お宝映画・番組私的見聞録 -200ページ目

Gメン75

突然だが、「Gメン75」(75~82年)である。いまさらここで解説するような作品ではないのだが、前々項で話題にした「刑事マガジン」に夏木陽介と宮内洋のインタビューが載っていた。二人に共通したドラマといえば「Gメン75」である。この二人の話で共通して登場したのがプロデューサーの近藤照男のことであった。
映画やドラマのスタッフで気にするのはせいぜい脚本家、監督ぐらいでプロデューサーのことなど気にしないのだが、「Gメン」では、この近藤氏が絶対的権力を持っていたことがわかる。最初のレギュラーであった原田大二郎は33話で殉職という形で番組を去ったが、スケジュールによるものばかりだと思っていたが(実際売れっ子だったし)、夏木によれば原田は自分より藤田美保子のアップが多いことに不満があったという。それを近藤に直接言ったところ、「じゃ辞めろ」という経緯だったという(ちなみに原田と相撃ちになった犯人を演じた溝口舜亮のインタビューも載っている)。
それによって番組はしばらくレギュラー6人体制となったのだが、実は後任は決まっていて例のオープニングも撮影されていたらしい。その役者に近藤が「そのネクタイは昨日衣装合わせしたものだよね?」と聞いたところ、「いえこちらのほうがいいと思いまして」と正直に言ったところ、近藤は怒り「昨日の衣装合わせは何だったんだ。帰れ!」とそれっきりになったという。それが誰かは夏木は名を伏せていたが、調べてところ意外と簡単に判明した。どうやら横光克彦(現・衆議院議員)だったらしい。しかし「Gメン」のレギュラーになっていたら、恐らく「特捜最前線」には起用されていなかったと思われる。結局特捜の方が長く続いたのだから、結果的には良かったのではないだろうか。ちなみに横光はその後「Gメン」には、ゲストで出演している。
夏木もニューカレドニアでのロケで、近藤も含め出演者らと食事をして勘定を全て払ったところ、「何故払ったんだ」と近藤が怒りもめたという。夏木もこんなことでもめるのがイヤになり、降板を申し出たという。「そういった回(殉職など)を作ろうか?」と言われたが断ったので、そのままいなくなっている。
その夏木と入れ替わりでレギュラー入りしたのが宮内洋だ(227話より)。実はもっと早くからレギュラー入りする話もあったのだという。宮内は必殺シリーズ第3弾「助け人走る」(73年)に途中からレギュラー入りしているが、当時はまだ東映の専属俳優であった。もちろん宮内が勝手に決めたわけではないのだが、近藤は「ばかやろう、東映の役者が松竹の作品に出るとは何事だ」と怒ったという。その怒りが解けるのに約5年かかったということであろうか。
まあ、名プロデューサーには違いないのだろうが、これだけ聞くと恐怖の支配者という感じがしてしまう。これらの話は自分は初耳だったが、ファンの間では有名なのかもしれない。

刑事物語 その2

前項でも触れたとおり、以前「七人の刑事」の前身番組である「刑事物語」(60年~61年)について取り上げたことがある。その時はよくわからなかったが、「『七人の刑事』と幻の刑事ドラマ」という本で新たに判明したことがある。
前回取り上げた時に、レギュラーは「七人の刑事」から菅原謙次と城所英夫を抜いた五人で、他に園井啓介がメンバーだったかどうかわからないと書いたが、やはり園井もメンバーつまり刑事の一人だったようである。役名もわかった。堀雄二(小松捜査主任)、芦田伸介(足立部長刑事)、美川陽一郎(池山刑事)、佐藤英夫(所刑事)、天田俊明(小山刑事)、園井啓介(大西刑事)となっており、堀が主任で、芦田が部長刑事というのはここでも変わっていない。30分放送で、基本的には前後編で当時主流だった生ドラマであった。主題歌は西田佐知子で、第1話のゲストには西部警察で係長を演じた庄司永建などが出演していた。
園井啓介は天田より1歳年上で、ここでも天田が最年少であった。園井は当時「事件記者」との掛け持ちの売れっ子で、生放送の1時間前に倒れてしまい、急遽天田が園井のセリフを覚え、代役となったこともあるという。とにかく60年代~70年代初めにかけて園井は数多くのドラマや映画に出演しており、一人だけ「七人の刑事」に出演しなかったのも頷ける。73年に約1億2千万の脱税で告発され、一切の仕事を降板し自動的に引退ということになってしまったが、まだまだ活躍できただけに勿体無いことである。
その一方で天田のギャラは当初1本700円であったという。当時の価値を考慮しても、これは非常に安いと思われる。それを聞いた芦田が交渉し、やっと1200円にアップしたという。ちなみに園井が脱税した大金は出演料ではなく株の売買で稼いだものである。
「七人の刑事」に新たに加入した菅原謙次(当時は謙二)は大映のスターであった。しかし当時はすでに人気が下降気味で、フリーになったばかりであった。人気スターだった高橋貞二、佐田啓二と二のつく俳優が事故で他界したため、68年に謙次に改名している。

七人の刑事 レモンの埋葬

以前、このブログで「新・七人の刑事」(78年)と三話だけ放送された「七人の刑事・特別編」(75年)、そして「七人の刑事」の前進である「刑事物語」(61年)について取り上げたが(「七人の刑事」本編は取り上げてないけれども)、73年にもう一つ特別編があったことが判明した。それが「七人の刑事・レモンの埋葬」である。羊崎文移氏(アメブロにブログがある)の「『七人の刑事』と幻の刑事ドラマ」という本に載っていたのだが、ここでも過去に取り上げたことのある刑事ドラマのことが結構詳しく調べられている。国会図書館の新聞縮刷版などで調たようだが、本気で調べたい時はこれぐらいやらなければダメかなという気もする。
で「七人の刑事・レモンの埋葬」だが、「七人の刑事」(61年~69年)のオリジナルメンバー全員が出演した90分カラー版のスペシャル番組である。ちなみにメンバーは堀雄二(赤木係長)、芦田伸介(沢田部長刑事)、菅原謙次(杉山刑事)、美川陽一郎(小西刑事)、佐藤英夫(南刑事)、城所英夫(中島刑事)、天田俊明(久保田刑事)である。ゲストが堀内正美、音無美紀子、織本順吉、小松方正、蟹江敬三など。一話限りとはいえ、終了から四年を経過したドラマのレギュラーがまた全員集まるというのも結構珍しいのではないだろうか。たいてい二人くらいは欠けそうなものである。ちなみに脚本はジェームス三木だ。
76年に美川、79年に堀が亡くなり、97年に城所、99年に芦田と菅原が相次いで亡くなっている。健在なのは佐藤と天田だけだなあと思っていたら、先日発売された「刑事マガジン」という本に天田俊明のインタビューが載っていた。それによると「みんな知らないと思うけど、佐藤さんも亡くなったんだよ」と語っているのだ。確かに佐藤英夫が亡くなったという情報は聞いたことがないし、ネット上でも発見できなかった。秘密にしていたのかたまたま知られなかったのかわからないが、最近のことであろうと思われる。そういえば、「二人の事件簿」に出演していた森大河が亡くなったという話もこの雑誌の高岡健二のインタビューからであった。
ちなみに佐藤英夫と城所英夫の英夫コンビは俳優座の同期生(年は佐藤が二つ上)である。まあとにかく、合掌。

電送人間

ブログも長くやっていると何を取り上げたか忘れてしまうのである。前々項で取り上げた「血とダイヤモンド」であるが、実は2年ほど前に既に取り上げていた作品であった。当然のごとく内容がだぶってしまっている部分があるが、タイトルに「その2」を加えるだけで、後はそのままにしておきたい(面倒だし)。
というわけで、今回は福田純繋がりで「電送人間」(60年)である。俗に言う東宝変身人間シリーズ三作の一つでなので、結構有名な作品であろう。ここでも取り上げたような気がしていたが、「美女と液体人間」「ガス人間第一号」と三作とも取り上げていなかった。「美女と液体人間」と「ガス人間第一号」は特撮映画では有名な本多猪四郎が監督だが、本作は何故か監督デビュー二作目の福田が監督となっている(本多のチーフ助監督を務めていたからであろう)。そのせいか、本作は人間ドラマを重視し特撮はさほど使われていない。
主演は鶴田浩二で、おそらく彼唯一の特撮作品であろう。福田とは東宝に来た時から付き合いがあったということで出演したようだが、やはりあまり乗り気ではなかったようである。この作品に出たのが原因かどうかは不明だが、この後まもなくして鶴田は東映へと移籍している。
他の出演者は白川由美、平田昭彦、土屋嘉男、河津清三郎、堺左千夫、田島義文、佐々木孝丸に加えて松村達雄や天本英世らも出演している。肝心の電送人間を演じるのが中丸忠雄である。本人はオバケのような役と思ったようで、実はプロデューサーの田中友幸にガス人間役も依頼されたそうだが、思わず断ってしまったという(これが原因で数ヶ月干されたという)。結局ガス人間役は三作すべてに出演している土屋嘉男が演じている。
土屋は「七人の侍」と同時期に撮影していた「ゴジラ」の撮影に黒澤の目を盗んで見学にいったというくらい、こういった作品が好きなようである。

3000キロの罠

田宮二郎が興したプロダクション・田宮企画の第1回作品が「3000キロの罠」(71年)である。その監督を務めたのが福田純であった。田宮といえば元大映のスター(当時はフリー)、福田は東宝の監督で、それまで何の縁もない関係であったが、福田の「野獣都市」を見た田宮が監督を依頼してきたという。原作は笹沢佐保の小説で、その連載中に東宝サイドで抑えたものであった。最後にもう少し凄いヤマがくると思っていたら結局こなかったという。
出演は田宮の他に、谷口香、浜美枝、加賀まりこ、永井智雄、そして三國連太郎。本作で田宮の妻を演じた谷口香は子役から結構長く活躍した女優だったようだが、個人的には顔もよくわからない。加賀まりこはある意味で田宮が大映を追われることになった因縁ともいえる女優だ。
大映映画「不信のとき」の宣伝ポスターの序列で田宮は、若尾文子、加賀まりこ、岡田茉莉子に継ぐ4番手扱いであった。それに不満に持った田宮が永田社長に抗議し、結局トップになったものの、田宮は永田の怒りをかいクビになったという事件である。
この事件は当時自他共に認める大映現代劇のトップスターで、この作品でも出番の多かった田宮に同情の余地はあるが、「3000キロの罠」でもラストシーンをめぐって監督の福田と対立している。福田は監督を降板しようと思ったらしいが、共演の三國連太郎が「田宮が金出しているんだから、言うこと聞いてやろうよ」と収めたという。言うことを聞いたその結果は、問題のシーンで劇場では笑いが起こったという。喜劇映画だったら成功だったのだが、残念な結果に終わったようだ。
ちなみにこの71年、田宮をクビにした大映が倒産している。

血とダイヤモンド その2

ここ数回は福田純が監督した東宝作品を取り上げているが、次はこれあたりかなと思っていたところで、一昨日CSで放送されたのが「血とダイヤモンド」(64年)である(正確には本作は宝塚映画)。
これは当時人気の宝田明、佐藤允、夏木陽介の東宝スターが共演(このうちの二人というのはよくあるが)、それに重鎮志村喬を加えた中々豪華なキャストによるギャング映画である。
これは田崎潤率いる一味がダイヤの原石を強奪しようと思っていたところに、四人組の男(佐藤允、藤木悠、砂塚秀夫、石立鉄男)が一足速く強奪、その際リーダーである佐藤允が撃たれて傷を負う。次第に悪化したため、医者とその娘(志村喬、中川ゆき)を誘拐し手当てをさせるが、破傷風になってしまう。そこに悪徳私立探偵(宝田明)、ダイヤの情報を佐藤允に教えた女(水野久美)、そして田崎潤の一味らが絡み三組だか四組だかが入り乱れてダイヤを奪い合うというもの。
ちなみに夏木陽介は事件を追う刑事で、若いが(当時28才)立場的には偉そうである。その上司が内田朝雄で、一番悪いやつに見えるが普通に警察の人である。
東宝俳優が顔を揃える中、異質なのはこれが映画初出演となる石立鉄男だ。もちろんモジャ頭になる前の二枚目だった頃の鉄男である。本作では佐藤允に拾われた粗暴な若者といった役柄だが、そういえば「夜明けの刑事」で初代課長は石立で、二代目は佐藤であった。夏木陽介と藤木悠も共演が多いが、東映の「Gメン75」でも一緒であった。とまあテレビでは後に刑事を演じる人が多い。刑事ではないが宝田と砂塚も「平四郎危機一発」で探偵とその助手を演じていた。悪党っぽく見えない人が本作では、みんなギャングだったりするのである。
今月あと何度か放送されるので結末は書かないが、死ぬ人が多いです。

100発100中

昨日タイムリーなニュースが入ってきた。「宝田明(74)、首都高で64キロ速度超過」というものである。自分は見ていないが、会見ではとても開き直っていたそうな。まあ、元気で何よりとでも言うしかない。
そんな宝田が主演しているスパイアクション映画が「100発100中」(65年)である。こういったキザな男をやらせれば、東宝では右に出るものはいないであろう。本作は完全に007シリーズを意識した作りになっており、前項で取り上げた三橋達也の「国際秘密警察」シリーズより評判が高いのは頷ける。時期的にあの「ルパン三世」の元になった作品だろうと言われている。宝田は日系フランス三世という設定だし。
脚本が岡本喜八と作家の都築道夫ということで、岡本が監督もやる予定だったのかもしれないが、何故か福田純になっている。予告ではフィリピンロケ敢行となっていたらしいが、実は全て下田で撮っているという。
ヒロインは国際秘密警察シリーズにも本家007にも出演した浜美枝。当時のポスターにもビキニ姿の浜がドーンと立っていたりする。宝田を追いかける刑事に有島一郎、他に平田昭彦、堺左千夫、黒部進、多々良純、マイク・ダニーンなど。マイク・ダニーンはちょっと前に取り上げた「ハンマー・キット」にも出演していた。主題歌はまだ売れる前の布施明が歌っている。
本作には続編があり、それが「100発100中 黄金の眼」(68年)である。ヒロイン役は前田美波里で、こういった映画のヒロインはやはりスタイルが良くなければならないのである。刑事役は佐藤允だが、前回の有島と同じ手塚という名前で、一応同一人物らしい。有島のスケジュールがつかなかったということらしいが、代役が佐藤允ではあまりにも違い過ぎる。もう少し年配の役者を使うか、違う刑事ということで良かったと思うのだが。他には土屋嘉男、沢知美、アンドリュー・ヒューズなど。沢知美はデビューは日活のドラマ「あいつと私」らしいのだが、11PMのカバーガールをやったり、歌手としても数枚のシングルを出している。
この「黄金の眼」は、やはり前作から三年近く経っていたせいか、興行的にもあまりパッとしなかったようである。熱いものは冷めないうちにやらなければならないのである。

国際秘密警察シリーズ

63年に始まった世界的に有名なシリーズといえば007シリーズである。日本ではその年のうちに、007に触発されたと思われるスパイ・アクション映画が制作されている。それが東宝の「国際秘密警察」シリーズである。当時40才だった三橋達也の主演で全5作が作られている。
第一作が「指令第八号」(63年)。大映の陸軍中野学校っぽいタイトル(雲一号指令とか竜三号指令)だが、こちらの方が先である。監督は若大将シリーズ、社長シリーズの杉江敏男で、脚本は「太陽にほえろ」で有名な小川英。三橋以外の出演者は佐藤允、水野久美、夏木陽介、若林映子、児玉清、ジェリー伊藤など。ラストで敵のボス役のジェリー伊藤が逃亡するのは、当初からシリーズ化を考えてのことだと思われるが、以降のシリーズでジェリーは登場しない。
第二作が「虎の穴」ではなく「虎の牙」(64年)。監督は前項で取り上げた福田純である。福田はこの作品では007は意識していなかったと語っている。他の出演者は中丸忠雄、白川由美、黒部進、水野久美、久保明、藤田進など。この二作目までは比較的シリアスムードの映画だったのだが、三作目からは三橋も女にだらしなくなり、コミカルな作風に変わっている。
第三作が「火薬の樽」(64年)。監督はクレージーキャッツ映画の坪島孝。他の出演者は佐藤允、星由里子、中丸忠雄、若林映子、水野久美、二瓶正也など。同じ役者が何度か登場するが、三橋以外は全て違う役柄である。
第四作が「鍵の鍵」(65年)。監督はベテランの谷口千吉が担当。他の出演者は浜美枝、若林映子、黒部進、中丸忠雄、堺左千夫など。ご存知のとおり、本作で共演している浜美枝と若林映子のコンビは本家の「007は二度死ぬ」(67年)のボンドガールに抜擢されている。007では、当初は二人の役柄は逆だったそうだが、浜の英語力に不安があったため変更されたという。丹波哲郎と浜の英語のセリフは吹き替えだが、若林のみ自分の声である。以前も書いたが映子は「えいこ」ではなく「あきこ」と読む。
そして最終作が「絶体絶命」(67年)で、監督は引き続き谷口が担当している。他の出演者は佐藤允、水野久美、真理アンヌ、土屋嘉男、平田昭彦などである。
三橋以外全作に出演している役者はいないようだが、水野久美、そして脇役で大木正司が四作品に出演、三作が佐藤允、若林映子、黒部進、中丸忠雄、そして天本英世などである。
三作目以降の作風だと、三橋よりは敵役で出演していた中丸忠雄か、宝田明のほうが合っているような気がするが、宝田にもこういった作品はちゃんと存在する。それが「100発100中」である。それは次項で取り上げる。

大日本スリ集団

東宝ニューアクションと呼ばれる作品群がある。私も正直な話聞いたことがなかったが、68年の「狙撃」から72年の「薔薇の標的」あたりまでの主に加山雄三や黒沢年男が主演のアクション映画である。もちろん日活ニューアクションに呼応させた言葉で、評論家の山根貞男が名付けたという。その中に黒沢主演の「野獣都市」(70年)という作品があるが、その監督が福田純である。
福田監督はその前年の69年には若大将シリーズを二本、コント55号映画を三本撮っているが、その間にもう一本「大日本スリ集団」を撮っている。前置きが長くなったが今回はその「大日本スリ集団」を取り上げたい。まあ「野獣都市」にこれといったネタが見つからなかったからなのだが。
本作の原作は藤本義一だが、脚本も藤本自身が担当した。主演は若手ではなく、ベテランの小林桂樹、三木のり平で、当然スリの役である。ちなみに三木のり平の役名は平平平平(ひらだいら・へっぺい)という。この役名、かなり昔のテレビドラマでも聞いたことがある気がする。「へっぺい」ではなく「へいべい」だったと思うが。それはさておき、本作では京都の祇園祭でリアルタイムロケを行っており、キャスト、スタッフ、エキストラなど総勢50人ほどが祭りについてまわるという、ある意味隠し撮り的な撮影を行っている。ヒロイン役が酒井和歌子で他にも高橋紀子、寺田農、平田昭彦、田中邦衛、砂塚秀夫、大滝秀治、菅原謙次などが出演している。ちなみに高橋紀子と寺田農は翌70年に結婚し、高橋紀子は引退している。高橋紀子はこの辺の福田作品に出まくっており、「野獣都市」やコント55号映画二本、「フレッシュマン若大将」にも出演している。
福田作品では「大日本スリ集団」や「野獣都市」は評価が高いが、コント55号もの(「人類の大弱点」「俺は忍者の孫の孫」「宇宙大冒険」)は酷いものである。福田自身も「この辺は記憶にないし、触れたくもない」と語っている。浅井社長(浅井企画:55号の所属事務所)が一本目を気に入ったので、三本も撮ることになってしまったという。55号はクレージーキャツやドリフターズのような映画向きのキャラではなかったということである。

文吾捕物絵図 その2

前項の続きである。この番組の解説を読むと「父親の跡目をついで岡っ引きになった男が、五人の手下と協力して難事件を解決する」とある。父親というのはどうやら東野英治郎のことらしい。では、五人の手下というのは一体誰だろうか。この時代のNHKのドラマの映像というのは、まず残っていないだろうし、役柄についての詳しい資料もない。役名の一部は判明したので、そこから推察してみたい。まずレギュラー陣と思われる中では、中村竹弥と和崎俊哉には苗字がついている。奉行所の同心か近所の素浪人かわからんが、武士を手下扱いするわけにはいくまい。となると残りは露口茂、東京ぼん太、青山良彦、松川勉、常田富士男、なべおさみ、山田太郎といったところだ。この中ではおそらく、露口とぼん太、そして杉やる予定だった大工の松川は間違いないと思う。露口は山さんのように街の噂を聞きつけてくる役ではないだろうか。ぼん太はいかにも手下という感じだ。なべおさみはぼん太とキャラがかぶりそうなので微妙である。
とまあ、ここで予想したところでこの解説自体が正確だとは限らないのである。大ざっぱに書かれているので、ひょっとしたら東野英治郎や奈美悦子が「手下」に含まれている可能性がないとはいえないのである。
さてこのドラマ、ゲストは結構豪華だったようである。榎本健一、森繁久弥、辰己柳太郎、島田正吾、山田五十鈴、天知茂といったところが出演したようだ。
脚本も杉山義法、倉本聰、佐々木守、石堂淑郎など、後のテレビ界を支えるメンバーが並び、演出も和田勉が3分の1くらいを担当しており、倉本とのコンビが多かったようである。
岡っ引きが主人公でしかも杉良だと、どうしても銭形平次や人形佐七のようなスーパー岡っ引きを想像してしまうが、そうではなかったようである。意図的に何でも一人で解決してしまうようなキャラにはしなかったらしい。
その反動かどうかは知らないが、その後杉の演じるキャラといえば、ほとんどの場合変身しないスーパーヒーローである。