お宝映画・番組私的見聞録 -201ページ目

文吾捕物絵図

東京ぼん太の話題はもう終了するつもりだったが、もう一つ彼が出演していた番組で目を惹いたのがNHKの「文吾捕物絵図」(67年)である。本作は杉良太郎をスターに押し上げた作品として有名だが、杉良といえば「新五捕物帳」というヒット作もあるので、タイトルを「文吾捕物帳」と思っている人もいるかもしれないが「文吾捕物絵図」が正しいタイトルである。
割合有名なエピソードかもしれないが、当初主演には竹脇無我を予定したが松竹に断られ、栗塚旭に決定しかけたが、スケジュール調整がつかないということで流れてしまった。そこに他の役で出演が決まっていた杉良太郎を主役にしてはどうかという意見が出た。当時はまだ売れない歌手だった杉だが、主役が決まっていないと聞き「自分にやらせてくれ」と申し出たところ、演出の和田勉があっさりとOKを出したという。これには裏があり、元々プロデューサーの合川明は新人を主役にして金をかけないで、ヒット番組を作りたいと思っていたことや、杉自身は歌手に未練があったが、所属事務所サイドでは、俳優なら売れるのではという思惑があったという。
もう一人ヒロインとして抜擢された新人が当時17歳の奈美悦子である。この年、西野バレエ団5人娘の一人として売り出した奈美だが、初出演ドラマは意外にも時代劇であった。
他のレギュラー出演者にはベテランが配され、露口茂、東野英治郎、岸田今日子、中村竹弥、和崎俊哉、常田富士雄、青山良彦、そして東京ぼん太といった面々がキャスティングされた。当初杉に決まっていた大工の役は慶応ボーイ松川勉に変更されている。
杉良は、殺陣は共演の中村竹弥に特訓を受けたという。その中村とは後に「大江戸捜査網」で共演することとなり、東野英治郎とも「水戸黄門」で共演することになるのだった。杉の人脈はこの時、既に築かれていたのかもしれない。
長くなりそうなので、次回に続く。

東京ぼん太のテレビ番組

もう一つ東京ぼん太の話題だが、テレビの方に目を向けてみたい。68年は映画のほうも「田舎っぺシリーズ」で好調だった東京ぼん太だが、当然テレビのほうもぼん太番組がいくつか存在していた。
まずは文字通り「東京ぼん太ショー」。これは説明は不要であろう。というより、余程の長寿番組でもなければ、こういったショー番組の内容がわかるはずもない。
そして「百年目の田舎っぺ」。これは、タイトルどおり映画の「田舎っぺシリーズ」をそのままテレビにもって来た企画であろう。田舎青年が東京で成功するまでを描いた物語。共演は宍戸錠、城野ゆき、梓英子、横山道代などである。
もう一つ、ぼん太がタイトルについているのが「ぼん太のド・サイケ紳士録」という番組。そのタイトルや解説にある「毎回、現代に生きるいろいろな人から、珍談奇談を聞かせてもらい、その人の人生模様を拝見する」となっているのでトークショー的な番組と思いきや、それは「テレビドラマ全史」という本なので、おそらくドラマのはずである。Web上でもぼん太に役名がついていたりするので、まあドラマなのだろう。他の出演者は応蘭芳、天本英世、梓英子、由美かおるなどである。
翌69年になると、ぼん太が冠となる番組は見当たらなくなる。「世界ビックリアワー」なる番組で司会をやっていたのが目立つ程度である。
翌70年、久々にぼん太の名がタイトルになった番組が…と思いきや、それは「プレイガール」の第83話でサブタイが「ぼん太の田舎っぺ残侠伝」というものであった。
この頃になるとコント55号やドリフターズの人気が沸騰しはじめ、もうぼん太の時代ではなくなってしまったという感がある。一度人気が出すぎてしまうと、それだけ大きく落ち込んでしまったように見えてしまうのも、ある意味悲劇である。

田舎っぺシリーズ

あいつがシリーズ終了してまもなく、東京ぼん太はついに主役に昇格し、「田舎っぺシリーズ」三作がが制作されている。ぼん太は三作とも秋津圭太という役で、ヒロインも全て松原智恵子だが、毎回違う役柄である。その他にも財津一郎、由利徹、大坂志郎、加藤武も全作に出演している。加藤武は色々な会社の作品に出ているが、やはり東宝のイメージが強く日活のイメージはあまりないと思う。
第1弾が「喜劇 東京の田舎っぺ」(67年)で、上記の他に川地民夫、南利明、あいつシリーズにも全作登場の新山ノリロー・トリロー、友情出演としててんぷくトリオ、そして小林旭も特別出演としてワンシーンだけ登場する。
第2弾が「喜劇 ニューヨーク帰りの田舎っぺ」(67年)で、八代真智子(当時は真矢子)、小山ルミ、なべおさみ、ノリロー・トリローの代わり?に獅子てんや・瀬戸わんやのコンビ、そしてもう一人のボンタこと世志凡太が大谷淳らとザ・モンスターズとして登場、また特別出演としてデン助こと大宮敏充、石井均らのベテラン芸人が登場する。
第3弾が「ぼん太の結婚屋 いろいろあらぁな田舎っぺ」(68年)で、八代真智子は引き続き登場、小松政夫、もう一人のボンタ平凡太郎、再び登場の新山ノリロー・トリローなど。本作をもって田舎っぺシリーズは終了し、この辺がピークだったのかぼん太の映画出演もしばらくなくなる。
76年に賭博容疑で起訴され、謹慎を余儀なくされたが、78年に10年ぶりの映画「ギャンブル一家・チト度が過ぎる」に出演した。
86年に48歳の若さで死亡したが、私は何故か自殺したものと思っていた。胃がんで亡くなったのだが、晩年が不遇だっただけに勝手に変換していたようである。ちなみに最後のドラマ出演は何故か「西部警察」のゲストであった。

爆弾男といわれるあいつ

さて前項の続きで「爆弾男といわれるあいつ」(67年)である。爆弾男つまりマイトガイということであろうか。シリーズ最終作っぽいタイトルではある。本作は今までとは違い、ハードなアクションが展開する。簡単にいえば、現金輸送車を襲撃した五人組とヒーロー小林旭が戦うといったようなものである。その五人組というのが青木義朗、内田良平、高品格、岡崎二朗、西村晃という蒼々たる顔ぶれである。日活アクションではお馴染みといえるような顔ぶれなのだが、自分のようにテレビで育った人間には青木義朗は三船主任(特別機動捜査隊)だし、高品格は丸山刑事(大都会シリーズ)だし、西村晃は水戸黄門だし、内田良平もどちらかといえば善人サイドの役が多かった気がする。みんな悪役ヅラなのだが、数年後にはそろって正義サイドの役で活躍することになる。唯一、岡崎二朗はたまに見かけても悪役であることがほとんどであった。善人役で出てきても「怪傑ズバット」の飛鳥五郎のように第一話で射殺されてしまったりしていた。
ヒロインとなるのが、おそらく共に日活作品初出演となる万里昌代と嘉手納清美である。万里昌代は新東宝スターレット出身で、セクシー路線を支えた一人である。新東宝が潰れた後は大映京都に移り、「座頭市シリーズ」など時代劇に出演していた。嘉手納清美は専らテレビが中心で、映画にはあまり出演してないのではという印象があったが、その通りであった。九本ほどしか出演していないようだ。個人的にはやはり「ウルトラセブン」で演じたサロメ星人(ニセウルトラセブンの出る回)の印象が強い。あとアニメ「さすらいの太陽」では声優にも挑戦し、ヒロインのライバル役で出演していた。しかしすぐに降板している。やはり合わなかったのであろうか。ちなみに後任は「魔法使いサリー」役で知られる平井道子であった。工藤堅太郎と結婚したが、後に離婚している。工藤と嘉手納は「裸の青春」という松竹作品で共演しているが、それがきっかけだったかどうかは知らない。
何故日活とは縁のなかったこの二人がヒロインに起用されたのかは不明だが、今までとは違った日活作品を作りたかったというようなことなのだろうか。

ラストは青木義朗との一騎打ち。ボロボロになりながらも勝利する旭。しかし嘉手納清美は息絶える。しかし、このストーリーだと「あいつシリーズ」じゃなくても良かったのではという気がする。どうしても、ぼん太の影が薄くなるし。

あいつシリーズ

唐突だが、東京ぼん太である。主に60年代後半から70年代前半に活躍した芸人だが、個人的にはこの人で印象に残っているのは、唐草模様の風呂敷だけである。リアルタイムでその芸を見た記憶もあるが、訛りのある喋りだったくらいしか印象にない。面白かったのかどうかわからないのだが、大人気の芸人だったことは確かだ。あの小林旭の相方に起用されているくらいだから。それが俗に言う「あいつシリーズ」である。①「不敵なあいつ」(66年)、②「不死身なあいつ」③「命しらずなあいつ」④「爆弾男といわれるあいつ」(いずれも67年)の4作が作られている。
簡単にいえば、旭とぼん太の二人が各地をさすらい悪玉を倒すといったようなものである。レギュラーは二人だけで、ヒロインは毎回替わる。①芦川いづみ→②浅丘ルリ子→③広瀬みさ→④嘉手納清美、万里昌代という具合である。レギュラーは二人だけと書いたが、藤竜也は②以外の三本に出ているし、木浦佑三は地味に全作出演している。当時の人気漫才コンビである新山ノリロー・トリローも全作に出演している。この二人名前は知っているのだが、その姿が思い浮かばない。ぼん太の出演する映画にはゼットのように出演している。ちなみに65年のNHK新人演芸大賞を受賞しているコンビだ。
出演者から見て、一番日活映画っぽいのは②「不死身なあいつ」であろう。ヒロインが浅丘ルリ子で、二谷英明、郷鍈治などお馴染みの日活スターが出演している。
①「不敵なあいつ」には、日活作品には珍しい中谷一郎や、やはり日活作品は少ない神田隆、新東宝スターレット出身の杉江弘らが目を惹く。ちなみに杉江は新東宝時代は杉山弘太郎、日活時代が杉江弘、その後は杉江廣太郎となる。活躍のわりにネームバリューの薄い人という印象があるが、まあほぼ脇役なので仕方ないのかも。父親はやはり戦前から活躍した俳優の杉寛である。
さて、小林旭と東京ぼん太のコンビと聞いただけで、コミカルな映画を想像すると思うし、実際に③まではそうなのだが、④の「爆弾男」はかなり印象が違っている。これについては、また次回。

銭形平次捕物控(若山富三郎版)

銭形平次といえば、ほとんどの人は大川橋蔵というイメージを持っていると思う。約18年888回もやっていたのだから当然である。では、テレビドラマで初めて平次を演じた役者は誰でしょう?答えはタイトルにもあるとおり若山富三郎で、58年に放映された「銭形平次捕物控」がテレビ初の平次シリーズである。若山はもちろん本作がテレビ初主演(初出演は同じ年に放映された「池田大助捕物帳」のようである)で、詳細は不明だがお静役は(おそらく)田代百合子、他に三島謙、中村又五郎、安井昌二らが出演していた。
62年にも同タイトルのドラマが放映されているが、こちらの平次は若山版にも出演していた安井昌二が演じている。ちなみに安井昌二は四方正美・晴美姉妹の父親である。
そして66年にスタートしたのが、前述のお馴染み大川橋蔵版の「銭形平次」である。
映画版の方は51年にスタートした長谷川一夫のシリーズが有名だが、初の映画化は野村胡堂の小説が発表された31年のことで、関操という人が平次を演じたという。他にも嵐寛寿郎や、テレビシリーズで人気を得た大川橋蔵主演の映画版(67年)も作られている。ちなみにテレビ版と違いお静は水野久美、八五郎は大辻伺郎が演じている。
若山富三郎にはこういうエピソードがある。東映時代の楽屋で隣室の高倉健が拡張工事を始めたという話を聞いて激怒。自分も広げてやると逆隣の部屋の壁を叩き始めた。実はそちらは大川橋蔵の部屋で、駆けつけた大川に「広げるのはいいんですが、僕の部屋はどうなるんですか?」と問われ、若山は「すんまへん」と謝罪したという。ここで問題。この文の中で「トミー」という愛称を持つのは誰でしょう?正解は富三郎ではなく大川橋蔵でした(本名の丹羽富成から、美空ひばりが呼び始めたという)。

人形佐七捕物帖(若山富三郎版)

前項で名前が出たところで、若山富三郎の話題である。個人的には若山と勝新太郎の兄弟にはあまり関心がなく、出演作品も好きなタイプのものがあまりなかったせいか、ここではほとんど取り上げていなかった。
まず若山のスタートが新東宝だということを意外に思う人も多いかもしれない。まあ、三年ほどで東映に移っているし、エログロ路線でインパクトの強い現代劇ではなく、どうしても印象の薄くなる時代劇部門だったこともあるだろう。その短かった新東宝時代で若山の主演シリーズものだったのが「人形佐七捕物帖」(56年~58年)である。以前ここでも取り上げたが、横溝正史の原作で何度もテレビ化、映画化されているシリーズである。人形のように美しいから人形佐七なのだが、どちらかといえば武骨な感じの若山には似合っていない気がする。シリーズは「妖艶六死美人」「大江戸の丑満刻」「花嫁殺人魔」「浮世風呂の死美人」「腰元刺青死美人」の五本あり、女房役は日比野恵子(4,5作目は別の役で出演)、下っ引き役は鮎川浩、小高まさる、水原爆らが演じている。若山は59年に東映に移籍したが(日比野恵子も「腰元刺青死美人」を最後に新東宝を退社している)、新東宝では中村竜三郎を佐七役に据えシリーズを継続、「鮮血の乳房」「裸姫と謎の熊男」の二本が制作された。
東映に映った若山だったが、ここでも「人形佐七捕物帖」シリーズ(60年~61年)が制作されることになる。「般若の面」「くらやみ坂の死美人」「血染めの肌着」「ふり袖屋敷」「恐怖の通り魔」「闇に笑う鉄仮面」の六本が制作されている。もちろん、若山以外の出演者は代わっており、女房役に大川恵子、下っ引き役は大泉滉が演じている。正直、新東宝版も東映版も見たことはないが、サブタイトルからして微妙に違う気がする。やはり新東宝はより「女」が強調されていると思う。
そんな若山だが、62年今度は弟・勝新のいる大映へと移籍し、城健三朗となる。主演はまわってこなかったが女房(藤原礼子)と愛人(安田道代)を見つけることとなる(その分干されたという)。
再び東映に戻り、名前も若山富三郎に戻すのは66年のことである。

新東宝スターレット

ニューフェイスに関しては、東映はその一覧がWeb上にあり(完全かどうかはわからないが)、日活も大体はわかる。しかし、他の会社(大映、松竹、東宝)については大スターと言われる人じゃないとわからない。新東宝スターレットに関しても同様であるのだが、「新東宝秘話・泉田洋志の世界」にそこに触れている部分がある。
泉田自身はあの三船敏郎らを配した第一期東宝ニューフェースに落ちている。しかし、伝をたどり清川荘司の弟子として東宝に入り込んだという経歴の持ち主だ。そのためか三船とは一応同期だし、共演してみたいという意識があったという。しかし翌年、東宝争議により新東宝が誕生し、師匠の清川がそちらに移ったため、必然的に泉田もそちらに移っている。この時、東宝ニューフェイスに合格した堀雄二も新東宝に移っている。
新東宝スターレットは51年にスタートし、6千人もの応募者から選ばれたのは18人であった。顔ぶれは何度か書いているとおり、高島忠夫、天知茂、松本朝夫、小笠原弘(竜三郎)と男は四人のみで女性陣は三原葉子、久保菜穂子、宇治みさ子、左京路子といった面々。また森悠子という人がいるが、彼女は後の天知茂夫人である。二期生は城実穂、筑紫あけみ(男は取らなかったという)、三期生が杉江弘太郎、江畑絢子、浜野圭子、三重明子、あとスカウトされた池内淳子も三期に編入されている。四期生が三ツ矢歌子、万里昌代、原知佐子、北沢典子、五期生が伊達正三郎、松浦浪路、矢代京子などであり、この五期までで終了している。こうしてみると一期と四期が特に目立っている気がする。また男は六人しか名前があがっていない。
スターレット以外でも入社してきているので、ややこしいのである。宇津井健は俳優座、御木本伸介は文学座、丹波哲郎は文化座、中山昭二はバレエダンサーからそれぞれ新東宝入りしている。長唄の若山富三郎も弟・勝新太郎が大映入りした翌年(55年)にスカウトされている。若山は断るつもりで出した、一本30万の出演料と車での送り迎えという条件をあっさり承知されたので入社している。菅原文太などハンサムタワーズの四人はスカウトのようである。
歴史の短かかった新東宝でさえ、これだけごちゃごちゃしているのだから、大映、松竹、東宝あたりがはっきりわからないのは仕方ないのかもしれない。

恐怖のカービン銃

もう一つ「新東宝秘話・泉田洋志の世界」からの話題である。新東宝作品に詳しい人でないと、泉田洋志(56年以前は今清水基二)のことを知っている人は少ないかもしれない。テレビや映画に出演していたのは70年代半ばくらいまでのようだし、ほぼ仇役・脇役であったし。そんな彼が一度主役に抜擢されそうになったことがある。しかし、当時の泉田は三本の映画を掛け持ちしており、物理的に無理だろうということで、泣く泣く断念したという。その作品というのが「恐怖のカービン銃」(54年)である。その泉田の変わりに主演に抜擢されたのが天知茂であった。
新東宝スターレットの1期生として51年に入社したが、同期の高島忠夫などの活躍を尻目に、あまり大きな役は得られていなかった。新東宝以前には松竹でエキストラのようなことを2年ほどやっていた天知の初主演作となったのである。
さて「恐怖のカービン銃」だが、この54年に実際に起こった事件をドキュメンタリー的に描いている。人物の名前もそのまま使われており、主犯・大津健一役が天知である。三人の仲間である山本(村山京司)、丸山(加藤章)、高田(三砂亘)も実際の共犯者の名前である。天知と一緒に逃避行する愛人役にはスターレット同期生の三原葉子で、彼女も当時は天知同様に燻ぶっていた存在であった。これも当初は三原ではなく前田通子の予定だったという。その他の出演者もやはりスターレット同期の松本朝夫や、泉田に改名を勧めたという倉橋宏明など、当時はほぼ無名の存在ばかりであったといえよう。それは逆に作品にリアル感を与えたともいえる。ちなみにナレーションは後に日活の悪役として活躍する近藤宏が担当していた。
この映画をきっかけに天知は軌道に乗っていくが、ほぼ悪役ばかりになってしまう。本人は二枚目志向だったらしく、初めて正義役だった「女拳銃王の復讐」(56年)は印象に残っている作品だと後に語っている。

ハンマー・キット その2

前項の続きである。詳細不明な作品「ハンマー・キット」(本項では62年扱い)だが、検索するとオークションに出されている2種類のポスターを見ることができる。片方はまあ、普通に映画のポスターで、「キット」というにはちょっと老けた浅見比呂志を中心に少年少女が一人づつ。その上部に小さく写っている黒い全身タイツの怪人が。その怪人(その名も「地球の支配者」)を演じるのが泉田洋志である。明石家さんまがやっていたブラックデビルを想像してもらえばよいと思う。この泉田という人は新東宝時代から役者として出演する傍ら擬闘を担当することが多かったという(ほとんどクレジットはされていない)。出演者は前項でも触れたとおり、浅見、泉田の他、小高まさる、鮎川浩、岬洋二など新東宝の役者が並んでいるが、女性でわかっているのは坂井すみ江だけである。60年代後半~70年代前半にかけて「アタック№1」の早川みどり、「デビルマン」の牧村美樹、「ドロロンえん魔くん」の雪子姫など声優として活躍していた人である(その後は女優として活躍)。当時は16か17歳くらいだったはずなので、浅見の横にいる少女は彼女だと思われる。それに加えて牧冬吉の名前がある。「隠密剣士」の遁兵衛で人気を得る直前くらいであろうか。ややこしいのが配給が新東宝興業となっていること。Wikiによると新東宝解散後に関西支社の有志により新会社が設立され、自主配給・興業を行なったとある。それが新東宝興業なのだが、作品はピンク映画がほとんどだったそうである。本作は子供向けなので、どうかなと思うのだがやっていないとも書いていない。
さて、もう一つのポスターだが、こちらは全部絵で描かれた怪しげなものである。原作の堀江卓が書いたとも思えない。①謎の指輪、②地球最後の日、③地底乗の決闘、④晴海埠頭の対決という4つのタイトルが並び「一挙上映」と書いてある。Web上にある4部作一挙上映というのは、このポスターから来ている説であろう。これは自分の推測だが、全編が90分の作品だとすれば、1話20数分の4つに分けて上映したのではないだろうか。なんとなく得した気分になるし。当時ならそれくらいやっても不思議ではない。つまり、こちらのポスターは上映した小屋(映画館)の方で作成したものなのではないかと思うのである。辻褄は合っていると思うのだがどうであろうか。