ジャンボーグA | お宝映画・番組私的見聞録

ジャンボーグA

「怪奇大作戦」の話が出たので、もう一つ円谷の特撮ということで「ジャンボーグA」(73年)を取り上げてみたい。やはり本家のウルトラシリーズに比べるとマイナー感のある作品だが一年続いた(全50話)ところを見るとそれなりに人気を得ていたのかもしれない。私自身も結構見ていた記憶がある。当時は自分もガキなのにガキっぽい作品だと思っていた気がするが、今見直すとハードな部分も多い。何しろ隊員(本作ではPAT)の入れ替わりが激しい。殉職が三人に左遷が一人、移動が一人といった具合である。第1話でいきなり主人公立花ナオキ(立花直樹)の兄である立花隊長(天田俊明)が殉職する。天田俊明は「七人の刑事」の一人として有名。立花直樹は等ブログでも何度が触れたが、本主人公の名をもらったのではなく、逆に番組が彼の名をそのまま主人公の名にしてしまったようだ。よく考えれば当時はこのパターンは結構あり、たとえば「プレイガール」では沢たまきの役名は沢村たまきだし、片山由美子の役名は片岡由美子たったりする。また「ゴールドアイ」では渡瀬恒彦はそのまま渡瀬だし、藤岡弘は藤弘という役名であった。立花の後を継いだ岸隊長(大橋一元)も12話で殉職する。 大橋一元は60年代後半から70年代前半に活躍していた人で「特命捜査室」(68年)というドラマではレギュラーで、「ウルトラセブン」にもゲスト出演している。岸の後を継いだのが浜田(松川勉)で1クールで隊員→チーフ→隊長まで昇格している。松川勉も60年代~70年代に活躍していた慶応ボーイで、「オレとシャム猫」では主演の石坂浩二が忙しいときの代理主演みたいなポジションにいた。「白い牙」の第1話で藤岡弘に射殺される村木刑事を演じていたのも松川である。14話から隊員として加わるのが風間(中村俊男)だが、19話には命令無視を犯し左遷処分となってしまう。中村俊男といえば加山雄三の「高校教師」での小柄だが学ランに下駄履きの番長役が印象に深い。こういったタイプの役が多く、正義の味方は似合っていなかったと思う。さて浜田隊長も31話でヨーロッパでのPAT隊長会議に出席のため隊を離れる。そんなに長い会議なのか?で32話より4代目隊長として登場するのが元SGMの村上(和崎俊哉)で、「ミラーマン」と同じ役柄なのである。唐突に「ミラーマン」と「ジャンボーグA」の世界は繋がっていたことになったのだ。なおこの回はやはり元SGMの野村由紀(市地洋子)も登場するが、この回のみであった。PATの女性隊員も野村せつ子(加瀬麗子)なので、同じ野村でややこしいからだろうか。個人的には市地洋子のほうが好みなのだが。そういえば14話では風間の他に大羽(瀬戸山功)という隊員がひっそりと加わっていたのだが、初めて目立った42話に殉職してしまう。そして43話から登場するのがやはり元SGMの安田(杉山元)で、メガネを外し色黒になっていたのでまるで別人に見えた。杉山元は日活の青春映画で山内賢や和田浩治とバンドを組んでギターを弾いていたりした人である。

とまあ実に入れ替わりの激しいPATだが、デブの熊井隊員(丸岡将一郎)と華のない野村隊員のみ最初から最後まで登場していた。ミラーマンで主役を演じた石田信之も岸の弟という役でゲスト出演している。ちなみに第26話のサブタイトルはDVDなどでは「謎!ノンビリゴンの正体」となっているがオリジナルは「気ちがい星とノンビリゴン」である。数年前のCSではそのまま放映されている。脚本は前項にも登場した山浦弘靖だが、このテのネタが好きなのだろうか。