甲州遊侠伝 俺はども安
砂塚は貫禄がなく子分タイプに見えるが、こういった役はあいそうである。もう一人のレギュラーを演じたのが姫ゆり子。当時結構活躍していた女優だが、この人は「怪奇大作戦」の幻となってしまった24話「狂鬼人間」で犯人の女性<狂わせ屋>を演じた人だったりする。その一方で人形劇「ネコジャラ市の11人」には声優として参加していたりするのである。テレビ版の「若い季節」に出演したこともあるようだ。
本作の原作・監督は五社英雄。「三匹の侍」の次に取り組んだのが本作である。それもあってかゲストで丹波哲郎や平幹二朗も出演している。他には梅宮辰夫、伏見扇太郎、黒澤明の「用心棒」に一際、巨体(2mちょっと)の子分で出演していた羅生門綱五郎などもゲストで登場している。一見するとジャイアント馬場に見えるので、結構勘違いしている人も多いらしい(私もだが)。
ところで五社英雄は、本名は「ひでお」ではなく「えいゆう」と読むのだそうだ。逆ならよくあるパターンだと思うけれども。
続・若い季節
前作から二年経過しているが、冒頭は前作と全く同じシチュエーションで始まる。社長の淡路恵子がオープンカーで会社(プランタン化粧品)に乗り付けるのである。ただし、前作は外車だったが、今回は国産のスカイラインスポーツである。全部で60台くらいしか生産されなかったらしい。
二年しか経っていないのに厚化粧のせいもあってか淡路恵子が随分老けたように見える。まだ31歳だったのに。今回は主役は淡路というよりはスパーク三人娘、つまり中尾ミエ、園まり、伊東ゆかりであり、クレジットもトップにきている。プランタンの社内もクレージーキャッツや有島一郎はいなくなり、三木のり平や十朱久雄になっている。十朱は前作で松村達雄が演じていた松森専務の役で、幹部で同じ役で出ているのは営業課長の人見明くらいである。給仕役も坂本九から田辺靖雄になっている。
前作でクレージーでは唯一プランタン社員の役ではなかった谷啓が主任役で、その部下に峰健二こと先日亡くなった峰岸徹が登場する。初めて峰健二時代をまともに見た気がするが、ひ弱な感じで、演技も素人っぽい。この作品からは、後の勇姿は想像しづらい。前作では学生役だった古今亭志ん朝も社員の一人として登場するが、入社したということなのだろうか。
前作より東宝メンバーは減っているが、三橋達也が中年プレイボーイ社長で、その部下を藤田まこと、砂塚英夫が演じている。青島幸男やジェリー藤尾、そして植木等(特別出演扱い)もちょっこと登場、桜井センリも登場するのだがノンクレジットである。
NHKの「若い季節」はこの64年に終了するが、本作は三人娘のための作品といった感じである。
話は変わるが「若い季節」というタイトルの映画は51年にもあるが、全く別の作品である。出演は鶴田浩二、津島恵子、淡島千景などである。淡島千景と淡路恵子ってたまに混同するのだが(私だけか?)、それもそのはずで、淡路は淡島の大ファンだったので、芸名を淡路にしたのだそうだ。田辺靖雄とクレージー映画や若大将シリーズの脚本を書いている田波靖男も一文字違いだが、特に関係はないようである(ともに本名のようだ)。
若い季節(映画版)
舞台は銀座のプランタン化粧品という会社で、若き女社長・淡路恵子を筆頭に、クレージーキャッツ、松村達雄、有島一郎、ジェリー藤尾、坂本九、古今亭志ん朝、パラダイスキングなどはテレビにも出演していたメンバーで、そこに団令子、浜美枝、藤山陽子、中真千子、若林映子、平田昭彦、佐原健二といった東宝のスター陣が加わっている。
監督はクレージー映画でお馴染みの古澤憲吾で、それに近いノリのミュージカル仕立ての作品である。当然、ハナ肇、植木等、谷啓に加えて、青島幸男や人見明なども活躍している。主題歌はテレビではザ・ピーナッツが唄っていたようだが、本作では合唱団?のコーラスになっている。
クレジットには淡路恵子と並んで団令子がトップに来ているが、彼女はそれほど活躍しない。4人娘(団、浜、藤山、中)の中では浜美枝のほうが目だっている。この中では一番の先輩だからであろうか。
淡路恵子は当時29歳。萬屋錦之介のカミさんというイメージがあるのだが、当時のダンナは本作にも出演しているフィリピン人歌手のビンボー・ダナオであった。だから淡路の役名は棚尾ケイ子なのだろう。他の作品でも見たことのある名前だったが、今回初めて何者かを知った。やはり当時も「貧乏だな」とか言われたのだろうか。淡路とは65年に離婚しているが、その2年後に亡くなっている。
それにしても男性陣は亡くなっている人が多い。植木等、ハナ肇、安田伸、石橋エータロー、松村達雄、有島一郎、平田昭彦、青島幸男、坂本九、古今亭志ん朝など、まあ40年以上経っているので仕方ないけれども。
吾輩は猫である
まずはテレビ版。58年のNTV版は全5回の連続物となっている。
出演は斎藤達雄、三宅邦子、稲葉義男、舟橋元、藤村有弘など。ナレーションは徳川夢声で、おそらく猫の声を担当していると思われる。
63年のNHK版は単発ドラマで「坊っちゃん」でもあったが、元旦に放送されている。
出演者を見ると東宝の役者がほとんどである。森繁久弥、淡路恵子、三木のり平、有島一郎、沢村貞子、八波むと志、多々良純などで、一瞬、「社長シリーズ」かと思ってしまう。猫の声を担当するのは渥美清で、もちろん「寅さんシリーズ」の前である。
82年にフジテレビで放映されたのはアニメである。
向井真理子(マリリン・モンロー)、雨森雅司(バカボンのパパ)、増山江威子(バカボンのママ)、柴田秀勝(ミスターX)、野沢那智(アラン・ドロン)、藤田淑子(一休さん)といった声優陣に加えて坂上二郎、なべおさみ、財津一郎、郷ひろみなどが、声優として参加している。ちなみに猫の声を演じたのは山口良一(イモ欽トリオ)である。
映画の方は二本だけで、36年のP.C.L版は出演が丸山定夫、徳川夢声、英百合子、藤原釜足、清川虹子、宇留木浩などで、前々項で触れた「坊つちゃん」とほぼ同じ面々である。こちらで徳川夢声は猫の声ではない。無声映画なので。
次は一気に40年とび、75年。市川崑監督の作品である。出演は仲代達矢、伊丹十三、篠田三郎、島田陽子、篠ひろ子(当時ヒロコ)、岡田茉莉子などである。猫の声は小倉一郎が担当している。
こうしてみると猫の声は意外と地味な人が担当しているなと思う。渥美清も当時はそれほど大きな人気を得ていたわけではなかったはずである。今だったら、その時点で人気の芸人あたりを使いそうな気がする。
虞美人草
「坊っちゃん」を取り上げたついでに、他の漱石作品について調べてみた。一番ドラマ化されているのはやはり「坊っちゃん」だったが、他の作品は似たり寄ったりで、その中で意外に健闘?しているのが「虞美人草」である。
漱石作品といえば、どうしても「我輩は猫である」「三四郎」「門」「それから」「こころ」あたりが思い浮かぶと思うが、私も「虞美人草」については読んだことがないし、内容も知らない。というわけで「虞美人草」を取り上げることにした。さっとあらすじだけ調べたが、藤野という美女がヒロイン的な存在であることはわかった。「虞美人草」は、全部で4回ドラマ化されているようだ。
61年NHK版は単発ドラマで、出演は丹阿弥谷津子、西本裕行、杉村春子、園井啓介、加藤治子、宇野重吉、永井鈴子などである。
このメンバーだけ見ると藤野(原作では24歳)っぽい人がいない。杉村春子は50過ぎだし、加藤治子も39歳、金子信雄夫人の丹阿弥谷津子でも37歳である。では永井鈴子という人であろうか。この人の活躍時期はこの61年に集中している。「NHK」という雑誌の表紙を飾ったり、「忠臣蔵」にも出演していたようだ。この前年には人形劇「宇宙船シリカ」で声優を担当していた人だということがわかった。どうもヒロインはこの永井鈴子という人っぽい。
同じ61年にはNTVでもドラマ化されている。やはり単発ドラマで、出演は池内淳子、小山田宗徳、田代信子、夏亜矢子など。本作は池内淳子の所属していた新東宝が潰れた直後あたりに放送されている。小山田宗徳はここで最近取り上げたばかりだ。
66年版は東宝の制作で全19話の連続ドラマとして放送されている。出演は長谷川稀世、久保明、上原謙、花柳小菊、石浜朗など。
長谷川稀世は当時20歳。あの長谷川一夫の娘である。現在も活躍中のようだが、個人的にはよく知らなかったりする。
4作目はずっと新しくなって84年。「ザ・サスペンス」という枠で放映され『まぼろしの愛に果てた紫の女』というサブタイトルがついている。出演は古手川祐子、古尾谷雅人、藤谷美和子、小林薫、石原真理子、板東八十助、山岡久乃、笠智衆などである。
藤谷美和子、石原真理子(真理絵)の二大プッツン女優が共演している。劇中ではヒロイン(古手川)が自殺するが、現実では古尾谷が自殺してしまった。
映画の方は35年に溝口健二監督、出演は夏川大二郎、三宅邦子。41年に中川信夫監督、出演は高田稔、霧立のぼると二回映画化されているが、戦後はなぜか映画化されていない。
坊っちゃん(テレビ版) その2
前項の続きである。まずは66年の元旦にNHKで放送された「坊っちゃん」である。
津川雅彦(坊っちゃん)、入江若葉(マドンナ)、佐藤慶(赤シャツ)、ハナ肇(山嵐)、谷啓(野だいこ)、石橋エータロー(うらなり)、益田喜頓、横山道代、なべおさみ。
クレージーキャッツのメンバーが何故か三人だけ出演している。佐藤慶の赤シャツというのも恐ろしく貫禄がありそうだ。津川雅彦はまだ単純に二枚目路線だった頃であろう。もしクレージーキャッツが全員出演していたら、やはり植木等が(40才手前の)坊っちゃんということになったであろうか。
70年のやはり元旦にNETで放送されたのは「ザ・ドリフターズの坊っちゃん」である。
加藤茶(坊っちゃん)、松原智恵子(マドンナ)、いかりや長介(赤シャツ)、荒井注(山嵐)、仲本工事(野だいこ)、高木ブー(うらなり)。
クレージーとくれば、やはりドリフである。タイトルどおりドリフが全員出演している。まあ当時のドリフはメンバーがソロで活動するようなことはなかったと思うが。痩せているイメージのうらなりが高木ブーである。
72年のNTV版は松竹制作で、全6回の連続ドラマである。
竹脇無我(坊っちゃん)、山本陽子(マドンナ)、松村達雄(たぬき)、米倉斉加年(赤シャツ)、田村高廣(山嵐)、牟田悌三(野だいこ)、小松政夫(うらなり)、財津一郎、江戸家小猫。
当時の松竹の二枚目スターといえば竹脇無我だが、この頃はすでに映画よりテレビ出演が多くなっていた。牟田悌三は66年の映画版では赤シャツを演じていた。米倉斉加年は77年の映画版でも赤シャツを演じることになる。上記以外にも安原義人、野島昭生など声優として有名な面々が出演している。
75年のNHK版は、何と全22話という連続ドラマでタイトルも「新・坊っちゃん」である。普通に一時間枠で、脚本は全話市川森一が担当している。
柴俊夫(坊っちゃん)、結城しのぶ(マドンナ)、三國一郎(たぬき)、河原崎長一郎(赤シャツ)、西田敏行(山嵐)、下條アトム(野だいこ)、園田裕久(うらなり)。
テレビドラマデータベースでは、大原麗子が5話まで出演し、結城しのぶは6話からとなっているので、マドンナ役は交代したのかもしれない。22話となると、大半がオリジナル展開だったと思われる。ゲストも倍賞美津子、中尾彬、高松英郎、林寛子、伊藤雄之助といったところが登場したようだ。
ここまで、4回に渡って様々な坊っちゃんを取り上げたが、実は一作も見た記憶はない。最期に挙げた「新・坊っちゃん」が放映されていたのは覚えているといった程度である。まあ基本的に名作文学の映像化作品にあまり興味がなかったりするのである。
「坊っちゃん」は80年代、90年代にもドラマ化されたりアニメ化されたりしている。
坊っちゃん(テレビ版)
ついでなので、テレビ版の「坊っちゃん」について調べてみた。正確にはわからないが、10回以上はテレビ化されているようである。
まずは57年NTV版。全5回の連続ドラマだったようである。
判明しているキャストは、宍戸錠(坊っちゃん)、十朱久雄(赤シャツ)、西川敬三郎(野だいこ)、春日俊二(うらなり)、浜田寅彦、村瀬幸子など。
当時はまだ日活の脇役俳優だった宍戸錠が主演である。例の豊頬手術を行ったのは前年の56年のこと。十朱久雄は十朱幸代の父である。おそらく村瀬幸子はマドンナで、浜田寅彦は狸っぽい。しかし浜田はまだ30代だったので違うかもしれない。
60年NET(現テレビ朝日)版は東宝の制作で単発ドラマである。
高島忠夫(坊っちゃん)、安西郷子(マドンナ)、中村是好(狸)、十朱久雄(赤シャツ)、田島義文(山嵐)、谷晃(野だいこ)、瀬良明(うらなり)。
新東宝で「坊っちゃん」シリーズをやっていた高島忠夫が本家?の坊っちゃん役である。十朱久雄が57年版に続いて赤シャツ役、瀬良明は53年の映画版に続いてうらなり役である。
62年NHKの「子ども名作座」で「坊っちゃん」が放映されたようである。主演は早川保で、他は不明である。
65年フジテレビ版。東宝の制作で全6回の連続ドラマである。
市川染五郎(坊っちゃん)、喜浦節子(マドンナ)、三島雅夫(狸)、北村和夫(赤シャツ)、加藤武(山嵐)、三木のり平(野だいこ)。
市川染五郎は現在の松本幸四郎のこと。加藤武とは14年後の「騎馬奉行」でも共演している。喜浦節子は東宝の女優だったようだが、出演映画した映画は見つからなかった。テレビ数本に出ただけなのかもしれない。
68年MBS版は単発ドラマ。
石田太郎(坊っちゃん)、三井美奈(マドンナ)、高木均(狸)、仲谷昇(赤シャツ)、名古屋章(山嵐)、藤岡琢也(野だいこ)、西本裕行(うらなり)。
渋いキャスティングの坊っちゃんである。石田太郎は今や「刑事コロンボ」の声優として有名だ。元々先代である小池朝雄のモノマネを得意にしていたという。高木均もムーミンパパとか「銀河鉄道999」のナレーターの人といった方がわかりやすいかもしれない。
他にもテレビ版「坊っちゃん」は存在するので、次回に続くということで。
坊っちゃん(映画版)
予告どおり、歴代の「坊っちゃん」映画について取り上げてみたい。
第1作が35年、昭和でいうと10年である。制作はP.C.L、東宝の前身である。
宇留木浩(坊つちゃん)、夏目初子(マドンナ)、徳川夢声(たぬき)、森野鍛冶哉(赤シャツ)、丸山定夫(山嵐)、東屋三郎(のだいこ)、藤原釜足(うらなり)、英百合子(清)。
さすがに古すぎてキャストでは、徳川夢声と藤原釜足くらいしかわからない。前項で触れたとおりタイトルは「坊つちゃん」で「つ」が大文字だったらしい。宇留木浩の妹は細川ちか子で、山嵐役の丸山定夫と結婚している。宇留木は本作の翌年、狭心症で急死、まだ33歳であった。丸山は45年、広島に巡業中に原爆に遭い、数日後に亡くなっている。
第2作は53年、制作は東京映画、まあ東宝である。
池部良(坊っちゃん)、岡田茉莉子(マドンナ)、小堀誠(たぬき)、森繁久弥(赤シャツ)、小沢栄太郎(当時は栄・山嵐)、多々良純(のだいこ)、瀬良明(うらなり)、浦辺粂子(清)。
何故か長生きの人ばかりである。池部、森繁、岡田は健在、多々良、浦辺は90近くまで生き、小沢も亡くなったのは79歳の時だ。小堀誠は「次郎長三国志」の小堀明男の父である。
第3作は58年で、これは前項を参照のこと。以降の3作~5作はすべて松竹の制作である。
第4作は66年で、キャストは次のとおり。
坂本九(坊っちゃん)、加賀まりこ(マドンナ)、古賀政男(たぬき)、牟田悌三(赤シャツ)、三波伸介(山嵐)、藤村有弘(のだいこ)、大村崑(うらなり)、三木のり平(小使)。
コメディ色の強そうなキャスティングである。古賀政男は古賀メロディでお馴染みの作曲家である。本作では音楽も担当している。坊っちゃんには小川大助という名前がついている。2作目とは対照的に坂本九、三波伸介、藤村有弘など若くして亡くなった人が目立つ。
第5作は77年、現状最後の映画「坊っちゃん」である。
中村雅俊(坊っちゃん)、松坂慶子(マドンナ)、大滝秀治(たぬき)、米倉斉加年(赤シャツ)、地井武男(山嵐)、湯原昌幸(のだいこ)、岡本信人(うらなり)、荒木道子(清)。
坊っちゃんには近藤大助という名前がついている。本作だが、自分は加入していないチャンネルなので気付かなかったが、これを書いている今日、CSで放送されていた。決して合わせたわけではないのであしからず。
坊っちゃん(58年版)
しかし、南原以外のキャストは結構原作のイメージに近い気がする。たぬき(校長)に伴淳三郎、赤シャツ(教頭)にトニー谷、山嵐(堀田)に伊藤雄之助、のだいこ(吉川)に三井弘次、うらなり(古賀)に大泉滉、マドンナに有馬稲子といった具合である。他にも左卜全、桂小金治、沢村貞子、デビューまもない杉浦直樹などが出演している。ちなみに左卜全は現在は用務員さんと言わなけ ればならない小使さんの役だ。原作で語り部となる清は英百合子が演じているがその23年前、つまり35年に初映画化された「坊つちゃん」(つが大文字)でも清の役は英が演じている。本作では、坊っちゃんには塩原昌之助なる名前がついている。
「坊っちゃん」は全部で5回映画化されており、この南原版は三作目となる。次回は他の坊っちゃんについて触れてみたい。
異母兄弟
これは南原と東映との再契約が成立してない状態、つまり非専属状態での出演であった。本作が松竹系で封切られる直前、東映が五社協定をたてに横槍をいれ、上映中止問題にまで発展している。これを機に南原は松竹に移籍することになったのであった。
タイトルからして、自分はまず見ないであろうホームドラマ的な内容を想像したが、若干違うようである。三國連太郎演じる陸軍大尉は妻(豊島八重子)との間に二児(西田昭市、近藤宏)を儲けたが、やがて女中(田中絹代)に手を出し身ごもらせる。やがて妻は死亡し、世間体もあり田中絹代を後妻にする。この間に出来た子どもが南原宏治と中村賀津雄である。三國は田中絹代を相変わらず女中扱いし、病弱な中村賀津雄のことを虐げた。そんな中村は新しい女中(高千穂ひづる)と恋仲になるが、三國に感づかれ勘当されてしまう。終戦を迎えたが、三人の息子は戦死し、三國は酒びたりの日々。そこに行方不明だった中村が姿を現し…、というようなストーリーである。
三國がどうしようみない軍人オヤジを演じているが、実は当時まだ34歳である。息子役の南原は30歳、西田は29歳、近藤にいたっては32歳とほとんど同年代だったのである。ちなみに田中絹代は47歳であった。似てない兄弟を演じている近藤宏や南原宏治、中村賀津雄はその後も映画やテレビで活躍していたが、西田昭市については知らない人も多いのではないだろうか。普通にドラマとかにも出ていたようなのだが、私もその顔はわからない。アニメ「侍ジャイアンツ」で川上監督の声をやっていた人という認識しかなかったりするので、声優としてのイメージが強い(アニメはほとんどやっていないようだが)。
意外といっては何だが、本作はDVD化されていたりする。自分は存在すら知らなかったが、評価の高い作品なのであろうか。