日本電波映画柔道シリーズ
果敢にも特撮に挑戦していた日本電波映画だが、その柱となっていたのは一連の柔道物である。柔道物といえば、まず思い浮かぶのは「柔道一直線」、近年ではアニメの「YAWARA!」などがあるが、いずれにしろ長い間ヒット作はない、というより柔道ドラマそのものがなかった気がする。しかし60年代は柔道ドラマの全盛期であった。
以前取り上げた御木本伸介主演の「柔道一代」だが、これはTBS系で62年12月にスタートし人気を得ていた。ちなみに制作は国際放映である。それに対抗してか日本電波映画はフジテレビ系で63年11月に「姿三四郎」をスタートさせる。ここから日本電波の柔道シリーズが幕を開ける。主演は倉丘伸太郎で、共演は名和宏、内田良平、栗塚旭、そして丹波哲郎などで新東宝の時代劇女優であった北沢典子、宇治みさ子なども出演している。これは64年5月で終了したが、先行の「柔道一代」は64年10月まで続いていた。その終了から3週間後、日本電波制作の「柔」が読売テレビ系でスタートする。主演は平井昌一で、共演には丹波哲郎など。主題歌はもちろん美空ひばりの「柔」であった。65年4月に「柔」終了後、その後番組となるのが「柔一筋」である(こちらは日本テレビ系)。主演は平井だが、共演に「柔道一代」の御木本がキャスティングされている。柔道スター夢の共演といったところであろうか。他の出演者は松本錦四郎、和崎俊哉、そしてやはり丹波哲郎などだ。放映期間は約5ヶ月だったが、その半分は野球で潰れたため実は全10話しかないらしい。そうこうしているうちに8月からフジテレビ系で「柔道水滸伝」がスタートする。こちらは平井、御木本に加え倉丘も出演と、柔道3大スターの共演が実現した。日本テレビ系では9月に「柔一筋」が終了すると翌月から「続・柔」をスタートさせる。こちらの主演は倉丘と和崎俊哉で、やはり丹波も登場する。つまりこの時期は同じような出演者による柔道ドラマが並行して放映されていたのである。これだけあるとどれがどのドラマが正確にわかる人はいないのではないか。
テレビドラマデータベースを調べた限りでは、丹波哲郎は「柔道水滸伝」以外の四本に出演しているが(柔道水滸伝に出ていないとは言い切れないのだが)、女優陣では松山容子が「柔」以外の四本に、佐冶田恵子にいたっては全作に出演している。佐治田は日本電波の看板的存在だったが、正直見た記憶はない。ところで、これらのドラマを全て見た人ってやっぱりいるんだろうな。