞金稼ぎだが、賞金首でない相手ともよく対決した。5話での岡田英次、6話での中村梅之助、8話での大友柳太朗、16話での山本学といった面々との対決は見物である。この中では、やはり中村梅之助がゲストで出演すること自体が珍しいと思う。その対決は夕方から始まり明け方まで睨み合い続けるというものである。後、15話では里見浩太朗が賞金首役で登場。ずっとスターなイメージのある里見だが、この辺の時代は彼的には不遇な頃でこういったゲスト出演も多かった。ちなみにこの回に無用ノ介と対決するのは「ウルトラマン」のイデ隊員こと二瓶正也であった。ところで女性ゲストだが、もちろんいないわけではないが、無用ノ介は女性とほとんど絡まないのである。「木枯し紋次郎」などは毎回のように女性が絡んでくるが、無用ノ介は色恋沙汰とは無縁である。 とまあ出来も良く、見どころも多いドラマなのだが、裏番組があの「花山大吉」だったり、ナイター中継で放映がつぶれることも多く、わずか19話で幕を閉じている。当時の敗因はやはり放映時間であろう。

花と狼

もう一つ若林豪ものだが、東映ヤクザ映画のテレビ版という感じだったのが「花と狼」(69年)である。OPのみ見たことがあるのだが、日本海の荒波(太平洋かもしれない)をバックに北島三郎の歌が流れるというというもの。着流し姿の丹波哲郎、若林豪、そして伊吹吾郎が登場する。任侠ドラマ以外の何者でもない。若林が68年デビューであることは先に書いたが、実は伊吹吾郎も68年のデビューである。男前で何となくキャラがかぶる二人だが、ともにデビュー二年目で共演していたのである。ちなみに伊吹は彼を一躍有名にした「無用ノ介」終了直後の出演である。前項で吾「郎」を吾「朗」に改名したことがある、というようなことを書いたがどうやら水戸黄門出演時のみ吾朗名義であるらしい。丹波と若林といえば後に「Gメン75」の顔となる二人だが、そのずっと以前に刑事物とは対極的なドラマで共演していたのである。他の出演者だがかつての日活スターである葉山良二、彼も「非情のライセンス」「特別機動捜査隊」など刑事物への出演が多くなる。そして新東宝ハンサムタワーの一人であった高宮敬二など当時はまだ東映色の薄いメンバーが多い。後、小林捻持、城野ゆきの「キャプテンウルトラ」コンビも出ている。

ちなみにこのドラマ26回の予定が12回で打ち切りとなっている。理由は放送局(フジテレビ)のカラーに合わなかったからだそうである。

さむらい飛脚

最近ここで話題にしている若林豪、そして品川隆二が共演しているのが「さむらい飛脚」(71年)である。タイトルどおり、機密文書など危険と秘密を伴うものを運ぶ私設飛脚の物語でメンバーはみな浪人である。リーダー役がベテラン大友柳太朗で、前述の若林豪、品川隆二に加えて、川口兄弟の次男坊である川口恒、そして紅一点の佐藤友美とういうメンバー構成である。この番組はあの「花山大吉」の後番組にあたり、品川はそのままスピンオフしたような形なのだが、焼津の半次から一転して忍びの達人という役柄、つまり「忍びの者」の時のような二枚目路線に戻っている。五年近く三枚目を演じていたのだから当時の視聴者はとまどったのではないだろうか。主演の大友柳太朗は新国劇出身、つまり若林の大先輩である。当時58歳と還暦間近で、近衛十四郎よりも年長である。戦前のスターで、柳太朗の名は新国劇での師匠である辰巳柳太郎からで、元々は師匠そのままの柳太「郎」を名乗っていた。しかし戦後は脇役に回ることが多くなり、師匠の名に恥ずかしいと「郎」を「朗」に変更している。このパターンの変更は里見浩太朗や伊吹吾郎もやっていたと思う。

さて番組の方は長く続いた素浪人の後ということもあり、大きな人気を得られずに3ヶ月で幕を閉じている。数年前CSで放送されたのを何度か見ているのだが、いまいち印象に残っていないのである。品川隆二など出ていたのを忘れていたくらいである。その辺がこの番組の敗因であろう。