番外編・謎の親子関係
前項を書く際に月形龍之介をウィキペディアで調べてみたのだが、気になる一文が目にとまった。「月形哲之介、石橋蓮司は実子」とある。石橋蓮司が月形の実子などという話は初めて聞いた。自分が調べた限りではそういう記述があったのはウィキペディアのみであった。勿論、私が持っている「キネマ旬報・日本映画俳優全集」にもそのような記述はない。だいたい本名からして違う。月形は門田(もんでん)であり、石橋は石田である。もう一つ哲之介監修の「月形龍之介」というど厚い本があるのだが、それに門田家の家系図が載っていた。それによると龍之介には子供が四人いて、2男2女である。長男は哲之介だが、じゃあ次男が蓮司なのかというとそうではない。どうやら子供の頃に亡くなっているようである。ぶ厚い本の上、立ち読みなので詳しく読んではいないのだが、たぶん蓮司のことなど一言も書かれていないようであった。やはり一般的には明らかになっていなかった話のようである。実子が事実とすれば、俗に言う隠し子ということだったのであろうか。まあ確かに顔は似ているのである。龍之介は70年に亡くなっているので、仕事上の接点はほとんどなかったと思うが、彼が戦後所属していたのは東映である。蓮司のデビューは子役時代の東映の教育映画「ふろたき大将」(54年)で、これをきっかけに東映児童劇団に入っている。このウラに月形の働きかけがあったと想像できなくもない。単なる偶然かもしれんが。
ところで月形龍之介という芸名は月形半平太と机龍之助を合成したものと言われているが、それには異論もある。月形は北海道の岩見沢で育ったらしいが、その近くに月形という町があるので、そこから来たのではという説である。まあ両方が合わさったのかもしれないけれども。