お宝映画・番組私的見聞録 -223ページ目

日本電波映画柔道シリーズ

果敢にも特撮に挑戦していた日本電波映画だが、その柱となっていたのは一連の柔道物である。柔道物といえば、まず思い浮かぶのは「柔道一直線」、近年ではアニメの「YAWARA!」などがあるが、いずれにしろ長い間ヒット作はない、というより柔道ドラマそのものがなかった気がする。しかし60年代は柔道ドラマの全盛期であった。

以前取り上げた御木本伸介主演の「柔道一代」だが、これはTBS系で62年12月にスタートし人気を得ていた。ちなみに制作は国際放映である。それに対抗してか日本電波映画はフジテレビ系で63年11月に「姿三四郎」をスタートさせる。ここから日本電波の柔道シリーズが幕を開ける。主演は倉丘伸太郎で、共演は名和宏、内田良平、栗塚旭、そして丹波哲郎などで新東宝の時代劇女優であった北沢典子、宇治みさ子なども出演している。これは64年5月で終了したが、先行の「柔道一代」は64年10月まで続いていた。その終了から3週間後、日本電波制作の「柔」が読売テレビ系でスタートする。主演は平井昌一で、共演には丹波哲郎など。主題歌はもちろん美空ひばりの「柔」であった。65年4月に「柔」終了後、その後番組となるのが「柔一筋」である(こちらは日本テレビ系)。主演は平井だが、共演に「柔道一代」の御木本がキャスティングされている。柔道スター夢の共演といったところであろうか。他の出演者は松本錦四郎、和崎俊哉、そしてやはり丹波哲郎などだ。放映期間は約5ヶ月だったが、その半分は野球で潰れたため実は全10話しかないらしい。そうこうしているうちに8月からフジテレビ系で「柔道水滸伝」がスタートする。こちらは平井、御木本に加え倉丘も出演と、柔道3大スターの共演が実現した。日本テレビ系では9月に「柔一筋」が終了すると翌月から「続・柔」をスタートさせる。こちらの主演は倉丘と和崎俊哉で、やはり丹波も登場する。つまりこの時期は同じような出演者による柔道ドラマが並行して放映されていたのである。これだけあるとどれがどのドラマが正確にわかる人はいないのではないか。

テレビドラマデータベースを調べた限りでは、丹波哲郎は「柔道水滸伝」以外の四本に出演しているが(柔道水滸伝に出ていないとは言い切れないのだが)、女優陣では松山容子が「柔」以外の四本に、佐冶田恵子にいたっては全作に出演している。佐治田は日本電波の看板的存在だったが、正直見た記憶はない。ところで、これらのドラマを全て見た人ってやっぱりいるんだろうな。

宇宙Gメン

前項で話題にしたので、日本電波映画の特撮「宇宙Gメン」(63年)について触れてみたい。実はこの作品、国産初の宇宙SFテレビシリーズという華麗な肩書きをもつ作品だが、あまりの出来の悪さもあってか、一部マニアにしか知られていないといった感じである。全13話制作されながら、8話にて打ち切られ残り5話が陽の目を見ることはなかったのである。しかし何故かビデオ(DVD)が発売され、自分も20年ほど前だったかレンタルビデオ屋に並んでいるのを見てその存在を知ったのである。当然のように借りて見たのだが、はっきりいって辛かった。とても退屈で2話3話と続けて見れるものではない。というわけで内容は全然わからなかったのだが、どうやら悪の国際陰謀団デモン帝国と戦う謎のヒーロー宇宙Gメンの物語であったようだ。宇宙Gメンと何故か宇宙空間で仮面をしたヒーローの名なのである。

主演は日本電波映画の2大スター平井昌一と倉丘伸太郎である。Gメンを演じるのが平井だが、彼はこの後「柔」「柔一筋」「柔道水滸伝」といった柔道シリーズで人気を得ていく。倉丘は元々東映の第6期ニューフェースだったのだが、同期の千葉真一や亀石征一郎がスターになっていく陰でパッとせず、早々と東映を辞め、日本電波に移ったという経歴の持ち主である。彼も「姿三四郎」、平井と共演の「柔道水滸伝」といった柔道もので人気を得ていく。69年にフリーになってからは古巣の東映作品にも顔をだすことが多い。個人的に倉丘伸太郎は子供の頃から認識していたのだが、何の作品で認識したかは不明だ。

この作品、「提供三洋電気」以外のテロップが出ないのでよくわからなかったのだが、プロデューサーに日テレの青春シリーズや「太陽にほえろ」でお馴染みの岡田晋吉が名を連ねているようだ。あとテレビドラマデータベースでは栗塚旭が一話ゲストで登場したらしいのだが、本当であろうか。

ジャングルプリンス

和製ターザンという言葉から思い出す作品がテレビの方にも存在する。その名も「ジャングルプリンス」(70年)、タイトルを聞いただけで何となく中身が想像できてしまう。この番組については全く見たことがないのはもちろん、そのスチールすら見かけたこともない。しかし、この番組の主題歌は特撮主題歌全集に入っていたりするのだ。特撮だったのか?制作は「幻の怪獣アゴン」「宇宙Gメン」で有名?な日本電波映画である。となればその「特撮」ぶりは想像がつく。内容だがテレビドラマデータベースなどの解説によると、巨大ゴリラに育てられた日本少年イサムがジャングルの平和を守るため、食人族であるマジン族や世界征服をたくらむブラックや氷河人間アイガーなどと戦うというものらしい。おまけにデストロイヤーなるロボットなども登場するようだ。ジャングルといえばやはり食人族というのは昔のお決まりのようなものだが、何故氷河人間やロボットが出現するのかは謎だ。ちなみにイサムの相棒はロボラというらしいが、ロボットではなくゴリラのようだ。ややこしい。ところでこの番組の実際の制作は65年ごろ、つまり5年の間お蔵入り状態だったのである。で、夏休みの時期に月~金の帯で集中放送して陽の目を見たということだ。当時は結構こういうパターンがあった。この形態では全国ネットなどされないだろうから、非常に見た人の限られる番組だと思われる。

主演は矢野圭二。同じ日本電波の「柔一筋」などにも出演していたようだが、当時いくつくらいだったのかは不明である。そして松山容子。主役をはるような人気女優がこういった番組に出ていたのは意外に感じるが、松山は日本電波の「天馬天平」で有名になったので、その縁もあったのだろう。他に知った名前をあげると徳大寺伸、永野達雄、千代田進一、出水憲司、新宮寺寛といった面々が名を連ねている。

ところで日本電波映画社って、とっくに消滅した会社かと思っていたのだが、大和新社と名前を変えていたのである。社名変更後は目立った「特撮」作品はないようである。

ブルーバ

前々項で、ちょっと話題にだした「ブルーバ」(55年)について取り上げてみたいと思う。これは一言でいえば、「ターザン」の日本版である。本家ターザンを演じたジョニー・ワイズミュラーは水泳選手だったことで知られるが、ブルーバで主役を演じる浜口喜博もヘルシンキ五輪の水泳リレー銀メダリストである。設定だけでなく主役の選び方までパクっているのだ。

例のごとく未見なので、ネット上で検索などしてみると、ほとんど取り上げられていなかったりする。詳しいのは「日のあたらない邦画劇場」くらいである。LDなどは発売されていたが(DVDは知らん)、出演者も見明凡太郎、丸山修、八潮悠子など浜口を含めて有名と言われる役者が出ていないこともあろうか、認知度は思ったより高くないようだ。撮影は勿論アフリカではなく、アメリカで行われたらしい。人喰い土人とかも登場するが、浜口扮する野生児が自ら戦うのではなく、兄弟といえるライオンたちに襲わせる(つまり喰わせる)らしい。「ジャングル黒べえ」を亡き者にした団体が見たら怒り出しそうだが、特に封印ばどはされていないようだ。タイトルの「ブルーバ」だが、彼の名前ではなく、彼が何かと叫ぶ言葉らしい。意味は不明だが、しまいにはみんな彼をブルーバと呼ぶようになってしまう(日本名は丈児という設定である)。

ところで浜口喜博だが、俳優としては60年代に入るとほとんど端役となり、やがて引退する。そのまま消えていったと思いきや大映には事務系で居残り、やがて大映テレビの営業部長となる。その一方で日本水泳連盟競泳委員長も務めたそうである。両方で出世したのだから大したものである。

ジェットF104脱出せよ

前項の酒井修と青山良彦のコンビは(別にセットだったわけではないが)、結構共演作が多いようである。今回取り上げる「ジェット104脱出せよ」(68年)でも共に準主役で出演している。本作は自衛隊の飛行訓練生が一人前のパイロットになるまでを描いたものだが、主演は「ザ・ガードマン」でお馴染みの倉石功である。ミスター平凡出身で、デビュー当時は主演映画も数本あった倉石だが、さほど人気は得られなかったようだ。しかし「ガードマン」で人気を得て、久しぶりの主演作ということになろうか。話の中心となる訓練生役を倉石、酒井、青山と平泉成(当時は征)、高見国一が演じる。全員が当時大映所属の23,4歳の役者である。平泉は現在も刑事ドラマなどで活躍し、お茶の間でお馴染みの顔であるが、高見国一という人はこの翌年には大映を退社し、アングラ劇団などを主宰したりしていたらしい。

本作は航空自衛隊の全面協力を得て制作されたということだが、その教官やら上官やらを演じるのが勿論大映のベテラン勢。倉石とくれば宇津井健。ここでも倉石の上役だ。他に北原義郎、村上不二夫、仲村隆、橋本力といったところだが、村上といえば「遊星王子(テレビ版)」、橋本といえば「大魔神」(中に入っていた)、そして宇津井といえば「スーパージャイアンツ」と特撮ファンならそういう見方をするだろう。ただし本作では特撮はほとんど使われていない。後、篠田三郎も学生役で顔を出すようだ。

ところで本作には女性はまったく登場しない。女優好きには耐えられない作品かもしれない。

男一匹ガキ大将

「男一匹ガキ大将」といえば70年代初期の本宮ひろ志の人気マンガだが、アニメは以前「日本テレビ版ドラえもん」の項で触れた東京テレビ動画制作のショボいアニメなら知っている人もいると思うが、実写版映画(71年)が存在するのをご存知か。正直私は知らなかった。その主役、つまり戸川万吉を演じるのが前項で取り上げた酒井修、当時27歳なのである。以前も書いたが、この時代27,8歳の高校生というのは珍しいことではない。谷隼人や近藤正臣だって、このくらいの年齢で高校生を演じているのである。万吉の相棒といえば銀次だが、彼を演じるのが青山良彦、当時28歳である。専ら大映時代劇で正統派な二枚目を演じていた役者である。こういった高齢高校生誕生の背景には、やはり彼らの師匠ともいえる勝新太郎の存在がある。自らもこの作品に出演しているが、制作者としてもその名を連ねている。勝と「男一匹ガキ大将」のつながりは不明だが、勝に出ろと言われて断れるはずがないのである。ヒロイン役は木下トモコという人だが、他の出演歴が見つからないのでこれ一作だけのひとかもしれない。他の出演者は笠智衆、武智豊子、春川ますみといったベテラン勢、そして当時はまだ2枚目路線だった津川雅彦、そして原作者本宮ひろ志も登場するらしい。ちなみに本宮は学生、津川は乞食の役だそうである。

透明剣士

大映というところは何年かに一度、透明物(そんなジャンルあるのか?)を思い出したように制作している。「透明人間現わる」(49年)、「透明人間と蠅男」(57年)、「透明天狗」(60年)、そして「透明剣士」(70年)という感じである。

「透明剣士」は大映お得意の時代劇に透明人間の要素を混ぜたもので主演は酒井修である。大映の研究生だった頃、遊びにいったナイトクラブで勝新太郎に目をかけられ、勝主演の「悪名桜」でデビューした役者である。その後も主に勝の主演作に出ていたが、本作で初主演に抜擢されたのであった。他の出演者は桂三枝、西川きよし、横山やすし、岡八郎といった吉本勢が並んでいるところからもコメディ的な要素の大きい作品であることが窺える。悪役は五味龍太郎、沢村宗之助などが演じ、妖怪しょうけらを沖時男が演じている。

本作で酒井はどうやって透明剣士になるかといえば、薬なのである。現代的にいえばドーピング剣士ということになろうか。薬といえば酒井は78年に大麻取締法違反で逮捕されて芸能界を引退したと思っていたのだが、実は不起訴になっていたのである。しかしこれをきっかけに役者を引退し、実業家に転身したようである。成功したかどうかは知らない。しかし10数年後、酒井の師匠ともいえる勝新太郎まで、同じように逮捕されることになったのは記憶に新しい。師匠は弟子に似るのだろうか。

透明人間と蠅男

東宝の「透明人間」ときたら、大映の「透明人間と蠅男」(57年)である。この作品は確かたまたま地上波で深夜にやっていたのを見たのが最初であったと記憶している。本作は東宝への対抗かと思いきや、大映では「透明人間現わる」という作品が戦後まもない49年に制作されていたりする。なかなか歴史にあるジャンルだったりするのだ。

さて本作でも透明人間は正義の人なのである。悪党である蠅男と戦うのだ。ちなみに蠅男と聞いて「ザ・フライ」のような姿を想像してはいけない。単なるハエサイズのミニ人間である。主演は「焼津の半次」でお馴染みというか、それ以外のイメージが湧かない品川隆二。現代劇というのも珍しい感じがする。蠅男を倒すために自ら透明人間となる科学者を演じている。一方の蠅男は二人おり一号を演じたのが中条静夫である。大映の大部屋役者でスタートして「ザ・ガードマン」に出演するまで無名だったが、当時の彼には大きな役だったかもしれない。そして二号というか一番の悪党を演じるのが伊沢一郎である。悪役のイメージがない伊沢と中条が蠅男役というのも面白い。他の出演者は叶順子、北原義郎、南部彰三、浜口喜博などで、浜口は日本版ターザンといえる「ブルーバ」(55年)で主役を演じた人だが、本作では蠅男に殺される刑事の役である。

まあ特撮映画として見るより、サスペンスとして見たほうが面白い気がする作品である。


透明人間

前項でも話に出た土屋嘉男が知られるようになったのは、やはり「七人の侍」で百姓の一人・利吉を演じてからである。黒沢監督の家に住み込み指導を受けながら、ほとんどの黒沢作品に出演している。しかし土屋嘉男といえば、東宝特撮映画の常連という顔もある。「七人の侍」と同じ54年の「透明人間」を皮切りに、多くの東宝特撮作品に顔を出す。特に「透明人間」を初めとする「美女と液体人間」「電送人間」「ガス人間第一号」「マタンゴ」といった、俗に言う変身人間物のすべてに顔を出すのは土屋だけである。

さて「透明人間」だが、土屋は事件を追う新聞記者を演じている。主役の透明人間には河津清三郎。当時40代半ばであったが、以前書いたとおり50年代の河津は主演作も多い。たいていの変身人間は戦時中の人体実験の失敗で特殊な体となってしまうのだが、本作もそうである。その体を利用して犯罪を犯すのだが、この透明人間は悪党ではない。悪党は高田稔と植村謙二郎が演じる。他の出演者に藤原釜足、三条美紀、近藤圭子などで、近藤圭子は子役兼少女歌手でテレビの「快傑ハリマオ」などにも出ていた。

それほど大きな特撮はないのだが、やはり無人のスクーターが街を走ったりするのは当時としては驚きだったのではないだろうか。

殺人容疑者

特にネタがないので、最近CSで放映された映画から「殺人容疑者」(52年)を取り上げてみる。本作は丹波哲郎のデビュー作となるのだが、自分は新東宝時代には丹波の主演作はないと思っていたのだが、実はこのデビュー作は主演だったのである。まあさほど喋らないのだが、タイトルの殺人容疑者なのでまあ主役といってよいだろう。容疑者というくらいだから、実は真犯人がいるのかなと思いきやそのまま犯人であった。追う側の刑事にはデビューしたばかりの土屋嘉男と丹波同様デビュー作となる小林昭二の顔があった。新東宝映画には珍しい顔ぶれだが、二人とも当時は俳優座に所属しており、土屋が東宝と契約するのは翌53年のことである。小林昭二といえば実年齢よりずっと老けてみえるタイプだが、当時は22歳とさすがに若い。土屋と小林の若手刑事二人に追われる丹波というシーンもラストのほうにあったりする。他に知った顔といえば野村昭子が踊り子の役で出ている。さすがに若いがやはりおばさんくさい。この作品、新東宝映画ではあるが制作は電通映画社DFプロとなっている。電通映画社がCM製作を開始するのは翌53年のことである(テレビ放送開始)。

あとEDにも出演者の名前が出るのだが、こちらでは丹波正三郎と本名になっている。土屋はOPでは嘉男ではなく嘉雄となっていたりする。それくらいチェックしろよと思うが当時はみんな無名なので誰も気にしなかったのであろう。