お宝映画・番組私的見聞録 -225ページ目

クレージーの花嫁と七人の仲間

クレージーキャッツとしての初主演映画は、前項の「スーダラ節~」や「ニッポン無責任時代」と同じ62年の「クレージーの花嫁と七人の仲間」である。ただ「ニッポン無責任時代」の大ヒットで、本作は余程のクレージーファンでもない限り、知られていない映画となってしまっている。ちなみにこれは松竹の作品で、この62年は松竹、大映、そして東宝と各社から引っ張りだこだった様子が伺える。タイトルは「七人の仲間」となっているが、あらすじを見た限りでは(ちなみに未見です)、別に友達七人組というわけではなさそうである。中心となるのはやはりハナと植木だが、犬塚は悪役で、後はその他という感じである。ヒロインは高千穂ひづる、倍賞千恵子で、伴淳三郎などが出演している。ちなみに初の映画出演は58年の「裸の大将」になるらしい。放浪画家山下清を描いた有名な作品だが、清役は小林桂樹、クレージーのメンバーは新聞記者として出ているそうだ。桜井センリのクレージー加入は60年なので、他の六人での出演と思われる。

スーダラ節 わかちゃいるけどやめられねぇ

クレージーキャッツの映画といえば東宝というイメージがあるが、大ヒットした「ニッポン無責任時代」(62年)以前は、他の映画会社にも出演している。同じ62年に大映で出演したのが「スーダラ節 わかちゃいるけどやめられねぇ」と「サラリーマンどんと節 気楽な稼業ときたもんだ」である。ご存知クレージーの大ヒット曲がタイトルになっており、当然彼らが主役と思いきや、まったくの脇役出演であり、主演は大映スターである川崎敬三や川口浩が務めた。未見なのではっきしたことは不明だが「スーダラ節」ではハナは課長役だが、他のメンバーは特に役というものはなかったようである。これではいかんと思った渡辺プロ社長の渡辺晋が主演として使ってもらえないか交渉したところ、東宝で「ニッポン無責任時代」が実現しだ大ヒットしたという運びである。

「スーダラ節」や「どんと節」はサラリーマンの悲哀物として描かれており、他の出演者は大辻司郎、中条静夫、目黒幸子、弓恵子などである。まあ大映に喜劇というイメージがなく、クレージーの存在はやはりミスマッチだったといえよう。まあ約10年後の大映テレビ製作の「二人の事件簿」にクレージー全員(植木はレギュラー)が出演したことはあったけれども。

大冒険

植木等が亡くなってちょっと経ったところで、「大冒険」(65年)である。クレージーキャッツの映画といえば「クレージーの」とか「無責任」とか「日本一の」とかそれとわかるキーワードがタイトルに含まれているが、この映画は「大冒険」の漢字三文字のみである。何故かといえば、この作品は「クレージーキャッツ結成10周年記念作品」の肩書きがついているからであろう。映画ではこの肩書きの後にタイトルが出るのでクドいから省略したのであろうと勝手に考えている。内容は記念作品というにふさわしく東宝の得意分野である喜劇と特撮を融合させた娯楽映画となっている。主役はやはり植木等。とにかくこの映画での植木は超スーパーマンである。次から次へとアクションを披露する。まあ当然吹き替えも多いだろうが、実際バイクで転倒するシーンは小松政夫が演じているらしい。植木と谷啓、そしてその妹役の団令子が「国際偽札偽造団」の陰謀に巻き込まれるというもので、ハナ肇、犬塚弘、石橋エータローはそれを追う刑事という役柄で、桜井センリと安田伸はいつもどおりあまり物語にからまない。この作品では植木なら植松、谷なら谷井、とまあ他の映画でもそうだが、役名は自分の名前がアレンジされているのが通例だが、安田伸だけは石崎という何の繋がりもない役名なのである。あと、この映画には有名な役者はほとんど出ていない。前述の団令子、悪役で登場する越路吹雪以外は、チョイ役で登場する森繁久弥、ザ・ピーナッツくらいであろうか。しかし東宝映画ではお馴染みの顔ばかりであり、DVDの映像特典ではチョイ役までひとり一人紹介されている。

まあ喜劇映画ではあるが特撮やアクションも楽しめる一粒で三度おいしい感じの作品といえよう。

おゝい、雲!

突然だが「おゝい、雲」(65年)という映画をCSで見た。「おーい」ではなく「おゝい」であるのがポイントだ。それにしても「ゝ」は出すのが面倒くさい。それはさておき、キャストが結構豪華なのである。石坂浩二、太田博之、荒木一郎、高橋元太郎、杉浦直樹、市川好郎、千葉真一、女優陣も三田佳子、藤純子(冨司純子)、樫山文枝、本間千代子、宮園純子、加藤治子、でベテランも山形勲、東野英治郎と出演しているのだが、彼らの向こうを張って主役を演じるのが岡崎二朗である。岡崎が主演で、原作が石原慎太郎の青春映画となれば、日活の作品かと思ってしまうが、これは東映の作品である。まあよく見れば千葉、三田、藤、宮園といった東映の顔も結構いる。私は知らなかったのだが、岡崎二朗は元々東映でデビューした役者だったのである。で本作はデビュー2年目で初の主演作であった。この映画もそうだが、それほど有名な作品もなく、彼が日活に移籍するのは68年で、どうしても日活役者のイメージが強い。さて本作だが予備校生が主役ということで、当時26歳の千葉真一が主役を演じるわけにもいかない。しかし岡崎も22歳で、若く見えるタイプでもないのでまあ何浪もしているという感じである。石坂浩二はその友人という役で、当時は24歳。万年青年で年よりずっと若く見えるタイプの石坂だが、当時は年相応にしか見えないので、彼も5浪くらいしてそうに見えてしまう。もう一人友人役が市川好郎で、依然書いたが名子役として活躍していた彼だが、当時は17歳で声もまだ少年っぽい。しかし顔は少し凶悪犯っぽい感じが見えてきている。キャストは豪華だが、まあ普通の青春映画である。東映が日活を意識して制作した作品であろう。関係ないが東野英治郎、高橋元太郎、宮園純子と「水戸黄門」で長くレギュラーを務めることになるメンバーが顔を揃えている。内容はつまらなくてもこういった発見が面白いのである。


警察官

久々に最近見た新東宝映画について触れてみよう。タイトルはずばり「警察官」(57年)である。まあ主役は警察官なんだろうなあということぐらいしか想像できないタイトルだ。まあ新東宝でこの手の映画の主役といえばこの人、宇津井健である。しかし開始から20分くらい登場しない。新人警官でいきなり潜入捜査の任務につくという無茶なストーリーである。この映画何気にオールスターキャストである。中山昭二、丹波哲郎、天知茂、御木本伸介、江見俊太郎(当時は江見渉)、細川俊夫、龍崎一郎、そして池内淳子と当時はそれほどでもなかったかもしれないが、後にスターとなる面々が揃って出演している。で誰が正義役で誰が悪役かわかるだろうか。まあ丹波と天知は当然のように悪役である。後に二人とも刑事ドラマの顔になるとは当時は想像できなかったであろう。江見は以前取り上げたが、テレビでは「眠狂四郎」を演じたこともあるくらい二枚目だったのだが、この映画ではヤク中の役である。で中山、御木本は当然のように刑事、細川は捜査課長、龍崎はベテラン部長刑事、で池内は龍崎の娘という役柄である。龍崎は定年間近の爺さん刑事という感じに見えたが、実はまだ45歳で、細川俊夫(当時41歳)とさほど変わらなかったのである。以前取り上げた「暴力の王者」という映画では中山が死ぬが、この映画でも殉職するのは中山である。宇津井健はもちろん死なない。前にも書いたが、宇津井が死ぬ作品というのは見た記憶がない。ちなみにここにあげた役者で生存しているのは宇津井と池内淳子だけである。

レーサー

前項の「シャドウマン」が始まった翌週にスタートしている番組が「レーサー」(65年)である。これはタイトル通りレーサーを目指す二人の青年の物語らしい。その二人というのが鈴木やすしと長谷川明男で、二人とも当時24歳である。この二人のドライビングテクニックは不明だが、鈴木やすしは「ザ・ガードマン」の全編ラリー車のカーアクションが繰り広げられるエピソードにドライバー役でゲスト出演していた。A級ライセンスで有名な藤巻潤の向こうをはったテクニックを披露する役である。実際に運転していたかどうかは不明だが(アクションシーンは吹替えだろうが)運転は得意っぽい。他の出演者は和田浩治、斎藤チヤ子、三保敬太郎などである。和田浩治は石原裕次郎(もちろん若い頃の)に似ているという理由でスカウトされたことは知られているが、長谷川明男も裕次郎に似ているといわれていた。裕次郎が太ってしまい、似ているという評判は次第に消え、和田や長谷川のほうがハンサムに見えるようになったと思う。三保敬太郎といえば、「11PM」のテーマソングなど作曲家としてのイメージが強いが、俳優、レーシングドライバーとしての顔も持つ。50年代終盤から60年代は結構映画にも出演しているようだが、正直顔もよくわからなかったりする。もちろんレースにも出場し、現在でいえば近藤真彦みたいなものだろうか。69年に事故死したレーシングドライバーの福澤幸雄とは慶応幼稚舎からの付き合いだったという。ホワイトキックスという一曲のみで終わったGSに在籍したこともあり、寺尾聰もメンバーであった。ちなみに脚本はあの倉本聰が担当していた。

そういえば、福澤幸雄が事故死した時、「夜のヒットスタジオ」で恋人と言われていた小川知子が泣き出したというような事件もあったなあ。

 

シャドウマン

前項の「七人の暗殺者」で良い家老を演じていたのが水島道太郎で、内田勝正を仕留めたりしている。その水島から辿っていき、見つけた番組が「シャドウマン」(65年)である。さいとう・たかをの漫画に「ザ・シャドウマン」というのがあったと思うが、それとは関係なく原作は邦光史郎の小説のようで、脚本は池田一朗こと隆慶一郎が担当していた。簡単に言えばスパイの話である。わずか8回の番組なので知っている人もあまりいないであろうと思われるが、出演者などは結構豪華である。レギュラー、ゲストなど詳しいことは不明だが、丹波哲郎、弓恵子、高松英郎、若林映子、戸浦六宏、そして水島道太郎といった面々が出演していたようだ。みんななんとなくスパイっぽいメンバーである。ほぼ同時期には以前取り上げた「スパイキャッチャーJ3」もスタートしており、丹波はこちらにも出演している。この頃スパイものがはやっていたようだが、これはやはり「0011ナポレオン・ソロ」とか「スパイ」とか洋スパイ物の影響があったのかもしれない。ちなみに「スパイ大作戦」の放映は67年からである。

丹波哲郎と若林映子は翌66年に「007は二度死ぬ」に浜美枝と共に日本代表?として出演しており、この時期はスパイづいていたようである。

水戸黄門-七人の暗殺者-

水戸黄門を話題にしたついでに、現在も続くナショナル劇場版についても触れておこう。とは言っても日本国民なら誰もが知っている超メジャータイトルを今さらここで解説することもあるまい。こういった「めでたしめでたし」で終わる話は好きではないし、ここ二十年くらいは見てないし。初期の頃、まだ印籠を出したり出さなかったりの頃は面白いと思ったエピソードもある。シリーズ通して面白かったのは第3部(72年)である。現黄門の里見浩太郎が助さんで登場したのがこの3部だ。黄門一行を付け狙う柘植九郎太(成田三樹夫)と夜鴉の藤吉(中野誠也)の刺客コンビの登場がシリーズを面白くしていた。藤吉は格さんに左手を切り落とされるのだが、義手を装着して復活。しかもその義手は手裏剣が飛び出るというメカニックなものであった。この藤吉復活が伊賀を舞台にした「忍びの掟」という回で、正直詳しくは覚えていないのだが、ゲストに牧冬吉、天本英世、千葉敏郎、福本清三と時代劇お馴染みの面々が顔を揃えておりもう一度見てみたいエピソードではある。

個人的にもっとも好きなのが第4部19話(73年)の「七人の暗殺者」である。これはシリーズでもかなり異色の話だと思うが、村を占領した天草七兄弟を黄門一行が一人ずつ倒していくという必殺ばりのエピソードである。兄弟それぞれ武器が違うのもポイント。長兄の一郎太(内田勝正)が剣、次郎太(遠藤征慈)が短筒、三郎太(北九州男)が鎖鎌、四郎太(大城泰)が薙刀、五郎太(滝譲二)が弓矢、六郎太(阿波地大輔)が六角棒、七郎太(丘路千)が居合い抜きといった具合である。ところでこの兄弟、長兄役の内田が当時29歳とおそらく一番若い。次男の遠藤は33歳、三男の北は39歳、六男の阿波地は41歳(他の三人は不明)と実年齢とほぼ逆の順序になっているのが面白い。ちなみに内田勝正は「水戸黄門」の最多ゲスト登場保持者であるらしい。


水戸黄門漫遊記・怪力類人猿

せっかく話題にしたので、月形龍之介の「水戸黄門漫遊記」について取り上げてみたい。月形黄門は54年~61年まで全部で十四作品あるらしいが、その第6作から10作までは、格さんが加賀邦男、助さんは息子の月形哲之介が演じている。ちなみに加賀は志賀勝、亀山達也の父親である。二枚目とは言い難い月形親子と合わせて悪そうな黄門様御一行である。しかもこの時期のタイトルが凄い。第6作「幽霊城の佝僂男」、第7作「怪力類人猿」、第8作「怪猫乱舞」、第9作「人食い狒々」、第10作「鳴戸の妖鬼」といった具合である。なんか黄門一行が各地の化け物を退治して歩くといった感じになっているが、実際その通りなのである。ちなみに「怪力類人猿」はゴリラのこと(勿論着ぐるみ)、「人食い狒々」は凶暴なサルである。このあたりはCSでも放送されたのだが、さすがに第6作は「佝僂」が放送自粛用語となっていることもあり放送は難しいと思われる。

ちなみに57年の「水戸黄門」は、月形の映画生活38年記念作品。なぜ38年なのかは謎だが、オールスターキャストで制作されており、加賀と哲之介は脇に回り、助さんは東千代之介、格さんは大川橋蔵という二枚目コンビになっている。他に東映の重役でもあった片岡千恵蔵、市川右太衛門を始めとして大河内傳次郎、大友柳太朗、伏見扇太郎、そして中村(萬屋)錦之介らも顔を揃えている。

番外編・謎の親子関係

前項を書く際に月形龍之介をウィキペディアで調べてみたのだが、気になる一文が目にとまった。「月形哲之介、石橋蓮司は実子」とある。石橋蓮司が月形の実子などという話は初めて聞いた。自分が調べた限りではそういう記述があったのはウィキペディアのみであった。勿論、私が持っている「キネマ旬報・日本映画俳優全集」にもそのような記述はない。だいたい本名からして違う。月形は門田(もんでん)であり、石橋は石田である。もう一つ哲之介監修の「月形龍之介」というど厚い本があるのだが、それに門田家の家系図が載っていた。それによると龍之介には子供が四人いて、2男2女である。長男は哲之介だが、じゃあ次男が蓮司なのかというとそうではない。どうやら子供の頃に亡くなっているようである。ぶ厚い本の上、立ち読みなので詳しく読んではいないのだが、たぶん蓮司のことなど一言も書かれていないようであった。やはり一般的には明らかになっていなかった話のようである。実子が事実とすれば、俗に言う隠し子ということだったのであろうか。まあ確かに顔は似ているのである。龍之介は70年に亡くなっているので、仕事上の接点はほとんどなかったと思うが、彼が戦後所属していたのは東映である。蓮司のデビューは子役時代の東映の教育映画「ふろたき大将」(54年)で、これをきっかけに東映児童劇団に入っている。このウラに月形の働きかけがあったと想像できなくもない。単なる偶然かもしれんが。

ところで月形龍之介という芸名は月形半平太と机龍之助を合成したものと言われているが、それには異論もある。月形は北海道の岩見沢で育ったらしいが、その近くに月形という町があるので、そこから来たのではという説である。まあ両方が合わさったのかもしれないけれども。