お宝映画・番組私的見聞録 -198ページ目

まぼろし怪盗団

南原宏治は、51年大映をかわきりに(芸名・船上爽)、東映(芸名・南原伸二)、松竹といずれも三年弱で渡り歩いているが、成功していたのはやはり東映時代であろう。「警視庁物語」などでは善玉を演じていたが、前項でも少し触れたが、やはり「少年探偵団」シリーズにおける二十面相のような敵役の方があっていると思う。その二十面相の前年には「まぼろし怪盗団」(55年)で、国際盗賊団の首領である<魔王の密使>に扮している。
本作は、昔はよくあった1本50分程度の三部作となっている。第1部が「まぼろし怪盗団」、第2部が「魔王の密使」、第3部が「悪魔の王冠」だ。怪盗とくれば、当然正義の私立探偵が登場する。大人向けなら以前も書いたとおり片岡千恵蔵だが、少年向けとなるとそれは波島進になる。前述の「少年探偵団」シリーズでは岡田英次の後を受けて明智小五郎を演じているし、59年にはテレビ版、劇場版ともに蘭光太郎こと「七色仮面」を演じている。ちなみにその当時36歳であった。
他の出演者は三笠博子、藤里まゆみ、月丘千秋、そして南原と東映ニューフェイス同期となる中原ひとみで、本作に加え「少年探偵団」シリーズや「三つ首塔」でも南原と共演している。一郎少年役の山手弘は50年代に活躍した子役で、「少年探偵団」シリーズでは小林少年を演じていた。高校進学とともに映画界を去ったようだ。
本作に刑事役で出演している神田隆、佐原広二、南川直と波島進は揃って61年スタートの「特別機動捜査隊」の初期レギュラー刑事として出演している。
こうやって書いていると本作の出演者はみんな「少年探偵団」シリーズに出ているように感じるが、9作品存在するので、南原、波島、中原、山手の全員が揃って出演している作品はないはずである。

無敵の空手!チョップ先生

前項の「三つ首塔」を調べている過程で、その同年に制作されたインパクトのあるタイトルの作品を見つけた。その名も「無敵の空手!チョップ先生」(56年)という。「無敵の空手」だけだと梶原一騎原作の空手物みたいに感じるが、「チョップ先生」がつくと妙にコミカルなものに感じてしまう。
実際この原作は当時、毎日新聞の夕刊にに連載されていた今日出海のユーモア小説である。脚色として「新撰組血風録」とか「用心棒」シリーズなど60~70年代の時代劇の脚本を書きまくっていた結束信二の名がある。
で、この主役のチョップ先生を演じたのが当時36歳の岡田英次。岡田英次のイメージといえばソフトな紳士とか黒幕的な悪役とか、どうもチョップを繰り出すイメージが湧いてこない。しかし、以前取り上げた加山雄三版の「姿三四郎」(65年)では、宿敵檜垣三兄弟のうち源之助と鉄心の二役を演じたりしていたし、こういった役柄も結構あるのかも。ちなみに岡田の設定は空手部ではなく大学のレスリング部の部長という設定である。その部員が南原宏治(当時・伸二)とデビューまもない高倉健だ。
この56年、岡田と南原のコンビは「少年探偵団・妖怪博士/二十面相の悪魔」にも出演し、岡田が明智小五郎で南原が二十面相をそれぞれ演じている。
他の出演者は、堀雄二、松本克平、田代百合子、小宮光江、神田隆、進藤栄太郎などだが、やはりこの56年「警視庁物語」シリーズがスタートし、南原、堀、神田、松本は全員刑事役で出演している。
南原伸二は東映ニューフェイスの1期生では、一番の出世頭だったが、翌年には五社協定問題(独立プロの映画に出演した)で東映を離れることになる。60年には早々とフリーになり、南原宏治と改めている。その後の活躍は説明不要だろう。
ちなみに岡田英次は95年に75歳で、南原宏治は01年に74歳でそれぞれ亡くなっている。

三つ首塔(映画版)

久々に「記者」以外の話題である。前々項の五味勝雄こと五味龍太郎のデビュー作は時代劇ではなく、横溝正史原作の「三つ首塔」(56年)である。横溝作品でもメジャーな方だと思うのだが、意外にも映画化はこの1本だけである。テレビ化は何度かされており、火曜日の女シリーズでは「いとこ同志」とうタイトルでドラマ化されており、とにかく人よく死ぬ作品だなあという印象がある。
横溝作品といえば、金田一耕助。当時の東映で探偵の主役といえば片岡千恵蔵でほぼ決まりであった。原作とはまるっきり違い、パリっとしたスーツを着て、変装の名人であったりするのだが、ほとんど千恵蔵が同時期にやっていた七つの顔の男・多羅尾伴内と変わりがないのである。おまけに白木静子(高千穂ひづる)という美人助手を連れている。これは映画のオリジナルと思いきや、「本陣殺人事件」に登場するキャラなのだ。やはり千恵蔵の金田一でこれを映画化した「三本指の男」(47年)で登場し(原節子が演じている)、助手のような役割を果たしたので、映画では助手になってしまったようだ。
ヒロイン音禰役には中原ひとみで、彼女と結ばれる高頭役が当時はまだ二枚目役の南原宏治(当時は南原伸二)である。当初その高頭を名乗っていたのが五味龍太郎で、あっさりと殺されてしまう。犯人を演じるのが専ら時代劇の三條雅也である。本作にはこの三條や高千穂ひづる、吉田義夫、片岡栄二郎、浦里はるみ、勝雄から改名する五味勝之介と、東映少年向け時代劇(紅孔雀、神州天馬侠など)に出演しているメンバーが多い。
他にも佐々木孝丸、宇佐美淳也(当時・諄)、小沢栄太郎(当時・栄)、稲葉義男、そして南原や中原とはニューフェース同期(第1期)の山本麟一なども出演している。
千恵蔵以外の金田一も、みんなスーツ姿で定着してしまい、原作に近い姿となるのはこれより二十年後で、古谷一行、石坂浩二が演じるまで待たなければならない。

地方記者

しつこいようだが、記者ドラマはまだまだある。鶴田浩二主演の「江戸っ子記者」(58年)とか月宮康子主演の「婦人記者万理子」(59年)なんていうドラマもあったようだが、情報がほとんどないので、記者は東京ばかりではないと「地方記者」(62年)を取りあげてみたい。
新聞社に入社した男が信州にまわされ、様々な事件や人にあい成長していくさま、と解説にある。主演は当時34歳の小山田宗徳。個人的には小山田宗徳といえば「大都会PARTⅡ」(77年)の捜査課長役くらいしか印象になかったのだが、この人の60年代の活躍は目覚しいものがあったようだ。本作の他にも主演ドラマは結構あり、声優としても活躍していた。ヘンリー・フォンダやウォルト・ディズニーの声、「プリズナー№6」では主役のバトリック・マクグーハンの声を担当していた。他の出演者は水木麗子、河津清三郎、安部徹などである。
一旦終了したが半年後に「続・地方記者」が放映されている。設定が同じかどうかは不明だが、主演は小山田で、共演は安部徹、小松方正、小杉義男など。
小山田は68年、71年と脳溢血で倒れており、70年代は仕事をセーブしていたこともあったようだ。だからあまり印象がないのかもしれない。前述の「大都会PARTⅡ」は20話ほど出演して降板しているが、その後すぐにまた倒れたらしい。その後の出演記録がないので、この「大都会」が最後の出演ドラマだった可能性がある。
亡くなったのは86年のことで、58歳であった。合掌。

トップ屋捕物帳

「トップ屋」というタイトルがつくドラマがないかと探してみると「トップ屋捕物帳」(63年)というのが見つかった。現代劇なのか時代劇なのかどっちなんだというタイトルだが、現代劇のようである。まあ、時代劇にトップ屋という言葉が出てきても困るが。
主演は五味勝雄、といってもわからない人が多いと思うが、五味龍太郎といえばわかる人もいるだろう。時代劇の悪役としてお馴染みの五味に現代劇の主演ドラマがあったとうのも意外である。
五味勝雄(本名)というのはデビュー当時のみ使用していた名前だと思っていたが、調べてみると違った。東映ニューフェースの2期生(同期に高倉健、今井健二など)としてデビューした五味勝雄は翌年には五味勝之介を芸名とした。この後、大映に移って五味龍太郎になったと思っていたが、その前61年に松竹に移り、名前を五味勝雄に戻していたのである。五味龍太郎になったのは63年のことらしいので、この「トップ屋捕物帳」はその直前に制作されたもののようだ。
出演は五味の他には、三田登喜子、桜京美など。解説をみると敏腕ジャーナリストと女トップ屋の取材合戦を描いたコメディものという内容のようだ。自分は小学校の低学年の頃には五味龍太郎を認識しており、ふてぶてしい悪人顔以外の想像ができない。まあ同期の今井健二やニューフェース1期上の南原宏治も元々は二枚目路線だったので、五味にもそういう時期があっても不思議ではない。
五味勝雄(本名)と書いたが正確には山本勝雄が本名。以前どこかで書いたが、団徳麿(本名・山本徳麿)の長女と結婚して婿養子となったらしい。団徳麿も身の軽い敵忍者といったイメージがあるのだが、戦前は丹下左膳を演じるなど主演スターでもあった人物である。若い頃、ニコニコ団なる一座にいた時にはニコニコ竜太郎と名のっていたことがあるらしいが(他にも山川竜太郎、太田黒黄吉、団黒太郎など)、五味の龍太郎という芸名は義父から来ているのではないだろうか。

トップ屋事件帖シリーズ

60年代の記者ドラマといえば、丹波哲郎の出世作である「トップ屋」(60年)が挙げられるが、すっかり忘れていたが、2年程前にこのブログでも取り上げていた。この「トップ屋」には映画版が存在する。それが日活の「トップ屋取材帖」シリーズ(59年~60年)で、原作は「事件記者」と同じ島田一男である。
本シリーズは全6作あり、沢本忠雄主演の「事件記者」シリーズと同時期に公開されていた。主演は当時47歳の渋いベテランスター水島道太郎で、週刊誌記者黒木に扮する。その相棒役が葵真木子で、基本的にレギュラーはこの二人だけのようだ。葵真木子は小林旭、二谷英明などが同期の日活ニューフェイス第3期生で、63年頃まで活躍していたようだ。
二作ごとに出演者がほぼだぶっているが、前後編というわけではない。同時に撮影が進められたのだろう。第1作が「迫り来る危機」で、ゲストが中村主水の妻(りつ)で有名な白木マリ。赤木圭一郎がクレジットなしのチョイ役で出演している。第2作は「拳銃街一丁目」で、ゲストが南風洋子。この2作には西村晃が<週刊実話>の編集長役で出演している。
第3作「悪魔のためいき」、第4作「影のない妖婦」には二本柳寛、筑波久子、高品格、弘松三郎などが出演。「悪魔のためいき」には高城丈二が劇中で歌を唄っているが、ノンクレジットである。高城が頭角を現すのは63年頃からである。
第5作「影を捨てた男」、第6作「消えた弾痕」には岡田真澄、香月美奈子、佐野浅夫、嵯峨善兵などが出演している。
水島道太郎はダイヤモンドラインの台頭もあってか、このシリーズが終了した60年に日活を去っている。日活俳優として最後に出演したのは「拳銃無頼帖・明日なき男」で、このシリーズ1作目「迫り来る危機」では名前も出なかった赤木圭一郎の助演であった。

特ダネを逃すな

しつこいようだが、記者ドラマというのは、まだまだ存在する。「事件記者」が元祖のように思われているが、「事件記者」より2年早い56年、KRテレビでスタートしているのが「特ダネを逃すな」である。ちなみにKRとは現在のTBSのことで、60年まで使われていた略称だ。
さて「特ダネを逃すな」だが、59年5月まで134回に渡って放送されているのだが、現在まず話題に上ることがない。後から始まった「事件記者」の陰にかくれてしまった感じであろうか。というわけで、詳しい内容は不明である。新聞記者なのか雑誌記者なのかもはっきりしない。
主演は佐伯徹で、前項で話題にした「怪人二十面相」で明智小五郎を演じていた役者である。この人のピークは60年代で、自分は佐伯徹を見た記憶がないし、姿を消した人かと思っていたが、役者活動は地道に続けていたようである(少なくとも90年代前半までは出演記録があった)。他の出演者だが、レギュラーかゲストかがわからない。レギュラーかなと思われるのが、「おいちゃん」でお馴染みの下條正巳、「西部警察」の係長役で知られる庄司永建、後に寺山修司と結婚した九条映子などである。出演歴があるのが、安井昌二、北原隆、中台祥浩、清水元、田中明夫、浜村純、朝丘雪路などで、浜村や朝丘などはまあゲストであろう。

脚本の長谷川公之は前項の「国際事件記者」や「七人の刑事」「江戸川乱歩シリーズ明智小五郎」など、最近ここで取り上げたドラマをことごとく執筆している。
実はこのドラマは映画化されており、タイトルを「恋を掏った女」(58年)という。まあタイトルを見ただけではまず「特ダネを逃すな」の映画化とはわからないと思うが。出演者はテレビとは異なっており、主演は石井竜一。誰?という感じだが、この頃大映で活躍していた役者で、主演映画も数本存在する。しかし60年代に入ると脇にまわり、60年代半ばには姿を消してしまったようだ。他の出演者は金田一敦子、叶順子、見明凡太郎、穂高のり子などである。石井と金田一は「頑張れ!健太」とか「夜の滑走路」とかでも共演している。まあどちらもよく知らないけれども。

国際事件記者

しつこく「事件記者」のタイトルがつくドラマを探してみると「国際事件記者」(65年)というのが見つかった。このタイトルで検索をかけると大森実という人の書いた著書がヒットするのだが、どうやらこれが原作になっているようである。
国際というぐらいだから、海外の事件を扱うのだろうという予測は誰でもつくと思うが、ベトナム戦争を題材とした三部作となっているようで、それぞれのタイトルは「最前線」「死の道路」「最後のシャッター」となっており、どれも悲劇的な展開を予想させる。
出演でわかっているのは山内明で、外信部長の役のようである。「最前線」で記者に扮するのは原田甲子郎と山本勝。原田甲子郎は「怪人二十面相」(58年)で主役の二十面相を演じたりしている。山本勝もNHKドラマ「伊豆の踊り子」(61年)の主演など当時活躍していた役者である。原田は60年代終盤には姿を消したようだが、山本は近年まで活躍していたようだ(現役かも)。しかし個人的には全然知らなかったりする。他の出演者も木崎豊、菊池誠一、平川美津子など知らない名前が並んでいる。
テレビドラマデータベースには山内明の他に、鳳八千代、安井昌二、南廣、緑魔子と割合メジャーな名前が並んでいるが、彼らは残る「死の道路」「最後のシャッター」に出演したのであろうか。
全然関係ないが、有名なレフェリーの山本小鉄の本名は山本勝である。

少年事件記者

60年代には、「事件記者」と名のつく番組がまだあったりする。その一つは「少年事件記者」(60年)。タイトルどおり子ども版の事件記者といったドラマだ。解説には「子どもたちの生活の中の事件を子どもなりの推理と協力で解決していく」とある。なんとなく想像はつくが、詳細は不明である。出演は映画版「赤胴鈴之助」でお馴染みの梅若正二(梅宮正二と書かれている資料もあるが、おそらく間違いであろう)。しかし梅若正二はこの頃、すでに24歳で少年ではない。絵に描いたようにスターを気取り、周囲の顰蹙をかい、干されてしまったのは有名なエピソードだ。この数年後には表舞台から消えていくことになる。他の出演者は松井巌、大和田豪、泉正と知らない名前が並んでいるが、おそらく子役たちであろう。「少年事件記者」で検索するとこのドラマに関しての情報は全く見つからないが、「赤胴鈴之助」でお馴染みの武内つなよしの漫画が出てきた。このドラマの漫画化かどうかはわからないが、サブタイトルは「東京パトロール」となっている。あの「ザ・ガードマン」を先取りしていたのだ(宇津井健たちの所属する会社の名前)。
このドラマは当時、日本テレビで土曜夜18時15分から放送されていたのだが、金曜は「矢車剣之助」、水曜は「CQ!ペット21」と、まさしく子どもたちの時間帯であった。いつ頃からニュースの時間帯になったのか、記憶は曖昧である。

新・事件記者

「新・事件記者」とは、ようするに東宝版の事件記者のことである。NHKでの放送が終了した66年に「大都会の罠」と「殺意の丘」の2本が制作されている。
キャストは記者・警察ともテレビ版のほぼ全員で、日活版には出ていなかった面々もちゃんと出演している。ただし自殺した清村耕次はもちろんだが、その後釜として番組終了間際にレギュラー入りした藤岡琢也は出演していない。
「大都会の罠」のポスターを見ると、一番下に記者クラブのレギュラー陣の小さな顔写真がずらりと並んでいる。その上に大きく載っているのは永井智雄、園井啓介、滝田裕介、原保美、山田吾一、何故か捜査一課長の高島敏郎、ゲストの平田昭彦、山本学、そして実質主役の記者を演じる三上真一郎である。さらにその上にはでかでかと大空真弓が、という構図になっている。
誰か足りないような気がすると思ったら綾川香がいない。三上真一郎が東京日報の一番若い記者という設定なので代わりに排除されたのかもしれない。ところで、綾川香って字面だけ見ると女性だと勘違いしてまう(後に志剛と改名、本名は松原保夫)。「光速エスパー」に科学者の役で出ていたが、当時はその顔と名前は一致しなかった。
東宝作品でありながら、東宝っぽい役者は平田昭彦、大空真弓くらいであろうか。三上真一郎は前年まで松竹にいた役者だし(当時はフリー)、犯人役の金子信雄はやはり日活のイメージ。東映への出演も多いが、東宝作品は意外と珍しいのである。
二作目の「殺意の丘」には、三上真一郎は出ておらず、綾川香が復帰している。レギュラー陣は記者・警察ともほぼ全員が出演しているようだ。こちらで目立つゲストといえば芦田伸介である。ただしお馴染みの刑事役ではなく記者の役で、大空真弓はこちらではその娘役のようである。犯人役はデンターライオンの福田豊土で、やはり東宝っぽい役者はあまりいない。Wけんじやデビューまもない松尾嘉代が姿を見せている。
事件記者メンバーは先にも書いたとおり、真っ二つに分かれてしまったこともあり「新・事件記者」もこの二作で終了となっている。